編集長ブログ―安田英久
広告のCTRを追求しすぎるマーケターがブランドをダメにする

CTRは広告パフォーマンス測定には無意味な指標であり、こだわるとブランド価値を毀損する

今日は広告の話を。ネット広告のクリック率(CTR)はだれでも高くしたいでしょう。しかし、CTRは広告パフォーマンス測定には無意味な指標であり、さらに悪いことに、CTRが高くなるように広告キャンペーンを最適化していくと、ブランド価値を毀損してしまう可能性があるというのです。

米collective社は、1億ユーザーのユーザープロファイルと、2011年初頭の10億回以上の広告インプレッションを調査した結果を発表しました。

調査では、CTRが高かった(上位20%)キャンペーンは、CTRでは150%高かったものの、ポストインプレッション効果(広告接触後のアクション率)では8%低かったということです。

また、それらの広告と100の広告キャンペーンにおけるブランディングの効果を調べた予備調査では、ブランディングとCTRの間に相関性はなかったとのこと(ブランドに対する認知・意見・購入意志ともに)。

つまり、CTRが高いからといってブランド効果が高くなるとは限らず、逆に低くなっている可能性があるのです。

ブランディング目的ではなく短期的な刈り取り目的の広告ならば、CTRを指標にするのも良いように思われますが、collective社はクリック率とユーザー像について、次のようなデータを示しています。

  • 広告クリックの18%は、(同じ広告を2回クリックするなどの)うっかりクリック
  • オンラインゲームで遊んでいるユーザーはクリックする率が43%高い
  • モバイル端末からアクセスしているユーザーはクリックする率が123%高い
  • 年収320万円未満の人は、年収1600万円以上の人より、クリックする率が30%高い
  • クレジットスコア(信用評価)が「Fair(ふつう)」の人は、「Excellent(非常に良い)」の人よりもクリックする率が20%高い
  • 最新技術にすぐには飛びつかず流行してから触れ始めるタイプの人は、早めに最新技術に触れる人よりもクリックする率が50%高い
  • 節約するタイプのユーザーは、頻繁にオンラインで購買するユーザーよりもクリックする率が65%高い

こうしたデータをもとに、CTRをオンライン広告の主要な指標として使うことは適切ではないとしています。CTRを追い続けると、次のような結果をもたらすというのです。

  • CTRばかり見ていると、「低年収」で「高年齢」な「技術にうとい」「購買の可能性が低い」消費者をターゲットにすることになる
  • 意図しないクリックでサイトに来たユーザーは見込み客にはならない
  • うっかり広告をクリックするようなデザインにしているサイトへの出稿を強化することで、本来の消費者をないがしろにすることになる

ここからは安田の私見。

たしかにCTRは、“それだけ”を追い続けることにはかなり前から意味がなくなっているにもかかわらず、相変わらず指標としては使われていますね。

そもそも、A/Bテストを行った場合にも、CTRが高いクリエイティブと、最終CVRが高いクリエイティブが異なる場合がありますよね。それなのに、広告の指標としてCTRだけを重視したり、サイトの指標としてPVだけを重視したりする傾向があります。その原因の1つとして、サイトのビジネス目的が正しく設定されていない場合があることが挙げられるのではないでしょうか。

Web担なんかで熱心に勉強している人はそうではないのですが、未だ「サイトのビジネス目的とそのコンバージョンポイントを明確に決定していない」場合は多いのです。アクセス解析をするのにGoogle Analyticsを入れているが、実はコンバージョン(目標)を設定していないという例も、思ったより多いんですよね。

目的が明確になっていなかったり、コンバージョンポイントを設定していなかったりすれば、そりゃ成果に近い場所の指標を測定できず、より汎用的な指標にこだわってしまいますよね。

サイトやマーケティングの評価は、まず正しいゴールの設定があって、そこから帰納的に各種の指標を調べていくアプローチが重要だということですね(理解を背景にした直感から仮説を立てて検証していくアプローチも、もちろん重要ですが)。

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