誰も語らなかったWebコンテンツ作成技法
これぞWebライティングの真髄、1つのネタで複数のコンテンツを作る「投影法」とは?

製品やサービスなどをさまざまな角度から光をあてることで、違った切り口のコンテンツを作る方法が投影法です。
誰も語らなかったWebコンテンツ作成技法vol.9

1つのネタで複数のコンテンツを作る「投影法」を紹介します。製品やサービスなどをさまざまな角度から光を当てることで、違った切り口のコンテンツを作る方法が投影法です。今回は3つの光の当て方を紹介します。

投影法とは?

投影とは、光を当てて影を映すことです。同じ物体でもどの角度から光を当てるかで影の形も変わります。光の種類も太陽光なのか、電灯なのかでも違いますし、影を近くの壁に映すのか、床に落とすのかでも印象が変化します。

光の当て方によって影が異なることを、コンテンツの作成に応用したのが投影法です。ネタが1つしかなくても、複数の角度から光を当てることで、複数のコンテンツを作れます。これを実践すればコンテンツは無数に考えられます。

光の角度で影の形は変わる

投影法のための準備

投影法を行うためには、「光を当てる物体」「光」「影を映す壁」が必要です。

光を当てる物体とは、そのコンテンツで主役にしたい製品・サービスそのものです。たとえば、「3,000円のアルミ鍋」「まったく新しいインターネットサービス」「高品質のカラオケルーム」などどんなものでも、あなたがこれからコンテンツでその良さを伝えていかなければならないものを中心にすえて、光の当て方を考えていきます。

次にどのように光を当てるかですが、以下の3つの角度から当てるといいでしょう。

  1. 製品のスペックとそこに込められた「願い」
  2. 製品が生まれ育った「歴史」
  3. 製品の利用者1人ひとりの「顔」

これらの内容は、製品のパンフレットには書かれていないことが多いので、担当者にしっかり話を聞いてください。

1.製品のスペックには「願い」が込められている

製品のスペックには「願い」が込められています。たとえば、次のようなものです。

  • 電気製品のコードの長さはどうやって決まっているのか?
  • 色やサイズのバリエーションはなぜそのラインナップになっているのか?

これらは、ユーザーの使い勝手や利用シーンを想定して研究され、選び取られたものです。微妙に他社と違うところに、長い研究の結果があります。

  • 少しだけ長いケーブル、少しだけ薄い本体の厚み、少しだけ高い価格設定。それはなぜなのでしょう?

たとえば、扇風機をリビングで使うには1メートルが適当な長さであっても、キッチンで使う場合は、コンセントの位置が高いところにあることが多いので、1.2メートルの長さが必要だろうというように、製品・サービスにはそんな小さな特長がたくさんあります。

それは、その製品の主力の「特長」ではないかもしれません。ホームページの製品情報には、その小さな特長が書かれていないことが非常に多いのです。書かれていたとしても「電源ケーブルが1.2mあるので設置場所が自由になる」やスペック表に「電源ケーブル:1.2m」とだけあったりすることも少なくありません。

隠れた「願い」を知るためにやるべきことは?

製品・サービスの良さを、顧客が実感できる情報に落とし込むのがコンテンツの役割です。

では、顧客が実感できる情報を引き出すには、どうしたらいいでしょう? たとえば、引き続き扇風機を例に考えると、一般的に使われるリビング以外の洗面台やベランダなどいろいろなところに置いてみることです。

画像:tibori/iStock/Thinkstock、keko-ka/iStock/Thinkstock
  • 洗面所に置いてみたら、コンセントが鏡の横にあるドライヤー用の高い位置にしかないので、わずか20センチのコードの長さが非常にありがたい、というシーンが見えてくるかもしれません。

  • ベランダに置いてみたら、洗濯機を置くためのコンセントがベランダの端にしかないので、もしかすると物干し竿まで微妙に遠い、というシーンが見えてくるかもしれません。

細かな特長に込められた願いを再度知ることで、シーンが見えてきます。これが「投影法」です。もしキッチンに置いてみたら。もし洗面所に置いてみたら。もしベランダに置いてみたら。もしかしたら釣り船に持っていくかもしれません。駐車場の警備員さんだったらどうでしょう。これが「違う角度から光を当てる」ということなのです。

製品・サービスの細かいところを見ることで、初めて当てられる光だといえます

アフィリエイトですごい金額を売り上げている人は、製品に実感ある光を当てるのが得意です。電気ポットという製品を扱う場合、メーカーの製品情報ページでも通販サイトでも、そのポットの柄が良く見え、形のわかりやすい写真を使うのでどれも同じになってしまいます。

しかしアフィリエイトではそれでは勝負できません。そこで、電気ポットを倒してみる。でも、実はお湯がこぼれない設計になっている。倒れにくい形状になっている。底の設計や重心のバランスが良い。メーカーがアピールしない角度から製品を見せてきます。不利な状態になったときに、強みが浮かび上がるというのはアフィリエイターの手法となっているようです。

自社の製品をアピールする場合にも一度そうした光の当て方をしてみましょう。

2.製品の誕生や変遷の歴史はポジションを浮かび上がらせる

製品は時代とともに誕生し、時代につれて変遷します。その背景が理解できれば、光は自ずと見えてきます。

たとえば、タバコの銘柄「ハイライト」は今ではきついタバコの代名詞のようになっていますが、生まれたときには「軽く上品な新時代のタバコ」だったからハイライトという名前なのです。

製品が少しずつスペックを変えてきているとすれば、それは時代の変化が背景にあるのかもしれません。それをもう一度見ることで、現在のその製品のポジションが見えてきます。

それを違う時代背景に置いてみる。違う国に持っていく。違う人に見せてみる――そんな風に光を当ててみましょう。

ボウリング
画像:Nael005/iStock/Thinkstock

たとえば、ボウリングという楽しみはいつ生まれ、どんなブームがあり、今どういう状況にあるのか。大きな変化がそこにはあります。

ボウリングに「最近あまりしていないけど親に連れていってもらった思い出」という光を当てることで、「ボウリング場=家族の思い出の生まれる場所」という形の影ができます。そこから、家族の思い出作りをするために、特典つきのファミリークーポンを作る企画はどうだろうか、とアイデアを膨らませていけばいいのです。

一方、ボウリングの合間に食べたり飲んだりするのが楽しいという姿が見えてくれば、併設されているファストフードを主役にするような打ち出し方ができるでしょう。また、健康に良いスポーツだととらえれば、そこから高齢者向けにはこう、中高年にはこう、子供にはこう、といった健康づくりのコンテンツに落とし込んでいけるでしょう。

3.顧客1人ひとりの顔を思い出せば光が見える

製品・サービスとは、多くの人が使うものです。マスマーケティングでは顧客をいくつかのグループに分けて考えますが、ホームページではもっと細かく考えます。1人ひとりの顔を思い浮かべることで表現の幅が生まれます

1人ひとりの顔を思い浮かべる
画像:enisaksoy/iStock/Thinkstock

まず、直接顧客に接している店舗の担当者にヒアリングしましょう。

たとえば、安い値段帯で若者客を集めている居酒屋の店員さんにヒアリングしたところ、若者客の他に夕方ふらっと現れてカウンターに座るサラリーマン男性客が多いという話が出ました。

そうしたサラリーマンの男性客は、少しの料理と少しの酒を軽く飲んでさっと帰るそうで、回転が良く、店にとって大切なお客様だという話が聞こえてきました。居酒屋のある地域を調べてみると、大学があり若者グループも多いのですが、家賃が安いことで中高年男性の単身世帯が少なくないことがわかりました。

居酒屋のホームページで、集客の中心になるのは若者グループ向けの情報ですが、一方でそうしたターゲットに向けたアピールポイントも考えてみてはどうでしょうか

同じ製品・サービスでも違う種類の顧客がいます。ホームページでは製品情報というと1つの説明しかありませんが、人間の店員さんならお客様の顔を見て説明の仕方を変えるのが当たり前です。たとえば、次のようなことです。

  • 紫外線対策のUVクリームの場合
    紫外線対策のUVクリームは、日焼けしたくない女性向けをメインにした製品ですが、薬局で聞くと意外に男性の購入もあるといいます。工事現場の警備員など、外で過ごす時間が長い人で愛用者がいるのです。

  • 腰痛で苦しんでいる人向けの商品の場合
    腰痛で苦しんでいる人がターゲットの製品でも、オフィスで冷房病に悩むOLさんと、筋肉が落ちてきた中高年、急におなかが重くなって腰痛になった妊婦さん、ゴルフで腰をひねってしまった男性。さまざまなお客様の顔が見えれば「その人に向けた説明」が出てきます。それが、同じ製品を採り上げても、違う光を当てて違う影を映し出すことになるのです。

広報宣伝というと、マスマーケティングの考え方で、「30代女性がこの製品の中心層で」という進め方をしますが、その発想でホームページを作ると、30代女性以外の顧客を取りこぼしてしまうかもしれません。ホームページがマス媒体と違うのは、多くのページを作って待ち構えることができるという点です。

ワンツーワンのマーケティングということがいわれて久しいですが、ホームページでも製品情報となると、なかなか顧客ごとに違う説明ページを設けるということはできません。その点、コンテンツはテキストを置けば成立するものです。手軽に増やすことができるのですから、ぜひ顧客を分析して「1人のお客様が喜ぶページ」を考えてください。

マスマーケティングでも、その発想を援用した手法ができています。たとえばディズニー映画では1つの作品に3つのCMを流すことがあります。

  • 女性向けにラブロマンス面を強調したもの
  • 子供向けにかわいい冒険を打ち出したもの
  • 男性向けにストーリーのおもしろさを描いたもの

1つの作品にそれができる内容が盛り込まれているからできることですが、多くの製品・サービスにはそうした側面があり、実際にさまざまな種類のお客様が利用しています。

その顔を思い出すことで、製品にこれまでとは違う光を当てて、多様なコンテンツを生み出すことができるでしょう。

投影法の発想で実際にページを作るために

投影法では、製品・サービスの姿を詳しく見て、それに基づいたアイデアをどんどんリストアップしていきます。なかには、ばかばかしくて誰も取り合わないようなアイデアも出てくるでしょう。宇宙に持っていったら? 深海で使ってみたら? 江戸時代にそれがあったら? そんな発想であっても頭に残しておくのではなく、どんどん紙に書いていきましょう

紙に書かなければそうしたアイデアが頭の片隅に居座ってしまうので、本当に使えるアイデアが出てきません。また、紙に書くことで客観的に眺めることができます。一見、荒唐無稽なアイデアでも、膨らませることで、現実可能な企画に変化させることもできます。

たとえば、100の角度から光を当てて、良い形の影が3つできる。それが投影法であり、広告表現の専門家は、誰にいわれなくてもそれを1人で繰り返し行っています。Webのコンテンツ担当者もぜひそうした手法を採り入れてみてください。

そうして企画がまとまり、実際にページにするとき、大切なことがあります。それは奇抜なコンテンツ、ばらばらの内容を何でも格納できるコーナーを作っておくことです。どんな内容が入っても違和感のないコーナーがないと、せっかくのコンテンツがホームページ上で置き場所がなくなってしまいます。

実際、多くのホームページで「宙に浮いたコンテンツ」が見られます。典型的なのは、トップページに設置されたバナーからしか行けないコンテンツです。今やトップページは訪問者の20%しか見ていないといわれているページです。せっかくサイトを訪れた人の8割が、そのコンテンツに気づくことができないとしたらもったいないことです。

これを吸収するのに最適なのは「知る・楽しむ」というコーナーです。一般消費者向けの製品がたくさんあって、さまざまな種類の提案を次々に繰り出さなければならないメーカーのサイトで多く見かけるものです。

BtoBサイトでは「知る・楽しむ」という名前は難しいかもしれませんが、何でもありでコンテンツ同士が互いに無関係でも構わない、というコーナーを1つ作って、グローバルナビゲーションやフッターナビゲーションに入れられるようにしておけば、より多くの訪問者にコンテンツに気づいてもらえるチャンスが広がります。

コンテンツをアピールしやすいインクルードエリア

特にフッターナビゲーションでは、コーナートップへのリンクだけではなく、その他のお勧めコンテンツへのリンクを入れられるでしょう。全ページのフッターナビゲーションの上に、お勧めコンテンツのバナーを表示するサイトも増えてきました。

また、左ナビゲーション下のスペースにパーツファイルを置いておき、そのパーツファイルを更新すれば、全ページにその更新が反映されるようにしておきましょう。こうした受け皿が用意できていれば、思いつきのように自由自在にコンテンツを企画してホームページに追加できるようになるのです。

◇◇◇

ここまで、コンテンツを企画するときに役立つ「投影法」の考え方を紹介してきました。コンテンツを企画するときに役立ててもらいたいのですが、その前にぜひ、自社ホームページの製品・サービス紹介ページを、次の2点に当てはまるかどうか確認しながら振り返って見てもらいたいです。

  1. 製品・サービスの良さをそのまま書き並べていないか
    多くの製品ページで「特長」「選ばれる理由」などさまざまに工夫を凝らして説明しているのですが、それだけでは顧客には不十分と考えてください。顧客が実感を持てる情報が記載されているか、それらを伝える役目がコンテンツだと考えましょう。

  2. 製品ページの情報量が十分か
    会社には多くの製品・サービスがあるため、1つ1つの製品・サービスには十分なページ量を使うことができず、よほど強化しているものでない限り、1ページに箇条書きのようになっているのが普通です。顧客側はあまり予備知識がないので、少ないページ数のなかで、会社側の言葉で「良いです」「良いです」と繰り返しても、なかなか伝わらないでしょう。

Web担当者は一般に広報やマーケティング、広告、総務などの統括部門で、製品の専門部門ではないことが多いようです。そこで、製品についてその機能や背景を再度認識する必要があります。

「良く知っている製品」であればあるほど、通常の宣伝文句が染み付いていて、それとは違う角度から光を当てるのが難しくなりますから、2点を確認した後に、投影法を試してコンテンツを作ってみてください。

次回は、タイミング良くコンテンツの追加・更新ができる歳時カレンダーについて考えていきましょう。

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