15万円でゼロから始める動画マーケティング
動画マーケティングの基本指標11種類とPDCAのまわし方ガイド | 第4回

効果測定のポイントや考え方、PDCAのまわし方を紹介します。
15万円でゼロから始める動画マーケティング

企業サイトで動画を利用する方法をイチから解説するこのコーナー。今回は、Webサイトと同様に動画マーケティングでも必須の効果測定のポイントや考え方、PDCAのまわし方を紹介します。動画の解析ツールについては記事の最後で紹介します。

動画コンテンツのPDCAをまわすポイント

動画制作では目的が最も大切だと話しましたが、それと同時に動画による訴求効果をどのような形で見ていくのか、効果測定の方法を事前に検討しなくてはいけません。

サイトの目的やビジネスによって異なりますが、動画の基本的な効果測定指標の一例として、次のようなものが考えられます。

  1. 再生回数:動画コンテンツが何回クリック・再生されたかの総数
  2. ユニーク再生数:何人の人が再生したか
  3. 1回あたりの平均視聴時間:総視聴時間÷総再生数
  4. 1人あたりの平均視聴時間:総視聴時間÷ユニークユーザー数
  5. 視聴率:再生数÷PV数
  6. 再生率:再生時間÷動画コンテンツの尺
  7. 再生完了率:最後まで再生した数÷総アクセス数
  8. 瞬間視聴率:瞬間視聴数÷総視聴数
  9. 瞬間離脱率:瞬間離脱数÷総離脱率
  10. 誘導キーワード:動画の参照検索キーワード
  11. 動画のCV貢献数:動画経由のCV数/サイト全体のCVR

また、この他に、動画公開ページに「いいね!」ボタンやコメント機能などを設ける、Twitterでの動画に関するクチコミ件数や記載内容を確認するといった、定性的なものもあります。

最初のステップとしては、「再生回数」「ユニーク再生数」「1回あたりの平均視聴時間」「1人あたりの平均視聴時間」から、動画そのもののアクセス傾向を見てみましょう。制作・公開した動画が、曜日や時間によりアクセスの違いはないか、メルマガの紹介でアクセスが増えていないか、広告出稿開始など他の施策の影響で視聴が伸びていないか確認していきます。

アクセス数の測定では、平均値だけでなくグラフの山(ボリュームゾーン)に注目することで、視聴者の姿がつかめてきます。ターゲットが企業担当者であれば、業務中の平日日中のアクセスが多いか否かに注目します。また、動画に関連した内容(ある商品紹介、セミナー案内など)のメルマガの配信直後にアクセス数が変化していれば、ユーザーはメルマガの内容に興味があり、より詳しい情報取得を望んでいると考えられます。

ただし、動画単体で判断するのでは不十分です。動画が自社サイトのコンテンツとして、良かったのか悪かったのか、という視点で見ることが大切です。詳細は、後ほど解説します。

動画のアクセス数をどのように判断するか

ある商品を紹介する2分間のプロモーション動画を、そのまま自社Webサイトに公開した場合、測定できるのは再生数や視聴時間など、動画から読み取れるデータのみになります。

公開初日の視聴数が100で、平均視聴時間が約1分だったとして、このデータをどう判断したらよいでしょうか。視聴数100は多いのか少ないのか、平均視聴時間1分は長いのか短いのか。せっかくデータは取れてもそれを判断する材料を持っていなければ意味がありません。

確かに、事前に目標値を立てるのは良いことですが、その数値はどのような根拠をもって立てるのでしょうか。改めて考えてみると難しいのではないでしょうか。そこで、もう少し判断しやすい数値を得るための施策を考えてみましょう。

まず、「アクセス数=ユーザーの興味のバロメーター」という考え方があります。たとえば、キッチン用品特集のページのなかに「音が静か」「細かく砕ける」という異なる特長を持つ2つのミキサーの動画を掲載したとします。視聴ログを見たところ、「音が静か」なミキサーの視聴数や視聴時間の数字がとても多かった。「視聴数や視聴時間が多い=詳しい情報を知りたい」ニーズがあると判断し、情報を強化するというPDCAサイクルを作るというものです。

商品説明だけでなく、実際の使用者のコメント動画や取り扱い説明書のPDFや画像情報を入れたり、必要に応じてその商品専用の別ページを新規に作成したりするなど、次のステップが見えてきます。

Webサイトのコンバージョンと組み合わせる

別の例として、購買意欲の喚起を目的とした施策で考えてみましょう。たとえば、上記プロモーション動画(「動画1」とする)のすぐ横に、動画で紹介している商品の通販ページへのリンクボタンを置いてみるとします。このボタンのクリック数が、視聴数100に対して80あったとすると、動画を見た人の8割はこの動画1をきっかけにして次の購買行動に移ったと判断できます。

動画1 視聴数:100 平均視聴時間:1分 通販ページへの誘導数:80

また、動画で商品の値段をなるべく早く出すために、再生開始から30秒あたりに商品の金額を出すようにしたとします。もし、平均視聴時間が1分以上なら、ほとんどの人は金額を知ってから割とすぐに通販ページに移動したということになります。

動画で購買意欲を喚起するという、事前の目的設定のおかげで、視聴数や平均視聴時間のほか、より検証に使える具体的な数字が見えてきました。では、この数字を使って次の商品のコンテンツを制作する際には、何を意識すればよいのでしょうか。動画を見た人を、購買行動へと促すための具体的な施策を考えましょう。

次の施策では、通販ページに移動するためのボタンをより大きく目立たせ、「通販ページはこちら」としか書いていなかったボタンに「この商品はこちらから購入できます!」という文言を付け加えてみましょう。さらに、より早い段階から購買意欲を掻き立てるため、映像のスタートとともに商品の値段を紹介するようにします。

こうして新たな施策を加えた動画(「動画2」とする)を公開したところ、公開初日のデータとして視聴数が120、平均視聴時間が30秒、通販ページへのクリック数が100となりました。一見すると平均視聴時間が短くなっている一方、通販ページへのクリック数は増えているため、動画2による一定の効果があったと考えることができます。

動画2 視聴数:120 平均視聴時間:30秒 通販ページへの誘導数:100

この数字を見るかぎり、視聴者は値段がわかった時点で割とすぐに通販ページへ移動した可能性が高いことがわかります。さらに、一番離脱率が高い30秒近辺の映像を確認すれば、値段に加えてどんな情報を訴求すると購買意欲が増すのかといったことも検証できます。こうして次の施策を検討していくことが、PDCAを回していくということになるわけです。

また、動画視聴により購買意欲をかきたてられた結果、CVRにどう変化したかも同様に見ていくことができます。分析手法としては、動画有無や複数の動画コンテンツでの比較、掲載位置の違いによってCVRを確認していきます。第2回の動画撮影シーンのように、セミナー動画であれば、動画のアクセス状況とセミナー申し込み数がどれだけいるのか確認しておきます。

動画活用の実例として、米国で靴を中心とした通販で有名なZappos(サッポス)では、多くの商品紹介動画を行っています。2009年と少し前のインタビューになりますが、動画を掲載した商品は動画のない商品よりも6~30%CVRが高いという結果が出ており、動画による商品紹介に非常に力を入れています。

また、第3回で紹介したメイク用品の株式会社ミックコスモは、動画を活用することで、商品の使い方に関する疑問や質問が半年間でほぼゼロになりました。動画の公開により疑問や質問がゼロになったということは、ユーザーの疑問解消につながっている、つまり、(オンラインのみならず店頭含め)商品検討時の購買促進につながっていると判断できるでしょう。

ヘルプコンテンツとしての動画活用

次に、少し違った視点でのPDCAの回し方を紹介しましょう。ある写真購入サイトでは、サービスが多岐に渡っていることもあり、ユーザーが商品購入までにいくつかの工程を踏まなくてはならず、少しわかりづらい箇所があるのが難点でした。そこで、複雑な工程がユーザーの利用を阻害しているのではないかという仮説を立て、購入ページのヘルプコンテンツとして動画を制作しました。

動画制作で留意したのは、ユーザーが購入作業のどの工程で迷ってしまうのかを特定し、それを踏まえてページの修正を行い、ユーザーにとって有効だったかを検証できるようにすることでした。具体的には、ユーザーが操作に迷った箇所のヘルプコンテンツがすぐ見られるように、該当箇所には動画のリンクボタンを配置し、不明な工程に関してピンポイントで解説を見られるような工夫を加えました。

動画は公開初日から多くのユーザーに視聴され、公開数日に工程ごとに区切った動画の視聴数を確認したところ、購入写真のトリミングや引き伸ばしといった加工について、動画視聴数が飛びぬけて多いことがわかりました。視聴数の多い箇所ほどユーザーが困っているという仮説から、購入ページを更新する際にコンテンツの視聴数の多かった箇所から検証・改修し、利便性の向上を進めました。更新翌日からまた動画の視聴数を確認し、以前よりも視聴数が減っていれば、ページの改修がうまくいっている証拠ですので、次に視聴数の多かった箇所の検証・改修を進めていくといったことを繰り返していくというわけです。

ヘルプコンテンツはユーザーが困ったときに視聴するものなので、究極的にいえば、視聴数がゼロになるのが理想なわけですが、動画の視聴数を判断材料にすることは、より確実で効率的なページ改修に役立てることができますし、その改修作業の効果まで検証できます。また、状況によっては、さらに詳しく解説した動画コンテンツを追加することも検討できます。そういった意味で、この事例はコンテンツを利用したPDCAの理想的な形の1つと言えるでしょう。

指標の捉え方は目的に応じて変わる

このように動画を利用したコンテンツを作成する場合、さまざまな情報を見ることができるため、その後のさまざまな施策に役立てることができます。しかし、その情報をどのように解釈し、次の有効な施策につなげていけるかは、コンテンツを作成する一番初めの段階で検討しておかなくてはいけません。

そのためにも動画の内容はもちろんのこと、ボタンの配置をはじめとする動画の周りのページデザインなどをしっかりと考えなくてはいけません。そうすることで、視聴数だけに依らない立体的な目的と、それを確認するための方法を確立できるのです。

動画のKPIを設定する

ここまで動画の目的に合わせた、効果測定について紹介しました。次に定量的な数字として動画の効果測定を行う場合、KPIとして設定されやすいものは何か紹介します。動画もWebページと同じく解析することが可能で、いくつかの指標で効果測定することが可能です。

一般的に、動画の解析指標の数値項目として真っ先に思いつくのが、はじめにも説明した「視聴数(再生回数)」でしょう。「YouTube」などの動画共有サイトでは再生回数の多さが動画自身の人気のバロメーターにもなりますし、さらにメディアの特性上、そういう動画はクチコミなどでも広がりやすい状況になっているのは体感できていると思います。

動画をたくさんの人に見てもらうこと、つまり再生回数が多いという事実は、社内へのレポーティング数字のインパクトとしても非常に強いですし、制作した人としても満足感を味わえるのも現実です。Webサイトのページビューと同様に最もわかりやすい指標の1つですから、導入初期の段階では、まずは再生回数という指標軸で数値を追いかけてみるのがいいでしょう。

その際は動画を掲載しているページのPV数を目安に再生回数を計測する、いわゆる「再生率」が1つ目安として使えます。再生率を上げるためにサイトへの導線を強化する、サイト内での動画の配置を再考するなどのトライアル&エラーで実施していけばいいでしょう。

しかし、動画は「再生回数」だけでは一概に評価できません。動画の効果測定でもう1つの押さえておきたい指標は「時間軸」です。サイトに訪問した人が動画に触れることで滞在時間に影響がでることは間違いないです。

動画分析で特に押さえておきたい主な指標項目は次の4つです。

  1. 再生回数
  2. 再生率(再生回数/PV数)
  3. 視聴時間
  4. 視聴率(視聴時間/総尺)

上記の項目の中で「再生率」と「視聴率」を組み合わせることで、動画の動きを分析し、さらにはサイトの動きも立体的に把握することが可能です。たとえば、新製品のPR動画として3分の動画を2種類制作して配信した結果、次のような結果になったとします。

動画A 再生回数:10,000回 平均視聴時間:10秒
動画B 再生回数:100回 平均視聴時間:3分

このとき、どちらの動画の効果が高いと判断できるでしょうか。再生回数だけで評価すれば動画Aが優秀だと考えられますが、視聴時間を組み合わせ、立体的に数字を把握することで平面(ここでは再生回数のみ)では捉え切れなかった側面が見えてきます。

特に視聴時間は動画ならではの重要な指標です。目的にもよりますが、もし訴求したい製品の登場が30秒過ぎの場合は、動画Aはほとんど効果がないことになり、動画Bの効果が高いと判断できるでしょう。参考までですが、次の図は弊社がある企業と協力して行ったレポーティングの一例です。

動画解析のサンプル。再生回数だけでなく、再生完了率や平均再生率を見ることで、動画の効果を立体的に検証している。
動画解析のサンプル。再生回数だけでなく、再生完了率や平均再生率を見ることで、動画の効果を立体的に検証している。

1つの動画に対してここまでいろいろな情報をひもづけて、分析することができます。動画活用の深みが体感できたでしょうか。

動画解析の方法

ここまでで、動画の効果指標としてどのようなものがあるかイメージできたと思います。では実際に効果測定を行うにはどうすればいいでしょうか。1つは動画用の解析ツールを利用することです。

最近では各社がサービスを提供開始しています。たとえば、Sus4社が提供するASPサービスの「Video Analytics」、動画配信プラットフォームサービスでは、筆者が所属するJストリームでも販売代理を行うBrightcove社の「Brightcove Video Cloud」などが標準機能として提供しています。

また、コンフォート・マーケティング社が提供する「ユニークユーザー分析サービス」では、セッションを越え時系列にユーザーのサイト遷移を追いかけることにより、キーとなるセッションやコンテンツを特定して効果を分析する手法があり、分析時に動画コンテンツがどのような貢献をしているのかを見ることができます。

高度な設定が必要になりますが、「Google Analytics」でも動画の解析が可能です。

上記の中にも無料でトライアルサービスを提供しているところもいくつかありますが、一番身近なところで簡単に動画分析できるのが「YouTubeインサイト」でしょう。YouTubeに標準搭載されているサービスで、再生回数はもちろんのこと、動画へのアクセス元データ(サイトや検索ワード)、アクセスユーザーの属性、動画の共有先データなどYouTubeならではの指標も入っています。残念ながら「視聴時間」軸のデータはまだ充実していないようですが、エントリーモデルとしては十分な機能です。

YouTubeインサイトでは、再生回数や動画へのアクセス情報など、簡易的な解析を行うことが可能。
YouTubeインサイトでは、再生回数や動画へのアクセス情報など、簡易的な解析を行うことが可能。

まずは動画から計測できる数値をベースに話を進めてきましたが、あくまでも動画は何かの目的を果たすための手法の1つにすぎません。そもそも、企業ごとにWebサイトが果たす役割も違ってきます。それに応じて動画も多種多様な活用方法がでてきました。

ただ単にWebサイトのコンテンツとして動画を配信しているフェーズから、企業の全体的なコミュニケーションプランや販売促進のためにWebサイトにおける動画の設計を緻密に行うマーケティング的な視点での活用が増えています。第5回ではそのあたりの導入傾向や事例を交えて進めていくことにしましょう。

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