ネットマーケティング業界の闇
ECサイトにバレないように工夫を凝らす悪質アフィリエイターたちの手口

ネットマーケティング業界の“闇”

アフィリエイターの提携申請許可の重要性に関してはすでにこの連載で述べたが、それだけで安心してはいけない。あの手この手で不正にコミッション(成果報酬)を得ようとする悪質なアフィリエイターの手口を引き続き紹介していこう。

成果確定まで引き延ばす悪知恵

長らくアフィリエイトを管理している、あるECサイトの担当者が、返品の伝票とアフィリエイトのレポートを照合していて、おかしなことに気づいた。すでに締めて報酬を支払った、あるアフィリエイターの成果が大量に返品されていたのだ。通常は、成果を確定したころには、返品が可能な期間が過ぎているはずなのだが、なぜか成果の確定後に返品されているのだ。

一般的なASPでは、アフィリエイトサイトを通して商品が購入されても、すぐに報酬が支払われるわけではない。キャンセルや返品の可能性を考慮して、一定の期間を置いてから売り上げを確定させ、アフィリエイターに報酬を支払う仕組みになっている。売り上げ確定までの期間はASPやマーチャントの締め日などによって異なるが、概ね30日~45日となっているが、これを悪用して不正収入を得る手口があるのだという。

たとえば、自らのアフィリエイトサイトを通して大量の注文を代引きで行う。郵便局に不在届けを出しておけば最長1か月まで保管してくれるので、ぎりぎりまで引っ張っておいて、代引き商品を受け取らないという手口だ。

また、料金支払い後に発送した場合でも、配達時に不在であり、かつ荷受人が留置期間の延長を申し出た場合は、最初の配達の日から10日は荷物を留め置いてもらえる。その期間ぎりぎりまで引っ張り、さらに会社宛てに一度転送すると、購入から受け取りまで2週間程度かかる。商品到着から8日以内ならば返品可能なことが多いため(到着後30日以内のECサイトもある)、期限ぎりぎりまで引っ張ってから返品するという手口もある。

いずれの場合も、アフィリエイト報酬が確定するまで引っ張った後にキャンセルするという手口だ。購入額がある程度大きければ、返品の送料や振込手数料を払っても、アフィリエイターの手元にお金が残ることになる。

もちろん返品・キャンセルされた商品に対しての報酬支払いを取り消すことは可能だが、その処理はASPではなくマーチャント側が行うことになっているため、見過ごされてしまうケースも多い。マーチャントの業務負担が高い繁忙期をねらってこういった不正を行う悪質な場合もあるという。

返品関連では別の不正の手口もある。靴や服などを複数サイズ注文し、1個を残して残りをすべて返品するというものだ。1点だけでも売り上げが立っているため、報酬のキャンセル処理が見過ごされてしまうというミスを見越した悪質なやり口だ。

ECに潜む不正の手口はさまざま

さらに、自分がアフィリエイト提携しているショップの商品をオークションに出品しておき、注文があった時点で自分のアフィリエイトサイトを通して自分で購入し、コミッションの差額を手にするという巧妙な手口もあるという。

セルフ購入でも成果報酬を認めるマーチャントもあるが、それは、店のファンになってもらい、そのあとも繰り返し購入してもらうことを目的としている場合が多い。しかし、前述のオークションの手口のように、アフィリエイトの報酬を得る人と、実際に商品を購入して使う人が別の場合、その目的も達成できないことになる。

不正の防止はあくまでもチェック

このような手口の悪質なところは、マーチャントが意識的に調査しなければ、不正が行われていることにすら気づかないままになってしまうことだ。となると被害に遭わないためには、運用面での細かなチェックが必須となる。

具体的には、ASPから提供されるアフィリエイトの管理画面から得られるデータと、自ショップの売り上げデータとを突き合わせてチェックするのだ。キャンセルや返品などで実際には売り上げが立っていない取引に対してコミッションが支払われていないかを細かくチェックする必要がある。

また、アクセス解析を利用して、インプレッション数、クリック数とクリック率、成約数と成約率などを、時間帯別や曜日別に日々チェックするのも有効だ。そうしたチェックをしておけば、自社の商材に関するアフィリエイトの動きのパターンがわかるため、何かおかしなことが起きていたら気づくことができるようになる。

多数の企業のアフィリエイト運営アウトソーシング・コンサルティング業務を手がけるインタセクト・コミュニケーションズ株式会社の大原 和幸氏は、アフィリエイトの運営についてこう語る。

ASPが不正防止に対して積極的に動いてくれることを多く期待するのは、少し無理があります。ですから、被害に遭わないためには、成果のチェックやフォローなどの企業努力が大切になります。特定サイトからの不自然に多い注文はもちろん注意すべきですが、最低限自サイトの商品がよく売れる曜日、時間、成約率などのデータを蓄積し、そこから著しく離れたデータがあった場合は注意を向けるべきです。

毎日成果を確認できない場合でも、週に1回ぐらいはチェックすることをお勧めしますASPからのデータをCSVでダウンロードしてエクセルで開き、関数やマクロを使って定型処理を行うような仕組みを作っておけば、よほど大規模なサイトでなければ週に1度、もしくは最低限でもアフィリエイトの成果に対して承認を行う前のチェックでも何とかなります

チェックの結果、アフィリエイターによる不正らしきものを発見したら、ASPを通して調査してもらい、不正だと判断できる場合にはアフィリエイターに対して「この成果には問題があるので、取り消す。不服があれば反論するように」と、毅然とした態度で伝えるべきだ。さらにいえば、提携アフィリエイターに対して、認めることと認めないことを事前に明確に示したうえで、不正がないかチェックしていることをメッセージとして伝えておくのがいいだろう。そうすることで、悪質なアフィリエイターを寄せ付けないようにできるのだ。

深夜や休日をねらって行われるキーワード広告の不正

不良アフィリエイターがしばしば利用するキーワード広告に関しても少し触れておこう。グーグルのアドワーズ広告やオーバーチュアのスポンサードサーチを使った不正で、検索エンジンでマーチャントのブランド名や商品名で検索したときに、アフィリエイトサイトの広告が出るようにするといった手口だ。

通常マーチャントは、こういった行為を規約で禁止しているものだが、違反しているアフィリエイターがいないかどうかは、実際に検索エンジンで検索して目視でチェックするしかない。そのため、マーチャントがチェックできない夜間や週末だけ広告を表示する設定にしたり、地域ターゲティング機能を使ってマーチャントのいる地域(多くは首都圏)では表示されないようにする手口があるのだという。また、ブランド名でのキーワード広告出稿のチェックが甘いマーチャントのリストが悪質アフィリエイターの間で出回っているという話もある。

対応としては、自社の商品名やブランド名を検索エンジンでこまめにチェックし、アフィリエイトサイトに誘導している広告を見つけたら警告のうえ、提携を解除するしかない。

◇◇◇

アフィリエイトを効果的に運用したいのならば、ここで述べたようなチェック作業以外にも、アフィリエイターからの問い合わせ対応や提携サイトのクオリティ管理など、専任の管理責任者を置くのが望ましい。

アフィリエイトはやりたいがチェックする余裕がないという場合は、この連載で紹介したような、アフィリエイトの運用代行やコンサルティングを行う事業者を利用するのもいいだろう。

たとえば前出のインタセクト・コミュニケーションズは、365日24時間体制でアフィリエイターの提携審査承認業務などを行ってくれる。さらに、指定の時間にキーワード広告を監視するサービスも提供しているとのこと。キーワード広告のチェックは手間がかかるため、このようなサービスを利用するのが現実的かもしれない。

コンサルの費用は、アフィリエイトで使う広告費の10%~30%程度を考えておくといい。目安として、月額のアフィリエイト広告費が100万円ならばコンサルティングを検討する価値があり、500万円を越えているならば、ぜひコンサルティングを利用するべきといったところだろうか。

念のために断っておくが、筆者も編集部も、これまで紹介したコンサルティング各社とアフィリエイト契約をしているわけでも、広告費をもらっているわけでもない。アフィリエイト業界の現実を取材すればするほど、こういった企業の経験やノウハウに感心したというのが実際のところだ。

インタセクト・コミュニケーションズ株式会社
協力:インタセクト・コミュニケーションズ株式会社
広告主が成果を上げてリスクを最小化するためのアフィリエイト運営代行/管理サービス「ISAM-1(アイサムワン)」を提供する。
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