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イマドキSEOの常識!? 検索結果のクリック→すぐ戻る行動はやっぱり順位に関係アリ?【SEO情報まとめ】

グーグルの検索結果ページでのクリックや、飛んだ先からすぐ検索結果に戻るユーザー行動は、検索ランキングに影響するのか?

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グーグルの検索結果ページでのクリックや、飛んだ先からすぐ検索結果に戻るユーザー行動は、検索ランキングに影響するのか?

グーグルはこれを否定するが、関係すると考えたくなる事例を報告しているサイトがあった。

ほかにも、今回は興味深いユニークな情報が多い。ファーストビューのサイト内共通要素を変えたら検索トラフィックが14%増えた事例や、コアアップデート報告といったSEO的な話題から、「他の人は見つけにくい検索ニーズ」の探り方、GooglebotのIPアドレスなどなど、あなたのSEO力アップに役立つ情報をお届けする。

ちなみに、海外SEO情報ブログ掲載の「INP」は、コアウェブバイタルに入るかもしれない新しい指標だ。ぜひチェックしておきたい。

  • ファーストビューに定形コンテンツではなく個別コンテンツを掲載するとランキングが上がる?
  • YMYLも検索意図の1つ、高いE-A-Tを満たす必要あり
  • サイトをまったく変えていないのに検索トラフィックが増減するのはなぜ?
  • グーグル、今年初のコア アップデートを実施
  • 検索パフォーマンスレポートでお宝キーワードを発掘する方法
  • 2022年5月のポリシーオフィスアワー: インデックスされない、モーダルウィンドウ内のリンク評価、ポート付きURLへのアクセスなど
  • XMLサイトマップとRSSフィードを両方送信してもたいして意味はない!?
  • グーグルさん、GooglebotのIPアドレスをひっそり変更しないで
  • Yahoo! JAPANがパスワードレス認証で問い合わせ25%減、ログイン時間2.6倍速に
  • Googleが試験導入した新UX指標のINPとは?
  • Google、動画インデックス レポートをSearch Consoleで公開予定

今週のピックアップ

イマドキSEOの常識!? 検索結果のクリック→すぐ戻る行動はやっぱり順位に関係アリ?
粉ミルクの在庫があるページが上位に移動 (Local SEO Guide) 海外情報

  • 検索結果でのクリック数・クリック率
  • 検索結果ページへの直帰

などのユーザー行動は、ランキングに影響するのか?

絶えず議論になる話題だ。グーグルは、これらの指標を「検索品質を調査する目的では利用しているが、ランキング決定には直接使ってはいない」と説明している。

ところが、実際に影響を与えていると考えたくなる事例を経験したサイトがある。

まず、背景を説明する。米国では、乳児用粉ミルクの不足が深刻な問題になっている。物理的な店舗はもちろんのこと、オンライン販売も同様だ。

そうした状況で、粉ミルクの在庫があるサイトのランキングが、「baby formula」(粉ミルク)関連のさまざまなクエリで上昇したというのだ。上位表示とまではいかなくても、それまで順位がまったく付いていなかった(検索結果に出てこなかった)ページが1ページ目に出てくるようになった。

元記事では、理由を次のように推察している:

  1. 検索ユーザーは「baby formula」で検索し、上位に出てくるアマゾンやウォルマートのページをクリックしてみるが、品切れ。そこで検索ユーザーは検索結果に戻り、検索下位のページを次々とクリックし訪問していく。

  2. 次第に品切れのサイトが増えてきて、「クリック⇒戻る⇒クリック⇒戻る」のパターンのユーザー行動が繰り返される。

  3. グーグルは「訪れたページから検索結果に即座に戻って次のページを訪問する行動を繰り返して誘発させているページでは、ユーザーが目的を達成できていない」と判断し、検索結果に戻らないページ(粉ミルクの在庫があるサイト)を上位に移動する。

  4. 「baby formula」に関連するクエリ全般に上位移動の変更が適用され、ほかのクエリでもランキングが上がる。

通常時であれば、アマゾンやウォルマートといった著名なECサイトが上位でまったく問題ない。しかし、お目当ての商品を購入できないのであれば、無名のサイトであっても購入できるところを上位に移動させるというのは理にかなっている。

だが、別の理由も考えられる。

  • 品切れページの順位を下げるアルゴリズム:

    検索結果に戻るユーザー行動とは関係なく、「品切れになった商品のページの順位を自動的に下げる検索アルゴリズム」があるのかもしれない。

    しかし、ジョン・ミューラー氏の過去の発言から判断すると、ウェブ検索ではそういったアルゴリズムはないようだ。

  • ソフト404:

    グーグルは、品切れページをソフト404として処理することがある。ソフト404は実質的には404なので長く続くと検索結果に出てこなくなる。結果として、それまで下位に位置していたページが上位に上がってくる。

    あるいは、ECサイト側で品切れページを(一時的に)引っ込めて本当に404を返していたこともありえる。

404の可能性はありそうだ。それまで上位表示していたページがわかれば調べられたに違いない(が、筆者たちが今調べるのは難しい)。

果たして、検索結果ページでのユーザー行動は、一切ランキングに影響しないのだろうか。それとも「直接は」影響しないもののランキングに関係する評価に影響して結果として関係するのだろうか。もしかしたら、グーグルが検索品質を向上させていった結果、「上位のページの性質」と「検索結果に戻ることが少ないページの性質」が同様になったのだろうか。

真相はわからないが、いずれにせよ、グーグルのアルゴリズムだけを考えるのではなく、ユーザーの検索意図をふまえてそのニーズを満たすコンテンツやサイトにしていくことの重要性は変わらない。

★★★★☆
  • SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)

グーグル検索SEO情報①

ファーストビューに定形コンテンツではなく個別コンテンツを掲載するとランキングが上がる?
自分の環境でテストするのが理想 (SearchPilot) 海外情報

ファーストビューの定形コンテンツはSEOに影響するのか?

こんな疑問を確かめるために、A/Bテストを利用した検証が行われた。

次の2種類のコンテンツをファーストビューに掲載したページを準備した:

  • オリジナル: 全ページに共通の定形コンテンツを掲載
  • 検証用: 各ページに個別のコンテンツを掲載

そしてそれぞれのランキング推移を計測して比較したのだ。

このA/Bテストを、元記事では次のような図で説明している。上の「Control」がオリジナル版で、ファーストビューに定形コンテンツを掲載している。下の「Variant」は検証用で、ファーストビューに各ページ個別のコンテンツを掲載している。

A/Bテスト

テスト結果はどうだったのだろうか。元記事では、個別コンテンツを掲載した検証用ページは検索トラフィックが約14%増加したと報告している(信頼度90%で統計的に有意)。そのページのトピックに関連する言葉が個別コンテンツとして追加されたことで、関連性がより高まったのではないかと理由を推測している。

A/Bテスト結果

検索エンジンの評価が本当に上がったのかどうかはともかくとして、そのページの主題と関連性が薄いコンテンツを最初に見せられて喜ぶユーザーは少ないだろう。この点でも、ページごとに個別のコンテンツから始めるのは賢い施策に思える。

1つ面白いのは、「定形コンテンツではなく個別コンテンツをファーストビューに置いたほうが、検索トラフィックが増加した」ことを発見したにもかかわらず、このサイトは、ファーストビューに定形コンテンツを置いていることだ。

3ページ分の画面を次に示すが、異なるトピックなのにすべて同じ「Start here: how our SEO split test work」で始まる自社サービスのアピールを記事冒頭に定型で置いている。

ファーストビューの定形コンテンツ
ファーストビューの定形コンテンツ
ファーストビューの定形コンテンツ

コンバージョンも考慮してあえてこのようにしているのかもしれない。あるサイトで○○という結果が出たからといって、別のサイトでもそれが当てはまるとは限らない。自分の環境でテストして、KGIを頼りに判断していくのが理想だ。

★★★☆☆
  • SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)

YMYLも検索意図の1つ、高いE-A-Tを満たす必要あり
SEOにおいて検索意図の理解は重要 (Lily Ray on Twitter) 海外情報

検索クエリはその意図によって分類できる。グーグルは検索品質ガイドラインで次のように分類している:

  • Doクエリ: 何らかの行動を起こすことに関連するクエリ
    取引型クエリとも言う。例: LINE ダウンロード、ルイヴィトン 財布 通販

  • Knowクエリ: 情報を集めるクエリ
    情報収集型クエリとも言う。例: ネクタイの結び方、クアッドとは

  • Goクエリ: 特定のサイトやページを探すクエリ
    案内型クエリとも言う。例: YouTube、海外SEO情報ブログ

※筆者補足: Doクエリをさらに分けて、購入に関連するBuyクエリで細分化することもある。
また、クエリは必ずしもこの3種のどれかに分けられるとは限らず、複数のタイプに含まれるクエリも多い

さらに、スマホの普及によりローカルクエリに分類するクエリも現在は増えている。「銀座 イタリアンレストラン」や「近くの鍼灸院」といった検索だ。この場合、ローカル検索結果が返ってくる。

それぞれのクエリの意図を理解し、それに合致したコンテンツを検索結果で返すのも検索品質の重要な要素だ。

さてここで、米国の腕利きSEOコンサルタントであるリリー・レイ氏の意見を見てみよう:

YMYLも独自の検索意図を持つクエリとして扱われるべきだ。

ローカルクエリでローカル結果が返され、取引型クエリで購買結果が返ってくるように、YMYLに関連するクエリの検索結果では、非常に高いレベルのE-A-Tが要求される。そしてYMYLクエリは、時間の経過とともにいっそう競争が激しくなってきている。

冒頭の説明では、クエリ分類の意図に合致するコンテンツを検索結果でグーグルが返していると話した。YMYLも検索意図としてとらえるならば、高いE-A-Tを備えたコンテンツを検索結果でグーグルが返すというのは腑に落ちる。

このコラムの読者さんたちは、検索意図を常に意識してコンテンツを作っていると思う。クエリがYMYLの意図を含むかどうか、そして含むならE-A-Tを備えたコンテンツであるかどうかを確実に意識してSEOに取り組もう。

★★★★☆
  • SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)

サイトをまったく変更していないのに検索トラフィックが減ったり増えたりするのはなぜ?
小さな変化は当然のこと (#AskGooglebot on YouTube) 海外情報

サイトにまったく変更を加えていないのに、Search Console の検索トラフィックのグラフが上がったり下がったりするのはどうしてでしょうか?

グーグルのジョン・ミューラー氏がこの質問に動画で回答した。ミューラー氏は、自分が持っているサイトを数か月ほったらかしすることもあるということだが、自分でも経験している現象だそうだ。

グーグル検索は非常に複雑で相互連係しているシステムのため、ほんの小さな変更でも、驚くような目に見える変化を起こすことがある。全体的に見れば安定しているのだが、個別の部分だけを見ると気付く変化になりうる。

たとえば、次のようなケースがあるかもしれない。

ケース①:

  1. データセンターの1つが通常よりもほんの少しだけ速くクロールする
  2. インデックスできるコンテンツが変化する
  3. 検索結果に表示されるコンテンツが変わる

ケース②:

  1. ソーシャルメディアに関係する非常に深堀りした記事を公開する
  2. 突如として重要だと認識される
  3. グーグルのシステムがその記事を少しだけ高く評価する

どちらのケースにしても、検索トラフィックのグラフの変動の原因になりうる。

グラフにこうした変動が見られたらどうすればいいのだろうか?

まず、小さな変動であれば気にしなくていい。多少の上下はどんなサイトにもあること。まったく問題ない。

次に、トレンドを見る。数週間にわたってどちらか一方向に向かって変化が続いているなら、全体的な広範囲にわたる変化の兆候だろう。

急上昇には注意が必要だ。短期間に著しく増加した場合は、重要な変化の現れかもしれない。良い変化ということもありうるが、入念に調べることを勧める。

検索トラフィックが変化するのはまったくもって当然のことだ。さまざまな要因が関係してくる。ミューラー氏が示したケース以外にも、たとえば次のようなものがある:

  • 検索数
  • 曜日、季節による増減
  • ある話題が急に注目を浴びるようになった
  • 新しいコンテンツの公開とそれまで存在していたコンテンツの消滅
  • アルゴリズム更新

上記は、あくまでもほんの一例だが、こうした要因などによっても、検索トラフィックの小さな変動は絶えず発生している。ミューラー氏が言うように、トラフィックの変動は日常茶飯事なので気にする必要はまったくない。

一方で、継続する変化突然の大きな変化は、特別な原因がある場合が多い。原因を特定する方法まではミューラー氏は言及しなかったが、この動画シリーズは簡潔に回答することがテーマなので意図して深堀りしなかったのだろう。

★★★☆☆
  • SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)

グーグル、今年初のコア アップデートを実施
いつものコア アップデートと変わらず (金谷 武明 on ツイッター) 国内情報

2022年初となる広範囲にわたるコア アップデートをグーグルが5月26日に実施した。名称は「May 2022 Core Update」だ。

英語では次の3つのチャンネルで事前アナウンスが出た:

ブログ記事は日本語訳が出るはずだが、この記事を書いている時点ではまだ出ていない。ツイッターでは、金谷氏が概要を知らせてくれた。

コア アップデートはもうおなじみのアルゴリズム更新だ。今回もいつもと違った点は特にない。前出の公式情報も、実はアップデートしたという事実を超える情報は提供していない。

本音を言えば、「今回のコア アップデートでは○○を中心に改良しました。サイトでは△△を改善することを推奨します」のように具体的なアクションに繋げられるような情報を提供してほしいものだが、常に「実施しますよ」のアナウンスだけだ。

大きな順位変動が発生するとSEO界隈がざわつくので、透明性を確保するために公表しているのだそうだが、すべてのアップデートを公表するわけではない。たとえ変動が(コア アップデート並に)大きくても、何も教えてくれないことのほうが多い。どうせなら、もっと情報を与えてほしいと望むのは筆者だけだろうか?

★★★☆
  • SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
用語集
Atom / Googlebot / KGI / RSS / SEO / XMLサイトマップ / インデックス / クリック率 / クローラー / クロール / コンバージョン / ソーシャルメディア / ダウンロード / ファーストビュー / フィード / リンク / 検索エンジン / 直帰 / 訪問

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