誰も語らなかったWebコンテンツ作成技法

季節に合ったWebコンテンツを計画的に作っていくコツは「年間歳時カレンダー」にあり

年間歳時カレンダーを作って「季節」をテーマにしたコンテンツを計画的に自社サイトで作りましょう。
誰も語らなかったWebコンテンツ作成技法vol.10

年間歳時カレンダーを事前作っておくことで、「季節」をテーマにしたWebコンテンツを計画的に自社サイトで作っていけるようにしましょう。年間歳時カレンダーを1回作るだけで、作業効率が格段に上がるうえ、季節ごとの検索が増え始める前にコンテンツを用意しておけるというメリットがあります。

年間歳時カレンダーを作って「季節」コンテンツを作ろう

多くのホームページで検索対策が考えられていますが、うまくコンテンツ作成まで活かしきれていないテーマが「季節」です。

たとえば、通販サイトでは「母の日」「敬老の日」といったタイミングに合わせた特集ページが作成されます。しかし、掲載する商品が決まってくるのは2か月~1か月前。それからページを作成して、母の日特集が公開されるのが、母の日の1か月~2週間前といったタイミングになるようです。

これでは検索エンジンには認識されても、検索結果で上位を獲得できるとは限りません。検索結果でようやく順位が上がってくるのは母の日が終わってから、なんて笑えない話もあります。

一般の会社でも、A事業部の展示会は○月、B部門の新製品発表は△月など、タイミングが毎年だいたい決まっているものがあります。Web担当者のところには、各部門から「ニュースに掲載してほしい」という連絡が届いてからあわてて作業を行う、ということが少なくありません。

Web担当者にとってはその作業が「予定外」だとしたら忙しさが倍増することになり、余裕のない仕事になります。各部門にとっても、せっかくの新製品発表のリリースや展示会の告知ページがあまり多くの人に見てもらえないことになるとしたら、残念な結果です。

部門ごとの年間歳時カレンダーを作成

こうした課題をクリアするためにぜひとも必要なのが、「年間歳時カレンダー」です。

年間歳時カレンダーのサンプル

1年間は53週ほどあります。エクセルを使い、53行使って、左端の列(ここではB列)に全部の週を1から順に書き出し、隣の列(ここではC列)には、月を書き出しましょう。なかには、365日のカレンダーにしようとする人もいるかもしれませんが、長すぎる表だとかえって見づらいので、週単位ぐらいが良いでしょう。

週単位でも細かすぎるという人なら、各月を上旬、中旬、下旬に分ければ、たった36行に収まります。コンパクトな表にして、全体を眺めやすくするのが作成・活用のコツです。

次の列(ここではD列)には、Web担当者として年間だいたい決まっている予定を入れましょう。

  • 正月には社長の年頭挨拶
  • 採用はこの時期に募集要項が出る
  • IRでは四半期決算がこの時期
  • 株主総会はこの時期
  • など

ほかの部門に関わりがあるものでも、Webとしての予定が決まっているものは、どんどん記載していきます。

以降の列には、各部門の予定を入れていきます。週を入れたエクセルをメーリングリストで配布して、部門担当者にわかる範囲での予定を記入してもらい、回収して1つのエクセルファイルにコピーしていけば完了です。

まじめな部門担当者ほど、「まだ正確な日付が決まっていない」という理由で何も書けなくなってしまうことがあります。変動しても構わないので、だいたいの目安で記入してもらうように頼みましょう。あまり時間のかかる部門には、Web担当者が訪問して聞き書きするといいでしょう。

年間歳時カレンダーから見えてくるもの

年間歳時カレンダーができて眺めていれば、Web担当者が1年間何をしなければならないかが見えてきます。これが見えるだけでも「各部門からのニュース掲載依頼が一時的に重なって予定外の忙しさになってしまった」ということがかなり回避されます。

高校生のときの歴史の勉強を思い出せばわかると思いますが、順番に勉強しているときには「無限に覚えることがある……」と感じるものです。ところが卒業して、歴史の教科書をあとから眺めると、「なんだ、これだけ覚えれば良かったのか」と量的には少なく感じられます。

知らない場所に行くときは遠く感じますが、帰り道は非常に短く感じる。そうしたものです。年間歳時カレンダーで1年間の作業全体を見渡せば、心理的な負担感もかなり減らすことができるでしょう。

さて、少し安心したところで、実務に落としていきましょう。

年間歳時カレンダーに書き込まれた予定は、イベントなどが実際に行われるタイミングです。Web担当者からすると、このタイミングの前後にいくつかの実務的なタイミングがあることは明らかです。

  • リリース情報をWebサイトに掲載する
  • リリース内容をコンテンツに企画し直す
  • コンテンツを制作し、公開する
  • SNSで段階的に情報発信する

テーマによっては「ページ閉鎖」や「バックナンバー化」「報告ページ作成」も必要となってきます。

SNSで情報発信するのも1回とは限りません。ツィッターで事前に2回、当日に1回、事後報告で2回、FacebookとInstagramに画像を2、3回投稿し、You Tubeで動画を配信する、と計画を立てていくことができます。

杓子定規ではなく、予定の性質や必要性に応じて、作業の必要性、発信頻度は変わると考えるべきです。いったん完成した年間歳時カレンダーをエクセル上でワークシートのコピーをしてWeb担当者として必要な作業を書き加えていきましょう

年間の動きを組み立てていく

年間歳時カレンダーのワークシートをコピーしたら、各部門の予定に対して列を増やして、実務的な作業が発生するタイミングを記入していきます

年間歳時カレンダーに具体的な予定を記載する

すべての部門の予定と作業工程が1枚の用紙に収まった年間歳時カレンダーができているとよいでしょう。

もし、まとめることが難しい場合は部門をまとめる事業部ごとのまとまりでワークシートを分けていきましょう。「第1事業本部のシート」「第2事業本部のシート」「採用とIRのシート」といった具合です。

この年間歳時カレンダーを作る作業は、急いで行ってはいけません。「完成しなければ使えない」という表ではありません。最低でも3~4か月先の予定までまとまっていれば、十分に役立つものです。

1年かけて歳時カレンダーを作ってもかまいません。できあがったら、翌年からの仕事は大幅に加速します。各部門の制作会社にもこのファイルを共有して、遅滞なく作業が進むようにしていきます。

これを作成した人が異動になるときには、必ず後任にこのファイルを引き継いで、毎年充実させていきましょう。これだけで後任が「Webは初めてで何をすればいいのかわからない」期間を作らずに済みます。

手間を減らすためには、記入回数の多い項目はあらかじめリストを作って、コピーペーストで進めます。あらかじめリストを作っておくと、作業が楽なだけではなく、考え漏れを防ぐこともできます。

予定記入で最も重要な視点

ここまでの説明だと、年間歳時カレンダーを作ることは「もれなく、あわてず作業するための実務計画」にしか思えないかもしれません。もちろんそれだけでも十分に役立つものですから、すべてのWeb担当者に実践していただきたいと思います。

しかし、もう1つの視点を加えることができれば、さらに戦略的なワークシートにすることができます。

それが冒頭に書いた、検索の視点です

ある展示会があるとして、いつごろからその展示会の名前での検索が盛り上がるか、そのタイミングをGoogleトレンドで調べてみましょう。

下図は「クリスマス 予約」について、Googleトレンドで2013年、2014年、2015年を表示したものです。

Google トレンドで「クリスマス 予約」を調べてみると

この図から、10月初めごろから「クリスマス 予約」といった検索をユーザーがし始めることがわかります。この時点で検索の上位にいるためには、ハロウィンが終わってからクリスマスのコンテンツを考えたのでは間に合わないことがわかります。

数年前は、コンテンツがインデックスされてから検索上位に表示されるまで数か月かかりましたが、今は検索エンジンの機能が向上しているので、検索上位に表示されるまでにそこまで時間がかかることはありません。しかし、検索ボリュームが増え始める前にはコンテンツができて検索で見つかる状態にしておくことが望ましいでしょう

つまり、クリスマスのコンテンツを準備するならば、8月ごろからコンテンツ内容を企画して、9月にはコンテンツ掲載して、10月から検索を受けとめて、11月には検索上位にいる、という流れにしたいところです。

こう考えていくと年間歳時から、次の視点で考えることが必要だとわかります。

  • どの歳時がどれぐらいの重要性があるか
  • いつからどれぐらいの訪問者を集めるべきか
  • そのためにはいつからコンテンツが必要か
  • そのためにはどれぐらいのページ数が必要か

重要性によっては季節性の高いものでも年間を通じたコンテンツ運営が必要になります。クリスマスでも母の日でも、1年中記事が載っていておかしくはありません。

たった3日間の展示会でも、昨年の出展報告、今年の計画と考えていけば、その展示会についてのコンテンツを1年中掲載しておいて、いざ検索が盛り上がったときには上位にいるということを考えることができます。

「年間歳時カレンダー」を作り、仕事のタイミングを考えていくことで、必要なコンテンツを必要なタイミングに計画できるわけです。

この作表作業はWeb担当者が最も「戦略者」となれる時間なのですから、大量な作業で手間が大変と思わずに、休日に気持ちのいいカフェで、ゆっくりコーヒーを飲みながら記入していきましょう。これによって、Web担当者は「Web戦略担当者」となり、本当のWebマスター、コンテンツプランナーとなることができるのです。

◇◇◇

次回は、これがわかればコンテンツ更新が劇的にスムースになり、検索効果も高い! 「連載型コンテンツ」の進め方を紹介します。

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