【レポート】Web担当者Forumミーティング 2022 秋

化粧品通販サイトのクロスセル率が1.8倍! SQL不要、非エンジニアでも実現できるデータ活用術

散逸した社内データの収集・加工・統合という難題を乗り越え、クロスセル率を1.8倍にアップした化粧品通販企業の事例をb→dashが解説する
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コロナ流行の影響により、急速に市場が拡大し、新規参入も増えているEC/D2C業界。ECサイトを運営して1万人規模の会員を確保したものの、育成に苦労している企業も多くあるという。では、獲得した会員のデータを活用して、2回目以降の購入者を増やしたり、購入単価をアップしたりするにはどうすればよいのだろうか?

Web担当者Forumミーティング 2022 秋」のセッションに「b→dash」を提供するデータXの福井氏が登壇。散在する社内データの収集・加工・統合という難題を乗り越え、ノーコードでCDP(カスタマーデータプラットフォーム)を構築し、MA(マーケティングオートメーション)を活用した化粧品通販企業が、クロスセル率を1.8倍にアップした事例を解説した。

株式会社データX マーケティング管掌執行役員 福井 和典 氏
株式会社データX マーケティング管掌執行役員 福井 和典 氏

既存顧客に複数商品の定期購入を促したい! しかし、その施策の実施には壁があった

セッションで紹介されたのは、約10万人の会員を持つ、20~30代向け自然派化粧品の単品通販企業A社が「クロスセル率」を向上させた事例だ。

ここでいうクロスセルとは、1つの商品を定期購入している顧客が、6か月以内に他の商品を定期購入することを指し、クロスセル率は2つ以上の定期購入をしている顧客の割合のことと定義する。

2つ以上の商品を定期購入する「クロスセル」。売り上げ向上に直結する
2つ以上の商品を定期購入する「クロスセル」。売り上げ向上に直結する

A社は、化粧品としては比較的単価が低いブランドだ。そのため、顧客1人あたりの購入単価が低いことが課題だった。売り上げ向上のため、既存顧客に複数商品を定期購入してもらうことで単価向上を目指していたが、目標とするクロスセル率11%に対し、実際は7%前後にとどまっていたという。そこでクロスセルをしていない顧客に向けて施策を実施することとなった。

初回定期購入商品カテゴリごとにクロスセル率を算出し、クロスセル率が低い商品の定期購入者に、メールなどで他の商品を案内するというアイディアだ。

しかし、ここでA社は壁にぶつかってしまいました。それが「データ準備の壁」です(福井氏)

施策実行に必要なデータ収集を阻む「データ準備の壁」

この施策を実施するためには、初回購入年、初回購入月、商品カテゴリ、初回購入人数、クロスセル人数、クロスセル率の6つがわかる次のようなデータを用意する必要があった。

分析実現のためには6つのデータが必要だった
分析実現のためには6つのデータが必要だった

6つのデータのうち、社内システムからすぐに取り出せるのは「商品カテゴリ」のみ。社内には、「商品データ」「受注データ」「受注明細データ」が存在するものの、商品カテゴリ以外の5つのデータを準備するためには、社内に存在しないデータを新しく作成したり、分散するデータを集約・統合したりする作業が必要だった。

社内システムにあるのは商品カテゴリのみ。残りの5つはバラバラのデータを集約、加工しなければならなかった
社内システムにあるのは商品カテゴリのみ。残りの5つはバラバラのデータを集約、加工しなければならなかった

データ準備のためにやるべき11個のタスク

やるべきことを紐解いていくと、クロスセルを促す施策を実施するデータ(カラム)を作成するためには、次の11個のタスクが必要だと判明した。

分析に必要なデータを作成するための11個のタスク

  • タスク①:商品IDを軸に商品データと受注明細データを統合(統合データ①)
  • タスク②:受注IDを軸に受注データと統合データ①を統合(統合データ②)
  • タスク③:顧客ごとに初回購入時のデータを特定(初回購入フラグを立てる)
  • タスク④:初回購入時のデータのみ残るようにデータを絞り込み
  • タスク⑤:初回購入日付を初回購入年と初回購入月に分割(統合データ②-1)
  • タスク⑥:顧客ごとに過去に購入したことがある定期商品を抽出(タスク②からの派生作業)
  • タスク⑦:顧客ごとに過去に購入したことがある定期商品の件数をカウント(統合データ②-2)
  • タスク⑧:統合データ②-1 と統合データ②-2 を統合(統合データ③)
  • タスク⑨:統合データ③のクロスセルしたことがある顧客に「クロスセルフラグ」をたてる
  • タスク⑩:初回購入年と初回購入月を軸に初回購入人数とクロスセル人数を集計
  • タスク⑪:初回購入人数とクロスセル人数をもとにクロスセル率を算出
「商品データ」「受注明細データ」「受注データ」からデータを抽出し、加工・統合する11のタスク
「商品データ」「受注明細データ」「受注データ」からデータを抽出し、加工・統合する11のタスク

これら11のタスクを実行するには、SQLを使う必要がありました。しかし、A社のマーケティングチームにSQLを扱えるメンバーはおらず、エンジニアの稼働が必要でした。これが『データ準備の壁』の正体です(福井氏)

SQLを使わずに11のタスクを処理するには?

SQLを扱えるエンジニアに依頼するには2つの方法があった。1つは社内のエンジニアに依頼すること。しかし、エンジニアには他の業務があるため、「2か月待って欲しい」といわれ、データが得られるまでに時間と工数がかかることがわかった。

社外のシステムベンダーへの依頼も検討したが、見積もりをとったところ、初期に200万円、その後の改修のためにも費用が発生することがわかり断念した。そこで、A社はb→dashを提供するデータXに相談したという。

b→dashの導入によって、A社はSQLを使う必要がなくなりました。ノーコードで必要なデータの準備ができるので、社内外のエンジニアに依頼する必要がなくなったのです(福井氏)

必要なデータを簡単に生成。施策実施まで一直線

b→dash」はノーコードでデータの取込、加工、統合、抽出、活用までをオールインワンで実現できるデータマーケティングプラットフォームだ。

マーケティング部門では、カートシステムや基幹システムのデータをCDPに取り込み、集計、加工、統合して、BI(ビジネスインテリジェンス)やMAなどにデータ連携するといった活用が多いが、これらをすべてノーコードでできるのがb→dashの特徴だ。さらに、MA、BI、Web接客、スマホアプリのプッシュ通知など、さまざまなマーケティング施策を実現する機能も兼ね備えている。

b→dashで利用可能な機能の一覧
b→dashで利用可能な機能の一覧

通常、データマーケティングを行ううえで、さらに踏み込んだ施策や分析を行おうとすると、CDPやMA、BIなど、さまざまなツールを導入する必要があります。しかし、複数のツールを導入する際には、それぞれのツールに対して初期導入のコストや工数がかかってしまうため、なかなか実現できないケースが多いです。その点、b→dashであれば、1つのツールの中に網羅的に機能を搭載しているため、通常の場合にかかってしまうコストや工数を大幅に抑えることができます(福井氏)

完成したデータで施策を実施。クロスセル率は1.8倍に

b→dashのCDP機能を活用したノーコードでのデータ準備と、BI機能を用いたレポートの作成により、年月、商品カテゴリ別に、何人がクロスセルをしたのか、クロスセルまでに何日かかったのか、指定期間中のクロスセル率が算出できるようになった。

その結果、他の商品と比較して化粧水のクロスセル率が低く、改善の余地があることが判明。化粧水のみを定期購入している顧客をターゲットに、他製品の購入促進メール配信を実施することになった。メール配信後は、メール開封の有無をチェックして、開封したものの未購入の顧客にはさらに期間限定クーポンを配信、メール未開封の顧客にはLINEでメッセージとクーポンを配信した。

クロスセル率が低い化粧品のみの定期購入者をターゲットに、他製品の購入促進の施策を実施
クロスセル率が低い化粧品のみの定期購入者をターゲットに、他製品の購入促進の施策を実施

A社は、データの準備、分析、ターゲット顧客へのメール配信、ステップメール配信、SNS配信まで、エンジニアや社外のシステムベンダーの稼働なしに一気通貫で実施することができ、その結果、クロスセル率を7%前後から、約1.8倍の12%に引き上げることに成功した。

クロスセル率を7%前後から、約1.8倍の12%に引き上げることに成功
クロスセル率を7%前後から、約1.8倍の12%に引き上げることに成功

無料でデータ準備、施策実施までを代行するオンボーディングプログラム

しかし、画面に従ってデータを設定すれば、ノーコードでデータ準備から分析、施策実施まで本当に実行できるのか、多くの作業や支援を依頼すると、利用料が高くなるのではないかと心配することもあるだろう。

そうした懸念点を解消するために、b→dashでは初期構築にあたる「オンボーディングプログラム」を用意しており、最短で成果を出せるよう設計しているという。

具体的には、データ加工/統合などのデータ準備作業、シナリオ設定は、b→dashのカスタマーサクセスが代行します。追加費用はかかりません。さらに、約600社の導入事績とリサーチにより、27の業界、業態におけるベストプラクティス施策と分析を初期構築時に実施します(福井氏)

約600社の導入事績から得た27の業種・業態におけるベストプラクティス施策と分析を初期構築時に実施可能
約600社の導入事績から得た27の業種・業態におけるベストプラクティス施策と分析を初期構築時に実施可能

たとえば、EC単品事業者であれば、シナリオ23施策、Web接客10施策、分析37施策をオンボーディングプログラムでベストプラクティスとして定義する。導入企業が必要なのは、持っているデータを連携することだけで、データの集計・統合・加工作業は必要なく、施策の実施までできるということだ。

「今回は単品通販企業の事例を紹介しましたが、その他の業界でもさまざまな事例があるので、ぜひサービスサイトから問い合わせてください」と福井氏は講演を締めくくった。

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