【レポート】デジタルマーケターズサミット2023 Summer

忙しいECサイト担当者こそAIを活用すべき! AI×データで売り上げをアップする道筋

新規顧客の獲得が難しくなる時代には、既存顧客への積極的なアプローチが重要となる。企業のUX向上を支援するビービットが、AIを活用してECサイトの売り上げをアップする方法について語った。
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「売上アップのためにデータをもっと活用したい」。――Webサイトやアプリを通じて日々集客に勤しむマーケターなら、誰もが胸に秘めている思いだろう。しかし、業務量が多く多忙なため、なかなか手が付けられないという声は多く、ECサイトも例外ではない。

デジタルマーケターズサミット 2023 Summer」では、UX向上を支援するビービットの生田啓氏が「多忙なECサイト担当者こそ、AIによるデータ活用に踏み出すべき」と主張。新規顧客の獲得が難しくなるなか、CRM(顧客関係管理)で既存顧客へ積極的にアプローチすれば、AIも実力を発揮しやすいとアドバイスし、その方策について語った。

生田啓氏
株式会社ビービット ソフトウェア事業本部 マーケティングソリューション セールス&マーケティングマネジャー 生田啓氏

なぜECサイトがAIを活用すべきか

2000年3月に設立されたビービットは、「UX(顧客体験)を向上させるためのデジタルトランスフォーメーションの実現」を掲げ、さまざまな形で法人顧客向けサービスを展開している。これまで支援してきた企業は大手企業を中心に800社以上。その経験から、業種・業界を問わずコンサルティングできるのが強みであり、ECの支援もビービットが得意とするところだ。

近年は、いわゆるビッグデータ活用がどの業界でも推進されているが、EC領域においては、データ活用を阻む2つの壁があると生田氏は説明する。

その1:工数が少ない

ECサイトは少数精鋭で運営されている例が多い。1人の担当者がマーケティング、情報更新、キャンペーンの企画、サポートなど複数の業務を担っているケースもあり、データ活用に着手する余力がない。

その2:データが多く複雑

一方で、ECはデジタル前提のビジネスであるため、取得できる行動データの種類・量が多い。さらに商品データや会員データも保持しているため、非常に多くの複雑なデータを扱う必要があり、難易度も高くなる。

だが、生田氏は、「この2つの課題は、AIによる改善の余地が非常に大きい。AIは多数のデータを処理するのが得意分野。ECの課題を克服するのにAIはうってつけだ」と力を込める。

ECサイトはまずCRM領域からデータ活用を

では、ECサイトがデータ活用を推進するには、どんな部分から着手すべきか。生田氏は、「新規顧客の獲得」「既存顧客への購入喚起という意味でのCRM」の2軸で比べたときに、まずは後者のCRM領域からはじめるべきだと述べる。その理由は2つだ。

まず、新規顧客の獲得は、広告データや外部データに依存する要素が強く、Cookie規制や個人情報保護の観点から活用がしづらくなっている。そのため、活用できるデータ量が多いCRM領域のほうが実力を発揮しやすい。

もう1つが、人口減少やEC事業者間競争の激化などで、新規顧客の獲得よりもCRMのほうが相対的に売上貢献につながりやすくなっている点だ。

EC立ち上げにあたって“とにかく新規顧客を獲得する”だけでは成長率が低くなる。継続的な売上アップを目指す以上、これからはCRMに注力していかなければなりません(生田氏)

AIによって集客施策を高精度化

CRM領域でのデータ活用においては2つの方向性がある。

  1. 集客
  2. サイト改善

生田氏はまず1つ目の集客におけるAI活用について解説した。

一般的なECサイトにおいて、既存顧客を改めてサイトへ呼び込む(集客する)手段としては、「メールマガジン」「アプリのプッシュ通知」「LINEによる一斉メッセージ配信」「サイト来訪時のポップアップ」などがある。

CRMにおける集客は3つの要素のかけ算です。「最適なユーザーに」「最適なタイミングで」「最適なコンテンツを」届けることで売上増などにつながる。この1つひとつの要素でAIが活用できます(生田氏)

1. AIで購入可能性を予測し「最適なユーザー」に届ける

購入記録や消費者の習慣・嗜好・行動データをもとに、今後もっとも購入する可能性の高い顧客をAIで予測する。この分野は、2023年時点ですでに実用化が進んでおり、AIがもっとも効力を発揮しやすい領域だと生田氏は説明する。

2. AIでコンテンツ最適配信を予測し「最適なタイミング」で届ける

メールマガジンなどプッシュ型の情報発信は、配信時刻やチャネルによって開封率などが大きく変動する。どの時間に配信すればもっとも効果的か、過去のデータをもとにAIに予測させる。最終的には「Aさんには朝にLINEで、Bさんには昼休みにメールで」というように、顧客単位での出し分けをAIが自動で行う。

3. AIで商品をレコメンドし「最適なコンテンツ」を届ける

商品レコメンドはECにおける定番マーケティング手法だが、AIはそれをより最適化できる。「商品Aを買った人すべてに商品Bをレコメンド」などという単純なものでなく、ユーザーごとに異なる行動履歴と購買履歴の掛け合わせで最適なレコメンドを行う。また、生成AIを活用すれば、ユーザーによって画像クリエイティブやセールス文章を変える作業も低労力で行える。

どのようにサイト改善すべきかをAIが助言

生田氏は次に、サイト改善におけるAI活用について述べた。

ECサイト担当者はAI普及以前からデータや顧客傾向をベースにサイト改善に取り組んでいた。しかし、例えば「商品の詳細ページでの離脱率が高い」ことがわかったとしても、ボタンの位置を変えるのか、それとも商品画像を大きくするのかといった具体策は、担当者の“勘”頼りで、失敗する施策も多かった。

しかしこれも、実データをもとにAIがユーザーインサイトを解析することで具体的な打ち手について根拠を持って導き出せる。例えば、前述した、商品詳細ページの離脱率の改善案を練る場合、担当者が思いつかなかったような「FAQページでの説明を充実させるべき」などの提案もAIは行ってくれる。

サイト改善の根拠をデータから導き出すことで成果が上がりやすくなる

近年、顧客行動の分析手段として「N=1分析」が注目されてきた。顧客を総体として分析するのではなく、1人ひとりの行動データを抽出して追体験し、分析するアプローチのことだ。

AIであれば、データの分析力を活かし、数万人の会員の中からどの顧客をN=1分析すべきか選定したり、より具体的な課題部分を発見したりといったことも容易に行えるという。

課題箇所の特定と個人の行動データ抽出の部分でAIを活用

AIを用いた集客支援ツール「OmniSegment(オムニセグメント)」

ビービットが展開する小売/EC向けの専用CRMツール「OmniSegment(オムニセグメント)」は、“AIありき”での各種マーケティングを実行するためのソリューションだ。データ収集・統合のための「CDP」、収集したデータをセグメンテーション・分析する「BI」、そして施策設計・実行のための「MA・AI」を一体的に提供する。

CDP、BI、MA・AIが一体となった「OmniSegment(オムニセグメント)」

OmniSegment最大の特徴は、小売とECに特化している点にあります。CDPやBI、MAツールは国内でも数多くありますが、多くのツールはあらゆる業種に対応できるようになっています。よって、総合性が高い一方、機能が複雑になり、使いにくい一面もあります。小売・ECに特化することでシンプルに使いやすくしているのがOmniSegmentです(生田氏)

小売・ECに特化することでシンプルなUIと高い機能を両立

AI活用でCRMを高度化

OmniSegmentでは、ここまで生田氏が説明してきたCRMベースの集客において、AIを全面的に活用している。

  • 購入記録、消費者の習慣などを分析し、今後7日間で購入する可能性の高い顧客を予測する「オーディエンススコア」
  • メールマガジンなどの適切な配信チャネルと配信時刻を予測する「スマート配信」
  • 顧客1人ひとりの行動データをもとにした「商品レコメンド」
  • 生成AIによる「テキスト・画像生成」

加えて、ECサイトで扱われる商品に対して、属性情報を付与する機能も備えている。例えば「高価格帯」「低価格帯」「ギフトユース」「ついで買い」など、単純な商品カテゴリーとは別の属性を付与することで、顧客がどの属性の商品を閲覧しているか、買っているかなどの情報が蓄積されていき、これらをもって顧客の趣味・嗜好を判別する。この判別情報はメールマガジンのセグメント別配信などにも適用可能だ。

商品に属性情報を付与することで、顧客の趣味・嗜好を判別

使いやすいUIや、コンサルタントによる伴走型フォローなどサポートについてもこだわっていると生田氏はアピールする。

サイト改善支援ツール「USERGRAM」

集客を担うOmniSegmentに対して、サイト改善分析のためのツールが「USERGRAM(ユーザグラム)」だ。

USERGRAMは、サイト全体のどこで離脱が多いのかを明らかにする「課題箇所の特定」、N=1分析においてインサイトが発見しやすいユーザーを抽出し、行動データを可視化する「個人の行動データ抽出」、ユーザー行動を時系列で追って仮設を立てる「インサイト仮設の立案」、そして仮設の確からしさを確認する「仮説検証」まで対応している。

サイト改善支援ツール「USERGRAM(ユーザグラム)」は、「課題箇所の特定」「個人の行動データ抽出」「インサイト仮設の立案」「仮説検証」までをAIでサポートする

仮に、商品詳細ページで離脱している人が1万人いたとします。これをクラスタ別にし、各クラスタから中央値に近い1人ずつを選べれば、まったくランダムで選ぶよりN=1分析が効率的になります。こうした部分にAIを活用しています(生田氏)

OmniSegmentでメール開封率と売り上げが約1.5倍に向上

続いて生田氏は、とある婦人靴会社におけるOmniSegment活用事例を紹介した。この会社は毎月100万通以上のメール、50万通以上のLINEメッセージを既存ユーザーに送付していたが、開封率の低下に悩んでいた。

そこでOmniSegmentを用い、顧客の過去の受信チャネルと受信時刻を分析し、最適な配信チャネル、配信タイミングに調整したところ、それまで15.06%だった開封率が23.7%まで向上したという。コンバージョンが下がることもなく開封率が底上げされ、結果的に売上も約1.5倍という成果へ繋がった。

メッセージ配信チャネルと配信時間をOmniSegmentで最適化した結果、開封率が上昇し、最終的な売上増へと繋がった

USERGRAMでサイト改善コストを軽減

続いて、USERGRAMがサイト改善コストの削減に繋がった事例が紹介された。

とある中古品販売サイトでは、新規顧客の拡大に注力していたが、経済情勢も踏まえて既存顧客重視の姿勢へ転換。なかでも、超・優良顧客のリピート購買率をさらにアップさせるため、サイトのトップページを刷新すべきか、検索機能を充実させるべきかなど改修案を練ったが、データ的な確信が得られなかった。

そこでUSERGRAMによる分析を行った結果、超・優良顧客は、メールマガジンに記載されている「今日の新着商品」のリンクを重用しており、購買に至るケースではサイト遷移直後、ほとんど時間をかけずに購入していることがわかった。つまり、好みのブランドを登録してもらって、新着商品が掲載されたら即座に通知する機能を開発するべきだと判断できた。

一方で、ブランド検索機能などを改善しても超・優良顧客には響かないことがわかり開発をストップ、無駄な開発費の投下を防ぐことに成功したという。

ユーザーの傾向をUSERGRAMで分析することで、正しいサイト改善の打ち手を導き出すことができた

生田氏が指摘するように、ECサイトの新規顧客獲得は今後ますます難しくなっていくだろう。人手不足への危機感も高まっている。そうしたなかで売上や生産性をアップさせていく鍵となるのがAI活用ではないだろうか。

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