企業ホームページ運営の心得
売れないモノでも売るブラック・テキスト芸 基礎編

ちょっとした言葉の工夫で与える印象は大きく変わります。
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の弐百参十参

最強に不味いマーケティング

鼻が曲がるほど臭く、吐き気を覚えるほどに苦く、色は黄土色。しかも大きめのタブレット状で飲み込みにくく、肝心のダイエット効果が乏しい健康補助食品。ハッキリ言って、売れるモノではありません。しかし、あなたがWeb担当者として、この商品を売らなければならないとしたらどうするでしょうか。マーケティング的回答なら、不味さを逆手にとり、

史上最強に不味いダイエット食品を探せ

といった企画を逆転の発想で立て、耳目を集めるのも正解の1つですが、味覚オンチの社長の趣味で作られた商品で、口が裂けても「不味い」という言葉を使えないとしたら。

こんな時に役立つのが「ブラック・テキスト芸」。ちょっとした工夫で、与える印象を操作し、時に売れないモノでも売れる方向に導く文章術です。悪用すれば「詐欺」にも使えるという警告から「ブラック」としています。今回はその「基礎編」。

突然ですがクイズです。一見すると派手すぎる装丁の「赤色のスマホ用保護カバー」をコンテンツとして紹介するときに、その「赤」をどう表現しますか。ブラック・テキスト芸的な答えは本稿の最後で。

スネ夫が出来杉くんに

ブラック・テキスト芸の基礎は「換言」です。ことばを置き換えるだけで「印象」を操作するのです。たとえば、「ワガママ」な新郎新婦であっても、結婚式のスピーチでは絶対に誉めなければなりません。良い印象ではない「ワガママ」も、

信念をもっている

と、換言するとガラリと印象が変わります。ワガママを裏返せば自分に忠実で、大袈裟に言えば「信念」です。「いやいや、芯のあるワガママではなく、上司や権力者には手のひらを返して、ぺこぺこするイヤな奴なんだぜ」というのであれば、こう足します。

一方、状況を判断する冷静さも兼ね備えている

すると「スネ夫」が優等生の「出来杉くん」に変身します。

暴走族の業界用語

他にも「太め」の人を「体格がよい」「恰幅が良い」としたり、「周囲をホッとさせる」という表現もあり、洒落が通じる状況なら「ダイナマイトバディ」や「国技向きの体躯」とするのも一興です。つまり、換言することで短所も長所に、あるいはギャグへと誘導します。

こうした換言はコンテンツ作りに大いに役立ちます。ネガティブな情報を「ポジティブ」に伝えることができれば売上増加が期待できることでしょう。換言に慣れるまでは「Weblio類語辞典」や、日本語入力システムの「ATOK」の「連想変換」が役立ちますし、「類語辞典」を用意しておくとよいでしょう。

さらに、各種専門誌や専門サイトに目を通しておくと、言葉の幅が広がります。立場が変われば、言葉は変わり、それは「Weblio類語辞典」でも見つけられません。たとえば、「暴走族」がブンブンと吹かすオートバイの排気音は、一般市民にとって、静寂を切り裂く「騒音」でしかありませんが、彼らは「コール」と呼びます。さらに「爆音」とすれば攻撃的な印象を与え、「咆哮」なら熱血ヤンキー漫画のようになります。詩的な表現としては「メロディ」や「旋律」などもありでしょう。

へんぴとやみつき

誤解のないように言っておきますが、暴走行為を認めている訳ではありません。極端な例から立場の違いによる言葉の変化を浮き彫りにする狙いです。

次は一般的に使えそうな換言をいくつか。

  • へんぴな田舎町のどかな町
  • 値段が高い人を選ぶ
  • クセがある味付けハマれば、やみつき

「辺鄙(へんぴ)」とは都会から離れていることですが、裏返せば喧噪のない「のどかさ」があるということで、高い商品は、それを買える財力を持つ人を選びます。そして「ハマらない」客が多数だとしても、それを告白することはありません。これについては次で詳しく。

ブラック炸裂

冒頭の「史上最強に不味い健康補助食品」を事実そのまま紹介するとこうなります。

臭く苦い黄土色で食べにくく、あまり痩せないダイエット食品

ここまで率直に書くWeb担当者もいないでしょうが、これをブラック・テキスト芸でコンテンツ用に翻案します。

嗅覚と味覚を刺激する大地の色をしたタブレットで本来の自分を取り戻す

臭みは臭覚、苦みは味覚として「刺激」でまとめ、黄土色を「大地=アース」として自然な印象を与え、「本来の自分=痩せていた頃の自分」と連想させます。換言は対訳ではなく「翻案」です。そしてこの翻案には先ほど使ったブラック・テキスト芸のもう1つの基本技を用いています。「美味い、不味い」という味への評価と「ダイエット効果」をスルーしていることです。印象を誘導するためにあえて都合の悪い事実は「言わない(触れない)」ところが「ブラック」と名付けた由縁です。

色は換言のポイント

悪質と思うでしょうか。しかし、「ブラック」と知ったうえで、悪用するか善用するかは使う人次第です。先ほどの黄土色なら「アースカラー」という表現もあり、「みどり」なら「わかば」「萌葱(もえぎ)」「浅葱(あさぎ)」「新緑」「エメラルドグリーン」とあり、文章に引っかけたうえで、「雨蛙色(アマガエルいろ)」と造語するのもありです。「色」の換言により、商品の印象を左右するのは「善用」とわたしは考えます。そして、冒頭のスマホのカバーについて、「ブラック・テキスト芸」としての解答例はこれ。

高貴な赤

誘導したい印象「高貴」で色を形容します。

基礎編として「換言」の概念を紹介しましたが、さらに比喩、情景描写などを絡ませれば、どんな不味い食品でも興味を持たせることができるようになります。ちなみに、これも「換言」。不味い食品が美味くなるとは言っていません。しかし「興味」を持たせることなら可能です。それこそ、

私の生涯で一番不味いと思ったお取り寄せ食品

とすれば、そんなもの買う物好きはそうはいません。そこで

私の生涯でもっとも記憶に残ったお取り寄せ食品

ならば好意的な興味が刺激されます。もちろん、あまりの不味さにトラウマになったことは触れずに。うまく「活用」すれば売れないモノも売れるようになります。それは善用でも悪用でも。

今回のポイント

単語ひとつで印象が変わる

言葉選びは誘導したいイメージから逆算

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