企業ホームページ運営の心得
通販サイトの基本チェックのき。探していた言葉が見つかった先に

利用者目線で気づいたECサイトの基本の”き”とは
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の百参十

基本の見直しのきっかけ

お近くにおいでの際は、お気軽にお立ち寄りいただいて結構ですが、できましたら1週間前にご連絡をお願いします。突然、お越しいただいても十分なおもてなしができませんので。

友人知人向けの引越案内ハガキに添えた一文で、これはもちろん冗談ですが、「オフィシャル」な取引先向けの「本社移転の案内」は硬い文章で角封筒に入れて出すことにしました。足立区の片隅で細々と仕事をしていますが、名のあるお取引様も多く、格式を重んじてのことです。業者選びはオーガニック検索で「1位」に輝いた業者に依頼することにしました。引越の10日前でネットサーフィンしている時間がなかったこともありますが、見られるための努力をしていることが嬉しいのです。

しかし、発注しませんでした。それは通販サイトの基本の「き」がなかったからです。

カートにいれる。という常識

封筒の種類と同封する案内状の判型がペアになったアイコンが並び、その隣に「カートへいれる」という送信ボタンがあります。ここで立ち止まりました。封筒やハガキだけが欲しいのではなく、そこに名前や文章が印刷されたものが希望で、このままクリックしていいのかと不安になったのです。

不安を解消するためにサイトをくまなく見るとID(メールアドレス)とパスワードを入力する「ログイン」フォームがあり新規登録を促しています。通常業務に引越の荷造りと忙しく、個人情報を気にしている余裕もなく登録し、再度発注ページを訪れるも画面に変化はありません。私はある言葉を探していたのですが、ソースで追いかけても「カートへいれる」しか次のステップへの扉がないことを確認します。そしてブラウザの「戻る」ボタンで検索エンジンまで戻り「広告」の1位をクリックします。するとそのサイトにはあったのです、私の探していた言葉が。

銭金以外の大切なコト

封筒の種類、ハガキの判型を選択し「カートにいれる」のはオーガニック検索1位のサイトと同じです。しかし、カートのとなりにあったリンクの先に「注文の流れ」というコンテンツを発見しました。そこには「カートにいれる」をクリックした次に「文面の選択」「宛名書きの要不要」といった手順に進むことが示されており、さらには住所表記の数字を漢数字かアラビア数字で選べ、支払い方法により発送日時が変わることまでひと目でわかるようになっており、迷うことなく注文を完了しました。

時間に余裕があれば安い業者を探す誘惑にかられたかも知れません。価格の比較はネットの得意とするところです。しかし、時間のない私にとって最も大切な価値は「安心」でした。発注方法の不手際から商品が届かなかったらどうするか、支払い方法によって納期の違いが生じはしないかという「不安」を解消するために確認作業を繰り返しますが、この不安が解消できるなら多少の銭金(この場合、最大で1万円ほど)は問題ではありません。

華岡青洲か高須克也か

私は、というか我が社はネット通販依存率が高く、お陰様で毎月クレジット会社から結構な額の請求書が送られてきます。主に書籍や資料、その他にPC本体やソフトも通販で買いますし、マンガ「Web担当者 三ノ宮純二(第7話)」のために楽天市場でカニも発注しました。ネット通販は便利ですが、原則「自己責任」で商品知識がなければ失敗することもあります。つまり書籍やソフトなどのように「どこで買っても変わらない商品」はネット通販で外れることはありませんが、「カニ」のような生鮮食料品はあたりはずれの振れ幅が大きく博打的要素が含まれます。「案内状」も業者の印刷技術レベルによって仕上がりが異なります。そこで少しでも安心できるように情報が欲しいのです。ここで閃きました。

江戸時代の医者「華岡清州」は自分の奥さんで麻酔の実験をしました。「Yes! 高須クリニック」のCMでお馴染みの高須克也氏は自分の身体を使い最新の美容整形を試しているといいます。私も気になることは自分で試します。

購入者向けキラーコンテンツに

工具通販の「ヤスリ屋」のサイトをお借りして実験開始です。従来から「注文の流れ」を紹介するコンテンツはありましたがSEOを完全に無視したビジュアル重視のコンテンツにし、すべてのページから入れるようにして、こう看板を据えました。

「はじめてご利用される方へ」

私が案内状印刷のサイトで迷子になったときに探していた言葉です。「カートにいれる」はわかったとしても、その先どうなるのか、最終的にどの状態で発注が確定するのかといった疑問をもち不安になったのです。FAQやQ&Aなどで個別にそれぞれは書かれていたのですが、初心者向けにまとめているものはありませんでした。

常連も最初は「ご新規さん」

ヤスリ屋のコンテンツを作り直した直後に注文が入りました。早速ログをチェックするといくつかの商品をチェックしてから、「はじめてご利用される方へ」に行き、直後に「カートにいれる」をクリックしていることがわかりました。はじめて利用するお客さんは少なからず不安を持っているのです。もちろん、「通販慣れ」している人にとっては不要なコンテンツですが、どんな常連さんも最初は「ご新規さん」です。通販サイトの運営の基本の「き」として用意すべきではないでしょうか。

「客の気持ち」の大切さを改めて確認しました。書籍からビールに至るまで通販で買っており、シェアウェアなどはオール英語の怪しげなサイトでもクレジットカード番号をためらわずに入力している自分でさえ逡巡することがあるのですから、はじめて利用するお客さんの恐怖心を想像するのは容易です。そして安さよりも「安心」にお金を払う客がいることも自身の言葉として再確認します。どれだけ見栄えの良い「カート」や「レジ」を置いても、「はじめての買い物」につきまとう不安を取り除いてやらなければ、お客さんは「戻るボタン」で刹那で帰っていきます。

♪今回のポイント

見るだけでなく利用して知る。

自分が思った不便は誰かも不便と感じている。

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