基本編
アクセス解析から導き出す資料請求を増やす方法

―何を解析すればいいのかわからないあなたに―

Webサイトの“見える化”&“カイゼン”講座

アクセス解析から導き出す資料請求を増やす方法

ページビュー数だけをウェブサイトの評価指標としている会社がまだまだ多いようだが、「ページビューがたくさんあれば成功している」というわけではない。今回はアクセス解析を行いながら、いかにして「成果」へ導くかを考えていこう。主眼は、コンバージョンを増やすためのPDCA(Plan Do Check Action)サイクル作りだ。

期待する結果に向かって作成・運営するということ

「ウェブサイトを作ったがなかなか成果が出ない」と嘆く声をよく耳にする。訪問者の姿が見えないせいか、目標設定もままならないというのが実情だろう。そこで「よくわからないが、とにかくページビュー(PV)を増やしたい」ということになるのかもしれない。評価指標としてPVしか見ていない、という会社が多いようだ。もちろん、ウェブサイトは一種の宣伝媒体だから、どれだけたくさん閲覧されているかは重要なことだ。しかし、どのページでも、とにかくたくさん見られればそれでよいというのでは、おおざっぱすぎるはずだ。

こうしたPV至上主義の前提として、「訪問者は、主要なページを必ずいくつか見ていく」という推測があるのだろう。たくさんPVがあれば、重要な情報も見られているはずだと考えるわけだ。しかし、アクセス解析重視の立場から見れば、これは楽観的すぎる考え方と言わなければならない。訪問者は実際には非常に偏った見方をする。こちらが見てほしいと思っているページが閲覧されず、そんなに重要とは考えていないページが逆に多く閲覧される、というのは珍しくない。

また、新規顧客を獲得したいと思っているサイトなのに、既存顧客しか来ていないとしたら問題だろう。製品情報ではなく、事業所の地図ばかり閲覧されているサイトも少なくない。B2Bサイトなのにどう見ても主婦しか来ていないといったサイトもある。

こういったサイトを解析してみれば、それは「見てほしいページのPVが伸びない」という結果となって現れるはずだ。期待するページが多く閲覧されるように調整していかなければ、成果は出ないのである。そうした成果に向かって運営する、ページを作成する、ということを意識していこう。

図1 サイト内に「ストップページ」はたくさんある」
ページAには集客力があるが、期待するページに訪問者を誘導する仕組みがない。ページBも人を帰らせてしまっているページだ

成果を下げる「ストップページ」をアクセス解析から見つけ出す

「ウェブの訪問」というものを、段階的に分析すると、

  1. 多数の訪問者が

  2. どこかのページを入り口にして訪れ

  3. いくつかのページを見て

  4. どこかのページでアクセスを終了する

という要素で成り立っているといえる。

まず、ほとんどのサイトには、「ストップページ」と呼ばれる、訪問者を帰らせてしまうページが存在する。図1のような状態だ。ページAは集客力のあるページで、前述の2の要素を持っている。ところが、期待するページに誘導できず、結果的には多くの人を帰らせてしまっているため、4の要素も強いといえる。

これらのページが人を帰らせず、期待するページに訪問者を送り込んでくれれば、このサイトは広告などで訪問者を増やさなくても成果が伸びるかもしれない。ストップページがサイトの効果を引き下げているのだ。

さらに問題は、このページを訪れている人が「望ましい訪問者」か「招かざる訪問者」か、ということだ。B2Bサイトで新規顧客を集めたいと考えるなら、このページに来ているのが主婦ばかりではしようがない。このページの訪問者を次へ誘導しようとしても、それは無駄な努力ということになるだろう。

たとえば、1日あたり100人が訪れるウェブサイトがあったとしよう。月で見れば3000人前後だ。1人あたり平均5ページ見てくれれば、月間1万5,000PVということになる。

トップページには今、4人に1人程度しか訪れないから、月間の訪問者数は750人程度(100÷4×30)。1回のアクセスに2回トップページを見る人が20%~40%あるから、トップページの月間PVは2割から4割増しの900PV~1050PV程度といった数値になるだろう。

実際にアクセス解析を行い、訪問者数・PV数上位のページを並べると、図2のようになる。この例では、事業所の地図ページの閲覧が意外に多いようだ。総訪問者数3000人のうち10%もの人が訪れている。これは既存の取引先などによるアクセスが多いことを示している。既存顧客の役に立つことは大切だが、新規顧客の獲得という目標にはあまり貢献できないサイト、ということになるかもしれない。

図2 訪問者数の多い順にアクセス解析結果を整理
ページ URL 訪問者数 PV
トップページ / 750 1000
会社概要 /company/ 550 700
製品情報 /products/ 500 650
製品A /products/A/ 500 550
事業所の地図 /company/map.html 300 380
製品B詳細情報 /products/B/b.pdf 250 280
製品C /products/C/ 150 200

また、製品Bの詳細情報PDFがよく見られている。これはこれで嬉しいことだが、このPDFをリンクしている製品Bのページが上位に現れていない。製品Bのページが見られていないのに、どうしてそこからクリックしたはずのPDFばかり見られるのか。

こうした状況を探るために、図2の表に、各ページが入り口になった回数と出口になった回数を追記したのが図3だ。

図3 入り口回数と出口回数の集計結果を追記
ページ URL 訪問者数 PV 入り口回数 出口回数
トップページ / 750 1000 700 300
会社概要 /company/ 550 700 200 150
製品情報 /products/ 500 650 150 50
製品A /products/A/ 500 550 460 100
事業所の地図 /company/map.html 300 380 50 280
製品B詳細情報 /products/B/b.pdf 250 280 230 220
製品C /products/C/ 150 200 30 10

改めて表を見ると、事業所の地図ページは入り口にはなっていないが、出口になる回数が多いことがわかる。訪問者はサイト内で地図を探して見つけ、おそらくプリントアウトして帰ってしまう。これは一種のストップページである。訪問者は満足しているかもしれないが、会社側は喜ぶことはできない。ただ、この訪問者たちが既存顧客だとすれば、ここで帰るのは止めようがない。資料請求を増やしたいと思っていても、もうあなたの会社の製品のことも営業の連絡先も知っている人なのだから、資料請求してくれるはずもない。

一方、製品BのPDFは、訪問者数・PV数と入り口回数、さらには出口回数までほとんど同じだ。多くの人は検索などからPDFに直接訪れ、このファイルだけ見て、95%の人が他のページはまったく見ないで帰ってしまう。訪問者は喜んでいるとは限らない。会社としても嬉しくない典型的なストップページだ。ここの訪問者も資料請求に結びつくとは思いにくい。

図2で見た解析結果と図3の結果では、ページに対する印象が違うことに気付いてほしい。アクセス解析をするなら、入り口回数・出口回数などを含めた、より深く広い情報を得られる解析ツールやサービスを使おう。そしてそこから得られる情報を総合して、正しい結果に迫らなければならないのだ。

良い入り口ページを見つけて伸ばすために

図3を見ると、製品Aのページは良い入り口になっているようだ。500人が訪れており、入り口回数は460回。出口回数は100回だから、360人はこのページで何らかのリンクをクリックしてくれたわけだ。もしかすると製品Aに関心を持った見込み客かもしれない。これらの人が資料請求をしてくれたら、“成果の大きなウェブサイト”ということになるだろう。

こうした「良い入り口」を見つけたら、考えるべきことは3つある。

  • Ⅰ どうしてこのページは入り口になっているのか? 訪問者の動機は?
  • Ⅱ どうしてこのページはサイト内のリンクから訪れる人が少ないのか?
  • Ⅲ このページからどこへ移動しているのか? 資料請求ページに移動しているだろうか?

この3つに沿って考えていけば、サイトの成果を伸ばす突破口になるだろう。

500人中460人がこのページを入り口にしているということは、40人しかサイト内の他のページからクリックして移動してきていないことになる。これを増やすことはできないのだろうか。製品Cのページを図3で見ると、150人が訪れているが、入り口になったのはわずか30回。120回はサイト内の他のページからクリックして訪れていることになる。サイト内を訪れた人には、実は製品Aよりも製品Cの方が人気なのだ。

もし製品Aのほうが製品Cよりも主力製品で、そちらのアクセスを伸ばしたいと考えているなら、これは問題である。全体のトップページや製品情報の目次などで、もっと製品Aへのボタンを目立たせたりして魅力的なものにしなければならない。もしPVだけ見て判断していると

  • 製品Aのページビュー=550PV
  • 製品Cのページビュー=200PV

となり、「製品Aは狙いどおりたくさん見られている」ということになってしまう。これでは、情報が足りないために評価を誤り、正しい改善ができないことになってしまう。

「アクセス解析からサイトを改善する」というのはこうした作業なのである。

「資料請求」という目標を深く解析するために

ところで肝心の資料請求のページはどうだろう。図3には現れていない。そこで、もう少し下位まで見て、図4のような関連ページ情報を見つけよう。目標達成のためにはアクセスの多いページばかり見ていてはいけない。こうした下位のページに現れる情報も取得できる解析方法が必要なのである。

図4 資料請求に関連するページのアクセス解析結果
ページ URL 訪問者数 PV 入り口回数 出口回数
資料請求 /siryou.html 30 32 2 5
資料請求CGI /cgi-bin/siryou.cgi 15 30 0 8
確認画面 /cgi-bin/confirm.html 6 7 0 3
サンキューページ /thankyou.html 3 3 0 3

「サンキューページ」(資料請求ありがとうございました)の表示回数から見て、このサイトでは資料請求が月に3件あるようだ。コンバージョンレートを計算すると、「3人÷3000人×100=0.1%」ということになる。資料請求してくれた見込み客にうまく営業がアプローチして、5%の成約率があるとすれば、20回の資料請求で1回の契約に到るということになる。月に3回の資料請求だから1回の契約に約7か月が必要だ。つまり“年に1回か2回の契約のために、ウェブサイトを運営している”ことになる。B2B企業であれば、年1回の契約でも、その後の営業によって顧客のライフタイムバリューが数億円となる、ということも少なくないから、別にいいかもしれない。「一般的にコンバージョンレートは何%ぐらいですか」とよく質問されるが、客単価と関係なしにコンバージョンレートを考えても意味はないのだ。だから、そうした一般論ではなく

  • 営業手数や期間も含めた1顧客獲得のコスト
  • 1契約あたりの取引額
  • 1顧客あたりのライフタイムバリュー(通算取引額)

などを加味して、「どれぐらいの資料請求数が必要か」を目標設定すべきなのである。

では、このサイトでもっとコンバージョンを増やしたいと考えたらどうすればいいのか。もう一度図4を見て考えてみよう。

資料請求のページは30人が訪れ、出口になったのはたった5回。資料請求CGI(入力画面など)の訪問者数は15人だから、資料請求ページを訪れた半数が情報送信を行ってくれたようだ。しかし一方で、約半数の8人が出ていった計算となる。

ここで気付いてほしいのは、CGIのPVが訪問者数の2倍の30になっていることだ。プログラムの動作にもよるが、ひょっとするとこの資料請求フォームは記入が難しくて、入力ミスやエラーが起こり、何度も情報送信している人が多いのかもしれない。

もしそうなら、資料請求のフォームを修正し、より記入しやすく全角や半角の間違いや必須項目の記入漏れが起こりにくいようにしていこう。

訪問者数を増やさなくても資料請求数は倍増できる?

さてもう一度、図4を見てみよう。資料請求ページは30人、サンキューページは3人。ここだけ見れば10%だから、悪い確率ではなさそうだ。さらに確認画面にたどり着いたのが6人で、50%は「サンキューページ」(送信完了)に進むという高確率だ。確認画面の訪問者は今6人だが、記入フォームを改良することで12人に増やせるかもしれない。今でも確認画面を見た人の50%はサンキューページに進むのだから、記入フォームを改良すれば月の資料請求は6回に増えるかもしれない。また、CGIに進んだのは15人だが、これを20人に増やせるかもしれない。

こうして考えていけば、宣伝コストをまったく使わなくても資料請求を倍増させられるかもしれないのだ。この会社では資料請求者の5%を契約へ結び付けられるから、3~4か月で20回の資料請求を得て1回の契約を得られるわけだ。もちろん営業人員の多少にもよるが、月6社に対する営業フォローを行うだけでも結構な仕事量になるはずだ。

もっと踏み込んで、全体的な数字を考えれば、さらにやるべきことが見えてくる。

  • A 総訪問者数 3000人
  • B 資料請求ページの訪問者数 30人(B÷A=1%)
  • C サンキューページの訪問者数 3人(C÷B=10%)

BからCは10%の確率なのに対し、AからBはわずか1%。ここを2%にすることができれば、それだけで資料請求ページの訪問者数は60人(B÷A=2%)となり、資料請求数を倍増できるはずだ。

さらにBからCの率を15%まで上げれば、サンキューページの訪問者数は9人(C÷B=15%)となる。

双方を少しずつ増やすことにより、資料請求数を伸ばすのだ。これなら、2~3か月に1回の新規契約を獲得できる計算だ。もちろん、SEOやSEM(検索連動型広告)、さらにはLPO(入り口ページの最適化)を適切に行えば、分母となる総訪問者数も増えるだろうし、「製品に興味を持つ訪問者」を狙って集めることもできるだろう。そうすれば、より資料請求に結びつく人を集められるし、サイトのコンバージョンレートも上がれば、その後の営業により契約に到る割合も伸びるかもしれない。

  • A 総訪問者数 6000人
  • B 資料請求ページの訪問者数 120人(B÷A=2%)
  • C サンキューページの訪問者数 18人(C÷B=15%)

ここまで来たケースでもコンバージョンレートは0.3%だ。一般的に見ればまだまだ満足できない割合かもしれないが、資料請求者の6%を契約まで結び付ければ、このサイトは年1~2回の契約数だったものが、月1回の契約を得られることになる。顧客のライフタイムバリューが同じなら、サイトからの売り上げは6倍~12倍になるわけである。

ここまでを図5に整理しておこう。

図5 資料請求への誘導と成果
対策内容 改善項目 見込める成果
総訪問者数を増やす A:総訪問者数 3000人→ 6000人(200%)
製品ページの閲覧者を増やす A':製品Aの訪問者数 500人(A'÷A=17%)→ 1200人(240%、A'÷A=20%)
資料請求ページに移動しやすくする B:資料請求ページの訪問者数 30人(B÷A=1%)→ 120人(400%、B÷A=2%)
フォームを記入しやすくする C:サンキューページの訪問者数 3人(C÷B=10%)→ 18人(600%、C÷B=15%)

資料請求数を増やしたいときに考えるべき対策は4つある。

  1. 総訪問者数を増やす。SEOやSEMで、製品Aを買いそうな人にねらいを絞って集客策を考えよう。広告の1クリック単価が200円かかるとしても、3000クリックで60万円にすぎない。資料請求を600%にして毎月新規契約をとることと比べれば高い広告宣伝費ではないだろう。

  2. トップページや製品トップを改訂し、広告などからも誘導して、製品Aの閲覧者を増やす。ここではかなり低く見積もった数を書いているが、もし広告からのリンク先ページを製品Aにしていれば、広告で増やした3000人をすべて製品Aに追加し、3500訪問にもできるのである。

  3. 製品Aを見た人が資料請求ページに移動しやすくする。このサイトの課題は製品Aを見た人が、資料請求ページに移動するかどうかにかかっている。対策については次回に詳しく見ていこう。

  4. 資料請求にたどり着いた人が、サンキューページまでスムーズに流れるように、フォームの記入しやすさを改善する。

  5. ここで見た数字は極端な数字と思えるかもしれないが、コンバージョンレートは0.3%でしかない。決して実現不可能な数字ではないのだ。

    もっとハードルを下げてもいいかもしれない。それには4つの対策がある。総訪問者数を1.2倍、製品Aの訪問者数も1.2倍、資料請求への誘導を1.2倍、さらに資料請求完了率を1.2倍に、それぞれ少しずつ増やせば

    1.2×1.2×1.2×1.2=2.1

    と、このように併せ技でコンバージョンを倍増できるのだ。こう考えれば、現状の測定値をもとに、明確な数値目標を作って、サイトの運営を行えるだろう。

    アクセス解析の立場から見ると、前に述べたⅢの要素、「このページからどこへ移動しているのか。資料請求ページに移動しているだろうか」の考察がほとんどのサイトで足りていないのだ。つまり訪問者数やPVは多いのに、狙ったコンバージョンに訪問者を移動させることができていないのだ。次回はこの点、サイト内をどのように「狙った方向へ」誘導していくか、考えてみよう。

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