成功と失敗を分けるSEMの見極め力
第6回 オーバーチュアとグーグルアドワーズ広告、どう使い分ける?

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第6回 オーバーチュアとグーグルアドワーズ広告、どう使い分ける?

佐藤 健史(株式会社セプテーニ)

多くの企業が取り組み出したSEM(検索エンジンマーケティング)は、発展途上の分野でもあるため、確固としたセオリーが存在しない。SEMを行う上で担当者が直面するさまざまな判断・選択について、その見極めのポイントを専門家がアドバイスしていく。

オーバーチュアとグーグルのアドワーズ広告
まずは違いを把握する

初めてキーワード広告を実施するクライアントから受ける質問の典型として、「オーバーチュアとアドワーズ広告の、どちらから先に実施するべきか?」というものがある。この質問は、頻繁に聞かれる割には一概に答えられないため困ってしまうが、気を付けるべき点には次のようなものがあるだろう。

  1. オーバーチュアとアドワーズ広告それぞれの提携ネットワーク
    まず判断の材料となるのは、それぞれの提携ネットワークだ。「オーバーチュアはヤフーのみ、アドワーズ広告はグーグルのみ」と思っているケースも多いが、両媒体とも、その他にも提携ネットワークがあり広告を露出している。代表的なオーバーチュアの提携ネットワークならMSNやエキサイトなど。アドワーズ広告ならビッグローブやライブドアなどがある。もし、どちらかの提携ネットワークに定期的にバナーを出広しているような媒体があれば、その媒体で表示させることでバナーとキーワード広告との相乗効果も期待できる。

  2. 検索が利用される回数
    オーバーチュアとグーグルの月間検索数も、判断材料の1つだ。キーワード広告は、大きなマーケットからターゲットを絞って、費用対効果の高い成果を獲得することには適している。一方、ニッチなマーケットから成果を多く獲得しようとしても、ミドル~スモールキーワードは検索される回数自体が少ないため、どうしてもビッグキーワードで上位表示させなければならなくなる。そうすると平均CPC(クリック単価)が上がってしまい費用対効果が悪化してしまう。現状ではそのような理由から、ニッチなサービスに関しては、ヤフーの圧倒的なユーザー数によって膨大な検索数を誇るオーバーチュアに軍配が上がりそうだ。

  3. 媒体のユーザー属性
    オーバーチュアとアドワーズ広告のユーザー属性の違いも判断材料になるだろう。この2つの媒体のユーザーは、一定数が重複している(つまり両方とも使用するユーザーが多い)が、オーバーチュアとアドワーズ広告ではユーザー属性はやはり異なるといえる。

    • グーグル
      日本のグーグルユーザーは、ウェブに対するリテラシーが高い傾向があるといわれている。一般ユーザーのリテラシーも最近では上がっているが、やはりヤフーに比べるとウェブデザイナーやクリエイター、プログラマなど、職業的にPCに関わっている人、PCのヘビーユーザーの割合が多いのがグーグルユーザーの特徴だ。たとえばIT系の派遣業務などなら、“質”の高いユーザーを獲得できる可能性が高いといえるだろう(図1)。
    • インターネットの利用頻度と利用サーチエンジンの関係(自宅)
      インターネットの利用頻度と利用サーチエンジンの関係(職場)
      図1 インターネットの利用頻度と利用サーチエンジンの関係
      グーグルとヤフーを比較した場合、グーグルのほうがヘビーユーザーの比率が高い(セプテーニ調べ)。
  4. オーバーチュア
    ヤフーによる圧倒的な認知度のため、若年層からお年寄りまで幅広い属性のユーザーへリーチしている。ウェブ初心者がまず使用することが多い傾向にある。主婦が多いというデータもあり、主婦向けの商材に適しているかもしれない(図2)。
  5. 図2 ユーザーの職種と利用サーチエンジンの関係
    図2 ユーザーの職種と利用サーチエンジンの関係
    グーグルとヤフーを比較した場合、グーグルは社会人が多く、ヤフーは主婦が多い(セプテーニ調べ)。こういった媒体特性を把握した上で、出稿する媒体とターゲットのマッチングを図ることとなる。

またアドワーズ広告には「アドセンス」と呼ばれるシステムがあり、広告グループと親和性が高いコンテンツに自動的に広告が表示されるようになっている。アドセンスの媒体特性としては、膨大な表示回数、安価なCPC、低めのCTR・CVRといった点があげられる。

コンバージョンはさておき、“まずはサイトへの誘導を図りたい(クリックが欲しい)”というユーザーにはアドセンスが最適である。

プロモーションターゲットが
媒体に適しているかどうかを一考

こうした媒体特性をふまえた上で、プロモーションを行うターゲットが、上記のどちらの属性に適しているのかを判断していく必要がある。ここで実例をあげておこう。

BtoBのニッチな商品があり、プロモーションのターゲットは企業内のシステム担当者とかなりニッチな領域だったケースがあった。オーバーチュアとアドワーズ広告の両方を実施したが、アドワーズ広告では検索数が少なすぎてクリック数が獲得できず、検索数を獲得しようとビッグキーワードの単価を上げても広義な意味のキーワードでは無駄クリックばかりで成果がついてこなかった。クリエイティブでセグメントを絞ると、またクリック数が獲得できないという悪循環。結局、月間のクリック数も数百、消化金額も1万円程だったということがあった。

比較してオーバーチュアの結果は妥当なものだった。このような場合には、やはりヤフーでの圧倒的なインプレッションがものをいう。「ニッチなキーワード」でもアドワーズ広告よりも検索数が多く、クリックが獲得できるからだ。そのクリックがあって初めてコンバージョンにつなげられるのだ。一方、グーグルではオンラインゲームやクリエイター派遣など、リテラシーが高いであろう方々への訴求には向いているというデータがある。媒体選定の際には、プロモーションのターゲットが媒体に適しているかどうかも考えよう。

実際の状況や使い勝手も大切

プロモーション対象のサイトのアクセスログを実際に見てみて、どの媒体からそれぞれどれくらい流入しているのかリファラー情報などを調べるのも非常に有効な手法だ。SEOの順位では大差がないのに流入数が多い場合は、その提携媒体を含むキーワード媒体にするのがいいだろう。

ここで注意してほしいのは、「両検索エンジンがほぼ同じ順位である」ということが前提となっている点だ。SEOでは「ヤフーで20位、グーグルで3位」のように検索エンジンによって順位が大きく異なる場合があるが、そういった場合、順位が高いほうのアクセスが多いのは当たり前なので、あまり参考にならない。

また媒体の管理画面の機能や特性も重要だ。管理画面の機能の違いはとてもすべては書ききれないが、以下の3つがとくに注意すべき機能だろう。

  1. 予算管理機能
    キャンペーン単位・アカウント単位・日別などで予算上限を設定できるかどうか。予算規模が小さいプロモーションなどを行う場合に重要なポイントだ。

  2. 広告管理機能
    クリエイティブを均等に掲載できるかどうか、クリック率の高いクリエイティブを優先的に露出する最適化機能が使えるかどうか。

  3. 地域配信機能
    他国配信、他言語配信、地域別(県別)配信などが可能かどうか。

現時点の管理機能だけを見ると、上記3点についてはアドワーズ広告にやや軍配が上がるように思われるが、オーバーチュアもすでに新スポンサードサーチ(内部的な開発コードネームは「パナマ」)への移行を開始しており、広告の効率的な管理や効果測定はアドワーズ広告に劣らず可能となる。各媒体の最新機能に関してつねにチェックして、実際の状況を把握しておくことが大切になるだろう。

表1 オーバーチュア新スポンサードサーチでのおもな変更点
現在のスポンサードサーチ 新スポンサードサーチ
ダッシュボード 数値の表示のみ 広告のパフォーマンスをグラフつきで表示
広告の審査にかかる時間 約5営業日以内に審査終了 ガイドラインに抵触しないものは、基本的に数分以内に審査終了
広告テスト機能 該当機能なし 広告グループに登録されている広告の効果を比較可能
地域ターゲティング機能 キーワードやキャンペーンに地名を含める必要あり キャンペーンごとに広告のターゲット地域を設定可能
表示スケジュール設定 該当機能なし 広告の表示スケジュールを設定可能
広告 1つのキーワードに1つの広告文(タイトル・説明文・URL)が必要 1つのキーワードに複数の広告文をローテーション表示可能
コンテンツマッチ キーワードと関連性の高いコンテンツページに広告を表示 広告に含まれるテキストやリンク先ページに記載されているテキストによって、コンテンツページとの関連性を判断
キーワード挿入機能 タイトルまたは説明文にキーワードを自分で入力 タイトルと説明文にキーワードを自動挿入
レポート 規定レポートのみ レポートをカスタマイズ可能

オーバーチュアとアドワーズ広告
二者択一でなく併用するもの

オーバーチュアとアドワーズ広告のどちらを先に実施するか迷っている場合、ここで述べたことを参考に、適したものを選ぶといいだろう。また、どちらから先に実施した後で、費用対効果の高い成果の出た「優良キーワード」のみをもう1つの媒体で実施するのも非常に効果的だ。社名やビジネス内容に直結したキーワードなどがこれにあたる。特に社名のような「CPCが安価な上にコンバージョンレートが高いキーワード」は、ぜひ実施することをお勧めしたい。

その他にも意外なキーワードが、非常に費用対効果が高く効果的だったりすることもあるので、先に始めたほうでの状況を参考にしつつ、二刀流で実施してみよう。コンバージョンのための母数の獲得はメインのほうで行い、アシスト的にもう1つのシステムを利用する、といったイメージならリスクも少ない。

忙しいウェブ担当者でも、どちらか片方のシステムでは費用対効果の高いキーワードだけを扱うのであれば管理も簡単だ。そこから先は、トライ&エラーで最適な予算配分を検証し、SEOも念頭に置いたうえで限られた予算で最大限の効果が発揮できるよう、予算配分の最適化を継続していけばいいのだ。

見極めのポイント

  1. サイトへの誘導だけが目的なら、グーグルアドセンスを優先
  2. ニッチなビジネスで成果を獲得するのが目的なら、オーバーチュアを優先
  3. 媒体のユーザー属性とビジネスのコアターゲットを考慮して、選定を行う
  4. 優良キーワードは、試験的にもう1つの媒体で実施し、最適化は継続する
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