リスティング広告運用でビジネススキルも磨く
広告予算は青天井ってどうゆうこと!? リスティング広告の予算の考え方を教えて!

「リスティング広告の予算決め」から「企業が利益を追求することがなぜ大切か」までを解説します。
予算が青天上ってどうゆうこと?

ウェブ担当者:寳さん、ちょっと聞いてくださいよ。ボスにリスティングの予算を聞いたら、こう言うんですよ。

上司(ものまね):あー、それ自分で考えてみて。ウチ、儲かりゃ青天井でどこまでもだからさ。ガハハ!

ウェブ担当者:意味がわからないし、正直なんかこわい……。

寳:こんにちは。今日はリスティング広告の予算の決め方について話しましょうか。予算と一緒に、そもそも企業としてなぜ広告を出すのか、ビジネスについても説明していきましょう。それにしても青天井だなんて、麻雀好きの社長らしい表現ですね。

ウェブ担当者:そうですか? なんか儲かればいいって感じがちょっと……。

※青天井:値段や数に限界がなく、上昇しつづけること。

コンバージョン=企業にとって金銭的価値のある行動

現実問題として、あなたの会社にはすでに売上目標が存在しているのではないでしょうか。目標に向け、マーケティング全体に充てる費用があり、そのなかからリスティング広告に費用を配分することになるはずです。前年の実績があれば、他のマーケティング費用との兼ね合いを鑑みながら、リスティング広告の予算を決めていくことになるでしょう。

できるだけシンプルに考えてみましょう。売上目標を達成するために、扱っている商品(サービス)がいくつ売れればいいでしょうか? 1つ簡単な例で考えてみましょう。

例1
  • 売上目標:100,000円
  • 商品単価:5,000円
  • 目標達成までの販売数:20個(10,000÷5,000)

ここでは他のマーケティング費用との兼ね合いはいったん無視して、この20個を売るためにリスティング広告を使っていくことにします。リスティング広告には、広告経由で商品が売れたことを計測する仕組みが備わっています。その仕組みは、次のようにとてもシンプルです。

  1. 広告をクリックしてサイトに入ったユーザー(ブラウザ)に印を付ける。
  2. その印が付いたユーザーが商品を購入したとき、広告の貢献であると数える。

ここでは商品の購入を例にとっていますが、発生した何らかの金銭的価値のある行動を数えて数値化します。企業にとって金銭的価値のある行動を「コンバージョン(Conversion)」といいます。つまり、前述の例では、リスティング広告を使って20件のコンバージョンを獲得すれば、売上目標を達成できるということです。

たとえば、次のようなユーザーの行動をコンバージョンとみなします。

リスティング広告で使われる主なコンバージョンの例
行動
(コンバージョン)
具体例 カウント方法
商品の購入 ユーザーがサイトで商品を購入する ユーザーが購入完了ページに到達した数を数える
サービスの申し込み ユーザーがサイトでサービスを申し込む 申し込み完了ページに到達した数を数える
新規会員、メールマガジンの登録 ユーザーが新規で会員登録したりメールマガジンを購読したりする 申し込み完了ページに到達した数を数える
資料請求、お問い合わせ ユーザーの問い合わせ Webフォームやメールの問い合わせ数を数える
電話発信 ユーザーが電話で問い合わせる スマホの電話番号をタップした数や問い合わせ数を数える
実店舗への来店 ユーザーが実際に店舗へ足を運ぶ 計測には、クーポンを印刷して持ってきてもらうなどの工夫が必要
アプリのダウンロード ユーザーがアプリをダウンロードする ダウンロード数を数える
(見てほしい)ページの閲覧 ユーザーが特定のページを閲覧する 特定のページの閲覧数を数える

1件のコンバージョンを生み出すために使える広告費は?

前述の例1では、リスティング広告を通じて20個のコンバージョンを生み出せれば、目標達成できます。ただし、広告に20万円以上使っていたらどうでしょうか。これだと、目標を達成しても10万円のマイナスになってしまいます。

商品単価5,000円×販売数20個-広告費200,000円 = -100,000円

リスティング広告をうまく使ってプラスにするには、1件のコンバージョンを生み出すのにいくらまで使えるのかという費用を考えます。この1件あたりの費用をCPA(Cost Per Acquisition/Action、シーピーエー)といいます。

CPAは次のような式であらわされ、広告費用とコンバージョンによって得られる利益のバランスを見る目安になります。

CPA = 広告費÷コンバージョン数

20万円の広告費で20件のコンバージョンを得たなら、CPAは「200,000円÷20=10,000円」になります。

自社のCPAは良いのか悪いのか、よく競合他社を気にする方がいるのですが、一見近しい事業で商品・サービスを展開しているように見えても、企業規模やビジネスの形態、何をコンバージョンとみなすかは、企業によってさまざまです。競合他社の情報を探るのに一生懸命になるよりも、自社の利益に見合うかどうか考えていくことが大切です。

具体的には、自社で許容できるCPAの目安を決めるといいでしょう。許容できるCPAの基準としてよく使われるのは粗利です。コンバージョンによって生み出された売り上げ額から、売上原価を引いた額を粗利として、CPAが粗利を下回っているかどうかを見るわけです。CPAが粗利を下回っていればプラスになっているので、最低限、赤字にはなっていないと考えます。

繰り返し購入される商品やサービスの場合、1コンバージョンで得られる粗利に、時間の概念を入れることがあります。コンバージョンしたユーザーがリピートして、将来もたらしてくれる粗利も含めて計算するやり方です。

また、BtoBではよくコンバージョンを資料請求などに設定しますが、それだけで取引が完結するわけではありません。資料請求をしたユーザーに対して、営業がアプローチをし、実際の成約にまでつなげて初めて収益が発生します。そういうとき、資料請求から実際の成約につながる割合と、取引が成立したときにもたらされる収益、もしくは粗利をかけてコンバージョンの金銭的価値を計算することもあります。

例:資料請求の金銭的価値 = 資料請求数×資料請求した人の成約率×成約したときの粗利

リスティング広告の理想的な状態

理想的なリスティング広告の運用は、次のような状態を作ることです

1コンバージョンあたりの粗利 > CPA

なぜなら、CPA以上の利益が得られる状態なら、広告費用を増やすことでコンバージョンの数が増え、利益を積み増すことができると考えられるからです。

この好循環のサイクルに入ると、当初決めた広告予算に上乗せしても、リスティング広告を使ってビジネスを伸ばすことができます。

特に成長期にあるビジネスの場合、青天井とまではいかなくとも、リスティング広告の力を使って拡大に弾みをつけられます。こういうことはリスティング広告ではよくあります。マーケティング予算を期初に決める企業も多いですが、柔軟に予算配分を変えられるようにしておくといいでしょう。

予算を天秤にかけたイメージ写真
artisteer/iStock/Thinkstock

CPAに縛られて目的を見失わないこと

なお、同じ予算でコンバージョン数が落ちてきているようなとき、CPAを極力抑えるように求められることも、リスティング広告運用の現場では起きることがあります。そんなとき、「広告費用を削って確実にコンバージョンが取れるところだけに広告を出す」ことが正解だとは限らないことも覚えておいてください。

なぜなら、獲得できるコンバージョンの母数が減り、手詰まりになってしまうことがあるからです。許容として設定したはずのCPAが本来の目的から逸脱し、コスト削減や効率化の名のもと、実態のない目安になってしまうことには要注意です。

「利益を増やすためにリスティング広告を使っている」という基本に立ち戻り、どのようなやり方なら利益を増やせのか考えることが重要です。費用を削るどころか、むしろこれまでより大胆に使う決断をすることによって、新たな打ち手がうまくいき、好循環のサイクルに向かう道筋が作れることも多いのです。

ROASで全体のバランスを考える

企業によっては、サイトで扱っている商品が、500円から1万円まで、多岐に渡る場合もあるでしょう。当然、商品ごとのコンバージョンの金銭的価値は違うはずです。このように、金銭的価値の異なるとき、1つのコンバージョンの価値を同じものとして許容CPAを考えるには無理が生じる場合があります。

こういうとき、CPAでなく「ROAS(Return on Ad Spend、ロアス)」という指標を使ってバランスを見ることがあります。一定規模以上のeコマースサイトでよく使われている指標で、「広告投資に対する回収率」を表します。

ROAS = 広告で得た売上金額÷広告費用×100(%)

仮に売上金額が100万円、広告費が20万円だとすると、「100÷20×100=500%」になり、広告費に対して5倍の収益を生み出している計算です。

リスティング広告経由で生み出される売上金額は、計測タグをカスタマイズすることで比較的容易に測ることができます。許容CPAを粗利で説明したのに対して、これは売り上げで見ることが多いため、尺度が異なっていることに注意してください。

企業は利益を追求する。あなたは適切な投資をしよう

ここまでリスティング広告のコンバージョンの金銭的価値や予算設定について見てきましたが、私たちがこれからリスティング広告を使って何をしようとしているのかを、少し根本から押さえておきましょう。そもそも論でいうと、企業がリスティング広告をはじめとするマーケティングにお金を使うのは「利益を増やすため」です。

企業はなぜ利益を増やそうとするのか。利益は企業の事業継続に不可欠だからです。企業は事業を継続することで、顧客やはたらく社員、その家族を含めた社会に貢献ができます。

行き過ぎた利益追求によってひずみが生じた企業による不祥事のニュースが頻繁に流れる現代では、企業が利益追求する姿勢自体に対して嫌悪感を抱くようになってしまっている人も多いかもしれません。

でも、さまざまな企業による事業の継続の上に私たちが暮らすこの社会が成り立っていることも事実です。適切に利益を追求するのは決してわるいことではないと考えてみたほうが、はたらく自分自身を前向きに捉えられると思います。

一般に、利益を上げるには収入を増やす方法と、支出を減らす方法がありますが、マーケティングの場合は前者です。企業は将来の利益(リターン)を得るために、さまざまな投資をしています。企業の海外進出や研究・開発への投資は、利益を生めるとふんでいるからこそです。

リスティング広告や他のマーケティングへの費用についても、これらの投資と基本的に同じだと考えてみてください。マーケティングによってユーザーが商品を買うようになり、利益を生めるなら、投資する価値があると考えられるでしょう。

投資には成功もあれば失敗もあります。企業は投資について、リターンが得られているかを判断するために「ROI(Return On Investment、アールオーアイ))」という尺度を使います。これは投資に対して得られた利益(リターン)の割合「投資対効果」で、次のような式で表されます。

ROI = 利益÷投資×100%

CPAを算出したとき、売り上げから売上原価を引いた粗利で計算しましたが、企業がROIを見る場合の「投資」は、もう少し広く、先までを見通した視点で考えます。3か月、1年という短い間隔だけでなく、企業は何年もかけて利益を回収することをふまえた上で計画を立てています。また、投資には使ったすべての金額が含まれるため、社員の人件費も入ってきます。

あなたもまた、自分自身を小さな「企業」のようなものだと考えると、見通しがクリアになるかもしれません。知識を身に付けるために本を買う「自己投資」のように、何もお金を使うことばかりが投資ではありません。会社から給料をもらっているあなたは、平日1日8時間、自分が差し出せる時間そのものをかけていると言えるでしょう。

終身雇用という定年まで1つの企業に勤め上げるスタイルは過去のものとなり、もはや企業の規模を問わず、会社に依存できる時代ではありません。働く時間を使って何を得るか、また、何年かけて何を得ようとするかは、あなた次第だと言えます。

給料+スキル? 人脈? あるいは運命のパートナー? 自分が投資する時間のなかで何を得るかについて自覚的になることが、これからの社会を生き抜くためのカギだと思います。

今回のまとめ

  1. 広告予算は売上目標から決める。

  2. 企業にとって金銭的価値のある行動をコンバージョンとして設定し、リスティング広告で何件コンバージョンを獲得すれば目標を達成できるか考える。

  3. リスティング広告でコンバージョン1件を獲得するのに許容できる金額(CPA)を計算して目安とし、利益が上回るように運用する。

  4. 利益は企業が事業を継続するために必要なもの。さまざまな投資をして利益を生み出している。

  5. 働く時間そのものを投資と考え、何を得るかに自覚的であることが重要。

本記事の筆者、アユダンテ 寳氏も講師を務める「衣袋教授の『Google アナリティクス ビジネス活用 徹底マスター講座』」が3月22日と29日に開催されます。

2日間の講座で、Google アナリティクスの機能を網羅的に理解し、その具体的な施策への活かし方を学びます。

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