衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座

Googleアナリティクスの導入から、運用、活用まで、正式なサポートがない初めての人でもゼロから学んでいけるように、丁寧に解説していく。

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じつは特殊なGoogleアナリティクスの「参照元」[第24回]

Google アナリティクスの参照元データは、一般的な定義とはかなり異なる。

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アクセス解析を行うにあたり、「参照元」を知らずに済ますことはできない。

「参照元」とは、ひとことで言えば、ユーザーがどのWebページから訪問して来たのかを表すデータのことだ。「アクセス元」「リファラー」などとも呼ばれることもある。

しかし、Googleアナリティクスの参照元データは少々特別な仕様で、他のアクセス解析ツールとはかなり異なる。しかも、そのことが正確に理解されていることはまれだ。

今回と次回の2回に分けて、Googleアナリティクスの参照元データとレポートについて、くわしく説明したい。

こんなに違うGoogleアナリティクスの参照元データ

まずは図1をご覧いただこう。これはあるサイトに3つのアクセス解析のツール(すべてJavaScriptの計測タグ型)を実装し、同じ月の月次データを使い、それぞれの参照元の集計データをもとに作成したグラフだ。

参照元を「参照元なし」「検索エンジン」「その他のサイト」の3種類に分類して、その割合を棒グラフで表し、比較している。

一番上の棒グラフがGoogleアナリティクスのデータなのだが、ひと目見ただけで、他のツールのデータと比較してかなり違っていることがわかるだろう。

図1:3つのツールで計測した参照元(あるサイトの月次データ)
図1:3つのツールで計測した参照元(あるサイトの月次データ)

サーバーログ型などの異なるタイプのアクセス解析ツールのデータと比較したわけではないのに、これだけ違うのだ。

このグラフではわかりやすくするため「参照元」の情報を、「参照元なし」「検索エンジン」「その他のサイト」という3分類にして表示してある。ここではこの3分類の詳細については述べないが、要はGoogleアナリティクスの参照元のデータは通常とはかなり違うデータになっているということを、まずは知っていただければ十分だ。

先ほども述べたように、この3つのツールはすべてJavaScriptの計測タグ型で、取得するデータはほぼ同じなので、ページビュー数などの基本データはほぼ同じ数値になっている。図1では割合の分布しか記述していないが、参照元の総数自体もほぼ同じだった。

今回はまず、Googleアナリティクス以外の一般的なアクセス解析で使われている「参照元」の定義を理解してもらうことにする。それを踏まえたうえで、次回、一般的な「参照元」と比較していく形で、Googleアナリティクスにおける「参照元」がどのように特殊なのか、その定義を明らかにしていきたい。

一般的な意味での「参照元」とは?

多くのツールで普通に使われる「参照元」の定義を説明していこう。

ここに、2つのWebページ、ページAとページBがあるとする。それぞれのURLは次のとおりだとしよう。

  • ページAのURLは「http://www.example.com/a.html」
  • ページBのURLは「http://www.example.org/b.html」

ページAには、ページBへのハイパーリンクが記述されている。たとえば次のようなa要素(アンカータグ)で記述されたハイパーリンクだ。

<a href="http://www.example.org/b.html">ページB</a>

あるユーザーがページAをブラウザで開き、そこに表示されたハイパーリンクをクリックしてページBに移動する際に、その訪問の参照元がページAのURL「http://www.example.com/a.html」であるという情報をブラウザは保持しており(図2)、それをサーバーログやJavaScriptで確認できる。これがそもそもの「参照元」の定義だ。

図2:あるURL内の要素をもとにしたページ移動と参照元
図2:あるURL内の要素をもとにしたページ移動と参照元

この定義に従えば、同じサイト内のあるページから別のページへ、ハイパーリンクをたどって移動する場合にも、それぞれのページへのアクセスには参照元が記録されることになる。このような計測サイト内ページからサイト内ページへの移動に伴う参照元のことを「内部参照元」という。

これに対して、外部サイトから計測対象サイト内に入ってきた場合の参照元のことを「外部参照元」という。

1つの訪問に1つの参照元となっている理由

ただ、Googleアナリティクスを含む多くのアクセス解析ツールで「参照元」といった場合には、「外部参照元」だけを意味し、「内部参照元」は含まれないのが普通だ。つまり訪問時の閲覧開始ページの「外部参照元」を意味することが多い。

たとえば図3赤枠部分が計測対象サイト内にあるページだとしよう。

図3:ページ移動の例
図3:ページ移動の例

ハイパーリンクのクリックの連続でページを閲覧した場合、厳密には次のようになる。

  • ページBへのアクセスの参照元がページA(外部参照元)
  • ページCへのアクセスの参照元がページB(内部参照元)
  • ページDへのアクセスの参照元がページC(内部参照元)

しかし、サイトbへの一連の訪問の外部参照元、つまり計測対象サイトb内の閲覧開始ページであるページBの「参照元」であるページA(サイトa内)のことを「参照元」とするのが、多くのアクセス解析ツールでは一般的だ。

言ってみれば、本来はページへのアクセスごとに1つずつ参照元がある場合でも、多くのツールでは1つの「訪問」に対して、1つの(外部)「参照元」を割り当てるのが一般的なのだ

筆者の『ユニバーサルアナリティクス版Googleアナリティクス完全マニュアル(PDF)』が発行されました。

筆者が講義を行うGoogle アナリティクス徹底講座も、定期的に開催しています。 → Google アナリティクス ゼミナール

用語集
Googleアナリティクス / JavaScript / RSSリーダー / アクセス解析 / スマートフォン / ページビュー / リンク / 検索エンジン / 訪問

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