成功と失敗を分けるSEMの見極め力

第8回 オーバーチュア新プラットフォーム、どうやって最適化する?

SEMの見極め力タイトル

第8回 オーバーチュア新プラットフォーム、どうやって最適化する?

佐藤 健史(株式会社セプテーニ)、協力:高橋勇太(株式会社セプテーニ SEM部)

多くの企業が取り組み出したSEM(検索エンジンマーケティング)は、発展途上の分野でもあるため、確固としたセオリーが存在しない。SEMを行う上で担当者が直面するさまざまな判断・選択について、その見極めのポイントを専門家がアドバイスしていく。

今回のテーマは、ヤフーで表示されるキーワード広告、オーバーチュアの新スポンサードサーチ。7月には全広告主のアカウントが新プラットフォームに移行し、新しい掲載順位に変更されたのだが、何に気をつけるべきなのだろうか。

今回は、新プラットフォームに移行したオーバーチュアに関して、実際の運用を通して見えてきたことを前提に、新プラットフォームの運用のポイントを紹介したい。ただし、我々もまだまだ試行錯誤の段階であるため、今回の内容には検証中の事柄や仮説にもとづいた予測などが含まれてることをご了承いただきたい。

これからのスポンサードサーチで重要な点

(1)広義な意味の超ビッグキーワードの扱いには注意する

キーワード広告の運用で最初に行うことは、出稿するキーワード選びだが、今後のキーワード選びで気を付けなければならないのは「キーワードと広告(またはコンテンツ)との親和性」だ。結論から言うと、曖昧な意味理解ができる超ビッグキーワードは、広告(またはコンテンツ)とのマッチングを高めることが困難なため、新しいプラットフォームには向いていない。

扱いの難しい超ビッグキーワードの例
  • 不動産業界ならば「物件」
  • 人材業界ならば「仕事」
  • 銀行系消費者金融ならば「銀行」

入札価格のみで掲載順位を決定していた以前のスポンサードサーチでは、クリック率が低いものでも上位掲載が可能であった。超ビッグキーワードを使ったこの手法では、大勢のユーザーに広告を表示してサイトへ誘導することで、検索したユーザーの中のほんの一握りの中からコンバージョンを獲得することが可能であった。

しかし今後は、この方法ではクリック率が低くなり品質インデックス(QI)が低くなるため、上限クリック単価を高く設定しなければ上位表示が不可能になった。

そればかりか品質インデックスを低いままにしていると、超ビッグキーワードが格納されている広告グループの他のキーワードが掲載停止になってしまう可能性もあるので気を付けよう。

もちろんクリック率を上げる広告を設定することは可能だが、超ビッグキーワードのクリック率を無理に上げるような広告にすると、無駄クリックが激増してしまうだろう。

  • 超ビッグキーワードを追加する。
    下向き矢印
  • 広告のクリック率が下がる
    下向き矢印
  • 広告の品質インデックスが下がる
    下向き矢印
  • 最悪の場合、重要なキーワードの掲載も止められてしまう。

今後はクリック率が低くなることが予想されるような超ビッグキーワードは、安易に追加するべきではないだ。どうしても追加する場合には、別グループにして慎重に行おう。

(2)アカウント内に同一キーワードを追加しない

新プラットフォームでは、同一アカウントであっても、異なる広告グループにまったく同じキーワードを追加することが可能になった。しかし、1アカウント内に同一キーワードを登録した場合、表示されるのは片方のみだが、それぞれが競り合い、クリック単価が上がってしまうという報告もある。真偽のほどはまだ検証中だが、管理が煩雑になることを避けるためにも、同一キーワードはアカウント内に混在させないほうが良いだろう。

(3)コンテンツマッチは別グループに

コンテンツマッチは性質上どうしてもクリック率が低くなってしまう。同一の広告グループで検索(スポンサードサーチ)とコンテンツマッチのどちらにも表示されるようにしていると、検索のほうの広告の品質インデックスを下げるとの見方もある。管理画面には、コンテンツ用と検索用と2つのゲージがあるが、それぞれが影響し合っている兆候が見られたという報告も受けている。

念のため、コンテンツマッチを使用する場合は、広告グループを

  • コンテンツマッチ用グループ
  • 検索用グループ

の2タイプに分けることをお勧めする。これで、クリック率の低いコンテンツマッチが検索の足を引っ張るようなことを予防できる。

(4)対象外キーワードを追加する

たとえば、中古車販売業者のアカウントの場合、キーワード「自動車」の部分一致の中には「自動車 新車」「自動車 映画」「自動車 保険」などで検索しているユーザーがいることが考えられる。こういった検索をしているユーザーが中古車販売の広告をクリックするとは考えられないため、クリック率が下がってしまう。

こういう場合には、対象外キーワードの設定が効果的だ。これにより、クリック率・成果率ともに向上が期待できる(図1)。

既存の広告グループに対して対象外キーワードを指定する方法は少しわかりにくい。次のようにする。

  1. 管理画面にログインし、「キャンペーン」に移動する

  2. 対象外キーワードを指定したい広告グループが含まれているキャンペーンを選ぶ。

  3. 対象外キーワードを指定したい広告グループを選ぶ。

  4. 画面右にある[広告グループの設定]ボタンの右側にある下向きの矢印をクリックする。

  5. ドロップダウンリストが表示されるので、[広告種別の設定]を選ぶ。

  6. 広告種別の設定
  7. 広告グループの広告種別の設定]画面が表示されるので、「スポンサードサーチ」の右側にある[対象外キーワード]の[表示]という部分をクリックする。

  8. [表示]という部分をクリックする。
  9. 対象外キーワードを入力するボックスが表示されるので、対象外キーワードを1行に1つずつ入力する。

  10. overture-after-panama-6.jpg
  11. [変更を保存]ボタンをクリックする。

豆知識 Googleクオリティスコアと品質インデックスの微妙な違い
  • 品質インデックスはGoogleクオリティスコアよりも変動の頻度が早い。
  • Googleクオリティスコアよりも品質インデックスは値の変化に対してクリック単価の変動が大きい。
  • Googleクオリティスコアはキーワードレベルで値が存在するが、品質インデックスは広告に紐付く。

安価に上位表示を実現するための
品質インデックス向上テクニック

新しい順位決定のロジックは「上限クリック単価と品質インデックスの2軸が評価の大きな要素」なので、入札する上限クリック単価を上げることで順位が変動する。しかし、品質インデックスの低い広告グループ(特にスコア2以下の場合)のクリック単価をやみくもに上げても、順位上昇の効果は薄いようだ。したがって上限クリック単価の操作は、品質インデックスのスコアが少なくとも3以上の状態を前提で行い、品質インデックス値が2以下の場合は、まず品質インデックスを3以上に上げるように最適化を優先するべきである。

とにかくオーバーチュア新プラットフォームの運用では、品質インデックスが鍵になる。実際のクリック単価にどれくらい影響しているのかを、セプテーニで運用している実例をご紹介したい。

キーワード「結婚紹介」で、ある順位を維持するように運用した結果
品質インデックス表示3の広告
入札した上限単価 1,700円
実コスト 1,600円台
品質インデックス表示4の広告
入札した上限単価 1,500円
実コスト 800円台後半

このように、スコア3とスコア4では、同じ順位でもコスト面で非常に大きな違いがあることがわかる。このように品質インデックスは大きくクリック単価に影響してくるのだ。品質インデックスを上げるには、以下のような手段がある。

(1)グルーピング

以前のグルーピング(順位や最高入札額を軸としたものなど)とは異なり、これからの“グルーピングの目的”は、「いかに広告グループ(キーワード群)にマッチした広告を設定しやすいようにするか」だ。クリック率と予想クリック率を高くするには、細かいグルーピングが必須になる(「予想クリック率」とは、クリック率が決定する以前より加味されている数値。オーバーチュアの実績データベースから算出していると思われる数値で、本文では便宜的に「予想クリック率」と呼ぶ)。

次の例では、「自動車」という1つの広告グループを、「ベンツ」「トヨタ」「日産」「自動車&タイプ」と4つの広告グループを細分化させ、キーワードの再配分を行っている(図2)。

図2 クリック率と予想クリック率を意識したグルーピング
以前はさまざまなものが含まれていた広告グループを
キャンペーン 広告グループ キーワード タイトル 説明文
自動車 自動車 自動車 中古車買うならセプテーニ ○台から簡単検索。お得な車からこだわりの車まで選べるセプテーニ。
S600
ヴィッツ
乗用車
セダン
トヨタ
日産
プリウス
ベンツ
マーチ
マーチ

下向き矢印

より細かくグループ分けすることで、キーワードと広告のマッチングを高める。
キャンペーン 広告グループ キーワード タイトル 説明文
自動車 ベンツ S600 {keyword:ベンツ}を買うならセプテーニ ○台から簡単検索。お得な車からこだわりの車まで選べるセプテーニ。
ベンツ
メルセデス
トヨタ ヴィッツ {keyword:トヨタ車}を買うならセプテーニ ○台から簡単検索。お得な車からこだわりの車まで選べるセプテーニ。
トヨタ
プリウス
日産 日産 keyword:日産車}を買うならセプテーニ ○台から簡単検索。お得な車からこだわりの車まで選べるセプテーニ。
マーチ
自動車 & タイプ 自動車 {keyword:自動車}を買うならセプテーニ ○台から簡単検索。お得な車からこだわりの車まで選べるセプテーニ。
乗用車
セダン
※「{keyword:○○}」の表現は、検索に使われた単語を広告に埋め込む「キーワード挿入」の機能

このように、「広告グループ」という名のとおり、広告にマッチするようなグルーピングを行うことが大事だ。このグルーピングをしっかり行わないと、タイトル&説明文作成段階に入ってからグルーピングをやり直すことになり、二度手間となる。最初からしっかりと意識してグルーピングを行うことが重要だ。

(2)タイトル&説明文の作成

グルーピングの次はタイトル&説明文の作成だ。タイトル&説明文は、まず「クリック率」と「予想クリック率」が高くなるように設定しよう。

掲載が開始しクリック率が決定する以前に“クリック率が高くなるだろう施策”が施されている場合は、「予想クリック率」の評価が上がり、品質インデックス値が高くなる傾向がある。予想クリック率を上げるには、新しく追加された「キーワードインサーション機能」(検索キーワードの自動挿入機能)や徹底的なグルーピングなどを使うのがいいようだ。

特にキーワードインサーション機能は、さまざまな検索キーワードに対してそれぞれ適切な広告文を作るのと同じ効果があるため、予想クリック率だけでなく実質のクリック率を上げるのに非常に有効だ。ぜひ活用しよう(図3)。

star wars kid
図3 キーワードインサーション機能の例(図はクリックで拡大)
「キーワード文字列の追加」をクリックすると、「{KEYWORD:補完テキスト}」という文字列がタイトルまたは説明文内に設置される。この文字列が配置されていると、検索キーワードが広告テキストの中に自動的に挿入される。文字数がオーバーした場合に表示される言葉をあらかじめ補完テキストとして設定しておくこともできる。

たとえば、次のような場合、キーワード「自動車」を検索した場合に表示される広告はまったく同じだが、「プリウス」や「ベンツ」で検索されたときには、キーワードインサーション機能を使ったBのほうが、品質インデックスが高くなる傾向がある。つまり、同順位でもより安価なクリック単価にすることが可能となる。

(A)キーワードインサーション機能を使わない場合

自動車ならセプテーニ ○台から簡単検索。お得な車からこだわりの車まで選べるセプテーニ

(B)キーワードインサーション機能を使った場合

{KEYWORD:自動車}ならセプテーニ ○台から簡単検索。お得な車からこだわりの車まで選べるセプテーニ

同じキーワードインサーションを使うのでも、説明文よりもタイトルにキーワードを入れるほうが、同じ上限クリック単価で入札設定していても、順位が上がったという報告もある。なるべくタイトル部分にキーワードを入れ込もう。

【例】ユーザーがキーワード「トヨタ自動車」を検索した場合、上限クリック単価はどちらも100円

(A)タイトルにキーワードインサーション機能を使った場合
→結果=1位

{KEYWORD:自動車探し}ならセプテーニ ○台から簡単検索。お得な車からこだわりの車まで選べるセプテーニ

(B)説明文にキーワードインサーション機能を使った場合(上限クリック単価100円)
→結果=5位

自動車探しならセプテーニ {KEYWORD:自動車}簡単検索。お得な車からこだわりの車まで選べるセプテーニ

品質インデックスのチェックを
Excelで簡単に行う方法

ここまでに解説した手法を実施したなら、各広告の品質インデックスを検証してみよう。それには、広告パフォーマンスレポートとExcelを使うのが簡単だ。

オーバーチュアの管理画面に入り、[レポート]タブを選択する。レポートの画面で期間を選択して、[広告パフォーマンス]のレポートを表示し、[レポートのダウンロード]から[Excel用CSV形式]でダウンロードする。

そのデータをExcelなどで読み込み、品質インデックス順に並べ替え、インプレッションやコンバージョンなどの要素も含めて改善するべき広告グループの優先度を決定する(図4図5)。

図4 広告パフォーマンスレポート(図はクリックで拡大)
レポートタブの「広告パフォーマンスレポート」では、クリック数などの推移が期間グラフで表示されるほか、広告ごとに品質インデックス、インプレッション数、クリック率、クリック数、平均CPCなどが一覧表示される。右上の「レポートのダウンロード」から、CSVファイルをPCにダウンロードし保存できる。
図5 エクセルによる広告パフォーマンスレポートの分析(図はクリックで拡大)
広告パフォーマンスレポートのCSVファイルを、エクセルなどで品質インデックス順に並べ替えたりすることで、より詳細な分析が可能となる。インプレッションやコンバージョンなどの要素も含めて改善するべき広告グループの優先度を決定しよう。
※データ内容は架空のものです。

複数広告の配信方法を使いこなす

オーバーチュア新プラットフォームでは、各広告グループに複数の広告(タイトルと説明文)を設定でき、各広告の配信方法を「最適化機能」と「均等配信」から選択できる。

「最適化機能」とはシステムがクリック率の高い広告をより多く表示するように自動的に調整してくれる機能で、クリック率を高くしたい場合に便利だ(図6)。

図6 「広告最適化」機能
「広告最適化」とは、システムが自動的にクリック率の高い広告に表示の比重を寄せてくれる機能だ。キャンペーンタブのパフォーマンス表示で「広告最適化」ボタンをクリックし、オンオフを切り替えることができる。ただし成果単価までは加味してくれないので、分析時には注意が必要だ。

キーワード広告では、最終的には成果単価を主軸とした最適化を行うのべきなのだが、そうしている人にとってこの最適化機能はうまく働かない。というのも、この機能では、単純にクリック率が高い=良いという判定になり、成果単価までは加味してくれないからだ。

そんなときには複数の広告を同時に表示させる「均等配信」で効果を計ろう。均等配信にすることで、成果単価やクリック率の両面から見てどちらの広告が良いかを判断できる。その後、悪いほうの広告は停止または削除し、あらためて新しい広告を追加するのだ。このサイクルを繰り返して最適化を継続しよう

番外編:その他の新スポンサードサーチTIPS

新プラットフォームの運用を重ねていくうちに、以下のようなことも判明してきた。

悪い広告は手直しよりも作り直し

論理的には、クリエイティブ追加やクリック単価の調整でクリック率を向上させれば、品質インデックスを高められるはずだ。しかし、一度下がってしまった品質インデックスを上昇させることは困難であることが多い。

この場合、手っ取り早い対処方法は、広告グループごと削除&再登録を行うというものだ。

【例】広告グループごと削除&再登録した場合
対策前(品質インデックス:スコア2)
入札した上限単価 601円
実コスト 550円

→結果=4位~5位

対策後(品質インデックス:スコア0)
入札した上限単価 601円
実コスト 300円

→結果=1位

キーワードと広告の親和性に注意

管理画面上ではわからないが、キーワードと広告の親和性が低すぎる広告グループでは、特定のキーワードで広告が掲載されないということが起こるようだ。

この状態になってないかを確認するには、目視確認しかなく、こまめに見つけるのは大変だ。そのため、広告グループに対して広告を複数設定しておくことでリスクヘッジするのが、現時点で適切な対応となるようだ。

見極めのポイント
  1. グルーピングは広告(タイトル&説明文)がマッチする段階まで徹底的に細分化する。
  2. 広告(タイトル&説明文)はキーワードとの親和性を念頭に制作する。
  3. キーワードインサーション機能を効果的に使う。
  4. 広告の良し悪しは均等配信で見極める。
  5. 検索とコンテンツマッチは別グループで行う。
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