カスタマーエクスペリエンスに基づくマーケティング戦略

生田昌弘の「Web担当者に喝!」
コンテンツマーケティングはWebサイト制作の本質。小手先のSEOのように丸投げで済むと思うな!

Webブラウザーや検索エンジンの変化によって、これからはユーザーニーズに最適化されたコンテンツだけが評価される
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「コンテンツマーケティング」や「コンテンツSEO」は、リンクを張ったり、HTMLソースを書き直したりするようなこれまでのSEOとは、やることが違う!

コンテンツ制作を軽んじ、重要な仕事だと思っていないWeb担当者や業者に喝!

「これからはコンテンツマーケティングだ! コンテンツSEOだ!」とWeb担当者は言うけれど

「コンテンツSEO」とは、ユーザーニーズに最適化されたコンテンツによってSEOを行うことである。

「コンテンツマーケティング」は、それよりもう少し広く、自社コンテンツのメディア化やブランディング、コミュニティ作りなども含まれる。しかしどちらも、お客さまに有益なコンテンツを提供することでビジネスにつなげるという本質は同じだ。それは、Webサイトを作ることそのものと言える。

そして、これは今に始まった話ではない。

実はこれまでも、コンテンツSEOやコンテンツマーケティングこそが一番重要だったはずなのだ。しかし、そのことを考えなくても、もっと簡単に集客する方法があった。そもそも、お客さまの問題を解決するつもりのないWebサイトを制作している人にとっては、コンテンツ作りは手間のかかる面倒な仕事でしかなかった。

Googleの検索エンジンのアップデートにより、小手先だけのテクニック的SEOやトリッキーなSEOが排除されたことで、やっと本来のWebサイトを作る必要に迫られている。それを象徴的に表すキーワードが、コンテンツSEOやコンテンツマーケティングだと言えば、わかりやすいかもしれない。

私がこの業界に足を踏み入れたのは、約20年前。

広告の仕事をしていた私にとって、クライアントから渡されたカタログデータを流し込んでホームページを作ることは、クリエイティブな仕事ではないと思っていた。

単なる作業だと思っていたし、「私の作ったホームページの制作者は?」と聞かれたら、「カタログのコンテンツを制作した人」と答えていた。

制作をしている人なら当たり前のことだと思っていたが、この業界では違うらしいと知った時に、大きな衝撃を受けた。

どんな業界でも、コンテンツそのものを制作した人が制作者と呼ばれる。

本の装丁や印刷をした人を書籍の制作者とは呼ばない。

私が初期にやっていた仕事は、紙媒体でいえば、印刷に近いかもしれない。

原稿や写真をHTML化して表示できる形にレイアウトする。

重要な仕事だと思うが、クリエイティブではない。

コンテンツSEOは、インターネットを巨大な百科事典に例えれば、Googleの目次に対応する有効なページを制作することだと言える。

そもそもインターネットが、巨大な事典のようなもので、HTMLがその事典の共通の編集ルールだとすれば、インターネットが立ち上がった時から、それは変わらない本質である。

コンテンツSEOこそが、Webサイト構築の基本的な考え方でなければならないし、それこそがWebサイトを制作することだと肝に銘じなければならない。

コンテンツを作らなきゃいけないから、そこからよろしくね!
Web担当者A
なんで編集やコピー料金が見積もりにあるの?
というか、編集ってよくわからないけど必要なの?
Web担当者B
コンテンツのテーマや内容まで私が考えるんですか?
Web担当者C

こんなオーダーや質問をされるときは、コンテンツを作ること=Webサイトを作ることだとまず理解されていない。さらに、制作会社ですらコンテンツを作る気がない場合が多い。

コンテンツの素材になりそうなカタログとか、いただけますか?
制作会社A
写真のデータは、すべてそちらで用意してくださいね!
制作会社B

Web制作者側にもっとコンテンツへの意識が必要だし、そもそもお客さまの問題解決こそがWebサイトで成すべきことであり、Webサイト構築においてもっとも重要なのはコンテンツであるということを、肝に銘じるべきだ。

そもそもWebサイトとは、お客さまの問題解決のためにあるもの

時代が変わっても、Webサイトの本質はまったく変わっていない。

今でもお客さまは、問題を抱えて企業のWebサイトに訪れている。自身が抱える問題を解決するために、検索して、答えを探しているのだ。

Webサイトの本質は、お客さまの問題に答えることであるし、お客さまに情報を渡すだけでなく、サービスそのものを提供することだ。だから、お客さまの問題解決になり得るコンテンツを用意し、提供しなければならない。

そのためには、お客さまのニーズを理解したり、お客さまの声に耳を澄ましたり……。

コンテンツとは、お客さまの問題解決のために。

この連載のすべての根底に流れているメッセージは、ここに行きつく。

お客さまが問題を解決するために検索するキーワードを事前に検討し、それに対応するコンテンツを用意する。それをコンテンツSEOと呼んでも良いが、私自身は、それをWebサイト構築と呼んでいる。

20年間Webサイトの構築にかかわっている中で、常に根底にある考え方だ。

さらに現在では、ニーズに最適なコンテンツを、すばやく、お客さまの読みたい順番に表示すること、利用しているデバイスに最適化することがテーマとなっている。

そうすることで、ただ情報を渡すのではなく、サービスを提供することになるのだと信じているからだ。

そして、お客さまの顕在化した問題だけでなく、潜在的な問題も解決できれば、より良いサービスといえるだろう。

そんなWebサイトを構築したいと思っている。

だからこそコンテンツが、重要なのだ。

SEOのためにコンテンツがいるのではなく、お客さまの問題を解決するためにコンテンツが必要なのだ。

確かに、カタログにも、お客さまの問題を解決できる情報は掲載されている。

最初は、カタログデータの流し込みでも、最低限度のWebサイトが構築できると思うし、そこから始めることも問題ないだろう。

しかし、それで満足してほしくないし、それではだめだと理解してほしい。

お客さまは、問題をキーワードというメッセージで、あなたに明確に伝えているのだ。

そんなお客さまに、標準的な、誰にでも対応できるコンテンツの中から、自分の問題を解決する情報を探させるのか。それでサービスと言えるのか。ぜひとも考えていただきたいポイントである。

Webサイト構築とは「誰のために何を提供するか」から始まる

そろそろほかのメディアと同じ考え方で、Webサイトを構築しなければならない。

告知したい情報をただ並べるメディアから、お客さまの問題解決ツールになるメディアに。ほかのメディアで使用したコンテンツの使いまわしでなく、インターネットに最適化されたコンテンツを制作する。

インターネットならではの、スピードやOne to Oneなどが有効に活かせる、企業の新たなチャネルとしてのWebサイトのために。

そのためには、ほかのメディアでは当然のように行われている、誰のために何を提供するかをしっかり考えることと、それに対応するコンテンツの制作や編集などのクリエイティブが必要になる。

フローチャートをいきなり描いて、既存のコンテンツを並べていくのがWebサイト構築の基本だなんていう、現在のあり得ない現状から脱却しなければならない。

Web担当者の仕事は、「必要なコンテンツを検討して、基本となる原稿をまとめること」だ。

制作会社は、必要なコンテンツ企画を提案して、いただいた原稿を編集する。

撮影や図版が必要であれば、提案し、制作する。

これがWebサイト構築だと言える日が来るために、コンテンツSEOが、Web担当者や制作会社に警鐘を鳴らすキーワードになってほしいと切に願っている。

お願いだから、コンテンツ編集やコピー、撮影の費用もWebサイト構築費の範疇に入れてくれ!

(制作会社の心の叫び)

お客さま視点の「まっとうなコンテンツ」なら環境変化にも耐えられる

キノトロープでは、Webサイトで必要なコンテンツやユーザーニーズを「ユーザー体験シナリオ」というメソッドで洗い出すという話は、この連載で何度もしてきた。

この「ユーザー体験シナリオ」で洗い出したコンテンツを大項目、中項目、小項目で整理し、大項目をディレクトリーとしてサイト構造を制作していく(次の図を参照)。

1. ユーザー体験シナリオを作成し、Webサイトに必要なコンテンツを洗い出す2. 洗い出したコンテンツを大項目、中項目、小項目で整理する 3. 大項目をディレクトリーとして、サイト構造を作成する
ユーザー体験シナリオに基づいたWebサイト設計のプロセス

「ユーザー体験シナリオ」では、お客さまの入り口となるページが重要になる。考えるべきポイントは次の2つだ。

  • どんなキーワードでお客さまが訪れるのか
  • どんなページで対応すればいいのか
    (これは、どんなコンテンツで対応すればいいのかと同義だ)

これから先、リファラー(リンク元のページやどんな言葉で検索したか)が取れない時代になる。Webブラウザーや検索エンジンの仕様変更によるものだが、この変化は止められないはずだ。

リファラーは、企業Webサイトにとって、重要なマーケティング情報である。そして、コンテンツSEOにとっても重要なものであることは、言うまでもない。

この対策として、入り口ページが多数あり、それぞれのコンテンツのテーマや役割が明確になっていれば、ユーザーが入ってくる際のキーワードも(あくまで推定だが)把握できる。

つまり、コンテンツSEOとは、リファラーが取れない時代への対応としても有効な取り組みなのだ。

コンテンツSEOを念頭に置いた制作プロセスとWeb担当者の役割

コンテンツSEOを念頭に置いたWebサイトの制作は、次のようなプロセスで進めていく。

  1. 訪問ユーザーと自社が提供するソリューションのキーワードの洗い出す
  2. キーワードを基にユーザーが必要とするコンテンツやその表示順を決める
  3. コンテンツのベースとなる原稿(または資料)を用意する
  4. 社内にある役立ちそうな素材を用意する
  5. 図版や写真などのビジュアル要素も積極的に探す
  6. 原稿や資料、各種素材を制作会社に渡す
  7. 制作会社が仕上げたものの校正をする

それぞれを詳しく説明していこう。

お客さまのニーズに基づいた導線設計は、まず「キーワードの洗い出し」から始める。

自社のWebサイトに訪れる人のリファラーやインターネット上で検索されているキーワードの洗い出し、そして自社のソリューションが対応できるキーワードの洗い出しを行う。これは「ユーザー体験シナリオ」を作成するための最初の一歩となる。

ところで、既存のSEOや広告では、商品購買などのニーズが顕在化した状態のユーザーをおもなターゲットにしていた。しかしコンテンツSEOでは、「潜在的には関連ニーズを持っているものの、商材に直結するまでは顕在化していない」状態のユーザーにコンテンツでリーチして、自然な流れで商材に意識をつなげることもできる。それを念頭に置いてキーワードやコンテンツを考えると、コンテンツSEOの強みがさらに発揮される。

次に、洗い出したキーワードを入り口として、お客さまに最適なコンテンツや表示する順番を明確にしていく。これで、必要なコンテンツは、おのずと明確になるはずだ。

必要なコンテンツが洗い出せたら、そのコンテンツのベースとなる原稿を用意する。これは、企業Web担当者の役目である。

文章が苦手なら、関連する資料を収集しよう。わかる範囲でポイントを箇条書きにするだけでも、同様の成果が得られる。

直接関連するものでなくてもかまわないので、役に立ちそうな資料が社内にないか探して、用意してほしい。コールセンターの資料が有効な場合もあるだろう。

これらを制作会社に渡して、編集してもらう。これが一番簡単なコンテンツの制作方法だ。

さらに、図版や写真なども理解を深めるためには重要な要素である。図版は手書きでもかまわないので必要な要素を入れ、写真は見本となる写真を用意すると意図を伝えやすい。

あとは、制作会社のプロにお任せする。そして出来上がってきたものの校正を行う。

これがWeb担当者の仕事だ。

特に現在は、お客さまの閲覧スピードやデバイスの変化により、キャッチコピーが重要な時代になっている。制作会社と十分な議論や検討が必要になるだろう。

本日のまとめ

コンテンツとは、単なる情報や集客のための素材ではなく、お客さまの問題解決のためのものであることを忘れてはならない!

したがってコンテンツSEOの肝は、お客さまのニーズをどれだけ満たして最適化できるか。

「お客さまのためのコンテンツ」でなければ、Webサイトで成果を出すことはできない。

すべては、お客さまの問題解決のために!

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