Webサイトリニューアル特集

“顧客から選ばれる”ためにWebサイトに必要なこと|リニューアルの舞台裏を聞いた ベイジ×トライバルメディアハウス

トライバルメディアハウス×ベイジ:本気のWebサイトリニューアル、どう進めたのか詳しく聞いた(前編)。

マーケティング支援会社トライバルメディアハウスは、2022年8月にコーポレートサイトをリニューアルした。リニューアルを担当したのは、Web制作会社のベイジ。今回のリニューアルは、どのような流れで行われたのか、リニューアルによって何が変わったのか。

トライバルメディアハウス 代表取締役社長 池田紀行氏、ベイジ 代表取締役 枌谷力氏にリニューアルについて語ってもらった。前編では、サイトリニューアルを決めた理由、制作会社の選定理由について聞いていく。後編では、戦略フェーズでの議論の内容、コンテンツの制作方針、リニューアル後の効果について聞いていく。

(左から)ベイジ 代表取締役 枌谷力氏、トライバルメディアハウス 代表取締役社長 池田紀行氏

理想のサイトリニューアルをしたベイジ。何がすごかったのか?

――Twitterで池田さんが、「ベイジさんのサイトリニューアルがすごい!」とおっしゃっていました。そう感じた理由は?

池田

まず、コンテンツの質と量ですね。ベイジのサイトでは、「自社の強み」と「ノウハウ」の発信に徹しています。サイトにまつわる膨大なコンテンツ量と質を提供しつつ、訪問者が欲しい情報を見つけやすい構造になっていて、ベイジのサイトを見た瞬間に凄みを感じました。

ベイジと弊社には共通点があって、コンペが多い業界にいます。営業で押し売りするより、顧客から「ぜひあなたに」と選ばれる企業になるためには「信頼」や「権威」が必要です。ベイジはまさにそれをサイトで体現しています。

枌谷

リニューアル前からコンテンツは大量にありましたが、新たに20万文字の新規コンテンツを用意しました。

ベイジのリニューアルしたサイト
池田

ビジネス書籍が1冊で約7~10万文字ですから、すごい量ですよ。しかも、普遍的な内容から鮮度の高い最前線の情報まで、そこらへんの書籍よりもわかりやすく整理整頓されていて、それが無料で読めるんですから。

――トライバルメディアハウスがサイトをリニューアルをしたきっかけは?

池田

弊社は、SNS運用などのソーシャルメディアマーケティングに強みがあるものの、さまざまなサービスを提供しています。戦略コンサルティング・プロモーション・イベント企画・クリエイティブ制作など多岐にわたりますが、顧客から見ると「サービスは複数あるけど、結局はSNSが強い」という認識になっていました。そういった顧客の認識を変えていきたい。競合でもできることはトライバルメディアハウスのUSP(Unique Selling Proposition、独自の強み)にはならないので、弊社の真のUSPを抜き出して構造化できる、そんな制作パートナーとサイトリニューアルを実施したいと思っていました。

 

トライバルメディアハウスのリニューアルしたサイト

――リニューアルまでにかかった期間はどれくらいですか?

池田

サイトを公開したのが2022年8月。2021年から検討を始めました。ベイジにリニューアルを依頼する前に社内で、「どんなサイトを目指すのか」の議論がまとまらなかったんです。社員数が100名を超え、今後300名規模を目指していくタイミングで、ステークホルダーが増加、誰に何を伝えるべきか明確ではありませんでした。今回は「デザインリニューアル」ではなく「サイト構造を含めたリニューアル」。予算、パートナー企業の選定に半年ほどかかりました。

枌谷

弊社に依頼してもらってからは、1年弱ほどのプロジェクトでした。

一番高価格の会社をパートナーに選定した理由

――いろいろな制作会社がある中で、ベイジを選定した理由は?

池田

弊社は広告代理店を通さず、「クライアントから直接受注すること」を創業当初から大切にしています。そのためには、冒頭でもお話しした通り、「認知」に加えて「信頼や権威」も必要です。これらを獲得するには、コンテンツ発信は欠かせません。サイト、SNS、書籍、講演などさまざまな手段で、「顧客の課題を解決できる」と伝える必要があります。

パートナー選定は、3社に相見積もりを取りましたが、費用が一番高かったベイジに依頼しました。弊社でも、以前からコンテンツの発信をしていましたが、構造的に整理されておらず、体系的に知識が得られるコンテンツ発信はしていませんでした。

一方、ベイジのサイトは、書籍の目次のようにコンテンツが網羅されていて、1記事だけ読んでも価値がありますし、サイト全体で読めばさらに理解が深まる構造です。「うちのサイトもベイジのサイトのようにしたい」それが選定の大きな理由にもなっています。

――やりたいことをやっている先駆者としてベイジにお願いしたんですね。

池田

弊社とベイジには通ずるものがあり、キックオフをしたタイミングで、社員同士の価値観が近いからコミュニケーションが早くて違和感がなく、まるで同じ会社のメンバーのようにスムーズにプロジェクトが進んでいきました。

ベイジにしかできない戦略策定のフェーズ。他と何が違うのか?

――では、具体的なサイトリニューアルの進め方について教えて下さい。

枌谷

サイトリニューアルは、ワークフローを用意しているので、それに則って実施する一般的な進め方です。きれいなデザイン、魅力的な文章、洗練されたビジュアルだけでは、顧客の成功に貢献するサイトにはなりません。まず「戦略フェーズ(2か月)」で、2社のメンバーで、ウェブ以前のビジネスそのものについて議論します。たとえば、「取りたい市場はどこなのか」「強みをどう表現すべきか」などを図式化しながらつめていきます。

ベイジのワークフロー(サイトから画面キャプチャ)
池田

戦略フェーズではサイトの話はなく、「自社は何者か」「誰にどんな価値を提供するのか」「他社と自社の違いはなにか」を議論します。この戦略フェーズがあることがお願いした理由であり、お高い理由でもあります(笑)。

正直、弊社もコンサルティングを提供しているので、「他社にコンサルティングを依頼せずとも自社でできないものか」とも思いました。しかしやってみて、「自社では絶対できない」と悟りました。自分のことは自分が一番よくわかっていないので、客観的な視点で表現することが重要でした。

社員の中にそれぞれのトライバルメディアハウスがあるんです。それを一言で表現するのが難しく、だからといって社長の私が「これがトライバルメディアハウスだ」と言ってしまったら、社員は受け入れざるを得ない。それを第三者のファシリテーションで議論してたどり着くと、みんなスッキリします。ここが外部の会社が入らないとできなかったことですね。

――会社を定義するために、どのように議論を進めていくのでしょうか。

枌谷

ヒアリングのための「戦略カルテ」というものを用意しています。会社、顧客、商材、チャネル、コンテンツという5つの軸で聞き取りしていくと、Webサイトはもとより、そもそもビジネスにおける「課題」や「重要な点」、「不要な点」が浮き彫りになってきます。特にお客さんの中で曖昧なこと、うまく言語化できないことを、突き詰めてヒアリングしていきます。こうするなかで、自然とウェブ戦略の有益な議論になっていきます。この戦略カルテを使った戦略フェーズの取り組みは、自社のWebサイトでコンテンツとして公開しています。

池田

戦略カルテまで公開するんですよ、すごいですよね。普通は、自分が開発したおいしいレシピは公開したくないと思うでしょう。しかし、レシピを見ただけで他人が真似できるものは、価値ではありません。知っていることに価値はなく、やれることに価値があるんです。もしかしたら、コンサルファームであれば、戦略部分はできるかもしれませんが、彼らにはサイト制作はできないでしょう。

枌谷

仮にコンサル部分だけできる会社はいても、その先のWebサイトに落とし込むことはできないでしょうし、一方でWeb制作会社では、この戦略カルテを使いこなせないと思います。一般的に、Web制作会社はお客さんが考えていることを表現することに重きを置き、制作前の前段を考えるのはお客さんの役割だと考えています。そのため、制作の前に戦略部分をやるという会社が、皆無ではありませんが、数としては極めて少ないのが実状です。逆にいえば、ベイジは、戦略と制作を分けたら価値が薄れてしまいます(笑)。

池田

ベイジの社員は、全員マーケティング思考を持っているんです。デザイナーもライターもコンサルタントも。たとえば、「きれいに発信する」よりも「なぜ発信するのか」という視点で進んでいくんです。

枌谷

池田さんの目から見てそう見えるのは、もしかすると社内の日々のコミュニケーションで、「あなたはなぜそう思うのか」をよく聞いているからかもしれませんね。

前編はここまで。後編(3/15公開)は、戦略フェーズでどういったことを議論したのか、さらにコンテンツをどのように制作していったのか、さらにはリニューアル後の効果について迫っていく。

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