企業担当者に聞くFacebook&Twitter運用の現場

突然Twitterの担当者に……。感覚派だけどマーケともしっかり連携するウェブマネーの中の人に聞く運用術

フォロワーと共に創るTwitterの形
企業担当者に聞くFacebook&Twitter運用

3時になりましたので、えのきタイム入りますね。

\ げつようびがきてあ /

ゆるいツイートを織り交ぜながら、独特なキャラクターでコミュニケーションするのは、電子マネー「WebMoney」を発行するウェブマネーの公式Twitterアカウント。

一見すると、ソーシャルメディア慣れしたベテランが運用していそうだが、実はある日、担当者に任命されたスタッフが中の人だというから驚きだ。運用経験は約3年、今では複数のソーシャルメディアを使い分け、営業部門と連携しながら成果も上げている。

もし、あなたが「明日からソーシャルメディア担当者ね」と言われたら……。今回は、Twitter、Facebook、mixi、それぞれ異なる目的で運用しているウェブマネーTwitter中の人、ナナセ氏に話をうかがった。

ウェブマネーが運用する主なソーシャルメディアアカウント
株式会社ウェブマネー
ナナセ 氏

ある日突然Twitter担当に! Twitter未経験からの出発

――ソーシャルメディアの運用を始めたきっかけを教えてください。

Twitterの国内ユーザーが増えてきているということから、ウェブマネーからのお知らせをツイートするような形で、2011年3月に公式アカウントの運用が始まりました。

その後、2012年からフォロワーさんとの距離を近づけるために、中の人を設定するようになりました。当時は、前任者が中の人として運用していましたが、2013年から私がTwitter担当になり、中の人のキャラクターも変わりました。

Facebookやmixiも同じ時期に始め、mixiでは加盟店とコラボしたキャンペーン情報を、Facebookではプレスリリースの内容を投稿しています。

――どういう経緯でナナセさんが担当になられたのですか。

当時、私と前任者は同じ部署で、私は主にAmazonギフト券やゲームのダウンロードソフトなどが購入できるサービス「WebMoney PINCOM」の立ち上げや、広報補佐などを行っていました。その後、前任者が退職することになり、私が引き継ぐことになりました。

着任当初、私はTwitterを利用したことがなかったので、「いったい何をどうしたらいいの?」というところから始まりました。引き継いだといっても、アカウント情報をもらっただけでしたので(笑)

――運用のガイドラインなどもなかったのですか。

なかったですね。「やりたいようにやれ!」という感じでした。そもそも、そのときはまだ、会社としてはTwitterにあまり関心がなく、大きな期待もされていなかったんです。それが、いい意味で勉強期間になり、いろいろと自由に試すことができました。

Twitterはダンスホール、DJナナセが臨機応変にツイート

――中の人のキャラクターはどう設定したのですか。

WebMoneyのTwitterは「ナナセ」さんが担当

中身は、私そのままの自分です。名前は「ナナセ」と名乗っています。苗字でもなく、名前でもなく、どちらでもイメージがつくという点と、文章内に埋もれることがないようなもので、気楽に呼んでもらえるものがいいなという点を意識して決めました。また、WebMoneyのロゴがレインボーなので、そのイメージも意識しています(笑)

ちなみに、「中の人はあくまでも中の人であるべき」というポリシーでやっているため、顔出しや、本名開示はNGとさせていただいています。

――ガイドラインや方針などは今もないのですか。

ざっくりとしたものはありますが、しっかりしたものはないですね。そのときに応じて臨機応変に運用しています。以前参加したTwitterセミナーで、登壇者が「Twitterはダンスホール」とおっしゃっていたのですが、まさにその通りで、DJナナセがそのときのトレンドやフォロワーさんの反応に合わせてツイートするようにしています。

――運用にあたって、参考にされたアカウントはありますか。

着任当初は、中の人が活発な企業アカウントさんをウォッチし、ツイートや返信内容などを研究しましたが、各アカウントさんのハイセンスなツイートを見るたびに、落ち込む日々が続きました。

――意外ですね。とてもTwitterの空気に馴染んでいて楽しくやっているように見えます。

社内でTwitter運用の相談をできる人がいなかったため、いろいろと行き詰まっていたのですが、去年、箱男子さん主催の「企業公式中の人総選挙」というイベントに参加したことがきっかけで、他社アカウントの中の人たちと交流するようになり、いろいろと学ぶ機会が増え、成長できたと思います。

企業公式中の人総選挙2016。2016年の結果は!?

――フォロワーさんとのコミュニケーションで気をつけていることはありますか。

声をかけてくださるフォロワーさんに対しては、可能な限り返信するようにしています。また、返信の際はかしこまらず、フォロワーさんのテンションに合わせた返信をするよう心がけています。

毎日声をかけてくださる方や、こちらからのツイートに毎回のように反応してくださる方が増えてきたので、とても楽しく運用させていただいています。そんなフォロワーさんに感謝すべく、フォロワーさん限定のプレゼント企画を頻繁に行うよう心がけています。

フォロワーと共創するキャンペーン

――当初、会社としてはあまり期待されていなかったそうですが、今はいかがですか。

フォロワー数やエンゲージメント数が増えたことで、1つの媒体として社内で注目されるようになりました。Twitterを使った自社キャンペーン結果をはじめ、他社とのコラボ企画、Twitterで話題になっていることを社内に随時報告し続けことで、Twitterに対し、徐々に興味を持ってもらえるようになり、いまではTwitterを使ってなにかできないかという相談を受けるようになりました。

最近では、キャンペーンを企画するにあたり、Twitterでフォロワーさんに対しアンケートを行い、その結果をもとに企画を考えることも増えてきました。

――フォロワーが4万8,000人を超えていますが、媒体力はどのように高めていきましたか。

一番の要因はキャンペーンですね。キャンペーンは、WebMoney加盟店の営業担当者が企画するのですが、最近は、企画立案から参加させてもらえるようになったため、日々のコミュニケーションで知った、フォロワーさんの嗜好を考慮した企画作りが行えるようになったかと思います。

WebMoneyはコンビニなどで気軽に買える商品ですが、お菓子やジュースと違って、電子マネー、つまり“お金”ですので、「WebMoneyを使いたいから買う」というものではなく、何か欲しいものがあって、その欲しいものを「買うために買っていただく」商品です。ですから、なにか欲しいものをインターネット上で見つけた際、「WebMoneyなら安心して買い物できる!」とWebMoneyを思い出してもらえるようになりたいですね。

――Facebookとmixiはいかがですか。

FacebookはTwitterと違い、ある程度の時間はニュースフィードに表示されますよね。ですので、連続投稿は控えています。連続してFacebookに投稿したこともありますが、やはりクリック数などが落ちてしまいました。Facebook利用者は、Twitterのフォロワーさんとは違う層のため、それぞれの層に合わせた運用を心がけています。

mixiも、タイムラインの流れは緩やかのため、連続投稿は避けています。投稿する内容はキャンペーン情報やWebMoneyが使えるサイト情報を投稿するようにしています。

プレゼントは何がいい? Twitterアンケートでキャンペーンを企画

――ソーシャルメディアを始めたことで、以前と変化したことはありますか。

先ほど少しお話させていただきましたが、ダイレクトに反応をいただけるので、キャンペーンの企画などに活かしやすいですね。以前は、たぶんこうだろうという憶測や仮説のなかで企画を立てていましたが、最近はすぐTwitterでフォロワーさんにヒアリングし、いただいた意見をもとに企画を立てられるのがいいですね。

たとえば、キャンペーンのプレゼントで何がいいのかフォロワーさんに聞き、そこで上がってきた意見をランキングにして賞品を決定したことがあります。そのとき寄せられた意見は、パソコン、ゲーム機、愛(笑)など、いろいろあったのですが、WebMoneyが欲しいという声が一番多かったので、WebMoneyをプレゼントすることになりました。

フォロワーさんからダイレクトに反応をもらえるのがTwitterの魅力ですよね。悩んだらすぐに、フォロワーさんに聞くようにしています。もしWebMoney直営店があれば、来客者さんにお話を聞くこともできるんでしょうけど、そういうお店はないので、Twitterは今のWebMoneyにとってとても大事な存在になっています。

ダイレクトに反応をもらえるのがTwitterの魅力
店舗がなかったとしても意見を聞くことができる

――効果測定などはどうしていますか。

会社からは特に数値は求められていませんが、自分のなかで様々な効果測定を行い、目標を立てて運用し、社内に報告するようにしています。

コミュニケーションを通して認知してもらう

――ソーシャルメディアを始めたことで、WebMoneyの活用や売り上げにつながっていると思いますか。

Twitterが売り上げにつながっていることを、具体的な数値で証明することはできませんが、Twitterを通じてWebMoneyの認知を高め、コミュニケーションを図り、1人でも多くの方がWebMoneyファンになってくださればいいなと思っています。

たとえば、2014年5月に誕生したリチャージ式のWebMoney、「WebMoney Card」は、徐々に認知されてきたものの、クレジットカードと勘違いされてしまっている傾向にあります。

見た目はクレジットカードそっくりなリチャージ式プリペイドカード「WebMoney Card」

そこで先日、WebMoney Cardの画像をTwitterに投稿し、「コレ知ってる?」という問いかけをしてみました。案の定「クレジットカードでしょ」「クレジットカードを使いたくないからWebMoneyを使っているんだよ」という反応が返ってきました。

きちんと伝えるために、「安心してください。チャージして使うタイプのWebMoneyなんです」と返信したところ、「そうなの?知らなかった!」といった返信があったため、「登録料・年会費無料、いままで通り年齢制限や審査なく使えるWebMoneyですよ」と説明しました。

すると今度は、「メリットはあるの?」という返信をいただいたので「MasterCard加盟店でWebMoneyが使えるようになった他、WebMoneyポイントが貯まるよ」といった返信をしたんです。

質問に対して引用ツイートで返したため、質問いただいた方だけでなく、他のフォロワーさんにもWebMoney Cardのメリットを伝えらたと思います。

運用ツールで一斉DM配信やアカウント管理を効率化

――ソーシャルメディアの運用は、ツールを使っているということですが、導入の経緯を教えて下さい。

私が担当になってから導入を決めました。理由は、セキュリティの危険性を感じていたからです。というのも、運用は私1人で行っていますが、場合によっては他の社員がログインすることもあり、その際は、1つのIDとパスワードを共有して使っていました。

使用者が増えればそれだけパスワードの漏えいの危険も高まりますし、人為的なミスで間違ったツイートをしてしまうこともあります。一刻でも早くこの問題を解決すべく、運用管理ツールの導入を訴え、社内説得を行いました。

また、Twitterキャンペーンの当選通知などは、すべて手作業でダイレクトメッセージ(DM)を送信していたため、時間と手間が大変かかっていました。ですからツールを検討したときは、

  • 複数名でのアカウントの管理
  • DMの一斉配信
  • 予約投稿
  • キーワードサーチ
  • 効果測定
  • データのCSV出力

などの機能があるツールを探しました。

そのなかで、3つのツールに候補を絞りましたが、機能面をすべてクリアして、価格もお手頃なのが「つぶやきデスク」でした。また、Googleとパートナー契約していることも信頼感がありました。

導入後に一番役立っている機能が、DMの一斉配信ですね。これはキャンペーンのたびに使っており、非常に作業が効率化して助かっています。また、担当者ごとにアカウントを作れるようになったため、セキュリティ面も安心して運用できるようになりました。

また、予約投稿やキーワードサーチなども助かっています。検索してWebMoneyについて悩んでいるツイートをしている方を見つけて、サポートできるようになりました。

フォロワーが増えるツイート、減るツイート

――Twitterを運用していて悩むことはありますか。

常日頃悩んでいますね。中の人も人間なので、誹謗中傷や厳しいご意見をいただくと、ツイートの手が止まってしまうこともあります。また、ツイートするとフォロワーが減ることもあり、「中の人はいない方がいいのでは」と悩むこともありますが、応援メッセージをいただくたび、フォロワーさんは本当に宝物だと思うことがよくあります。

――フォロワーが減ったり増えたりするツイートの傾向はありますか。

とあるイベントの様子を実況したところ、一気に減ったことがありました。ゲームに興味のある人が多いだろうと思い、現地の様子を現地のテンションでツイートしたのですが、WebMoneyの情報を知りたいという方にはノイズということなのか、フォローを外されてしまったようです。

逆に、フォロワーさんが増えやすいのは、意外性のあるツイートですかね。フォロワーさんが、ついRTしたくなってしまうようなツイートを行うと、フォロワーさんのフォロワーさんが、RTされたツイートをきっかけにフォローしてくださることがあります。

何が正解かはわからないので、毎日、試行錯誤しながらいろいろツイートしています。今のトレンドを参考にツイート文言を考え、ツイートした後はフォロワーの増減やリツイート数、いいね数を確認して自己評価し、次のツイートにつなげています。

どんなツイートが正解なのかはわからない
毎日、試行錯誤してツイートしながら自己評価する

――Twitterのネタ探しはどうやっていますか。

1つはトレンドに乗ることですね。話題のワードやハッシュタグを参考にしたりしています。あと、フォロワーさんの嗜好に合うようなものの情報をウォッチしたりしています。

フォロワーの嗜好を知り、有益な情報を配信

――他の運用担当者へのアドバイスはありますか。

まず、社内に1人でも2人でも味方を作ることですね。私の場合、始めは孤独からのスタートでしたが、徐々に「Twitter見てるよ!」と声かけしてもらえるようになり、最近では上司が誰よりも先にナナセのツイートをウォッチし、応援してくれるようになりました。

Twitter運用の相談をできる人がいなかったころは、「このツイートがきっかけでなにか起こったらどうしよう」と思い、なかなかツイートできない時期もありました。現在は、上司はもちろん、他社アカウントの中の人たちが相談に乗ってくださるので、肩の力を抜いた状態でTwitterに向き合えています。業種が違っても、同じTwitterという場所で活躍している同志がそばにいることがとても心強く、プレッシャーも緩和されました。

困ったことがあれば相談できる味方がいること
同じTwitterという場所で戦う中の人がいることが心強い

次に、フォロワーさんの嗜好を知ることですね。中の人として活動していくうえで、フォロワーさんとのコミュニケーションは大変重要となってきます。嗜好を知ることで、どんなツイートがどのように反応されるかイメージできるようになります。

それにフォロワーさんも1人の人間ですので、その方を知って、覚えてコミュニケーションを続けることで、常連さんになっていただけることもあります。ぜひ、フォロワーさんのプロフィールやツイートを数多く見ることをおすすめいたします。

――今後やっていきたい施策はありますか。

最近ようやくTwitterの認証バッジがついたので、これを機にもっと多くの方にフォローしてもらえるような施策も考えたいです。今までですと、認証マークがついていないことを理由に、なりすましアカウントだと疑われてブロックされることが多々ありましたから。WebMoneyユーザー全員がフォローしてくださるアカウントを目指したいです。

また、「WebMoneyカードケース」という、WebMoneyの管理ができるアプリがあるんですが、Twitterを通じて、この便利なアプリをWebMoney Cardと同様、もっと世の中に広めていきたいと思っています。

あとは企業間コラボですね。せっかくだから楽しいことを中の人同士でやりたいと思っています。Twitterの会話の中で盛り上がって、お互いのフォロワーさんも楽しみながら参加してもらえるような企画が理想ですね。

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