【レポート】Web担当者Forumミーティング 2015 Autumn
カスタマージャーニーは、1人ひとりユーザーを見ることで可視化できる

仮説ではなく事実から描くべき
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話題のカスタマージャーニーだが、企業側の考えだけで描くと、それは単なる妄想になってしまう。企業側が仮説として描いたシナリオどおりにユーザーが動いてくれるわけではないのだ。したがってユーザーの行動を把握するには、ユーザー中心のアプローチが必要である。

生田 啓氏
株式会社ビービット
ソフトウェア事業部
コンサルタント
生田 啓氏

「ログデータはユーザー行動を反映しているので、これを利用すれば事実に基づいたカスタマージャーニーの把握につながる」というビービットの生田 啓氏が、「Web担当者Forum ミーティング2015 秋」のランチセッション「ユーザー中心データ分析でわかるカスタマージャーニー」にて、カスタマージャーニーを可視化する意味とその手法について解説した。

ユーザーは、企業側の思う通りには行動しない

カスタマージャーニーとは、ユーザーが自社の商品やブランドとどのような接点を持ち、どのような行動の変遷をたどるかを「旅」に例えた言葉で、ここ1、2年でよく聞かれるようになった。消費者の生活のすみずみにまでデジタルが浸透し、情報収集やアクションにデジタルが利用されるようになり、ユーザー行動が複雑になったためだ。

商品・サービスの検討では、従来の新聞・雑誌・テレビ・友人からの口コミも引き続き影響があるが、そこにデジタルが入ってきているため、カスタマージャーニーの可視化が必要になっているのだ。

取り巻く環境とユーザー行動の変化

ビービットが効果測定ツールの提供やコンサルティングしているなかでも「カスタマージャーニーを可視化したい」「カスタマージャーニーマップを作りたい」という相談が増えているという。しかし現状を聞いてみると、次のような声が多いという。

流行っているし興味があるが、作ってどうするのかわからない
社内ディスカッションをして作ってはみたが、これで合っているのか、本当にこんなユーザーがいるのか疑問
作れたが、そこでおしまい

つまり、カスタマージャーニーが大事で取り組むべきだとは思っているが、きちんとビジネスに役立てている企業はまだ少ないということだ。

たとえば、ある外資系自動車メーカーの新車プロモーションでは、従来は新しい車種ができるとテレビCMなどのマスメディアを中心に情報を露出してきたが、デジタル予算の割合を増やした。

Webサイトを作り、カスタマージャーニーが大事だと考え10種類くらいのユーザーセグメントを決め、それぞれにカスタマージャーニーのシナリオを作った。それぞれのセグメントに5種類の広告バナーを順に当てることでニーズを喚起し、最終的に資料請求してもらう、そのために第三者配信を使うというプロモーションだ。

これは、10種類のセグメントを決めるのも大変なら、シナリオを考えるのも大変、50種類の広告ビジュアルを作るのも大変という、大作業だった。ところが、実際には想定したとおりに広告に接触する人は、ほとんどいなかった。コンバージョンする人は最初の接触ですぐに資料請求するし、最初にコンバージョンしない人は、複数のバナーに接触しても気持ちは動かないということだ。

この例が意味するのは、実際のユーザーの行動と自分たちが考えるシナリオは、まったく違うということだ。シナリオは会議室でディスカッションして作られていた。ディスカッションはもちろん大事だが、それだけでは妄想になってしまう。企業側の考えだけでなく、実際のユーザーの行動を取り入れなければ、カスタマージャーニーの可視化はできないのである。生田氏は次のように言う。

この時、リアルのユーザー行動を知るものとして使えるのがログデータだ

ユーザーを知るためによく利用されるのはアンケートだが、ログデータはアンケートよりも量が多い。また、アンケートはある時点でのユーザー行動を知るものだが、ログデータの場合はCookieを使うことで長期的なユーザー行動を把握することができる。ログは日常的に保存しているので、わざわざ行うアンケートよりも手軽に分析できるし、クイックに改善をまわせる。もちろん、アンケートと組み合わせれば、さらにユーザーを理解できる。

とはいえ、ログデータが万能というわけではない。確かにユーザーのリアルの行動を示しているが、あくまでデジタルの行動だけだ。そのため、検討行動においてWebの役割が大きいかどうかで、有効かどうかが決まる。不動産や人材、ECなど、検討行動の中でWebの役割が大きいものは、ログデータだけでもかなりの精度でカスタマージャーニーを把握できる

一方で、食品など店頭で購入を決断するような商材では、ログデータだけではカスタマージャーニーを把握できない。自動車などの高額商品は、Webで情報収集されるケースも多いが、実際に決断するのは、「街で走っているのを見た」とか、「友人がオーナーである」などのリアルの状況に影響される部分が大きい。

ログデータによるカスタマージャーニー把握が有効なケース

統計データではなく、個別のユーザーを見る

ログデータを使うとユーザー行動を把握できて、カスタマージャーニーを可視化しやすくなる。この時に大事なのは、一人ひとりのデータを見ることだ。

ログデータでユーザー行動を把握するというと、「トップページから何%の人が商材ページに行き、そのうち何%がコンバージョンしている」といった、アナリティクスのレポートを見ることをイメージするかもしれない。しかし、それは完全に間違いである。統計データでは、ユーザーの行動はわからないからだ。ある一人のユーザーがどのように行動したかを見て、なぜそうしたかを想像することで、ユーザー行動を理解しなければ役に立たない。

一人ひとりの行動データを見る

とはいえ、すべてのユーザー行動を個別に見るのは無理だろう。そこで、「20人くらいをきちんと見れば、ある程度パターン化できる」と生田氏はいう。具体的には、以下のステップでユーザー行動を把握する。

  1. データ抽出
    • コンバージョンしたユーザーから、ランダムに20人程度を抽出する
    • ターゲットユーザーを決めている場合は、属性データでその条件に合致するユーザーを抽出する
  2. データ閲覧
    • 抽出したユーザーのログデータを一人ひとり見て、行動を観察する
    • ログデータを見る際は、行動の履歴(順番)、接触した時間、期間などにも注意する
  3. パターン化
    • その行動の背景と文脈、心理を精査したうえで、行動をパターン化する
    • 異なるコミュニケーションのパターンで分類する

具体的な例として、都心と郊外の再開発地区でタワーマンションを販売している、不動産デベロッパーの事例が紹介された。

新築マンションごとにWebサイトを作り、資料請求してもらうことで個人情報を得て、営業に利用するというプロモーションだ。半年から1年で2,000人程度の個人情報を入手できている。このうち20人程度を詳細に見ていくと、いくつかのパターンが見えてくる。

たとえば都心のマンションの場合、20人中5人くらいは、マンション名で検索して、数分でカタログ請求している。この人たちは、おそらくチラシなど他の媒体で、ある程度情報収集していて、もっと詳しい情報が欲しいので資料請求するためにWebサイトに来たと考えられる。

20人中3人くらいは、長いマンション名を一言一句間違わずに入力して検索している。この人たちは、不動産ポータルで情報収集し、そこから気になった物件名をコピー&ペーストで検索していると推測できる。不動産ポータルでも間取りや価格は載っているので、物件サイトに見に来るのは、そこには載っていない情報(近隣にスーパーがあるか、幼稚園があるかなどの情報)を求めているのではないかと考えられる。

20人のうち3~4人は、「地名+新築」などの、ゆるいキーワードで検索している。この人たちは、検索エンジンを中心に物件を探していると予想できる。まだそれほどはっきりと決まっていない、ぼんやりとしたニーズなので、リターゲティング広告が効果がありそうだと考えられる。

行動が見えてくることで、次のアクションにつながる

ユーザー行動を基に、アクションを検討

ユーザー行動を把握したら、次はアクションを検討する。ポイントは、以下の2点だ。

  • ボリュームを把握する
  • 流れを捉え、コミュニケーションに落としこむ

たとえば、あるセキュリティの企業のケースでは、資料請求のコンバージョンにいたったユーザーのうち、

(a)企業名を入れた指名検索、1回訪問でCV:10%

(b)比較サイト(アフィリエイト)で初接触 。指名検索で再訪:20%

(c)さまざまなワードでSEOコンテンツに流入。リスティングで再訪:10%

(d)商品カテゴリで検索して初接触。再訪してCV:60%

という状況だった。ボリュームゾーンは(d)である。ここに対策を打てば、効果が大きいだろうということがわかる。このケースでは、「商品カテゴリで検索して流入したランディングページから離脱しているユーザーは、他社サイトに比較しに行っているのではないか、価格で比較されて他社に流れているのではないか」と予想した。そこで、自社に有利な比較の軸を提示し、他サービスとの比較をあえて促し、再訪するようなコミュニケーションを設計した結果、コンバージョン率が2倍になった。

もちろん、ログデータだけですべてわかるわけではないので、アンケートと組み合わせると、ユーザー行動の理由や背景がもっとよく分かり、施策の精度が上がる。Webアンケートであれば、ログと紐付けることも可能だ。

カスタマージャーニーの可視化からアクション・成果へとつなげるためのポイントは、以下の3つだ

  • カスタマージャーニーは、実際のユーザー行動(事実)から描く
  • ログデータはユーザー行動を反映しているので、事実に基づいたカスタマージャーニーの把握につながる
  • ログデータを見る際は、一人ひとりのデータを見ることが成果をあげるポイント
まずはユーザー行動の把握を

そのために有効なツールとして、ビービットが提供する効果測定サービス「ウェブアンテナ」がある。純広告・DSP・リスティング・アフィリエイト・メールマガジン・自然検索(SEO)・ソーシャルなどの成果を一元管理し、個別のユーザーの行動データを見ることができる。また、ツール提供だけでなく、KPI策定やPDCAの基盤づくりを長期的に支援する。

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