企業ホームページ運営の心得

コンテンツの信頼を裏付けするコピペの活用法、有名人をチョイスするブラック・テキスト術

コピペ(引用)の説得力を高めるには、有名人のチョイスが鍵となります
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の355

コピペとは叡智への敬意

ノーベル賞は確実といわれた「STAP細胞」を巡る疑惑が次々と指摘されています。研究リーダーである小保方晴子博士は、「博士論文」における、他者の論文からの「コピペ(コピー&ペースト)」も疑われています。

研究にかかわる真偽はいずれ明らかにされるでしょうが、以前からレポートなどにおけるコピペは問題視されています。しかし、「コピペ」は正しく行えば犯罪でもなんでもなく、むしろ文章の質を高めることができます。

そこで今回は、以前にも紹介した「ブラック・テキスト術」における、正しいコピペ(引用)の活用テクニックをお届けします。

コピペが糾弾される理由

大学の卒論どころか、夏休みの宿題の「読書感想文」まで、コピペで提出される時代となったといいますが、これらのコピペが糾弾されるのは「丸ごと」だからです。「てにをは」を変えても「論旨」が同じであればアウト。それを「盗作」といいます。他人の作品を自分の作品と主張するのは知の「窃盗罪」です。

本稿においての「コピペ」とは「盗作」ではありません。本来の意味である「コピー&ペースト」であり「引用の活用」によって文章のレベルアップを目指すものです。引用とは法律で認められた権利であり、一定の条件を満たせばだれでも利用することができます。

盗作と引用を分けるポイントは大きく分けて2つ。まず、「引用元の明示」です。

引用の大原則

まず、引用元の明記は必須です。書籍においては、注釈として「※」に連番の数字をあてはめて巻末に引用元をまとめて掲載したり、欄外に記載したりする方法があります。Webならば特性を活かし、マウスを重ねることで、ロールオーバーやフロート枠を用意して表示させるという方法もありますが、引用元の雑誌や書籍名を記載し、

≪雑誌名≫によれば「●●」とのこと

とするなり、筆者の名前を入れた、

「●●」と≪筆者名≫は語っていた

とするだけでも基本的にはOKです。長文の引用は段落を変え、背景色を変えるなどして、一目で区別がつくようにするとよいでしょう。どちらの場合も、「引用元のサイト名」「筆者名(団体)」「エントリー」「URL」、いずれか1つ以上は必ず記載してください。

お気に入りの過ち

そして引用とは主従の関係で成り立ちます。引用元は「従」であり、いわば「脇役」や「彩り」だというのが、もう1つのポイントです。Web担当者の作ったコンテンツが「主」でなくてはいけません。

引用元からコピペした箇所を削除しても意味が通じればOKですが、通じないようなら「盗作」の疑いが濃厚です。その発表はあなたの論ではなく、だれかの論であり、著作権に抵触するリスクが高く、本稿ではこうした「コピペ」を推奨するものではありません。

あるいは、

気にいった言葉に引きずられている

可能性もあります。私もときどきやりますが、お気に入りという感情が先に立ち、「コピペ」そのものが主役になってしまうのです。これも先の方法でチェックし、意味が通じないようなら諦めます。あくまで主従の従をお忘れなく。

その他にもいくつかの決まりがありますが、法的な詳しい解説は本サイトの連載「サイト画面などの著作物を正しく引用する方法とは?」に譲ります。

海外のコピペ事情

海外では「引用」のない書籍は評価されないという作家の言葉もあります。もちろん、書籍のジャンルにもよりますが、いまなら21世紀のある時点にのみ存在した個人だけの考えということで、客観性や公平性が保証されていない、とされるためです。端的に言えば「思いこみ」の可能性が否定できず、真理の持つ普遍性が検証されていないと見るのです。

日本では戦後、欧米からの「猿まね」という侮蔑に対しての対抗心からか「オリジナル信仰」が普及しました。しかし、適切なコピペ=引用はむしろ欧米では当たり前のことです。もちろん、前述の引用の「鉄則」を踏まえたうえでのことです。

基本的には1つの文章に、1回以上の「コピペ=引用」を推奨しています。それは検証と、ブラック・テキスト術のため。

コピペをすすめる理由

引用できる事例を「ネットで検索」することで、同様の意見はもちろん、反対意見に触れることができます。この作業を通じて「思いこみ」に気がつくことは少なくありません。

また、検索によって引用できる事例を見つければ、それは「第三者」の発言であり、客観性を担保し、演出することができます。「演出」とするところが「ブラック・テキスト術」。自説に都合の良い発言を選択的に「引用」をすることは盗作にはなりませんし、テレビ局でも新聞でも多用しています。ただし、筆者はあくまで「善用」を期待する立場であると添えておきます。

そして客観性の演出は「説得力」につながります。1人の発言より、2人、3人の意見のほうが重要に感じてしまうものだからです。その引用による「説得力」の効果を最大化するためには、できるだけ有名人をチョイスします。学術論文なら「権威」や「実績」が優先されますが、ブログやWebサイトの文章なら、

知名度

を基準とします。ローマ史なら「キケロ」より「カエサル」、ロックバンドなら「アースシェイカー」より「GLAY」、ゴーストライターなら「イケダハヤト」より「堀江貴文」というように、一般的知名度の高い有名人の発言を引用します。

世間では、有名というだけでその人の発言を信じる人が多いのです。テレビのワイドショーや情報番組で、女優や芸人に政治や科学を語らせる理由です。すでに信頼を勝ち得ている大企業には必要ないかもしれませんが、中小の現場では有効な手法です。

一般論として、「公開」されているすべての文章は引用できます。ただし、そのコピペが「引用」の範囲内にある限り……と、最後に繰り返すのはアリバイ作りというブラック・テキスト術であることについては、また機会があれば。

今回のポイント

引用により客観性を演出

コピペは正しく活用すべし

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