Attribution.jp分室
広告接触による態度変容をどう計測して最適化するのかの実例

広告接触によるオーディエンスの態度変容はどうとらえる? 実際の広告主での検証結果をもとに解説
attribution.jp分室
アタラ合同会社が運営する、Attribution Management/Modelingについての最新情報サイト「Attribution.jp」より、Web担の読者向けにコンテンツをお届けする。

広告接触によるオーディエンスの態度変容をどのように捉え、オンラインマーケティング活動にいかにフィードバックするのがいいのだろうか。フリークアウトの佐藤氏が実際の広告主での検証結果をもとに解説する。

RTB

Real Time Bidding。リアルタイム入札のこと。

DSP

Demand Side Platform。広告主向けの広告管理・出稿・最適化を行うサービスのこと。

広告配信が可能なアドエクスチェンジにおけるビュースルー、クリックスルーのパフォーマンスをどう測定、評価するかは広告主の大きな課題の1つである。

フリークアウトは、2011年1月にリリースされたRTBで広告枠の買付を行う国産の専業DSP。このたびアクセス解析ツールのGoogle Analyticsとの連携を実現したフリークアウトは、DSPとGoogle Analyticsを利用しているクライアント環境で検証を行った。

その結果が出てきたので、フリークアウトの佐藤氏より、検証内容についてattribution.jpに寄稿をいただいた。


「広告接触によるオーディエンスの態度変容をどのように捉え、オンラインマーケティング活動にいかにフィードバックするか」という、7 月に入りアドテクノロジー界隈のブログを中心に盛り上がりを見せている課題※1を、本記事では、より実務的な視点から事例を元に解きほぐしていくことができればと思います。

※1 特に Fringe81 田中社長のこちらの記事や、@sembear さんのこちらのシリーズATARA 有園さんの ATARA Method の論考は非常に参考になります。

態度変容をどう計測するか

ディスプレイ広告を視線の端に捉え、なんとなくブランド名が記憶に残った。
複数回広告を見たことで、その商品にちょっと興味が湧いた。

……このような心の動きだけでは、広告の効果を計測することはできません。心が動いたことで、どのようなアクションにつながったのか。そのアクションを捕捉することで、初めて態度変容を測ることができるようになります

心が動いた後に行うアクションの中でも、FreakOut! では検索行動に注目しています。FreakOut! が配信するディスプレイ広告に接触し、最終的に別経路からコンバージョンした顧客の直近検索ワードから、心の動きをあぶり出す。これを実現するための方法の1つが、Google Analytics との連携です※2

※2 Fringe81 Blog にて同様のご指摘があります。図示による概念整理が極めてわかりやすく、参考にさせていただきました。

導入事例

今回は、ポーラ・オルビスグループで高品質なスキンケアブランドを展開する「株式会社ディセンシア」様の実際の事例をご紹介いたします。

本レポートの目的は、「一度でもディスプレイ広告に接触し、最終的に別経路でコンバージョンに至ったケース」の中から、アクセス解析ツールのデータを活用することで本当に意味のあるケース、つまり顧客の心を動かしてアクションにつながったケースのみを抽出し、見えづらかったディスプレイ広告効果を可視化することです。

まずは、多数発生した間接コンバージョンの分類

調査期間内において、直接(=ラストクリック)コンバージョン件数に対し、間接コンバージョン件数は、約 12倍。初来訪から商品購入までに検討期間を要する商材であることから、妥当な比率だといえます。

続いて、ブランドキーワード検索を抽出

間接コンバージョンの最終接触経路には、「検索」「外部サイト」「メールなどがあります。この中から、検索エンジンでブランドキーワード※3を使って検索して間接コンバージョンに至ったケースのみを抽出すると、間接コンバージョン全体の約 45 %が該当しました。

※3 「ブランドキーワード」とは、会社名、商品名、ブランド名などの、クライアント固有の名詞を指す。

ブランドキーワード検索を抽出したのは、ディスプレイ広告との接触を繰り返すことで、広告クリエイティブ内に含まれるブランドキーワードの認知が高まり、結果的に検索想起されやすくなる(つまりそれがディスプレイ広告による態度変容である)という、今回のクライアント側での定義によるものです。

接触数における、ブランドワード検索傾向

ディスプレイ広告との接触を経て、最後は検索エンジン経由で商品購買に至った間接コンバージョンを精査し、ディスプレイ広告接触回数と検索キーワード傾向に相関関係があるかを調査した結果が以下になります。

  • 接触回数が増えるほど、ブランドキーワード検索が占める比率が上がる。
  • 接触回数が増えるほど、ブランドキーワードの中でも変化が見られた。
    • 接触回数が少ないと、不正確な検索ワードが目立つ。
    • 正しいスペルのアルファベットで検索した顧客のほとんどは、最終接触がリターゲティング広告で、接触回数が高い。

期待どおりの広告接触を経たオーディエンスの検索傾向

キャンペーンにおいて狙う購買ファネルは、次のような形で設計していました(下図参照)。

※4 オーディエンス拡張配信とは、リターゲティング/コンバージョンしたオーディエンスデータを加工し、類似するオーディンスにも配信先を拡げる FreakOut! の独自技術です。
  1. オーディエンス拡張配信※4で広く認知&クリックでランディングページへ誘導
  2. リターゲティング広告によるリマインド効果
  3. ブランドキーワード検索で刈り取り

ブランドキーワード検索による間接コンバージョンのうち、40 %が、この設計通りのファネルを描いて商品購買に至っていました。

逆に残りのブランドキーワード検索による間接コンバージョンは、次のいずれかになります。

  1. 最初からリターゲティングオーディエンスであった
  2. オーディエンス拡張のまま、リターゲティングを飛び越えてブランドキーワード検索をするオーディエンスに育ってしまった

1 については、フリークアウト実施以前からリターゲティングオーディエンスであったことから、既存顧客か、もしくは他社の広告によってすでにコンバージョン直前まで育成されていた可能性が高いと考えられます。いずれにしても、FreakOut! によるコンバージョン貢献度は低いと言えるでしょう。

2 については、慎重な議論を要します。クライアントサイトに一度も来たことがないのに、しっかりとブランドキーワード検索で訪れてコンバージョンしてしまうケースです。もし、ウェブ以外のプロモーションをクライアントが行っていなければ、ディスプレイ広告との接触の繰り返しのみで、検索想起されたことは説明がつきやすいですが、本クライアントにおいては、雑誌などでもプロモーションを行っており、この場合も、FreakOut! によるコンバージョン貢献があったとは言いづらいと考えます。

以上より、設計どおりの購買ファネルを描いて間接コンバージョンに至った場合のみを、一定のコンバージョン貢献があったと見なすこととします。

抽出した間接コンバージョンをどのように評価するか

以上より、貢献があったと見なせるブランドキーワード検索経由の間接コンバージョン件数は、直接コンバージョンに対して、約 2 倍の件数となりました。

しかしながら、ここで単純に

直接 CV 1 + 間接 CV 2 = 3

として、「実は 3倍 も広告効果が良い」といった話にはなりません。間接コンバージョン 1 件あたりの貢献度を、直接コンバージョン 1 件と比べて、どのように評価するかがポイントになってきます。このあたりの議論は、本 Attribution.jp の記事でもありますが、FreakOut! では今のところ、他広告キャンペーンの実施状況や、商品特性といった情報から、クライアントとの打ち合わせのなかで納得感のある数字を決めております。間接コンバージョン 1 件あたりの貢献度は、おおむね 0.5 件程度という評価でしょうか。

算出方法については、今後も議論や技術革新が求められますが、予算配分の最適化を迫られる現場としては、ポイントを与えるべき間接コンバージョン数がわかるだけでも、同じ予算内でより高い成果をあげることに繋がるのではないかと考えております。

次の一手

FreakOut!では、今回の連携を通じ、Google Analytics を利用している企業であれば、自動的に DSP の広告配信レポートと Google Analytics のデータが統合されるようになっています。つまりFreakOut!では、特別な設定をする必要もなく、上述のケースのようなデータをご覧頂くことが可能なのです。

これらのデータを元に、たとえば「検索連動型広告のビッグワード向けの予算をディスプレイ広告に振り返ることで、同予算内での獲得数を伸ばす」といった、他施策も含めた予算最適化を行うことはもちろん、DSP の単価設定や配信ロジック、配信先設定の見直しを行うなど、単純に「媒体を評価する」こと以上の PDCA サイクルを回すことができるようになります※5

※5 今回の場合、間接コンバージョンした顧客は、主に Yahoo! 検索を利用していることがレポートからわかりました(Y!:G = 90:10)。FreakOut! では、リアルタイム入札するオーディエンスがどちらの検索エンジンユーザーかを指定できるので、このようにコンバージョンデータからフィードバックがあると、更にパフォーマンスを改善することが可能です。
◇◇◇

最後に、本事例はディスプレイ広告の態度変容に対する貢献を完全に評価したものではもちろんありません。貢献度を測る方法論は今後さらなるイノベーションが必要です。我々もテクノロジー企業として、理想を追い求めていくことでこそ革新が起こると確信しております。と同時に、企業のマーケティング活動の現場で、リサーチャーの役割に留まらず、今でき得る範囲の、価値のあるソリューションを提供できるよう開発を進めていきたいと思っています。

FreakOut!では、Google Analytics だけでなく、メジャーなアクセス解析ツールとの連携も予定しております。RTB による広告枠の買い付け、また最新のオンラインマーケティングに関するクローズドセミナーも定期的に開催しております。ご関心のある方は info@fout.jp、もしくは 03-6365-5958 までご連絡ください。

株式会社フリークアウト 佐藤 裕介

株式会社フリークアウト
2010 年 10 月創業。RTB(リアルタイム入札)で広告枠の買付を行う国産の専業DSPです。 広告テクノロジー会社でありながら、媒体に設置された広告枠の管理を一切行わず、 自社テクノロジーを広告枠の買付に特化させることで、 事業ミッションをご利用頂く広告主様のROI最大化のみに絞りました。

佐藤 裕介
Google の広告部門、技術系スタートアップへの出資、開発支援を経て株式会社フリークアウトの創業に参画。Twitter ID: usksato

アトリくん

アトリくんの視点DSPによるアトリビューションの取り組みについての報告は日本で初めてではないでしょうか?ユーザの多いGoogle Analyticsとの連携というのも画期的です。検索キーワードとの関連性など、色々見えるので、キャンペーンの設計、予算配分決定に役立ちますね。

この記事は、attribution.jpに掲載されたコンテンツをWeb担の読者向けにピックアップ/再編集してお届けしている。この記事のオリジナルはこちら
国産DSP「FreakOut!」が Google Analytics と連携(2011年7月19日)

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