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基礎から学ぶアプリストア最適化「ASO」――インバウンドマーケター向けガイド(前編)

モバイルアプリ最適化について知っておくべき基本から実践までを、SEOとの比較なども交えながら解説
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この記事の内容はすべて筆者自身の見解であり(ありそうもないことだが、筆者が催眠状態にある場合を除く)、Mozの見解を反映しているとは限らない。

アプリのエコシステムは、これまでに存在したすべてのエコシステムに勝ると言ってもいいほどの速さで成長している。また、デスクトップ向けウェブからモバイルアプリへのシフトは、最も楽観的な予測よりも速く進んでいる。

Mozのブログでは従来、モバイル、アプリのエコシステム、アプリのマーケティングといったコンテンツはあまり扱ってこなかった。ランドは以前、アプリストア最適化(ASO)とモバイルアプリに関する持論を述べたことがあるが、消費者の関心が劇的にモバイルへと移行するなか、時代は変わりつつある。

デジタルマーケターが目指すゴールは、「顧客がいる場所で彼らにリーチすること」であり、その場所が「アプリストアを通じたモバイル機器(スマートフォンやタブレット)」であることが増えつつある。

私は、アプリストア最適化とアプリマーケティングツールを手がける新興企業のCEOとして、アプリストアの世界に深く関わり、アルゴリズムを追ったり、顧客がこの真新しい競争の場を理解するのを手伝ったりしている。その立場から見ると、われわれは今なお、アプリのエコシステムの第1章にいる。このエコシステムは、今も急速に変化しており、新しい発表(たとえば「iOS 7」)があるたびに、アプリマーケティングには大きな変化がもたらされる。

今回、Mozのブログでモバイルアプリのマーケティングに関する初心者向けガイドを書けることに、私は信じられないくらい幸せを感じている。アプリマーケティングの全チャネルに簡単に触れるつもりだが、重点はASO(アプリストアのためのSEO)に置こうと思っている。

この記事は、アプリマーケティングを高所から概観するものだ。高度な内容を詳細に解説するわけではないので、読者をある一分野の専門家にしようというものではない。そうではなく、ASOなど特定の部分を見る目を養いたくなるようなきっかけを読者に提供することを目指している。

モバイルアプリの爆発的な成長は続く

初めに、アプリのエコシステムをざっと概観してみよう。

このエコシステムは、アップルがApp Storeを開設したのが2008年(わずか5年前)ということもあって、全体的にとても若い。一般的に言って、この5年間という短い期間で、このエコシステムはApp StoreとGoogle Playという2強が争う場となった。もちろん、アマゾン、マイクロソフト、ブラックベリーなど生き残って3番手を狙える他社もあるが、App StoreとGoogle Playが集団をリードしているのは明らかだ。

App StoreとGoogle Playは、ダウンロード総数で拮抗している。

2013年5月時点で、App Storeが500億ダウンロード強、Google Playが480億ダウンロード強だ。ただし売上高を見ると、例外はあるが、一般的にiOSアプリがAndroidアプリを大きく上回っている。

しかし米国外に目を向けると、このゲームの様相は国によって劇的に変わる。たとえば、インドや中国などの発展途上国では、ほかのAndroidプラットフォームとアプリストアが急速に台頭してきていることがわかる。モバイルの国際市場シェアについては、このブログがわかりやすい。

アプリのエコシステム全体の成熟に伴い、アプリのマーケティングも急激に成熟してきた。

初期のアプリマーケティングは、他のアプリ内に設置するCPMバナーなどの非常にシンプルなチャネルだった(基本的に、「さあ、ウェブバナーを小さくしましたよ」程度の意味しかなかった)。

それから、インセンティブによるインストール(「ポーカーのチップがなくなりましたか? 大丈夫、この別アプリをインストールするだけで追加のチップを10枚入手できます」)など、複雑にはなったが利用者からすると不親切なチャネルが登場した。

その後、もっと割のいいチャネルへと急速に移行していった。たとえば、CPI(インストール件数に応じた課金制)や動画などだ。

現在、アプリのマーケティングは、オーガニックなチャネル(アプリストア検索やソーシャルなど)と有料のチャネルとをうまくブレンドしたものへと向かいつつある。どこかで聞いたような気がするって?

ユーザーはどのようにしてアプリを見つけるのか

アプリはウェブと異なり、どのような経路でダウンロードされたのかを正確に把握できる良い方法が存在しない。

その代わりに、アプリのマーケターは、次のような情報を頼りに、アプリ配布に最も効果的で利用度も高いチャネルを見つけ出す。

  • 調査
  • ほかのマーケターの体験談
  • プラットフォームを所有するアップルやグーグルからのデータ

多くのASO担当者が挙げる2大調査は、調査会社のニールセンフォレスターが提供しているものだ(調査結果全体はこれらのリンク先で閲覧できるが、一部を抜き出したものを以下に引用する)。

どちらの調査でも、アプリストア経由のオーガニックなチャネルがダウンロードの主な要因になっている。とりわけ、アプリストアでの検索が最大のチャネルである点で両社の調査は一致している。消費者の63%は、アプリストアでの検索でアプリを見つけている。

どのチャネルでアプリを見つけるか(アプリユーザー内の%)
同期ソフト(iTunes)
メディア
アプリを探すアプリ
ウェブサイト(サードパーティ)
友人/家族
アプリストアの検索
どのチャネルでアプリを見つけるか(アプリユーザー内の%)
ウェブサイト(ブログ)
ウェブ検索
ウェブサイト(一般)
ソーシャル
プリインストール
アプリストアのトップチャート
友人/家族
アプリストアの検索

さらに、プラットフォームの運営者自身も、(完全公開ではないにせよ)優良なデータを一部提供している。Google PlayのSearch and Discovery部門の主任であるアンキット・ジェイン氏が最近Google I/Oで行ったプレゼンで、アプリストアの検索の威力についてすばらしい言葉を紹介した

平均的なアプリでは、
インストールの圧倒的多数を
検索が占めている。

Google PlayのSearch and Discovery部門主任 アンキット・ジェイン氏

ウェブ上のマーケティングとまったく同じように、アプリストアにおけるオーガニック検索は、アプリのインバウンドマーケティングの一要素でしかない。アプリのエコシステムにおけるインバウンドには、

  • 検索
  • ソーシャル
  • トップチャート(人気ランキング)
  • web-to-app

など、たくさんの種類がある。そのうち、ウェブと異なるものとして特筆したいのが、アプリストア内のトップチャートだ。

トップチャート(人気ランキング)がアプリストア内の検索と異なるのは、特に一般的な消費者向けのアプリの場合に、驚異的なダウンロード要因となるところだ。トップチャート入りして順位を管理するのは、それ自体が特殊技能であり、科学であり、何本ものブログ記事がかける題材だ。

トップチャートの何よりも興味深い側面の1つは、インバウンドマーケティングの「燃料」として有料のマーケティングを利用できる点だ。それはつまり、トップチャート入りをお金で買えるということに等しい。

ただし、これは要注意。アップルは、自分たちのシステムを露骨に出し抜く者を好まないので、そうした手法が使われたアプリをストアから排除する手を打とうとしてくるかもしれない(パンダおよびペンギンアップデートのアプリ版だと考えるといい)。

さらに、私の予想では、トップチャートがアプリストアで有効な期間はそう長くない。アプリが10万本の時はそれなりに興味深かったが、今では数百万のアプリの順位がマーケターによって買われている。さらにアプリ数が1億になるころには、トップチャートは無用になっているだろう。

アプリマーケティングとウェブマーケティングの違い

多くの点で、アプリマーケティングはウェブマーケティングと著しく異なっている。自分のどのスキルが転用できるのか、そして、どんなスキルを新たに学ぶべきなのかを認識することが重要だ。

まず、アプリのエコシステムは、現実に2強が争うレースであり、この2強の顔ぶれが変わることはおそらくない。

ウェブの世界では、検索を考えるとき、大半のSEO関係者が注目するプレイヤーは1社しかないので、注力する先を考える必要はない(Bingには申し訳ないけれど)。

しかし、アプリのエコシステムでは、開発者のリソースやマーケティングのリソースなどに基づいて、注力したいプラットフォーム(複数の場合も)について極めて具体的に判断を下す必要がある。各プラットフォームは完全に異なる(特に検索において)。そのため、各プラットフォームを別のものとして取り組む必要があることを理解するのが大切だ。

ウェブとアプリのエコシステムが異なる点として、アプリのエコシステムではアトリビューション(コンバージョンへの貢献度)の情報に乏しいこともある。

というのも、アプリストアはあくまでも門番であり、インストールがどこから来たものなのかを知ることはとても難しいのだ。

この事実は、どちらのプラットフォームを利用するかによって違いがあるかもしれないが(iOSのほうがこの傾向が強くなるのは間違いない)、どちらのプラットフォームにも存在する。そのため、ウェブなら、訪問がどこから来たものなのかを多くの場合知ることができるが(たとえグーグルがユーザーのプライバシーに必死になって検索キーワードを「not provided」に隠すようになってはいるが)、アプリストアでは、インストールがどこから来たものなのかは、高い地位にある人物であっても決して知り得ない。

ただし、これには裏技がいくつかあり、以下で概説するが、とにかく覚えておいてほしいのは、アプリストアにおけるアトリビューションは入手困難だということだ。

この項でもう1つだけ言い添えると、アプリのエコシステムはまだ第1章にすぎないということがある。つまり、われわれはまだこれから大いに成長していくのだ。なかでも特に、ロングテールがまだ伸びており、成功する事業のために何が必要なのかを教えてくれる。

私は、アプリのエコシステムを1990年代後半のウェブになぞらえることが多い。検索のアルゴリズムがまだ開発段階で、資金がまだ大手パブリッシャーに集中しているということだ。そのため、思い切って早い段階でこのプロセスに踏み出そうという人々には大きなチャンスがある。しかし、そのためには、教育と啓発を通じてこのエコシステム全体を成熟させる手助けをするのに時間を費やすことへの、理解と意欲が必要とされる。

私はアプリのエコシステムの姿を示すために次のようなグラフをよく描く。

ウェブのエコシステムとアプリのエコシステムの比較(2013年)
ウェブのエコシステム
アプリのエコシステム
アプリ1本あたりの儲け
パブリッシャーの数

たくさん儲けているパブリッシャーが少しあり、大多数はほとんど稼げていない。ウェブのエコシステムでは興味深い額を稼いでいる厚い中間層があるのに対し、アプリのエコシステムでは、そういった中間層は、ほとんどない。

アプリのエコシステムは、さらに成長を続けてカーブを滑らかにし、ウェブのカーブにもっと近づく必要がある。私は、ウェブが年月を重ねてこうなったのだから、アプリにも同じことが起きると確信している。

この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。後編となる次回は、ASOを実践する際に重要なポイントと役に立つツールを紹介する。→後編を読む

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