Web解析のためのKPI大全

サポートサイト向けKP | KPI大全 第4章-4

重要な指標が若干違うがゆえに、私はサポートサイトを他の類型のサイトと分けて扱っている。

The Big Book of Key Performance Indicators
By Eric T. PetersonWeb解析のためのKPI大全
エリック・T・ピーターソン 著
株式会社デジタルフォレスト 訳

サポートサイト向けKPI

純粋なサポートサイトというのは稀な存在であり、企業向けソフトウェアの最も高度なものに関してのみ存在するのだと、私より賢い人々が繰り返し指摘している。とはいえ、たいていの場合、カスタマーサポートというのは、オンラインショップやVisionalist、Google Analyticsのようなオンラインアプリケーションの1つの補助機能である(図18)。

図18 Visionalistのサポートサイト
図18 Visionalistのサポートサイト。FAQ、オンラインマニュアル、補助ツールのダウンロードページなどがある。

頭の良い仲間たちの意見に反対するわけではないが、重要な指標が若干違うがゆえに、私はサポートサイトを他の類型のサイトと分けて扱っている。すでに述べたことだが、以下に述べるKPIをすべてレポートに盛り込まなければならないわけではない。会社が集中している対象に適した指標を厳選し、サポート責任者に直接報告することが望ましい。

補助機能としてのカスタマーサポートの分析に関して、注意するべき重要なこと ―― いくつかのオンラインショップでは、カスタマーサポート目的の訪問者を、その他の訪問者から敢えてセグメントを分けていることがある。サポート目的の訪問者はたいていすでに商品の購入者であり、したがって再び購入する可能性は低い、という理屈である。これらの訪問者をセグメンテーションすることができれば、サポートコンテンツを閲覧した人は誰でも、基本的にこのようにセグメンテーションしたいと思うかもしれない。とはいえ、本書に登場する、個々の訪問者セグメントについてのKPIを計測するのに、必要な計測値をすべて提供できるのは、相当高度なアクセス解析ツールに限られる。さらに、リピート購入者こそリピート購入率が高いということを知っていれば、これらの訪問者を全体から除外してしまうのは、収入やコンバージョンに関する指標の精度を下げてしまうことに気がつくだろう。このようなセグメンテーションでの解析が可能かどうかを、まずアクセス解析ベンダーと相談すると同時に、解析からこれらの訪問者を除外することの影響について、慎重に考えてみよう。

経営層向け

サポートサイトの経営層には、以下の指標を勧める。問い合わせに対する平均反応時間購入者満足度分布新規対リピート購入者率

  • 問い合わせに対する平均反応時間

    顧客にとっては、質問に答えが返ってこないことが最大のストレスなので、反応時間をまだ計測していないのならば、今すぐに計測を始めることを強く勧める。親切なサポートサイトでは、顧客のタイプ(たとえば「プラチナ」「ゴールド」「シルバー」といった階層)ごとに異なる、似たようなKPIを経営層がすでに見ていることが多い。購入者満足度を計測しているとき、スタッフの反応時間を最小化できているのであれば、このようなタイプのKPIを計測し始めることには、十分な報酬を与えてもいい。

  • 購入者満足度分布(顧客満足度が高い比率、低い比率)

    ある顧客に1つ商品を売ったら、即座に次の見込み客に重点を移す、少なくともアップグレードの時期が来るまではそうする、というのが、いくつかの企業が伝統的に取ってきた行動指針であった。インターネットの普及と、質の低い体験をみんなが知ることができるような消費者が作りだすコンテンツの急増のおかげで、このような企業がもはやビジネスの世界に残っていないことは、好ましいことだ。この事実を知っているので、企業はすばらしいカスタマーサポートを提供しなければならなくなった。購入者満足度分布を計測しておくことで、カスタマーサポートを担当する部署に、質の高い仕事をするように常にプレッシャーをかけることができる。

  • 新規対リピート購入者率

    サポートサイトが新規対リピート購入者率を計測することは、緊急の問題が発生していないかチェックするのに有効である。たとえば、何かしらの商品を1トン販売し、配送したとして、その後新規購入者率が急増していたら、その商品に関して、サポートサイトに頼らざるを得ないような、何かしらの問題があったのではないかと疑ってみるべきである。逆にリピート購入者率のほうが高止まりしていたら、商品が使いにくい、あるいは問題が何度も繰り返し起きているなどの状況が考えられる。

中間管理職層向け

サポートサイトの中間マネージャーは、訪問者・購入者が必要な情報をうまく見つけられているかどうかと、彼らの構成を把握するために、以下の指標を勧める。情報発見コンバージョン率検索利用率商品名・商品種別ごとの訪問者分布

  • 情報発見コンバージョン率

    この指標は、サイトの中にある、よくある質問の「回答」と定義されたページに、何割の訪問者がたどり着いているかを理解するためのものである。たいていこの種の情報は、FAQ文書やナレッジアプリケーションに含まれる(図19)。

    図19 VisionalistのFAQリスト
    図19 VisionalistのFAQリスト。質問への回答に対するアクセスは、情報を「発見した」というコンバージョンイベントとしてカウントされる。

    このKPIを使うにあたって起こりやすい問題は、訪問者が本当に満足のいく答えを得られたかどうかの判定に労力をかけすぎてしまうことである。特に、ほとんどの訪問者のクリックストリームを見ていくと、このような答えのページはかなりの量見られているために、そうなりやすい。私ができる最善の助言は、情報発見コンバージョン率を用いて、個々の訪問が本当に情報に到達したと判断すること、そして購入者満足度の指標と比較することで、その答えが助けとなるものであったかどうかを判断することである。サポートサイトであるにもかかわらず、この指標の値が低ければ、明らかにどこか問題があるということである。

  • 検索利用率

    サポートサイトの多くは、検索を前提として設計されているので、訪問者がどのくらい検索機能を利用しているかは、注意深く観察する必要がある。問題があるのに解決策をどこで得られるのかわからない、というのが最もいらいらする状況である。特に、問い合わせ窓口に電話をかけて長い間待たされた後や、サポートに追加料金が必要なときなどはなおさらである。中間管理職層は、サイトの検索利用率を注意深く見て、問題点が増えて値が上昇していないかどうかをチェックしよう。また、検索回数が上昇しているとき、コールセンターの処理量を参照して、検索に関する問題と、電話サポートのコストに相関があるかどうか調べることも有効である。

  • 特定セグメントの訪問率

    サポート対象の商品や商品ラインが複数ある場合、その商品のタイプごとに訪問者をセグメントに分け、オンラインサポートのニーズに変化があるかどうかを観察する必要がある。サイトにログインをする必要があったり、購入者が買った商品を特定できたりすれば、その情報を用いてセグメンテーションできる。そうでなければ、ページごとに商品カテゴリを割り当て、閲覧ページに応じて訪問者を各セグメントに割り当てるようにしよう。本書で議論しているセグメンテーション戦略と同様、原則としてアクセス解析ベンダーと相談しながら、仕様を決めていったほうが良い。

実務担当者向け

サポートサイトの実務担当者は、全体像の把握とともにディテールの分析にも挑戦するべきである。経営層・中間管理職層向け指標に加え、以下の指標を勧める。クリック深度分布結果0件検索率・成果なし検索率検索結果ページ離脱率フォーム完了率ダウンロード完了率(該当する場合のみ)。

  • クリック深度分布

    理想的な状況では、大多数の訪問者は、問題を解決するのに絶対必要なページだけを閲覧する。しかし現実ではそうはいかない。高クリック訪問率・中クリック訪問率が高い場合、訪問者が情報を見つけられていない可能性がある。逆に、低クリック訪問率が高ければ、サイトがうまくできていて迅速に解答にたどりつけているか、あるいはサイトにある情報をまったく活用せずに、コストのかかる電話問い合わせ窓口の番号を控えて出て行ってしまったかである。クリック深度を情報発見コンバージョン率及び電話問い合わせ窓口の処理量と連動させることで、クリック深度とサポート・ソリューションの関係を発見しよう。

  • 結果0件検索率と成果なし検索率

    実務担当者はこれら2つの指標に着目し、アクセス解析ツールか検索アプリケーションを使って、どのような種類の情報が検索されているかを観察し、顧客が問題解決に必要な情報を発見できていないという緊急事態に対処しよう。これらのレポートは煩雑なものになりがちだが、適切なフィルタを通すことで、検索されている情報に何かしらのパターンを見出せるかも知れず、それが図19に示したような「トップ25の記事」リストを作る際などに役立つ。

  • 検索結果ページ離脱率

    顧客が検索結果ページからどのくらいの頻度で離脱してしまうかを知ることは、検索機能全体の効率性を把握するのに有効である。この指標の定義のところで書いたように、この値は限りなく0に近く低いことが望ましい。値が高いということは、訪問者が情報を探そうと試みて、そのまま諦めてしまったということである。諦めた顧客が、直接電話をしてくるならまだ望みはあるが、最悪のケースでは、サポートがいかに悪いかをblogに書き付けて、あなたの商品を買わないように勧めるかもしれない。アクセス解析ツールが強力なセグメンテーション機能を備えていれば、訪問者が何回検索をして、答えを得られず、代わりに「連絡先」のページを開いて、企業にとってコストのかかるサポート窓口に電話をしようとしたかを把握してみよう。

  • フォーム完了率

    驚くべきことに、コンテンツにアクセスするために必要なフォームを適切に記入することができないというのは、訪問者が直面しがちなよくある問題である。商品や商品カテゴリを特定するために、フォームの使用を要求しているのならば、フォーム完了率を計測することで、サポートを必要としている訪問者が、情報を読み始める以前に立ち往生していないかどうか確認しよう。

  • ダウンロード完了率

    サイトに何かダウンロードできる文書、アップデートファイル、ドライバなどがあるならば、ダウンロード完了率を計測すべきである。これらの文書がどの程度重要なものかにもよるが、経営層や中間管理職層に、主要な指標を提供したいと思うかもしれない。そのため、実務担当者は、ダウンロード可能なコンテンツの量に応じてダウンロードのカテゴリか個々のファイル単位のどちらかに注目すべきである。

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