【レポート】Web担当者Forumミーティング 2014 Autumn

ソーシャル活用に成功する企業の4つの特徴とは? ソネットの事例に学ぶFacebook成功論

「ソーシャル活用売上ランキング」の上位企業には共通の特徴があった
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ソーシャルメディア活用に成功している企業はどのような施策を行い、何を分析・解析しているのだろうか。モバイル対応、動画活用など、ユーザーローカルが毎年行っている「ソーシャル活用売上ランキング」の上位企業に共通する4つの特徴と、ファン育成を目的としたFacebook上で高いエンゲージメント率を誇るソネットの事例からソーシャルメディア活用の成功論を学ぶ。

「ソーシャル活用売上ランキング」上位企業に共通する4つの特徴

株式会社ユーザーローカル
コーポレートセールスディレクター
渡邊 和行 氏

Web担当者Forumミーティング 2014 秋に登壇したユーザーローカルのコーポレートセールスディレクターの渡邊和行氏は、「ソーシャル活用上位企業が取り組んでいる解析手法」と題して講演を行った。

現在、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアでは、国内だけで月間10億件以上の投稿がある。ユーザーローカルはこうしたソーシャルメディアを解析する「Social Insight」、PCサイトを解析する「User Insight」のほか、Yahoo!のアクセス解析やスマートフォンアクセス解析など、ビッグデータの解析事業を行っている会社だ。

同社は定期的に、日経BP社と共同で、Social Insightを利用して有名企業200社のフォロワー数やファン数、再生回数などを調査し、データサイエンティストチームがマイニング分析をして、ランキング集計を行っている。2014年2月には「第3回ソーシャル活用売上ランキング」を発表した。

総合順位 企業・ブランド名 総合順位 企業・ブランド名
2014 2013 2014 2013
1 2 スターバックス 11 6 オルビス
1 8 マクドナルド 12 26 ミスタードーナツ
3 4 無印良品 13 38 GU(ジーユー)
4 3 ユニクロ 14 7 全日本空輸
5 - LOWRYS FARM/
ローリーズファーム
15 48 チキンラーメン
6 19 モスバーガー 16 27 KDDI(au)
7 1 ローソン 17 42 パナソニック
8 5 ケンタッキーフライドチキン 18 15 ドミノ・ピザ
9 25 タワーレコード 19 35 日本航空
10 43 セブンイレブン 19 - パズル&ドラゴンズ
ソーシャル活用売上ランキング上位20社

2014年に大きく順位を上げたブランドは、昨年の2位から今年は1位となったスターバックス、8位から同じく同率1位となったマクドナルド、圏外から5位のローリーズファーム、19位から6位のモスバーガー、25位から9位のタワーレコード、43位から10位のセブンイレブン、26位から12位のミスタードーナツなど数多い。

渡邊氏によると、順位を大きく上げた躍進ブランドには、以下の4つの特徴があったという。

  1. モバイル巧者
  2. 一般層へのアピール
  3. 動画を活用(オムニチャネルも)
  4. エンゲージメント

1. モバイル巧者

一つ目は、モバイルだ。ユーザーの環境がモバイルにシフトしている現在では、モバイル利用者に注力することが重要となる。

例えば、26位から12位に順位を上げたミスタードーナツは、同社のTwitterアカウントへ寄せられたユーザーのリプライの8割にリアルタイムで返信するなど、モバイルの即時性に対応している。「“ミスド”についてつぶやいたユーザーのスマートフォン率は、2013年の調査時で59.3%だったが、今回は79.5%まで上昇した」(渡邊氏)という。

2. 一般層へのアピール

二つ目は最近インターネットを活発にやり始めたような一般層(新規層)を取り込むことである。

今年ランキング1位となったスターバックスでは、ここ2年間でソーシャルメディア上で自社が話題になった時期を調査し、話題になった時期の関連ワードを抽出することで、ソーシャル上ではどういった内容が話題になりやすいかを分析している。たとえば2013年3月末に多かった関連ワードは「島根」「松江」「行列」などである。同社はその時期に島根県初となるスタバをオープンさせており、同時に鳥取にはまだ店舗がないことも話題となった。この時点でツイートしていたのは鳥取、島根の若い男性がメインだったが、2015年にスターバックスが鳥取に進出することがニュースになると、女性や30代、40代などの幅広い新規層のつぶやきが増えた。

また、同社では同じく新商品の発表のたびのソーシャルの盛り上がりを分析しているが、年々、女性比率が増えていることがわかった。前述したミスタードーナツでも、前回から今回にかけて女性の比率が急激に増えてきている。女性や若年層、地方の新規ユーザー層に自社ブランドをソーシャルで訴求することに成功している企業が上位に入ってきているというわけだ。

3. 動画を活用(オムニチャネルも)

2013年までは画像を使用するといいね!やリツイートが増える傾向があり、画像を活用する企業がランキング上位となっていたが、2014年はこれが動画の活用に変わってきているという。渡邊氏は、タワーレコード、パナソニック、JAL、au(KDDI)などの例を挙げ、「YouTube公式チャンネルの動画再生回数が500万回を超えることもあり、多い場合は1億回に達する。ランキング上位の企業は動画に力を入れているケースが多い」とした。

4. エンゲージメント

最後がエンゲージメントだ。当然のことながら、エンゲージメント率が高い企業はランキング上位に入ってくる。中でも同業他社よりもエンゲージメント率が非常に高い事例としてソネットが紹介された。ソネットは、Facebookにおいて、おおよそ1~3%という高いエンゲージメント率を保ち続けているのだという。

渡邊氏によると、エンゲージメント率が高い企業には固定ファンも多く、Facebookに継続していいね!を押してくれるようなファンのリピート率も高いが、エンゲージメント率が低い企業は、一度はいいね!を押してくれてもなかなか定着してくれない傾向にあるのだという。そのため、いいね!のリピート率を分析していくこともエンゲージメント率を調査する有効な手法である。

一気に多くの新しい取り組みを行うのは難しいかもしれないが、この4つの特徴のどれか1つでもチャレンジしてみてはいかがだろうか(渡邊氏)

ソネットのFacebook立ち上げとターゲット

ソネット株式会社
ブランド推進室
中里 貴之 氏

続いて、渡邊氏からマイクを引き継ぐ形で登壇したのは、エンゲージメント率の向上に成功しているソネット株式会社 ブランド推進室の中里貴之氏だ。

近年、光ファイバーの市場が成熟してコモディティ化が進み、会員獲得競争が激化している。そうしたなかで、従来の「Push型」でなく、コストをかけずにユーザーからサービスを選んでもらえる「Pull型」の施策を立てることが必要だと考えたソネットでは、ブランド力強化が重要な課題となっていた。ブランドの認知拡大と好感・共感の向上を目指すなかで、メディアの多様化によって広告効果が減少していることもあり、口コミを活用した購買意欲の促進を狙うため、マス広告に依存せず、ソーシャルを積極活用する方向性を定めた。

従来は、事業部からの依頼により広報活動としてプレスリリースを配信し、それがメディアに紹介されることで認知を得てきたソネットだが、メディアやデバイスが多様化している現在では、プレスリリースに頼るだけのPR活動には限界がある。そこでソネットでは、メディアに頼らず直接的にユーザーにアプローチする手段として、2011年12月にFacebookの公式ページを開設した

Facebookページの位置づけ 今後の広報・PR活動の流れ きっかけ 事業部からの依頼 自らPR施策の企画・実施 広告活動 連動 広報活動 広報活動 プレスリリース配信 多様化に対応(ソーシャル、PRイベント、タイアップ企画 etc. 重要なこと 人に伝えたくなる 仕掛けづくり メディア 直接的なアプローチ Facebook ソーシャルメディア ユーザー ブランド認知・共感の最大化 新たなアプローチとしてFacebookの導入
ソネットのFacebookページの位置付け
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ソネットのキャラクター「モモ」

ソネットには「モモ」というキャラクターが存在しており、もともとは電子メールクライアント「PostPet(ポストペット)」のキャラクターであったことから、すでに一定のファンを獲得していた。このモモをキャラクターとして起用したいと考えたが、別事業部であるPostPetとの確認作業や、クレームや苦情の対応をモモが行うのかなどの問題があり、別のキャラクターを作るという案も議論された。

しかし、ソネットはソーシャル展開にあたり、ライトなソネットユーザーをファンに、ソネットユーザーをコアファンにすることを目指すだけでなく、キャラクターファンへモモを認知させ、さらにモモユーザーをコアファンにするようなアプローチをしていきたいと考え、モモの起用を決めた。もろもろの課題をクリアするため、ソーシャル上のキャラクターは、「So-net広報担当」とし、担当者の顔の後ろにモモがいるアイコンを使用するようにした。

ソーシャル展開の目的は、「So-netファンの育成」と定め、短期的な売り上げや会員獲得のための施策でないことを明らかにした。ターゲットは、モモを切り口としたSo-net既存ユーザーとした。リスク管理に関しても、改めてリスク管理課と連携し、運用マニュアル、コミュニティガイドライン、ソーシャルメディアガイドラインを整備していった。効果検証方法は、ファン獲得数やエンゲージメント率(KPI)はもちろん、ブランド好意度やサービス流入(KGI)なども調査していくこととした。

目的 So-netファンの育成 ※短期的な売上や会員獲得の為の施策ではない/キャラクター設定 「So-net広報担当」がナビゲーターとなりモモを絡めた身近な話題を提供 ※自社サービス情報の押し売りはしない/ターゲット設定 モモを切り口としたSo-net既存ユーザー→潜在層や低関与層に拡大/リスク管理 リスク対応フローを構築(法務、リスク管理セクションと連係 運用マニュアル コミュニティガイドライン ソーシャルメディアガイドライン/効果検証方法 KPI ファン登録数、エンゲージメント率 KGI ブランド好意度、サービス利用意向 調査実施
Facebookページの基本体制

エンゲージメントの高いコンテンツとは



モモのぬいぐるみを利用した日常ネタの例、エンゲージメントは高い




一見してよくわからないネタや自社サービスの告知はエンゲージメント率が低い

実際の投稿コンテンツには2つの方向性がある。

  1. レギュラー運用(日常ネタ)
  2. 企画運用(不定期に実施)

レギュラーの日常ネタでは、モモのぬいぐるみを季節の風景と共に撮影した「こどもの日」や「お花見」など旬の写真を投稿したり、モモの妹である「モモ妹」の着ぐるみが工場や野球場を訪問した際のブログを紹介したりするほか、ソニービルで行われたイベントなどを紹介したりするなどして、さりげなくソネットのサービスもアピールしているという。

各記事の反応として特徴的なのは、「旬のネタで共感を得られる記事内容」はエンゲージメント率が高く、一見しただけではよくわからないような自社サービスの告知はエンゲージメント率が低いということだ。中里氏は、「Facebookは、友だちの投稿の中に企業の投稿が紛れ込むので、パッと見てよくわからない投稿はスルーされてしまい、エンゲージメント率が低くなってしまう。一目で何が行われているのかがわかるようにしている」と話す。

2つめの企画運用の実施は不定期だ。例えば、渋谷に期間限定でオープンした「モモCafe」に関しては、店内やメニュー、PRイベントの様子を掲載するのはもちろんのこと、オープン予告や準備の裏話、店舗連動企画やスタッフ裏話まですべての情報をFacebookから発信した。また、他社のキャラクターとのコラボ企画や、異業種コラボなども行っている。珍しい例としては、ファンの投稿をきっかけとした震災被災地訪問企画も実施した。

一方で、ソーシャルメディアで炎上しかけたケースもある。例えば、ソネットが主催する音楽イベントの出場者に対して誹謗中傷の書き込みが行われた際には、ソネット側で投稿を削除すると騒ぎが大きくなると判断し、丁寧な言葉遣いで誠意を持って対応したが、書き込んだ本人になかなか納得してもらえなかったことがあった。

この場合に最も怖いのは、その誹謗中傷に同調したユーザーや反発するユーザーが現れてしまうことだ」と中里氏は説明する。そのため中里氏は、誹謗中傷を書き込んだユーザーを専用のアドレスに誘導し、納得してもらうまでコミュニケーションして収めてもらったという。また、異なる部署のメール誤配信のミスのクレームがFacebookに寄せられた際も、自分たちの部署とは関係ないからと無視をするのではなく、真摯な対応を心がけることで収めることができたという。

ソネットは効果検証として、KPIはもちろん、KGIについても日々調査しているのは先に述べた通りだが、2013年と比較し2014年は「純粋想起」、「好感度」、「利用意向」などすべての項目においてスコアが上昇した。モモファンを中心とした既存のソネット会員やキャンペーンを目的としたファン登録などでファンが増え、親近感が増したというケースが多い。

モモやキャンペーンをきっかけにソネットのFacebookページのファン登録をしてもらうことができ、そこからソネットへの興味・理解を高め、好感度・利用意向の向上、ひいてはファン化へとつながることが確認できた。Facebookは効果的なツールとして利用できることを実感している(中里氏)

今後の課題はサービス売上への貢献

一方で、ソネットのサービス自体の理解や興味喚起、ひいてはサービス売上にどれだけ貢献できるかが今後の課題となる。そもそもファンの獲得と育成がソーシャルの目的ではあったが、これからは新たなチャレンジとして、ファンからのエンゲージメントを下げずにソネットサービスの理解を深めてもらうことに取り組む。そのために今後チャレンジするのは下記の2点だ。

  1. 自社サービスをソーシャルメディアで反応されやすいバズコンテンツにカスタマイズして投稿
  2. 狙うべきターゲットや訴求内容を絞った効果測定手法の模索・検討

バズコンテンツへのカスタマイズとは、たとえば、WiMAXとモモをコラボする際に、単純にWiMAX端末の写真を宣伝文句と共に掲載するのではエンゲージメントは低い。そうではなく、たとえば、モモのぬいぐるみとともに撮影したオリジナルデザインの端末を掲載するなど一工夫するだけでエンゲージメントは上がり、さらに、モモオリジナルデザインのWiMAX端末型のケーキを特注してそれを掲載すると、さらにエンゲージメントは高まるといった具合だ。

エンゲージメント:低 エンゲージメント:中 エンゲージメント:高
コンテンツのカスタマイズイメージ

また、従来は潜在層やライトユーザー、ファンなどすべてのターゲットを対象に効果測定をしていたが、今後は狙うべきターゲットや訴求内容に絞った効果測定にも取り組む。たとえば、いいね!が少ない投稿があったとしても、狙うべきターゲットがその投稿にきちんとアクションを行っていたのなら、その投稿はよい投稿だったと判断できるというわけだ。また、「ネット関連情報」や「ビジュアルがモノトーンな情報」については、男女共通でいいね!を押すことが多く、一方で、「飛行機」や「キャビンアテンダント」のビジュアルには男性が反応しやすく、「森でのヒーリング」や「社会貢献活動」には女性が反応しすいといったような分析を行っていくわけだ。

ソネットは、今後もFacebookを活用したアプローチを継続するが、サービスへの流入を意識しすぎてファンが離れて行っては元も子もないため、基本的にはファンとの“ゆるいつながり”によるエンゲージメントを構築していくことに注力する。一方で関係性作りや潜在顧客掘り起こしにもソーシャルを活用する。最後に中里氏は、「そもそも、インターネットにつないでFacebookを見ているユーザーが公式ページを見てISPを乗り換えることは少ないだろう。好感度を上げておいて、引越しなどのタイミングで思い出してもらって乗り換えにつながればよい。Facebookだけでなく、ソネットとしての複合的なコミュニケーション活動の一部として行っていくことが重要だ」と話して講演を終えた。

ユーザーローカルの総合ソーシャル解析・管理ツール
Social Insight

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