はじめてWEBエキスパート(専門家)コラム 写真撮影入門(全12回)

写真撮影はアナログ作業――二人三脚で早く・簡単に・美しく(第12回)

写真撮影の現場では、時間との勝負がつきまといます。なるべく効率的に、意図したとおりの写真撮影を行うにはどのようにしたら良いのでしょうか。
※「はじめてWEB」は2020年10月13日をもってサービスを終了しました。

写真撮影入門ではこれまで11回にわたって、カメラの使い方や撮影方法、ウェブサイトに掲載する写真の考え方を解説してきました。写真撮影の現場では、瞬発的なアイデアのひらめきが必要だったり、時間との勝負がつきまといます。なるべく効率的に、意図したとおりの写真撮影を行うにはどのようにしたら良いのでしょうか。

第12回目は、撮影現場での動きについて解説します。

掲載する写真の仕上りを考える

ウェブサイトに掲載する写真は、言葉(コピー)やデザイン、配色だけでは伝わらりづらい会社や商品のイメージを視覚的に伝えるため「イメージ写真」と、形や色を正確に伝えるための「説明写真」の2種類があります。(第2回:「撮影する写真は2種類」※「はじめてWEB」は
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撮影前にどのような写真が必要なのかを考え、撮影にのぞむと迷いがなくスムーズに作業が進行できます。
特に事前の準備次第で写真そのものだけではなく、ウェブサイト全体の良し悪しまでも左右します。
たとえばどのようなキービジュアルを使うかは、会社や店舗のイメージ伝達、ひいては集客にまで影響します。(第7回:「メイン写真が変わると集客が変わる」※「はじめてWEB」は
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複数人で考える「グッドアイデア」

普段みなさんが自社の商品を撮影したり、店舗の外観を撮影する時は、何人体制で撮影していますか?
撮影メンバーに人員を割けない場合があるかもしれませんが、できるかぎり2人以上で撮影することをおすすめします。(特に女性向けウェブサイト場合は、必ず撮影メンバーに女性がいるほうが良いです。)

写真撮影は「準備」と「撮影」の2つに大きく分類できます。いくら入念に準備したとしても、いざ撮影なると手が足りない、思った以上に手伝いや補助、役割分担が必要な場合が多いものです。

プロの撮影現場では、各パートのプロフェッショナルが事前打ち合わせをし、撮影当日までに準備、撮影当日にもさらにアイデアを出し合い、よりよい写真に仕上がるように動きます。対して、1人で撮影するのでは、写真の仕上がりに差が出てしまうのは明白です。

プロの現場での打ち合わせは、各エキスパートが知恵を持ち寄り、撮影時は手分けをし効率化を図る
屋外での撮影:ディレクターとカメラマンがアングル、撮影時刻、方角、日の当たり方などを相談する

事前の「準備」も2人で手分け

現実問題、プロの現場のように人員をかけてばかりはいられません。
そこで撮影の労力を分散させてみてはどうでしょうか。

例えば2人組みで撮影する場合、1人は撮影機材の準備、もう一人は写真の仕上がりを考えた準備やカメラマンのアシスタントをするディレクターを担当。
3人のチームで撮影する場合は、撮影商品を引き立たせる「小物」や、モデルが着る衣装や装飾品を集める業務を担当するなど手分けすると、漏れ、ムラ、ミスが防ぎやすくなります。

カメラ位置からの微調整は「面倒」

より具体的な話をします。
カメラマンが撮影するカメラの位置から被写体までの距離が遠い場合に、撮影中の最大のロスが発生します。人物撮影では表情やポーズの変更、衣装の交換や乱れは、被写体との距離が離れていても口頭で伝わります。

ケーキなどで皿の上にかけらが落ちている場合は、はけやブロアーで取り除きます。
化粧品のボトルなどが真正面を向いていない場合、時計回りや反時計回りに商品を回転させます。
至近距離の場合、カメラ位置から手を伸ばして対処できますが、せいぜい数10センチ程度で、実際は手が届かないケースが多いものです。

ほんのちょっとの修正でも、カメラと被写体との間を行ったり来たりしているのでは、たびたびムダな時間が生まれてしまいます。写真撮影は1人よりも複数人で行うことで、見落としをなくすことができ、作業が何倍も効率的に進行します。

レイアウト指示:被写体をどのように配置したらよいかを、カメラ位置から口頭で伝え動かしてもらう
微調整:レイアウトが決まり、撮影直前に気になる細かいところを道具を使って修正する

※POINT

人物撮影の場合、動きや表情をなるべく具体的に伝えるようにしましょう。
テストで何枚か撮影したものをモデル自身がモニターで確認できるようにすると、どのくらいの表情なのかを正確に伝えることができ、調整してもらいやすいでしょう。
カメラマンは優しい言葉をかけてあげることで、撮影現場とモデルさんの気分が良くなり表情が作りやすくなります。商品の場合は、いくら気の利いた言葉をかけても、自らホコリを払ったり、回転したりはできません。調理した料理、肉や魚などの生鮮商品以外は、時間を問わないので、撮影スケジュールを工夫してしてペース配分を調整することをおすすめします。

写真のジャッジは第三者に

事前に必要な写真の打ち合わせをし、撮影にのぞんでも、必ずしもすべてがスムーズに進行するわけではありません。特に、写真の仕上がりについて、AとBとCのどれがよいかという判断は、現場の関係者だけではむずかしいケースがあります。
このような場合は、撮影した写真の途中経過を第三者に見てもらい、意見を求めるとよいでしょう。
料理の隠し味のように、グッと写真が引き立つライティング、レイアウトやトリミングなどで異なる視点から新しい意見がもらえるかもしれません。

特に利用者から直接意見が聞ける立場の「お客様係り」や「営業職」、
もしくはアクセス解析をしている担当者はグッドアイデアの持ち主かも

※POINT

撮影スタッフは写真の良し悪しを、メンバーの「主観」で考えてしまいがちです。
「客観的」に見てどうなのか、という利用者の立場からの判断が重要です。
たとえばケーキの場合、どのような写真ならば食欲が喚起されるのか、実際に買いたくなるのか。
複数枚撮影した写真を画面に並べ、メンバー以外の人にも意見を求めると判断がしやすいでしょう。

時間を空けて撮影再開

写真の判断もそうですが、ウェブサイトのページ数によっては撮影点数が多くなることがあります。
高速道路での車の運転のように、長時間にわたり撮影を続けていると作業効率が下がったり、ちょっとしたミスが起こる原因となります。煮詰まってしまった場合や、深夜まで時間がかかってしまう場合は、翌日に作業を回し、頭をクールダウンさせて、これまでやってきた作業を見直してみると新しい発見があるかもしれません。

※POINT

写真撮影は目と頭をフル回転させる作業のため、想像以上に疲れていることがあります。
ペース配分や休憩の取り方も大切な作業のひとつです。

まとめ

写真撮影はアナログ作業です。
目の前にある被写体に手をかけ、思い通りの形に仕上げてはじめてシャッターを切ることができます。
コンピュータグラフィックスのようにマウスを動かし色を選び、線を描いたり着色はできません。
そして、写真の出来栄えは、撮影前の打ち合わせや準備、撮影時の手際の良さで決まります。

ウェブサイトは、「作ってからが勝負」とよく言われます。
やらなければいけないことがたくさんあります。

写真撮影でも同様に、「新作」ができるごとや、「季節」ごとに年4回、「リニューアル」が決定すると画像を変更することが多いものです。ウェブサイトがみなさんの会社やお店の顔となって、一生懸命宣伝します。キービジュアルにふさわしくないイメージ写真を掲載したり、商品の説明写真がわかりにくいと購買意欲をそがれるのは間違いありません。

みなさんの「思い」が利用者に「正確」に伝わる写真はどういうものかを考え、撮影しましょう。

最後に。
利用者の共感を得られない写真を掲載してしまうことは、上りと下りの新幹線に間違って乗って別の方向に行ってしまうのと同じくらい怖いことです。

「どうしてもうまくいかない」「撮影業務に時間を割くことができない」などの場合は、これまで付き合いのあるカメラマンに気軽に相談してみてください。みなさんが抱える悩みを解決するためのアドバイスや作業計画のコツを教えてくれるかもしれません。プロに依頼し、向こう数年以上にわたって利用できるクオリティの高い写真を撮影してもらうことも、よい選択肢のひとつと考えます。

全12回の「写真撮影入門」を、お読みいただきありがとうございました。

このコーナーのコンテンツは、KDDI提供の情報サイト「はじめてWEB」掲載の「エキスパート(専門家)コラム」の情報を、許諾を得てWeb担の読者向けにお届けしているものです。

※「はじめてWEB」のオリジナル版は掲載を終了しました

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