企業担当者に聞くFacebook&Twitter運用の現場
現役大学生がソーシャルメディアを企画・運営、ユーザー目線のメッセージと徹底した分析評価で会員獲得へ/トモノカイ

3つのTwitterアカウントと2つのFacebookページを運営、双方向コミュニケーションで会員獲得へつなげる
企業担当者に聞くFacebook&Twitter運用

大学生スタッフに必ず行っていることは、企画をあげてもらったときに必ず、「それは楽しい? 自分ならリツイートしたい?」と確認することです。自分が楽しければ、同じ立場の大学生も楽しいはずです。仮に失敗しても、チャレンジして取り戻せばいい、というスタンスで任せています。

上司から「やりなさい」と言われたことではなく、自分で考えたことができるから、期待以上の結果を出したいと思いますし、パフォーマンスも伸びるのではないかと思っています。

株式会社トモノカイ
http://www.tomonokai.net/e/

塾講師紹介、家庭教師紹介を中心に教育分野で事業を行う株式会社トモノカイ。2013年2月には大学生をターゲットにした「t-news Web」というメディア事業を開始し、ソーシャルメディアでは主に3つのTwitterアカウント、2つのFacebookページを運用している。

実はTwitterとFacebookページの運用を主に行っているのはアルバイトの大学生スタッフで、現場の裁量に任せ、企画から効果測定まで行っている。今回取材に応じてくれたのは、同社事業創造戦略室の北野博俊氏と柄川愛氏の2人。柄川氏は、慶應義塾大学に通う現役大学2年生で、同社のソーシャルメディアアカウントのうち、特に活発に運用されている2つのTwitterアカウントの企画、運用、分析・評価までを担当している。

アカウント情報は2014年1月末時点の内容
t-news|大学生のためのお役立ち情報(@tnews_tomonokai)
  • 運用開始時期:2012年10月
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大学生活や就活についての先輩の声、首都圏の家庭教師・塾講師・試験監督などのバイト情報など、大学生の「今と未来のセカイを広げる」情報を配信します!新大学1年生向け情報も多数!株式会社トモノカイの、現役大学生「あいあい」と「ゆーや」がつぶやきます。

T-news(家庭教師/塾講師/試験監督アルバイト/就活情報)
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株式会社トモノカイが運営する大学生向け総合情報サイト「t-news web」のfacebookページです。http://www.tnews.jp/

Twitter活用の目的
双方向コミュニケーションとクチコミしやすいフィールド作り

――ソーシャルメディアを活用し始めたきっかけを教えて下さい

株式会社トモノカイ
事業創造戦略室
学生メディアセクション
北野 博俊氏

北野 当社では、家庭教師紹介、塾講師紹介を主な事業としていますが、企業のミッションとして「次の時代の価値を創造する人材の排出」を掲げており、アルバイトや様々なコンテンツを通じていろいろな知識を得て、また様々な経験をして成長してほしいという願いがあります。

しかし、教育事業は今大きな転換期にあり、これまでの塾講師、家庭教師だけではたちゆかなくなってきています。そこで10年先を見据え、新しい教育事業戦略として「t-news Web」というメディアを2013年に開始しました。t-news Webは大学生向けのメディアで、大学生活を送るにあたって役に立つ情報、成長につながる情報を配信することを目指しています。

これまで、家庭教師や塾講師の求人情報などはメルマガだけで配信していました。しかし、メルマガは一方向の情報配信しかできないことが課題でした。大学生が今どういう情報を必要としているのか、何を考えているのか、ということが見えないので限界を感じていたのです。

また、新規会員を集めるのはチラシやリスティング広告、SEOなど、費用がかかるペイドメディアばかりでした。ところが、実際には会員になるきっかけはクチコミが多かったため、クチコミが生まれやすいフィールドを作ったほうがいいと考えました。

この2つの課題を解決するための手法としてソーシャルメディアが必要ということからTwitter、Facebookの運用を検討しました。運用にあたって考えたのがいわゆるR3コミュニケーションモデル(Relevance:自分事化、Relationship:関係構築、Reputation:評判形成)で、貢献できる情報を発信して、共有でき、ともに育てていく体制を作っていきたいということでした。

これまで、一方向の情報配信しかできていないのが課題でしたが、 貢献できる情報を発信して、共有し、ともに育てていく体制を作っていきたい。

目的とターゲットの異なるアカウントを現役大学生が運用

――主に3つのTwitterのアカウントを活用されているそうですが、どのような使い分けをしていますか。

北野 1つ目は「t-news|大学生のためのお役立ち情報」で、2012年10月から開始しています。こちらは、t-news Webのコンテンツ配信や、タイムリーなお役立ち情報を配信しています。

2つ目が『大学へのすゝめ』で、ターゲットは中高生です。このアカウントでは、東大・早慶生が語る勉強法や大学生活を中心にツイートしています。この2つのアカウントを学生スタッフの柄川が担当しています。

あとは、教員を目指す人のための採用試験対策や教育ニュースを配信する『教員ステーション|教員採用試験対策』があります。これらはすべて大学生が運用しています。

先輩が後輩を徹底的に育てる! これがトモノカイの伝統

――社員ではなく、大学生スタッフが運用されているということですが、その決断に至った経緯はどういったものですか。

北野 トモノカイは、そもそも大学のサークルからスタートした会社です。以前から大学生スタッフもパートナーとして位置づけ、社会人と同じような裁量を持ち一緒に事業を運用してきました。ですから、Twitterの運用をまかせるというのも、自然な流れです。

トモノカイは、大学生が社会に出るまでの道場みたいなもので、社会人である正社員も一緒に学びながら教えられることを教え、大学生に成長していってもらう場所です。

また伝統として続いているのが、新入生が入ると先輩の学生が仕事やノウハウを徹底的に教えこんでいくということです。この結果、数か月後には一般の新卒2~3年目の社会人よりもパフォーマンスを出せるようになります。

――ノウハウの引き継ぎは問題なく行われているようですね。

北野 2013年からは、メンター制度を取り入れて、先輩が後輩の悩みを聞いてアドバイスする、さらに社会人スタッフにも相談してどのように教え、また支えていくかをフィードバックしながら進めていくという仕組みも始めました。

運用体制
大学生活に役立つ情報と速報性の高い情報のバランス

――Twitterの運用担当者はどのような形で決められたのですか。

北野 メルマガでソーシャルメディア運用担当者の求人を出し、その応募者のなかから選びました。最初から、ソーシャルメディア運用担当ということで選んでいるので、柄川は塾講師や家庭教師の業務は行っていません。1年生のときから携わっているので、担当してから約1年になります。

――投稿内容は編集会議などで決めているのでしょうか。

柄川 愛氏

柄川 t-news Webのサイトに情報がたくさんあるので、その時々でそこから記事を選んで、読みたくなるような文章を考えてリンクを紹介しています。また、外部のサイトでも、大学生が興味を持つようなコンテンツがあれば紹介しています。t-news Webとそれ以外のコンテンツの割合は8:2くらいですね。

北野 編集会議とまではいきませんが、毎週のミーティングで方針を話し合っています。その他のコンテンツとしては、大学生にとって知っておいたほうがいいタイムリーなニュース、情報があります。

たとえば、2013年7月に「経団連が『採用選考に関する企業の倫理憲章』の見直しを発表して、現在の大学2年生の選考開始は8月からと大幅に後ろ倒しになりました。」ということを経団連が発表した直後ツイートしたり、おもしろいコンテンツとしては、ゲリラ豪雨の話題のときに、降雨情報を3分ごとに画像化してツイートしました。隅田川花火のときなども、「何分後に豪雨が花火会場周辺にいくから気をつけて!」というツイートをするなど、週次のミーティングでは決めてないこともツイートしたりしています。

どういった内容であれば即ツイートしていいかどうかは決めており、即効性のあるツイートができるような体制をとっています。両方ともリツイートの数がとても多くものすごく拡散しました。他の企業のアカウントを調べてみると、2~3割くらい遊びの部分があるので、バランスを参考にしながらその時々の世の中のトレンドと大学生の興味関心を調べつつツイートしています。

クレームも真摯に対応することでファンに変える

――運用にあたって、始めからガイドラインなどの整備はしていましたか。

北野 開始前にざっくりと、ツイートしない時間、ツイートしないキーワードといった基本ルールを決めました。たとえば、ディスる(否定的な)キーワードは絶対に使わないというルールがあります。そういったキーワードのツイートは盛り上がるかもしれないのですが、それは瞬間的なものであって、結果として不快に感じる人や傷つく人がいるかもしれない。トモノカイのビジョンと照らし合わせて、あわない内容は使わないようにしています。後は、日々の運用のなかで、付け加えながら改善していっています。

柄川 「やらないこと」という基本的なルールは社会人スタッフと話し合いながら決めましたが、実際にどういうことをツイートするかという各アカウントのブランディングなども、学生で企画しながら作っていきました。

――炎上などの心配はありませんでしたか。

北野 運用を開始して最初のころは「こんなクレームきちゃいました」と泣きそうな様子で報告に来たこともありました。だけど、クレームや苦情などがきても、きちんと返事をして対応していくことで、最後は「ありがとうございます」というように、ファン化して終わることがほとんどです。人間同士なので相容れないことがあっても、落とし所を探りながらコミュニケーションを続けていくことで、理解を得られることはあると思います。

効果測定
学生が自ら作ったKPI評価のためのExcelシート

――Twitterの運用ではどのくらい時間をかけていますか。

柄川 月に60時間ほどですね。毎日、1時間半くらいでツイートを作ること、返信をすることに加えて、ツイートの効果分析をして、次にどうつなげて改善していくかということを検証しています。また週に1回、ソーシャルメディアチームでミーティングをしていて、前の週の振り返りをやっています。

――効果測定まで柄川さんがやっているんですか。

柄川 管理ツールの「つぶやきデスク」から、CSVデータをダウンロードして、自分たちで作成したExcelの評価シートのカテゴリごとに落とし込み、KPIとしてクリック数、リツイート数を評価しています。

――ツールの効果測定機能もあると思いますが。

柄川 つぶやきデスクでは、投稿ごとのクリック数、リツイート数はわかりますが、それがどんな内容のツイートなのかというカテゴリまではわからないので、自分たちでツイートを投稿内容から分類してカテゴリごとの数値を分析しています。

たとえば、毎週このカテゴリはどれくらいリツイートされたか、クリックされたか、先週とどう変わったかを見ています。クリックではどの話題に興味・関心があるのか、メルマガへの登録につながったかを評価し、リツイートではクチコミでどれくらい情報が広がったかを評価しています。

ツールとExcelを併用してソーシャルメディアの効果を分析

――かなり詳細な分析シートですね。自分たちで作成したのですか。

北野 社内で作成されたひな形を学生スタッフ同士で共有して、それをさらに改良して現在の形になりました。大学生の興味や関心は、月ごとに、早ければ週でトレンドが変わります。就活時期、休みの前後で話題がガラッと変わるので、その傾向を見ながら、次の週の企画を考えていきます。

――ツールを選ぶときのポイントはどこにありましたか。

北野 Twitterを2011年10月に始めてから、フリーのサービスも含めてあらゆる管理系のサービスを試してみました。そのなかで一番パフォーマンスがよくて、CSVダウンロードができる点でつぶやきデスクを選びました。また、無料のサービスはTwitter側のAPI仕様変更などに対応できずに使えなくなるものもあったので、仕様変更への対応が早いつぶやきデスクは安心して利用できます。

柄川 つぶやきデスクは、CSVダウンロードでデータを取得できるので自分たちのやりやすいような分析ができることに加えて、ツール側でフォロワー推移、他社との比較分析ができるので、そこは毎週チェックしています。また、つぶやきデスクの「未読のツイート」を見て、返信したかどうかを確認しています。わざわざ、ツイートをさかのぼって探さなくてもいいので助かっています。

新規会員登録の15%はTwitter経由

――Twitter経由の会員登録数などはどれくらいあるのでしょうか。

北野 2013年上期の場合では、新規会員登録者のうち、15%がTwitter経由での申し込みでした。以前から、自分の周囲に積極的に紹介してくれる学生が現れることがあるのですが、Twitterでも紹介してくれている人が何人かいて、そこからの流入が多かったです。

これまでは、ペイドメディアからの会員登録がほとんどでしたが、ソーシャルメディア経由も増えたことで、うまくいっているという実感があります。メルマガ配信数は現在3万7千通ほどですので、2014年は7万通を目標にしています。

Twitterを運用するメリットとして、反応をすぐに見ることができるのは大きいです。たとえば、以前であればメルマガで配信した求人情報のリンクを間違った場合、翌日になって応募がないためリンクミスに気づくということがありました。Twitterでは、数分後に「リンクが切れているよ」というようなユーザーのつぶやきやリプライをいただけるので、即わかることがあります。

また、日々の運用のなかで、今の大学生が何を考えているのかという動向もつかめるようになりました。

コミュニケーションを主眼に半年間で1万フォロワーを達成

――Twitter開始当初、フォロワーはどうやって増やしましたか。また目標値などはありましたか。

柄川 最初は、大学生のアカウントをこちらからフォローして、フォローを返してもらっていました。ある程度のフォロワー数に達した後は、リツイートでどんどん広まり、フォロワーも増えていくようになりました。運用の目標として、開始から半年で1万フォロワーというのがあり、ぎりぎり達成しています。

――かなり苦労されたのでしょうか。

北野 ラスト1か月で「達成できそうにないです」という報告があったのですが、この目標を達成することを考えて実行するプロセスを経験することで、柄川自身が成長できることは過去の学生スタッフを見てきた経験からわかっていたので、私から具体論はあまり出さずアドバイスをして自分で方法を考えてもらいました。

柄川 施策としては、過去のツイートの結果を分析し、リツイートが多く発生しているツイートと同傾向のものを多くツイートして、フォロワーを増やしました。そのときは、1日50人ペースでフォロワーが増えていきました。

北野 他社と比較すると金銭をからめたキャンペーンは圧倒的に少ないです。それは金銭をからめたキャンペーンだと、「金銭が目的」になってしまい、後々反応が悪くなるからです。ソーシャルメディアを始めたのは、コミュニケーションを取ることが目的でしたから、コミュニケーションを主眼に、どうしたら振り向いてもらえるかに注力して運用してきました。

ソーシャルメディアの目的はコミュニケーション。
どうしたら振り向いてもらえるかに注力して運用してきました。

――その他、これまでどんな投稿に反応がありましたか。

柄川 学祭シーズン中に主要な大学の学園祭スケジュールをツイートしたら、1000以上のリツイートがありました。

他のアカウントでは1万リツイートを超えたものもあります。それは、数学の計算式のクイズだったのですが、フォローしているユーザーは大学生が多いので、方針として彼らに響くコンテンツ、参加したくなる内容を考えてツイートしました。

北野 春ごろには、大学生とお酒との付き合い方に関するt-news Webの記事にとても多くの反響がありました。毎年、新入生の飲酒事故があり、この課題を解決しないといけないと感じていましたので、「上手なお酒の断り方」をテーマにした記事をツイートしたところ、たくさんのリツイートがあり、これは今でも多く読まれている記事の1つで、ツイッターでも毎回多くの反応があります。

Facebookは大学3~4年生向けの話題が中心に

――Facebookページはどのような運用をしていますか。

T-news
教員ステーション

北野 Facebookページは、「T-news(家庭教師/塾講師/試験監督アルバイト/就活情報)」と「教員ステーション|教員志望の学生のための情報ポータル」の2つを運用しており、こちらは別の大学生が運用しています。

「T-news」は現状、大学1~2年生が主に利用していて、この層はFacebookを使っている割合が少ないので、反応が少ないのが現実です。一方の「教員ステーション」は、3~4年生を対象にしているので反応はあります。これは、Facebookの特性だと思っています。

担当者自身が楽しめているか、自社の隠れたコンテンツを探して発信

――今後はどのような展開を考えていますか。

北野 基本的には、今と同じで会社としてのビジョンに基づきながら、会員との密なコミュニケーションをさらに伸ばしていきたいです。今は首都圏が中心なので、次年度は関西圏も含めて展開していきたいと考えており、Twitterの活用が鍵になりそうです。

柄川 Twitterでは、ツイートに画像や動画が表示されるようになったので、写真、動画を付けたツイートを増やして反応を上げていきたいです。

――これまでの経験で得た、ソーシャルメディアを運用するコツを教えてください。

北野 まずは徹底的にKPIを自分たちの目的と照らし合わせ、評価しながら運用することですね。他の会社の方から相談を受けることもあるのですが、みなさん自社の持っているコンテンツの魅力や、そのコンテンツのどこにユーザーが興味関心を抱いているのか気づいていないことがあります。自分たちにとっては当たり前のことでも、発信してみると意外と知られていなかったりすることがよくあります。自社のコンテンツの隠れた魅力を、KPIを見ながら探っていくことが重要だと思います。

弊社では大学生に企画立案・運用を任せていますが、必ず行っていることがあります。それは企画をあげてもらったときに必ず、「それは楽しい? 自分ならリツイートしたい?」と確認することです。自分が楽しければ、同じ立場の大学生も楽しいはずだし、仮に信じてやったことが失敗しも、またチャレンジして取り戻し、その反省を踏まえて伸ばせばいい、というスタンスで任せています。

柄川 企画をゼロから任せてもらえる仕事は、他のアルバイトやインターンでもなかなか経験できないのでやりがいを感じています。上司から「やりなさい」と言われたことではなく、自分で考えたことができるから、期待以上の結果を出したいと思いますし、パフォーマンスも伸びるのではないかと思っています。

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