【レポート】デジタルマーケターズサミット2023 Summer

第三者からの信頼を獲得するには? これからのSEOに必要な「E-E-A-T」でやるべきこと

中小企業のやるべきSEOについて、ボーディー有限会社 代表取締役 住氏が解説。

デジタルマーケターズサミット 2023 Summer」では、ボーディー有限会社 代表取締役、株式会社ニュートラルワークス SEO顧問 住太陽氏が登壇し、Googleの検索結果に表示される基準であるE-E-A-Tについて紹介。講演では、E-E-A-Tとは何かという考えから、人や企業がE-E-A-Tがあると認められるためにやるべきことまで、初心者にもわかるように解説した。

ボーディー有限会社 代表取締役 住太陽氏

E-E-A-Tとエンティティ

E-E-A-Tとは、次の4つのワードの頭文字だ。

  • Experience 経験
  • Expertise 専門性
  • Authoritativeness 権威性
  • Trust 信頼

この4つがGoogleの検索結果に影響している。そして、エンティティはE-E-A-T向上の対象になるものである。住氏は、E-E-A-Tは「信頼する基準」、エンティティは「人や会社」として理解するとわかりやすいという。

お客様やGoogleに信頼されるには?

では、経験・専門性・権威性がある信頼できる人や会社だと、お客様やGoogleに認めてもらうにはどうすればいいのだろうか?

Googleの「検索品質評価ガイドライン」によれば、E-E-A-Tは4つで一つの概念とされている。

E-E-A-Tは4つで1つの概念

図の真ん中にある信頼(Trust)がE-E-A-Tの主役であり、経験、専門性、権威性が備わると信頼があるとみなされます(住氏)

注意したいのは、各語の英語と日本語のニュアンスの違いだ。

経験は、その話題についての直接的な経験を持っていることを写真・動画で自ら表現することで認められる。経験があるかどうかは言葉だけでは判断できないので、たとえば、ヘアスタイリストであればスタイリングしている動画を公開して経験を表現する。

専門性は、その話題についての専門的な知識や技能、判断力が社会的に認められていることを示す必要がある。

権威性は、特にニュアンスに気をつけたい言葉だ。ここでは、人の行動を変える影響力がある、発信した内容が典拠として各所で引用されることを指す。

信頼は、ここまでの3つを備えており、人々の期待や要求に公正に応えると信用されている状態を指す。

経験、専門性は、自社メディアで自分で表現できますが、権威性、信頼は他者が評価するもので、第三者が言うことで証明されます。Googleは、検索エンジン初期のアルゴリズムで使っていたページランクのときから、第三者からの評価を重視してきました。Googleが第三者の評価を重視するのは、客観的かつ中立的だからです(住氏)

第三者の評価につながる「アーンドメディア」

自社メディアなどのオウンドメディア、第三者による露出であるアーンドメディア、広告媒体での露出であるペイドメディアをあわせたトリプルメディア戦略がある。

トリプルメディア戦略

オウンドメディアの発信は自己主張なので、これだけでは権威性、信頼は証明されません。その主張に対して、いいね、コメント、シェアなどの反応(アーンドメディアの露出)があって、初めて権威性や信頼性が社会的に証明されます(住氏)

テキストコンテンツでなくても、評価される

なお、オウンドメディアの表現は、文章に限らず、写真や動画も利用できる。

人にも商品にも表現方法の向き不向きがあるので、向いている表現を選んで表現してください。文章が書けるならブログで、写真が撮れる、絵が描けるようなら、InstagramやFacebookで、人前で話せる場合はYouTubeで表現すれば、それぞれ評価を得られます(住氏)

住氏が例としてあげるのが「徳田銘木」という材木屋のFacebookページだ。床の間の床柱やオブジェなどに使われる変わった材木を扱っており、Facebookページに写真1枚と簡単なコメントを投稿している。Webサイトにはテキストコンテンツはなく、オンライン販売もない。

このFacebookページのゴールは、材木を使いたい施主や建築士、空間デザイナーに、見学や視察で現物を見に来てもらうことです。年間600件を超える見学や視察があり、訪問した方がレポートや感想を投稿するのでアーンドメディアを獲得できています。ペイドメディアとしてFacebook広告を月に4万ぐらい使っていて、写真やコメントは社長自身が投稿しています(住氏)

この事例のように、写真中心でも外部からの評価があればE-E-A-Tを強くできるのだ。

エンティティとは、実体または概念

では、なんのE-E-A-Tを強くすればよいのか。それがエンティティである。Googleでは、エンティティについて、次のように説明している(翻訳は住氏)。

エンティティとは、特異で、独自で、明確に定義され、区別可能な事物または概念である。たとえば、エンティティは、人、場所、アイテム、アイデア、抽象的概念、具体的要素、他の適切なモノ、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。
一般に、エンティティには、名詞によって言語的に表現される物や概念が含まれる。たとえば、色『青』、都市『サンフランシスコ』、および想像上の動物『ユニコーン』は、それぞれエンティティであり得る。

引用:Question answering using entity references in unstructured data


かみ砕いて説明すると、エンティティは単独ではなく関係の中で存在するため、あるエンティティは他のエンティティを参照する。上記の例では、青は黄色など他の色を参照するし、サンフランシスコはニューヨークなど他の都市との関係で成立する。

事例で紹介した徳田銘木の場合は、次のように関係が表現される。

徳田銘木の関係性

この関係図をどうやって可視化したのかというと、Google画像検索で上部に表示される単語を使っている。Googleが「Google画像検索は関連エンティティを提示する」としているからだ。
参考:Learn more about what you see on Google Images

徳田銘木をGoogle画像検索してみた

そして、検索においてキーワードとの一致の時代は終わりつつあり、「検索意図とエンティティの一致」の時代になってきていると住氏は語る。

以前は、検索ワードと同じ文字列が入っているコンテンツが検索結果に表示されましたが、現在は検索意図に合わせて検索結果が表示されます。

たとえば『フライパン+魚』で検索すると、キーワードには『レシピ』が含まれていなくてもレシピのリッチカードが並びます。『勝新の奥さん』と検索すると『中村玉緒』の画像検索とWeb検索の結果が並びます。これからのSEOは、検索エンジンにエンティティを正確に認識させる勝負となります(住氏)

エンティティを確立・強化するには

エンティティがGoogleに認識されるステップは次の通りだ。

  1. エンティティへの言及がGoogleに認識される。
    (Wikipediaや出版書誌データベースへ掲載されることは強力)
  2. エンティティの存在がGoogleに認識される。
    (必ずしもナレッジグラフ※が表示されるとは限らない)
  3. 第三者からの言及の質と量で重要性が認識される。
    (アーンドメディアの質と量がE-E-A-Tを裏付け、証明する)

※Googleの検索結果とは別に表示される検索ワードに関連する情報パネルのこと

住氏は、エンティティを確立するためにアーンドメディアを得るには、会社組織でも社員個人でもなく「社長個人」が信頼できる著者になるべきと主張する。社長の個人名、個人アカウント、個人ブログを活用することで、アーンドメディアで権威性、信頼を証明できる。

そのためには、情報発信時に、著者が誰であるかを明確にするために、バイラインを記載する。Google検索品質評価ガイドラインには、次のような高品質なバイラインの例が紹介されている。

Google検索品質評価ガイドライン

第三者が見た時にわかるように、名前、専門分野、連絡先などを記載する。この情報があれば、Googleも読者も著者の信頼性を調べて、その分野の信頼できる書き手か調べられる。例の女性であれば、名前、専門分野で検索すると、ニュースやメディアの検索結果が表示され、アーンドメディアで信頼できる人物だとわかる。

社外で活躍してアーンドメディアを増やす、その積み重ねがE-E-A-Tを強くし信頼性につながります。やるべきことは、社長が自分にできる方法で情報発信をすること、個人と会社のエンティティを強化すること、第三者からの評価と信頼を獲得することです。ブランディングは社長が率先してやるべき仕事です(住氏)

最後に講演の内容を次のようにまとめ、講演を締めくくった。

オウンドメディアの発信はテキストに限らず、写真や絵、動画などでもできるので、商品や情報発信者に合ったものを選びましょう。エンティティをGoogleに認識させるには、他者からのアーンドメディアでの言及が必要です。そして、オウンドメディアの目標はアーンドメディアを獲得し、コンテンツが言及されることに意義があります。E-E-A-Tの向上は、信頼と評判の確立であり、商売そのものと考えてください(住氏)

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