ネットマーケティング業界の闇
情報商材業界のダークサイドに巻き込まれないために知っておくべきこと

ネットマーケティング業界の“闇”

この記事では、業界関係者への取材で明らかになったネットマーケティング業界の「闇」についてレポートする。

第5回のテーマは「情報商材業界の闇」だ。誇大広告、二重価格表示、偽計業務妨害の教唆など、直接法律に違反するケースも見受けられる情報商材業界の問題点を探ってみよう。

次のような謳い文句を見かけたことはないだろうか?

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これらは「情報商材」と呼ばれている商品であり、主にインターネットを通して比較的高額(3,000円~5万円程度)で販売されているコンテンツだ。

広義には書籍も情報商材だといえるが、一般的には「情報商材」というと、販売サイトやオークションなどインターネットを介して売買される情報のことをいう。情報商材は、ダウンロード販売が主流であり、実体は画像とテキストが組み合わされたPDFファイルであることが多いが、製本されたものや、データが保存されたDVD-Rという形態であることもある。

販売される情報の種類は多種多様であるが、その多く(筆者の主観では80%以上)はネットアフィリエイト、デイトレードやFXなどの投資関連、ギャンブル必勝法などの、だれでも簡単に金儲けができると喧伝されているものだ。

筆者は実際に何点か購入(もしくは内容が暴露されているサイトで閲覧)してみたのだが、内容は想像通り「すべてネットで入手できる」、もしくは「ほとんど役に立たない」「古い」情報がほとんどであった。

いうまでもなく「だれでも」「絶対に」「儲かる方法」が世の中にあるはずもないので、至極あたり前の話である。にもかかわらず現在も情報商材が多数販売されている。今回は、その情報商材の業界に関して考えてみよう。

参考URL

情報商材の売られ方

では、これらの情報商材がどのように流通しているのかを見ていこう。

商材の作成者(業界では「インフォプレナー」と呼ぶ)自らがオークションなどで直接販売するケースもあるが、情報商材販売専門のASP(アフィリエイトサービスプロバイダー)に委託し、アフィリエイター経由で販売している場合も多いようだ。

情報商材向けのASPには、一般のASPにはあまりない機能がいくつか用意されている。1つは商品アップロード用ディスクスペース、そしてもう1つは決済システムだ。

前者は主たる商材が電子データのため、後者は商材の作成者が個人もしくは小規模法人である場合が多いためだろうか。

ちなみに用意された決済システムを使わずに取引を行うことは禁止されていることが多い。これは通常のASPと異なり、決済手数料が主たる収入源になっているビジネスモデルによるものだと思われる。

図1 情報商材ASPの仕組み

こういった情報商材のアフィリエイトの大きな特徴は、アフィリエイターに還元するマージン比率が一般のアフィリエイトよりもはるかに高いこと。一般のアフィリエイトでは、アフィリエイターが得る成果報酬はたかだか数パーセント程度だが、情報商材では50%を超える成果報酬を得られるものも珍しくない。なかには80%というものさえ存在する。

さらに2ティア(2段階プログラム)という仕組みも提供している情報商材ASPもある。これはASPの既存会員(親)の紹介でASPと契約したアフィリエイター(子)に売り上げが上がると、一定のマージンが親アフィリエイターにも支払われるという仕組みだ。このマージンはどちらも出品者側の負担となる。

図2 2ティアの仕組み

このように情報商材ASPは通常のASPと比べ、アフィリエイターにとって極めて有利になっている。

この理由は、情報商材は情報自体が商品のため、一度商材を作ってしまえば原価がほとんどかからず、高いマージンを払っても利益が上がるためである。情報商材がいかに粗利率の高い商品かというのがわかるだろう。

テンプレート化された販売サイト

つぎに実際に情報商材を紹介し販売するサイトを見てみよう。

いくつか見てみるとわかるが、ほとんどの販売サイトには明らかに構成上の類似が見受けられる。特徴としては、

  • 異様に長い1ページでサイトが完結
  • 単刀直入でキャッチーなタイトル
  • 札束を握った写真や預金通帳の写真などで、あからさまに成功をアピール
  • まず今までの手法を批判したうえで、「でもこのやり方なら必ず大丈夫」という構成
  • 実践者の体験談。当然成功した事例のみ
  • 「今だけ」「限定○○人のみ」「○○○○円で」と、最後のだめ押し

などがある。

これらの販売ページはある種テンプレート化されており、多数のアフィリエイターがそのままコピーして販売サイトを濫造していると思われる。試しに販売サイト内の任意の文字列を検索サイトでチェックしてみると、まったく同様の販売ページが多数見つかるのがその証左だ。

図3 同様の表現で販売しているサイトが多数ある例

しかし、こういったことは、あくまでも特徴であって問題ではない。問題は、これらのサイトには広告として不適切な内容が含まれている場合があるということだ。

まず多いのが、いわゆる誇大広告だ。

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といった文言は、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)でいう「不当な表示の禁止」(第4条1号)に抵触する可能性が高い。

景品表示法 第4条1号

(不当な表示の禁止)

第4条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号に掲げる表示をしてはならない。

一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示すことにより、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示

※特定商取引法(特定商取引に関する法律)にも「誇大広告等の禁止」に関する条項があるが、こちらは「指定商品、指定役務、指定権利」に対して該当するため、指定商品に含まれない情報商材には適用されない。

また、二重価格表示の問題もある。

通常6万円のところ、期間限定で2万円

といった文言は、実際に「通常」の価格で販売している実績がなければ、景品表示法の第4条2号に抵触する可能性が高い。

景品表示法 第4条2号

二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるため、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示

こういった点に該当するサイトを、あなたも何度か見たことがあるのではないだろうか?

参考URL

利用規約違反を教唆する情報も

情報商材の内容自体に問題がある場合もある。

たとえば、「mixiを使ってお小遣いをかせぐ方法」といった商材には、アフィリエイトサイトに誘導するために無差別にメッセージを送信したり、mixiであしあとを無差別かつ自動的につけたりできるツールが紹介されているが、これはmixiの利用規約に禁止事項として明記されている行為そのものだ。

mixi利用規約の該当箇所

第14条 禁止事項

(13)他のユーザーに対して、無差別にメッセージを送信し、無差別にマイミクシィの追加を依頼し、もしくは無差別に足あとをつける行為、又は全く面識のない人を無差別にmixiに招待する行為。

(15)1人が複数のアカウントを保有する行為又は複数人が1つのアカウントを共同して保有する行為。ただし、弊社が別に認めたものを除く。

また、アフィリエイトテクニックを教える商材のなかには、ツールなどを使ったスパムブログの量産や商標侵害キーワードの出稿をテクニックとして紹介しているものも多く見られる。これもブログサービスやASPの規約に違反していることが多い。

このような内容の商材を作る作者や売るアフィリエイターには、知らずにしている人もいるのだろう。しかし、なかには規約違反の内容が含まれていることを知っていながら売っている場合もある。その場合、刑法における偽計業務妨害の教唆となる可能性がある。

(信用毀損及び業務妨害)

第二百三十三条  虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

(教唆)

第六十一条  人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。

2  教唆者を教唆した者についても、前項と同様とする。

情報商材ASPは、このような悪質な商材が販売されていないか定期的にチェックし、該当するものには警告を与えているという。しかし、あくまで警告までであり、削除などの強い姿勢に出ることは希だという意見もあり、他社の規約違反を幇助するツールを紹介する商材などが大手を振って売られている場合もあるのが現状である。

Web担当者として気をつけること

ある程度のネットリテラシーがあれば、上記のような悪質な情報商材の被害に遭うことは、おそらくないだろう。だが安心してはいけない。

たとえば管理しているサイトにGoogleアドセンスやYahooアドパートナーなどのコンテンツ連動型広告を表示している場合もあるだろう。そこに怪しげな情報商材の広告が掲載されるということはあり得ることだ。

たとえ広告の内容に関与していないとしても、ブランドイメージに悪影響を与える可能性がある。それを防ぐためには、Googleアドセンスの管理画面にログインし、「競合広告フィルタ」や「広告レビューセンター」を使って、悪質な可能性のある広告がサイトに表示されないようにするのがいいだろう。

図4 サイトに悪質な広告が表示されているのを見つけたら、Googleアドセンスの管理画面で[AdSense設定]>[競合広告フィルタ]を選び、その広告の飛び先URLを登録すると、表示されなくなる。
図5 Googleアドワーズ広告の「プレースメントターゲット」の機能を使ってあなたのサイトを名指しで出稿してくる広告主もいる。Googleアドセンスの管理画面で[AdSense設定]>[広告レビューセンター]を選び、悪質だと思われる広告を選んでブロックするように指定するか、「設定:広告をすぐに表示」になっていたらそれを変更して、プレースメントターゲット広告は確認しないと表示されないようにする。

さらに、業種によっては自社のサービスを不正利用したテクニックが情報商材として公開さるリスクや、通常のアフィリエイト契約をしていたアフィリエイターが悪質な行為をしたことから関係者として訴えられるリスクも考えられる。

実際に、外為・FX取引の株式会社マネースクエア・ジャパンは、「100%儲かる」という謳い文句のFX取引の情報商材で同社がとりあげられており、その情報商材の作者と通常のアフィリエイト契約をしていたことで、損害賠償請求を起こされた。

繰り返すが、健全な情報商材はもちろん存在するし、英語圏では検索マーケティングなどの良質な情報商材も多い。しかし、問題のある広告手法や商材が一部に存在するのも事実なのだ。Web担当者としては、そうした問題に自社が巻き込まれないように注意しておく必要があるだろう。

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