【レポート】Web担当者Forumミーティング 2016 Autumn

SEO、楽しいですか? 実データに見るSEOとUXの関係性と対策

最大のUX要素はコンテンツによって提供するべき
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近年、SEOにおける検索体験(SX)やユーザー体験(UX)の重要性が叫ばれている。しかし、データ偏重の考えに陥りがちではないだろうか?

木村 賢氏
株式会社サイバーエージェント
Ameba統括本部 メディア本部 SEO戦略室
室長 / 京都大学経済学研究科 研究員
木村 賢氏

「Web担当者Forum ミーティング 2016 秋」では、サイバーエージェントの木村氏が 「データから見るSEOとUXの関係性と対策」と題して、SEOとUXの事例と対策について解説した。

SEOは、楽しいですか?

今日のセミナーでは、「テクニカル的にこの施策を実行すれば、明日から数字が伸びます」といった魔法の杖的なノウハウは紹介しません

木村氏は冒頭から釘を刺したうえで、やや過激な問題を提起した。

近頃、SEOが面白くなくなってきている

その理由として木村氏は、次の事実をあげる。

Googleは、昨年あたりから急速にアルゴリズムを人工知能(AI)をベースとしたものに変更してきている

人工知能はビッグデータからユーザー行動を機械学習して、その結果をアルゴリズムとしてフィードバックしている。つまり、Googleは人工知能を活用して、ユーザー(検索者)が満足するように検索結果をチューンしているのだ。

これは「Webサイト運営者が望む結果」とは矛盾する。このずれによって「SEO担当者の不満がたまっている」と木村氏は指摘する。ただし、若年層のGoogle利用率は低下しており、InstagramやTwitterを検索エンジンとして使用する人も増えてきている

木村氏は次のように将来を懸念する。

機械学習だけでは、若年層のニーズに対応できず、Googleは高年齢層のための検索エンジンになってしまう

サーチエクスペリエンスとは?

Googleにとって「サイト運営者は仕入先」で「顧客は検索者」だ。サービス業として、顧客の満足度を高めていくのは当然だろう。つまり、検索者のサーチエクスペリエンス(検索体験、SX)を向上させることが、Googleにとっては「顧客満足度向上」なのだ

木村氏は次の仮説を立てる。

「サーチエクスペリエンス」や「ユーザーエクスペリエンス(ユーザー体験、UX)」がSEOに影響している

サーチエクスペリエンスとは、「検索にまつわる一連の行動」だ。サーチエクスペリエンスを向上させるには、検索エンジンはどうすればいいのか。「○○について知りたい」「○○を買いたい」「○○のサイトに行きたい」など、検索者のインテント(検索意図)を理解して、適切な検索結果を表示する。さらに、それぞれのサイトに正しく誘導することで、検索者は満足する。

この行動で重要なポイントは、次の2つだ。

  • 検索結果として出てくるWebサイトの候補リストに満足できそうなものが表示されるか?
    → 検索結果ページのクリック状況(CTR)で計測できる

  • そのWebサイトは実際に自分の知りたいことについて、きちんと答えてくれているのか?
    → 検索結果ページから飛んだ先のページの「滞在時間」「直帰率」「読了率」「PPU(Page per User)」などで計測できる

ランクを上げるのに重要なのは「滞在時間」

Googleがサーチエクスペリエンスをランク付けに使っているのであれば、「CTR」「滞在時間」「PPU」「直帰率」「読了率」と検索ランクの相関が高くなっているのではないか

この仮説を検証するには、サイト側のアクセス解析データが必要だ。そのため木村氏は、実際に自社(サイバーエージェント)メディアのデータ(Google Analytics、Search Console)で検証した。

ランダムフォレストという統計手法を使い、UX/SX系の項目とともに、「被リンク数」「インデックス数」「キーワード出現率」など、170くらいの項目のなかからGoogleランキングに寄与している項目を調べた。ただし、調査時点ではGoogleがMFI(モバイルファーストインデックス)を発表していなかったため、主にPCベースのデータとなる。

5月の時点では「Facebookのシグナル」や「被リンク総数」などの影響が大きかった。しかし、7月になると「コンバージョンレート」や「新規訪問割合」「滞在時間」「直帰率」といったUX系のデータが上位に見られるようになってきた。

また、「項目ごとの傾向をつかむためにグラフ化」したことで、「『滞在時間』が延びるとランクが上がる」という傾向も見て取れた。

これらの検証結果より、木村氏は次の主張を展開した。

少なくともUX/SXがランク付けに影響をしていると言っていいのではないか。たとえ、影響がなかったとしても、UX/SXは改善すべき問題だ

さらに、木村氏は社内でツールを開発し、「レスポンススピード」「デザインの色味」「コンテンツの長さ」「画像の数」「大きさ」など、UX/SXに関係しそうな127項目を洗い出して、ランクとの相関を調査している。

圧倒的に相関が高いのは「滞在時間」。続いて「一人あたりの訪問ページ数(PPU)」「全画像バイト数」「新規訪問率」「Citation(言及数)」「メインコンテンツの高さ(長さ)」の順でランクに寄与していることがわかってきた(いずれも順相関)。

ただし、「PPU」は訪問ページ数が多いよりも、数ページで目的を達成して離脱するほう方がランクが高くなると予想されるが、今はまだ検証中とのことだ。 また、「全画像バイト数」に関しても、重い画像より画像数が多い方がいいと予想している。

結論として、現時点では次の仮説が成り立つと予想される。

  • 「滞在時間」とランクには相関がありそう
  • 「滞在時間」が長いサイトはランクが上がる傾向にあるのではないか
  • つまり、「画像数が多くてコンテンツが長い」など、「滞在時間」が長くなるサイトのランクが上がる

いずれにせよ分析結果からランクへの寄与度が高く傾向がはっきりしている「滞在時間」には注目すべきであり、SEOを成功させるためには「滞在時間」をどのようにして延ばせばいいか考えるべきだ

と木村氏は述べた。

「滞在時間」を延ばせる施策はあるのか?

では、どうすれば「滞在時間」を延ばせるのだろうか? 木村氏は、先程の項目から「滞在時間」への寄与を分析したチャートを示す。

いちばん寄与が高いのは「直帰率」である。 続いて「PPU」「(ファーストビュー時の)画像ロード時間」「JavaScriptの応答時間(逆相関)」「合計バイト数」「CSSのバイト数(逆相関)」の順になっている。

次にそれぞれを「項目ごとの傾向をつかむためにグラフ化」して分析し、「滞在時間」との関係を調べた。

「直帰率」は高いほど「滞在時間」が短くなるのは自明だ。興味深いのは、「画像ロード時間」が長く「合計バイト数」が多いほど、「滞在時間」が長くなる傾向が見られたことだ。逆に「JavaScriptの応答時間」は速く「CSSのバイト数」は小さい方が「滞在時間」は延びている。つまり、たくさんのコンテンツを素早く表示すれば「滞在時間」が延びる傾向があると予想される。

以上の結果を元に「滞在時間」を延ばすのに効果がありそうな施策として、SEOの概念としては比較的あたりまえだが、次の2つをあげた。

  • コンテンツ量が多い
    → 検索者の求める情報を網羅し画像によって惹きつける工夫をする
  • レスポンスが早い
    → CSSとJavaScriptを軽くし、PageSpeed Insightsによる改善を徹底する

木村氏は次のことを繰り返した。

とにかく「多くの情報をいかに早く表示する」かがUXでは重要だ

最大のUX要素はコンテンツ

ここまでは「ランキングにおけるUXの重要性」について、データを元に進めてきた。

データはときどき嘘をつく。

最終的には最大のUX要素はコンテンツによって提供するべきだろう

木村氏はデータ偏重主義にも警鐘を鳴らし、アメーバブログの記事を使った研究を紹介した。アメーバブログのいろいろな記事を一般ユーザーに見てもらい、それぞれ6段階で評価してもらった。その結果として、次のことがわかった。

  • 短いコンテンツはユーザー評価が低い
  • 画像が少ないと評価が低い
  • 語彙が多いと評価が高い
  • 文章調であるほうが評価が高い

この条件を満たす施策として、次のことが考えられる。

  • コンテンツを作りこみ、検索者のニーズを満たして、情報を網羅する
  • 1トピックに、最低1つは画像を入れて、ビジュアルで理解を促す
  • 繰り返しを避けて、読みやすい適切な日本語を使う
  • リストや箇条書きではなく、文章を用いて記述する

これらの施策を追及すると、いわゆる“キュレーション情報メディア”風になる。現在、この種のサイトのランクが上位に来ているのには理由があると指摘した。

データは目安でしかない

木村氏は、Googleが採用した「MFI(モバイルファーストインデックス)」についても言及した。

アメーバブログのように、PCとモバイルが別々に作られる巨大なサイトでは対応が必要だ。しかし、ほとんどのサイトでは特別な対応は必要ない

だが、スマートフォンのサイトに関しても、UXを確認した方がいい。 木村氏は次のように指摘する。

今後はスマートフォンを中心にUXを考えていくべきだ

また、木村氏は次のように主張する。

Googleがユーザー行動を機械学習していることを踏まえて、ユーザー行動を表すデータからサイトを分析して、良いものを作っていくのは当然だ。しかし、結局のところ、UX/SXを向上させる一つの正解というものは存在しない。実際にはあくまで、データは効率化ツールとして参考程度に使い、PDCAを回していくしかない

さらに次のことを強調した。

コンテンツもツールに依存するのではなく、マインドマップなどで頭を使って作ることも重要だ

最後に木村氏は、次の言葉でしめた。

SEOとは検索体験・ユーザー体験を最適化することだが、実際には地道にPDCAを回していくしかない。時間はかかるが、なるべく早めに改善に取り組んでほしい

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