百戦錬磨のSNSマネージャーが手ほどき! 企業SNS活用の悩みに答えます

SNS広告をやる必要はある?ない? Web担当者が押さえておくべきSNS広告の特徴とは

「検索広告やディスプレイ広告で十分」と考える人もいると思いますが、なぜSNS広告を配信する必要があるのでしょう?

オーガニック運用・広告配信・危機管理など、企業のSNS活用のポイント、最新情報を、SNSマネージャー養成講座の講師陣「チーフSNSマネージャー」のメンバーが、それぞれの得意分野を中心に解説します。

今回は、ウェブ広告の認定資格「ウェブ広告マネージャー」の代表でもある里村仁士氏が回答します。

質問

現在、GoogleやYahoo!で検索広告とディスプレイ広告を配信していますが、SNS広告も配信したほうが良いでしょうか?

里村

はい、検討余地は十分にあります。ビジネスのサービスの種類、ターゲットユーザーの属性、プロモーションの目的によっては、検索広告やディスプレイ広告より、SNS広告のほうが成果が上回ることは珍しくありません。たとえば、費用対効果が高い検索広告に過剰に広告予算を投下しても、成果は伸び悩み、最適な予算配分とはいえない状態になります。広告施策の頭打ち状態を避けるためにも、SNS広告を有効活用しましょう。

検索広告やディスプレイ広告だけではリーチが不十分?

SNS広告を有効活用するためには、まずSNS広告の特徴や仕様を理解する必要があります。本記事ではSNS広告を検討しているWeb担当者に向けて、SNS広告を出稿する必要性や特徴について紹介します。

そもそも検索広告やディスプレイ広告だけで十分ではないか、と考える人もいると思います。なぜSNS広告を配信する必要があるのでしょうか? その理由の1つには、ユーザーが商品・サービスを購入するまでの道のりが多様化している点が挙げられます。

情報収集の手段は検索エンジンで調べるだけではありません。Instagramでハッシュタグを使い検索する行動も増えています。Facebookで友人から情報を得る、Twitterでインフルエンサーの発信に影響を受けるなど、SNSはユーザーの行動に影響を与えるきっかけのチャネルとして日常生活に溶け込んだ存在となりました。

そのため、接触するメディアやデバイスが増えているなかで、検索広告(検索エンジン)やディスプレイ広告(ニュースサイトやアプリなど)の接触面だけではリーチが不十分であるともいえます。

SNSは量と質の観点でもユーザーの態度変容に影響を与えます。ユーザーはその商品・サービスに魅力を感じたり、今の自分に必要性を感じたりすれば、投稿種類(広告、自然投稿)にかぎらず心は動くでしょう。つまり、企業とユーザーの出会いの懸け橋になる可能性がSNS広告には秘められています

あらゆるユーザーに効果的にリーチできる

広告はユーザーにリーチできれば良いというものでもありません。ビジネス目的(認知、購入など)に沿った配信を行うことが重要です。そのためにも届けたいユーザーに適切な情報を届けること。これはSNS広告の得意分野です。

(1)ターゲティング精度が高いため届けたいユーザーにリーチできる

SNS広告では主にプラットフォーム内でのユーザーの行動履歴をもとに、そのユーザーの興味関心をセグメントします。たとえば、美容関連の投稿に頻繁にアクション(いいね、シェア、コメントなど)をしていたり、自身が美容関連の投稿をしていたりすれば、そのユーザーは美容関連に興味があるユーザーとしてセグメントされます。このように、ユーザーの具体的な行動履歴から興味関心を判別できるわけです。

その他、ユーザーのアカウント情報もターゲティングで使用されます。年齢、性別などのデモグラフィックデータだけでなく、Facebook広告やLinkedIn広告であれば、勤務先や最終学歴などをアカウント内で設定していれば、それらの項目もターゲティング対象として扱われます。

このように、SNS広告ではターゲティング精度が高いため、届けたいユーザーにリーチしやすいわけです。

(2)さまざまなビジネス戦略に適応した配信ができる

SNS広告の配信目的はさまざまです。商品・サービスを知ってもらうための認知目的の配信や、購入してもらうことを目的とした購入促進まで幅広く対応しています。各SNS広告ではそれらのビジネス目的に適した配信手法が用意されています。以下はFacebook広告の配信目的別の一覧です。

【認知】
目的内容
ブランドの認知度アップ商品・サービスの認知向上
リーチ多くのターゲットユーザーに広告を表示する
【検討】
目的内容
トラフィックウェブサイトなどの外部リンクに誘導する
エンゲージメント投稿へのアクション数を増やす
アプリのインストールアプリストアに誘導する
動画の再生数アップ動画を視聴しやすいユーザーに動画を配信する
リード獲得リードジェネレーション(リード数を増やす)
メッセージメッセンジャーなどでユーザーと繋がる
【コンバージョン】
目的内容
コンバージョンウェブサイト上でのコンバージョンを促進する
カタログ販売ストアの商品を掲載して売上を増やす
来店数の増加実店舗への来店を増やす

目的が異なれば評価指標も異なります。認知目的であればインプレッション数、リーチ数など。検討目的であれば、クリック数、エンゲージメント数、動画再生数など。コンバージョン目的であれば、コンバージョンなどです。ビジネス目的に沿った指標で評価しないと、適切な広告効果の判断ができないので気をつけましょう。

ビジュアルリッチな広告クリエイティブが豊富

届けたいユーザーにリーチできたとしても、ユーザーが広告を見たときに、その訴求に魅力を感じたり、必要性を感じたりしないと、ユーザーは見向きもしません。ユーザーに目を向けてもらうためには、ユーザーを十分に理解することや、商品・サービスの打ち出し方を決める戦略設計は欠かせません。それらを前提としたうえで、どのように伝えるかという方法を考えます。

SNS広告では画像や動画などのビジュアルリッチな広告クリエイティブが充実しているため、表現の幅が広い特徴が挙げられます。各特徴を理解したうえで、広告訴求を考えましょう。

(1)画像

画像は広告クリエイティブでももっとも利用率が高い形式です。基本的には投稿の見出しや本文と合わせて表示されます。広告専用の画像形式もありますが、自然投稿と同じような形式で表示されるため、ユーザーに違和感を与えずに、溶け込んだ雰囲気で表示されます。

派手な表現でアピールするよりも、自然投稿に近い表現をした画像のほうが成果が良い場合もあります。継続的にクリエイティブテストを繰り返し、最適な訴求を追求する広告運用が求められます。以下は代表的なSNS広告の画像形式の配信例です。

出典:

Facebook広告:Facebook広告ガイド
https://ja-jp.facebook.com/business/ads-guide/image/facebook-feed

Twitter広告:Twitter広告ビジネス
https://business.twitter.com/ja/blog/website-card.html

LINE広告:LINE広告PR
https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2020/3082

(2)動画

動画では他広告形式よりも多くの情報をユーザーに届けられます。ただし、ユーザーはSNS内で多くの投稿を流し読みをして、興味がないと判断した投稿はすぐにスクロールします。そのため、動画広告の構成では最初の3秒以内でユーザーに興味をもってもらえるかの「つかみ」が重要です。全体の構成も15秒以内を目途にするなど、短い動画で構成すると効果も発揮しやすいです。

出典:Facebook広告:Facebook広告ガイド
https://www.facebook.com/business/ads-guide/video/instagram-story

まとめ

SNS広告は、精度が高いターゲティングやビジュアルリッチな広告クリエイティブが用意されているので、届けたいユーザーに適切な情報を届けやすいと考えられます。SNSはユーザーの生活の一部に溶け込んでいます。検索広告やディスプレイ広告だけでなく、SNS広告を活用することで、ターゲットユーザーに効果的なリーチできます。ぜひ検討してみてください。

里村でした。

2020年より私たちは、「SNSマネージャー養成講座」という資格試験をスタートしました。SNSマネージャーの上位資格である上級講座では、実際に運用しているアカウントをサンプルにして、徹底的に運用目的とKPIなどの必要項目を掘り下げて企画書を作成するワークを実施しています。

この記事を読んで「理屈はわかったけど、実際自社のアカウントに当てはめるとピンと来ない。さてどうしたものか……」とお悩みのあなた。ぜひチャレンジを。

【SNSマネージャー養成講座 | 企業がSNSを効果的に運用して事業を進化させる講座】

タイトルデザイン、タイトルイラスト:995(Twitterアカウント
三度の飯より猫が好きなイラストレーター。ゆるくてかわいいイラストが得意です。

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