【レポート】Web担当者Forumミーティング 2022 秋

「顧客に刺さる広告プランニング」を支えるサイバーエージェントのデータ分析手法とは

顧客に選ばれための「刺さるプランニング」とそのために必要なデータ分析手法をサイバーエージェントが解説する。
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デジタル広告におけるクライアントワークで、もっとも大事なフェーズが「運用」だ。ここで顧客に選ばれ、信頼を獲得するプランニングを行うことがマーケターの腕の見せ所といえる。

Web担当者Forumミーティング 2022 秋」には、サイバーエージェントの土屋氏とヴァリューズの榊氏(モデレーター)が登壇。リフォーム業界4社の事例をもとに、勘や経験に頼らないデータを活用した顧客志向のプランニング術について話し合った。

(左)ヴァリューズ 榊 規宇 氏(右)サイバーエージェント 土屋 健治 氏
(左)株式会社ヴァリューズ データマーケティング局 コンサルティングG マネジャー マーケティングコンサルタント 榊 規宇 氏
(右)株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部 第一本部 シニアアカウントプランナー 土屋 健治 氏

クライアントワークに重要な「運用フェーズ」とそこで求められる情報

サイバーエージェントの土屋氏は「クライアントワークは3つのフェーズがある」と切り出した。

  1. 新規アプローチ
  2. 提案
  3. 運用

特にインターネット広告においては成果が数値で現れるので、PDCAサイクルを回して改善していく「運用」のフェーズで信頼を得ることがもっとも重要だ(土屋氏)

そして、運用フェーズでは、広告効果の要因分析に必要な情報として、次の3項目を広告主から求められることがあるという。

  • 要因1:自社の運用の情報
  • 要因2:ユーザー動向の情報
  • 要因3:競合動向の情報

このうち、要因2、要因3は情報が得づらく説明が難しいことから「外的要因を受けやすいインターネット広告の運用において、いかにファクトベースのデータが示せるかが大事」だと土屋氏は述べる。

運用フェーズにおいて広告主が求める情報
運用フェーズにおいて広告主が求める情報

要因2、要因3は自発的に取得しないと得られない情報です。そして、競合動向については広告主側の感覚とあっている、反対にギャップがあるという議論がしやすく、ファクトベースのデータを示すことで納得度の高い議論がしやすくなります(土屋氏)

そのため要因2、要因3のデータ収集・分析に「Dockpit(ドックピット)」を活用しているいう。

  • ユーザー動向のウォッチ(要因2)
  • 競合の集客状況のウォッチ(要因3-1)
  • 競合の広告出稿状況のウォッチ(要因3-2)
  • 競合の顧客獲得状況のウォッチ(要因3-3)

榊氏は、Dockpitについて「ネット上の生活者行動ログデータをもとにデータドリブンな提案を実現していくプランニングツール」だと紹介した。ヴァリューズは国内に250万人のモニターを保有しており「日々、いつ、どこのURLに接触しているかのログ行動を取得している」という。これらのログデータをビッグデータ解析できるのがDockpitだ。

では、実際に土屋氏がDockpitを活用し、ユーザーの動向(要因2)、競合の動向(要因3)ついてどんな分析をしているかを事例ベースで見ていこう。

事例1:ユーザーの動向(要因2)
「ユーザー動向調査」からユーザーニーズを把握

1つ目の事例は、リフォーム業界における「ユーザー動向調査」の事例だ。土屋氏は、Dockpitの利用メリットとして「ユーザー属性別の動向がわかる」点を挙げる。

土屋氏はまず、「リフォーム」というキーワードの2019年7月から2021年8月の検索者数推移を示した。これを見ると、コロナ禍を起点にリフォームの検索ボリュームが増加していることがわかる。

「リフォーム」というキーワードの検索者数推移
「リフォーム」というキーワードの検索者数推移

このケースの広告主はリフォーム業界の企業だが「データで示されているほど、フルリフォームのニーズはそれほど高まっていない」との指摘があり、土屋氏はさらなる要因分析を行った。

続いて、業界各社のサイト訪問者数推移を分析してみると「コロナ禍を起点に20代を中心とした若年層からの流入比率が高まっている」ことがわかった。

従来、リフォーム業界は、ライフスタイルに変化が生じることや、住居の経年劣化に直面することの多い「50代以降の高齢者層がメインターゲットだった」という。しかし、年齢別に整理すると若年層におけるニーズの高まりが見られたのだ。

広告主への説明

そこで、さらなる要因分析を行い、「リフォーム」と、どんなキーワードが掛け合わされて検索されたのかを調べたところ、「外壁」「壁紙」「お風呂」「トイレ」など、フルリフォームではなく、部分的リフォームのニーズが高まっていることがわかった。

コロナ禍で在宅時間が増加したことなどを背景に、20代を中心に部分的なリフォームへのニーズが高まっていることがファクトベースで確認でき、広告主に説明できた(土屋氏)

事例2:競合の動向(要因3-1)
競合の集客状況から施策の要因分析を実施

続いての事例は、「競合の集客状況の要因分析」だ。土屋氏は、Dockpit活用メリットとして「属性別の、チャネルごとの集客状況がわかる」点を挙げた。広告主の競合にあたる、リフォーム業界B社のユーザー数推移(2019年7月から2021年5月)を見ると、2020年4月以降アクセス数が伸びていた。

競合の集客状況の要因分析。B社におけるユーザー数推移を計測
競合の集客状況の要因分析。B社におけるユーザー数推移を計測

土屋氏が流入の内訳を見ると、自然検索集客数は、もともと3万件弱だったものが2020年4月以降は10万件を超えており「自然検索の割合が高まっている」ことがわかった。

そこで、自然検索経由の年代推移を見てみると、「40代~50代の獲得に成功している」ことがデータから確認できた。

具体的にどんなキーワードで流入しているのだろうか。Dockpitでは、自然検索流入キーワードのランキングやリンク先が一覧で確認できる。これによると「鏡 掃除」などのキーワード検索からオウンドメディアのコンテンツに流入しており「住まいに関するコンテンツを用意して、それに関連するキーワードで集客できている」ことがわかった。

広告主への説明

40代~50代が検索するキーワードでオウンドメディアへの集客に成功していることから、土屋氏は「今後は、オウンドメディアのコンテンツを、さらに住まいに近いカテゴリーで強化していくのか、あるいは、今回得られた40代~50代の接点をもとに、別のアプローチで顧客にしていくのか、いずれにせよデジタル接点を獲得する施策としてオウンドメディアが機能していると説明した」という。

このように、「競合のオウンドメディア施策の要因分析から、ターゲット属性の集客に結びつけていることがデータから確認できた」と土屋氏は説明した。

事例3:競合の動向(要因3-2)
競合の広告出稿状況から「次の戦略」を分析

続いては、競合の広告出稿状況の要因分析の事例だ。土屋氏は、「Dockpitは、細かい広告種別ごとの流入がわかるため、競合の想定広告予算を試算することができる」点をメリットに挙げる。

リフォーム業界の競合D社のユーザー数推移(2019年7月~2021年6月)を見ると、2020年の4月あたりからアクセス数が伸びている。この要因はについて分析を行ったのだ。

競合の広告出稿状況のウォッチ
競合の広告出稿状況のウォッチ

内訳を見ると、ピーク時はディスプレイ広告のDSP(広告配信プラットフォーム)への出稿が大きく伸びていることがわかった。

そこで、さらに競合4社の「ディスプレイ広告経由のサイトへの集客数」「リスティング広告経由の集客数」を分析。各社の流入数に業界で平均的とされるCPC(クリック単価)を掛け合わせることで、想定される広告費用(予算)を推計できた。

広告主への説明

榊氏から「要因分析で競合の広告費を想定することで、他社の出稿量を見つつ、時期、目的に応じて予算の最適な配分を広告主に提案しているのか」を問われた土屋氏は、「広告主への説明は主に2つあり、1つは過去の実績から次の戦略を立案すること、もう1つは(自動入札のため)自社の入札価格に動きがあったときに、他社はどうしているかの分析に活用できる」と説明した。

このように、競合のユーザー数推移から広告出稿状況をウォッチすることで「競合はDSPへの出稿を強化していたが、もともとスポットでの実施か、あるいは効果が芳しくないためか、いずれにせよ短期で終了したことが推測できた」と土屋氏は話した。そして、競合の想定広告費を毎月トラッキングしていけば「例年の広告強化タイミングなど把握も可能になる」ということだ。

事例4:競合の動向(要因3-3)
競合の獲得状況から自社の増減の「要因の切り分け」を行う

4つ目は「競合の獲得状況のウォッチ」の事例だ。土屋氏は「Dockpitを活用することにより、URLベースで調査できるため、競合の獲得数推移がわかる」とメリットを語る。

リフォーム業界の競合4社について、獲得数(CV数)の推移(2021年9月から2022年8月)を見ると、A社のCV数が2022年2月から3月のタイミングで増加傾向にあることがわかった。

競合の獲得状況のウォッチ
競合4社の獲得状況(CV数)のウォッチ

そこで、土屋氏はコンバージョン率(CVR)の推移を見ることにした。

たとえば、CVRの推移を見て、CVRが変わっていないのにCV数が増えたのであれば、すなわち広告費をたくさん投じて獲得数を増やしたのではないかとの仮説が立ちます。一方、CVRがある時期に増加しているのであれば、その時期にキャンペーン施策などを実施したことでCVRが増加したと想定できます(土屋氏)

広告主への説明

榊氏から「各社の獲得状況の推移は、どの程度の頻度で確認しているのか」と問われた土屋氏は「獲得状況のデータは毎週などの短期間だとかだとあまり参考にならない」とし、「多くて月1回、あるいは四半期などのタイミングで報告することが多い」と話した。

このように、「自社の獲得状況に増減があったとき、それが競合も含めた全体的な動きなのか、自社のみの動きなのか要因を切り分けることができる」と、土屋氏は競合の獲得情報を切り口とした分析の有用さについて言及した。

運用フェーズでの信頼獲得は「ファクト」で語ること

最後に、土屋氏は「圧倒的に顧客と会話する時間が長い運用フェーズで、いかに信頼を得られるかが重要だ」とし、信頼獲得に有益なのは「マーケット動向」「競合動向」の提供であるとした。そして、それらの情報を「Webログ」と「属性」をベースとしたファクトで語れることがマーケターとして大事になってくると締めくくった。

そして、榊氏は、Dockpitには「フリー版で無料で使える機能もあるので、関心がある機能があればぜひ使ってみて欲しい」と呼びかけた。

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