生田昌弘の「Web担当者に喝!」

CMSを機能で選ぼうとするWeb担当者に喝! ユーザーに何を提供したいのかを明確にすべし!

CMSの導入とは、単なるツールを使うことではなく、ユーザー指向の姿勢でCMSという概念を実践すること
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CMSツールを機能や性能だけで検討するWeb担当者と業者に喝!
ユーザーにどんなサービスを提供するために導入するのかが明確でなければ、CMSツールは無用の長物。

「CMSツール、どれがいいですか?」とWeb担当者は言うけれど

CMSツールの問い合わせが、ここ2~3年で急激に増えている。

それ自体はありがたいことだし、弊社はこの10年、CMSの概念に基づいたWebサイト構築に注力してきた。

CMSの概念とは、コンテンツ(情報)を一元管理することで、ユーザーニーズへの最適化や、閲覧しているデバイスやユーザーのシチュエーションへの最適化を行い、「ユーザーへのサービスレベルを向上させる」という考え方であり、将来的なOne to Oneでの対応まで視野に入れている。

しかし、問い合わせのほとんどは、CMSツールの機能や性能についての質問ばかり。CMSツールで成し得たいことの質問ではないところが、大きな問題だ。

CMSツールはいろいろありますが、どれがいいんでしょうか?
Web担当者A
ツールによってどうしてこんなに価格が違うんですかね?
Web担当者B
CMSを導入して、Webサイトの運用を楽にしたいんですよ!
Web担当者C

こんな問い合わせばかりで、ユーザーの話がまったくない

もちろんこれは、Web担当者だけの問題ではない。CMSベンダーにも問題がある。

ツールを入れれば、こんなに簡単にWebサイトの更新ができます!
見たままに編集できるので、技術に詳しくない担当者でも安心です。
CMSベンダーA
既存サイトのデータをそのままCMSツールに移せますよ。
ええ、来月には最先端のWebサイトに生まれ変わりますよ!
CMSベンダーB

こんな調子でWYSIWYGエディタでの更新をデモして、あたかもページそのものを直接更新できるかのように説明したり、現状のページをそのままツールに流し込んで「CMS化完了!」と説明しているCMSベンダーが実に多すぎる。

有効に機能するCMSを構築するなら、コンテンツとテンプレートは別管理になるはずだ。なぜなら、コンテンツを一元で管理することがCMSの初めの一歩であり、テンプレートはコンテンツの受け皿でしかないからだ。テンプレートは、どのコンテンツが、どんな表示形式で、どのサイズで表示されるかを示したものと言える。

詳細ページならともかく、それ以外のページをページ単位で更新できるはずがない。検索したリストのページを、ページ単位で触れないのと同様である。

※ここでの「詳細ページ」とは、たとえばECサイトにおける商品個別ページなど、入力ページと表示ページがほぼ同一のページのこと。

詳細ページは、コンテンツ登録の基本ページとも言える。だから、詳細ページの入力は、表示テンプレートとほぼ同じかもしれない。詳細ページで入力された、タイトルとサムネイルをリストのページに表示したり、おすすめのページには商品名と概要のみを表示するなど、それがCMSの基本的な構築である。

したがって、リストページの1テンプレートだけを直接更新すると、詳細ページで入力した情報との不整合が起きてしまう。ページ単位で触れるのは、CMSで管理されていない自由入力のテンプレート等を適用した場合だけである。

CMSで管理するページ、1対1で管理するページ、どちらも1つのWebサイトに存在しても問題ないし、明確に別の管理だと認識することが重要である。

現状のコンテンツをそのままCMSツールに入れても、コンテンツの粒度がページ単位で、なおかつ、何のひも付けもないから、単なる「更新ツール」としてしか機能しないのは、やる前から明白だ。

ページ単位でCMSのデータベースに登録したら、ページ単位で適用することしかできないのは当然だ。リストのページに適用しようとすると、タイトル部分にページすべてのコンテンツが入る羽目になる。こんなことがあり得ないことは、容易に想像がつくはずだ。

たしかに、CMSによるWebサイトリニューアルでは、コンテンツの再投入が大きな問題となる。しかしこれは、CMSを導入するのであれば一度は行わなければならない、避けられない問題なのだ。

コンテンツの粒度を小さくして整理しなおすという作業を行わなければ、そもそもCMS化したとは言えないし、CMSとして機能するはずもない。そんなものは単なる「ページ管理」だ。

そんなことは、どんなCMSベンダーでも理解しているはずだ。しかし、企業のWeb担当者が、コンテンツの載せ替えが大変という理由でCMS導入を躊躇したら「うちのツールは、コンテンツが簡単に入ります」と説明してしまうのだ。

「CMSとしては、機能しませんけどね」という心の声は、伝えないで……。

そもそも「CMSとは何か」を根本から考え直すべし

「CMSとは、概念である」と、私はいつも説明している。

CMSは、コンテンツをユーザーニーズに最適化するための概念であり、Webサイト構築の根底を担う概念だと確信している。

だから、この概念は、CMSを導入しなくても実践可能だ。

具体的なツール選定の前に、まず概念としてWebサイトをどうすべきか考えてみることだ。

「ユーザーのニーズに応えるWebサイトを構築しよう」という意志を持ってWebサイトが構築されれば、それはCMS的な概念を持ったWebサイトになるだろうし、ユーザーに喜ばれる、サービスレベルの高いWebサイトになるはずだ。

たとえば、次のような視点で考えてみてはどうだろう。

  • どんなユーザーにどんなコンテンツを提供しようか?
  • それをできるだけ少ないクリックで提供できないか?
  • アクセスしてきたデバイスごとに、提供するコンテンツを最適化できないか?
  • ユーザーの今のシチュエーションを想像して、コンテンツを提供できないか?

これらは、どんな企業にもぜひ考えてほしい課題だ。これこそがCMSの概念であり、この概念を実践するためのツールがCMSツールなのである。

どんなCMSツールを選択するにせよ、この概念がなければ、CMSは有効に機能するはずがないのだ。

CMSによるサービスレベルの向上

CMSツールの導入によってサービスレベルを向上させると、ユーザーに次のようなメリットを提供できる。これは、One to Oneの実現においても重要だ。

CMSツールの選定ではまず「やりたい」ことを明確にせよ

CMSツールを導入するということは、CMSの概念を実践するということだ。

いきなり完璧な実践が無理ならば、どの程度のレベルで、実践するかを検討してほしい。

「自社の主力ソリューションに対する4つのニーズにだけ端的に応えるWebサイトから始めてみよう」とか「スマートフォンユーザーには、PCとは違うコンテンツを提供したい」とか……。

そのようなユーザーへのサービスレベルを向上させるための「やりたい」が、CMSツール選定のスタートラインである。

次に、この連載で何度も話してきた「ユーザー体験シナリオ」が有効に機能する。

ユーザーがニーズを満たすまでの行動の流れを可視化したものを、弊社では「ユーザー体験シナリオ」と呼んでいる。

Webサイトであってもリアルな現場であっても、ユーザーとの接点すべてにおいて、ユーザーと企業がもっともハッピーになるシナリオを描き、企業として「Webサイトで何をすべきか」を明確にする。

ユーザー体験シナリオの作成が、真に機能するWebサイトを構築するための鍵となる。

そして、このシナリオを実現するために、シナリオの流れに沿って、必要なコンテンツを洗い出す。何本かのシナリオを描くと、共通で利用できるコンテンツが明確になるはずだ。

共通コンテンツの洗い出しが、CMS導入のセカンドステージである。極端な話、共通で使用するコンテンツが無ければ、CMSツールの導入が有効かどうかの検討が再度必要になる。

CMSツールは、コンテンツの一元管理をサポートするツールである。だから、一元管理するコンテンツが無いなら、そもそもCMSツールを導入する理由がなくなってしまう。

この場合は、運用や更新の利便性を図るために、更新ツールを入れる検討が次のステージとなる。

ただし、単なる更新ツールを「CMSツール」と称して販売しているベンダーも多いので、注意が必要だ。

コンテンツを「1対1」で更新運用するツールは、CMSツールではなく「更新ツール」である。コンテンツごとに管理し、「1対多」で利用できるツールが「CMSツール」だと理解していれば、これは問題ないはずだ。

やりたいことが明確になり、コンテンツも一元管理した方が良さそうだと判断したら、最後は次に示す「スケーラビリティ」の観点から選択してほしい。

  • ページ規模と閲覧者の規模は?
  • 運用者は何人で、承認者は何人か?
  • どれだけ複雑な承認フローが必要か?
  • ドメインをまたいで、データの一元化が必要か?
  • 共通化するデータの粒度・数・量は?
  • 多数のデバイスに、動的に出し分けるのか?

CMSツールは、ブログのような個人利用を想定したツールから、大規模な商品管理までも想定した企業向けのツールまでさまざまな種類が提供されている。

上記の「スケーラビリティ」を意識して選択すれば、御社に最適なツールが選択できるはずだ。

本日のまとめ

「ユーザーのニーズに最適化する」
これこそCMSで成し得ることだ。

これが明確なら、ツール選択も自ずと明確になる。

「お客さまのためのツール導入」でなければ、Webサイトで成果を出すことはできない。

すべては、お客さまの問題解決のために!

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