『新しいアナリティクスの教科書』Web担特別公開版

カスタマージャーニーの描き方と使い方 ~「フロー×セグメント」でユーザー行動を描き出す

カスタマージャーニーの地図を作るポイントは、「フロー×セグメント」でユーザ行動を描き出すこと

カスタマージャーニーの地図を作るポイントは、「フロー×セグメント」でユーザ行動を描き出すこと。「集客→接客→顧客化」のポイントに沿ったユーザー行動のフロー(流れ)を、重要なターゲットとなるセグメントごとに描くことで、行動の違いを比較できるようにします。

このコーナーでは、書籍『新しいアナリティクスの教科書』の一部を、許諾を得てWeb版として公開しています。

この記事では、書籍の第3章 「カスタマージャーニーによるユーザーの深い理解」 の第2節 「カスタマージャーニーの地図で改善の準備をする」 の内容をお届けします。

図にすることでユーザー行動を可視化する

カスタマージャーニーは頭の中で考えるだけでなく、「地図」として可視化してみることで全体像がわかりやすくなり、アナリティクスチーム内での情報共有もしやすくなります。ここでは、カスタマージャーニーの地図の描き方と、使い方を解説します。

カスタマージャーニーの地図は、改善に向けた分析を始める段階で、ユーザー行動を整理して一連の流れとして理解するために使います。そして、地図を見ながら、どこを改善するとインパクトの大きな改善ができるかを考えていきます。

描き方に厳密なルールはありません。「地図を描く」というと、プレゼンテーションで使えるような見栄えのするものを作ろうとしてしまいがちです。「カスタマージャーニー」と画像検索すると詳細に描き込まれた地図が見つかりますが、実際の現場でそれほど詳しく地図を描き込んでいるケースはまれです。そもそも、カスタマージャーニーの地図の詳しさや美しさと、その後の改善の成果の大きさは比例しません。アナリティクスチーム内で情報が共有できれば十分です。

「フロー×セグメント」でユーザー行動を描き出す

カスタマージャーニーの地図に必要な最小限の情報は、「集客→接客→顧客化」のポイントに沿って一直線に描かれたユーザー行動のフロー(流れ)です。「追客」は一般に、途中で離脱したユーザーや「顧客化」まで到達したユーザーを再度「集客」に引き戻すものとして扱います。

そして、新規ユーザーとリピーター、または重要なターゲットとなるセグメントごとに地図を描き、行動の違いを比較できるようにします。「フロー×セグメント」でユーザ行動を描き出すのが、重要なポイントです。

ユーザー行動は、アクセス解析のデータやユーザーテストの結果をもとに、ビジネスにおける集客、接客、顧客化のポイント(ランディングページやコンバージョンのページのほか、ネット以外の広告や実店舗でのサービスなど)との接点を意識して描きます。店舗内の行動など、ユーザー行動のデータが取得できない部分も出てきますが、そのようなところはやむを得ません。インタビューや店舗の視察などで情報を集め、不明なところは推測で補いつつ描いていきます。

行動の書き方は「製品を認知」「検討開始」といった簡潔な表現でも、「問題を解決する方法を求めて検索し、サイトを訪問」「興味を持ち、導入事例などを読む」といった具体的な描写を含むものでもかまいせんが、セグメントの特徴が出る部分や改善にあたって重視したい部分は、詳細に書いておくといいでしょう。

地図は1人で描くのもいいですが、チームで集まって描ければベストです。時間をかけすぎないように1、2時間程度と決めて、大判の紙やホワイトボードを使って描いていきます。ユーザーと接したときの具体的なエピソードや改善のアイディアなどがあれば、地図の該当する部分に書き込んだり、付箋紙などに書いて貼っていったりしてもOKです。複数人で行ってエピソードやアイディアをふくらませていけば、改善案のブレインストーミングもできてしまいます。

実際にカスタマージャーニーの地図を描いてみる

実際にカスタマージャーニーの地図を描いてみましょう。ここでは、スポーツなどで使われるアクションカメラのメーカーが、購入者や興味を持っているユーザーのためのファンサイトを運用していると仮定します。このサイトの改善にあたり、潜在顧客(製品の未購入者)と購入者のカスタマージャーニーを描いてみます。

潜在顧客は、購入者がWeb上で公開した動画を見て興味を持ち、撮影機材を調べてファンサイトを認知します。ファンサイト内でさらに情報を集めながら、購入の意向を固めて量販店やオンラインショップで製品を購入する、という流れです。

一方で購入者は、操作方法や活用のコツを調べてファンサイトを認知します。ファンサイトのサポートコンテンツなどを利用して製品を使いこなし、やがては自分の作品をファンサイトに登録し、ほかのユーザーと交流していきます。購入者のユーザー行動においては、ファンサイトに作品を登録することをコンバージョンと見なしています。

以下の地図は、頭の中で考えていたカスタマージャーニーをA4サイズの紙に書き出しながら、30分ほどで描いたものです。途中にキーになる施策や、ユーザー心理の動きのメモも書き込んでいます。

アクションカメラのファンサイトにおけるカスタマージャーニーの地図の例

地図を見て改善案と検証方法を話し合う

地図が描けたら、それをもとにチームで話し合いましょう。重要なテーマは2つあり、1つは改善案を考えることです。「集客→接客→顧客化」のポイントごとにユーザーとの接点となるものは何か? 現在十分なコンテンツやサービスはあるか? 足りないとしたらどうするか?といったことを話し合います。

例えば、前のページで描いた地図を見ていけば、潜在顧客が購入を検討しているとき、「接客」のポイントで継続的にアプローチするためにリマーケティング広告を使うといいのでないか、といった案が考えられます。作例動画などのコンテンツで購入意欲を高められるだろう、という案もあるでしょう。

もう1つのテーマは、改善案を検証する有効な方法を考えることです。潜在顧客が「購入」してくれることがコンバージョンであっても、店舗での購入は計測できません。その手前のユーザー行動にあたる「本格検討」であれば、カメラそのものだけでなくアクセサリーまで詳細にチェックする行動や、ページの滞在時間の長さから計測できるかもしれません。

このように、地図は簡単なものでも、そこからカスタマージャーニーの全体像が見え、ユーザー心理の動きがわかれば、十分に改善案を考える材料になります。大切なのは地図を描くことでなく、改善案と検証方法が決まることです。時間とエネルギーはこの作業に集中させましょう。

POINT
  • カスタマージャーニーの全体像を把握し、改善案を考えるために地図を描く
  • 地図が描けたら、それを見ながら改善案とその検証方法を検討する
  • 著:アナリティクス アソシエーション
  • 価格:2,000円+税
  • ISBN:978-4-8443-3793-5
  • 発行:インプレス

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本書はツールの使い方を解説する本ではありませんが、ツールの使い方以外のあらゆるノウハウを盛り込んだ、企業の成長を牽引するアナリティクス担当者のための本です。

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