一人でできるWebサイト収益UP術-ウェブ解析士事例集
基本的なウェブ解析で売上40倍にUP! 札幌のリサイクル回収・処分店が行ったノウハウを大公開

パソコンやネットに詳しくなくても、基本的なウェブ解析のやり方、考え方、見せ方を押さえれば、10か月で売上40倍もの成果をあげられる! 事例を紹介します。
石野 史康(AITIE) 2014/6/19(木) 9:00 tweet129このエントリーをはてなブックマークに追加 印刷用

パソコンやネットに詳しくなくても、基本的なウェブ解析のやり方、考え方、見せ方を押さえれば、わずか10か月で売上が40倍もの成果を上げられる。その基本的なウェブ解析のやり方をすべて公開します! 「ホームページもパソコンの扱いがよくわからないが活用したい」と思っている経営者や新人のウェブ担当者の方にお勧めの記事です。

パソコンが苦手なんだけど……とにかく新規開拓したい!

今回、紹介する事例は、北海道札幌市にある不用品・リサイクル品の処分・回収の「芥屋(あくたや)」です。

創業は2012年、社長が1人で立ち上げた会社で、創業当時は知人の紹介で仕事をしていましたが、なかなか新規開拓ができずにいました。「どうにか従業員を雇えるくらいの会社規模にしたい!」と考えていた社長。そのためには、何をどのようにしたらいいのか? ……と次のようなことを悩んでいました。

  • とにかく新規の仕事を取りたい
    創業したばかりで会社に来る問い合わせは、知人・友人の紹介ばかりでした。どうにかして、事業としてやっていきたいが自分1人では営業と現場の両方を行うことが難しかった。

  • 集客のためにホームページを作りたいが、パソコンの使い方がよくわからない、お金もかけられない
    ネットで買い物をする程度で、ビジネスメールでやりとりをしたことがない。パソコンで何ができるのかもわからない。そもそもホームページに何を掲載すれば集客できるのか? ホームページを作った後、どのようなことが起こるのか想像がつかない。

  • 不用品のリサイクル回収・処分がメインの事業だけれども、それ以外の仕事もサービス提供できる
    メインの事業以外にも遺品整理・ハウスクリーニング・荷造り・除雪・掃除など対応できるがそれを効果的にお客様にどのように伝えていくべきかわからない。

  • 問い合わせをしてもらってお客様の要望を聞く機会をもっと増やしたい
    業務経験があり仕事には自信があるため、お客様と会話ができれば、納得して仕事の依頼をしてもらえる可能性が高く、お客様の要望に合ったサービスを提供できるのに、話を聞く機会がなかった。

今回の場合、新しくホームページを作って、事業とホームページの両方を軌道に乗せることが目的です。「どのようなニーズがあるのか? どういった傾向があるのか?」といったことをデータなどから読み解いて仮説を立てることが難しく、的を射た施策や提案を行うために、社長とコンサルティングを行う私とでまず、次の2つを実行することにしました。

  • 社長:サイト制作を進めるうえでパソコンの基本的な操作を勉強する
  • 私:ゴミ処分などの仕事の現場を体験させてもらって、仕事の流れを把握する

「実際の体験」と「ウェブ解析」からホームページ戦略を立てる!

コンサルティングを行う私が実際に現場の仕事をすることで「ゴミ・不用品の処分を希望するユーザーが多い」「大型ゴミや大量であればあるほど処分に困っている」など、体験しないとわからないことを知ることができました。

また、サイト制作を進めるうえでウェブ解析を行い、トレンド分析、キーワード分析、ライバルのサイト分析から次のことがわかりました。

  • リサイクル事業は大手のライバルが多い
  • ライバル会社はパッケージ料金を採用している
  • 「不用品」「リサイクル」といったキーワードでは、すぐに上位表示するのは難しい
  • リサイクル事業に関連するキーワードが数多く存在し、どのキーワードでSEOを行えば効率良く集客できるのか、判断が難しい

そこで「初期費用の軽減」「競合の少ないキーワードで集客」「効率の良いビジネスサイクルの実現」の3つを軸にターゲットやカテゴリを絞った「シンプル」なサイトを作成することにしました。ホームページ制作と同時進行で、事業ルールとシステムを一緒に考えていくことにしました。実際に立てた戦略を4つ紹介します。

戦略1リサイクル会社だけど「ゴミ処分」を軸にする

「リサイクル」のキーワードでは競合の大手企業が多く、なかなかそのキーワードではサイトを早期に上位表示することが難しいと判断し、ユーザーの声、社長からの話、自分の体験、ウェブ解析などを基に、「ゴミ処分」を希望するお客様に向けたサイトを構築することにしました。

これは、リサイクル(買い取り)を探している人は、そのニーズの裏には「処分したい」という気持ちがこめられていると考え「ゴミ処分」というキーワードにしました。その後、問い合わせや見積もり依頼が来たときに、「買い取りが希望なのか? 処分が希望なのか?」といったお客様のニーズを聞き、お客様に合ったサービスを提供することにしました。

戦略2検索キーワードは「地域名 事業にかかわるワード」でターゲットを絞る

資金面や現場に出られる人数や現場までの移動時間などを考慮して、SEOの検索キーワードは「地域名 事業にかかわるワード(ゴミ処分など)」で表示されるように、地域密着型でターゲットを絞りました。

戦略3とにかく電話をしてもらうことを最優先にサイトを作る

通常業務も行う社長が、いきなり不慣れなメール対応の仕事が増えるのは、好ましくないということで、思いきって問い合わせは電話をしてもらうようにサイトを作りました。

ホームページから直接メールで問い合わせできないサイトにすることは、賛否両論あると思います。しかし、「どのくらいのリサイクル品の回収をするのか、ゴミ処分をするのか」といった見積もりをする段階で、お客様にヒアリングをしなければいけないビジネスです。そのため、不慣れなメールでのやり取りで成約できるタイミングを逃すよりも、直接電話してもらってすぐに対応できるほうがお客様にとっても、仕事の効率にとっても良いと判断して、このような形で運営していくことにしました。

戦略4ライバル会社が採用していたパック料金にはせず、料金システムをわかりやすく説明して差別化する

パック料金はライバル会社がこぞって掲載していたので、あえて、パック料金にはせず、どのような費用が発生するのかといった料金システムを簡単でわかりやすく掲載することにしました。

見積もりの話し合いでお客様の要望に合った料金を提示することで、ライバル会社が採用しているパック料金よりも安価に提供できる仕組みを取り入れました。

札幌でNo.1のゴミ処分屋になるために、社長と私が「やるべきこと」を明確にする

立てた戦略を達成するためには、目標をしっかりと立てることが重要です。そこで、私たちが立てた目標は「札幌でNo.1のゴミ処分屋になる」です。

その目標を達成するために社長とコンサルティングを行う私がやらなければいけないことを明確にしました。

社長のやるべきこと

  • パソコンを使いこなせるようになる

    電話での問い合わせを促すようにホームページを作りましたが、今後、事業を拡大していくためには、より多くの問い合わせに対応できるようにしていく必要があります。そのためには、「問い合わせフォーム」の設置は必至です。

    また、作ったホームページをさらに集客できるホームページにしていくためには「ウェブ解析のデータ」を共有して、次の施策や何を改善しなければいけないのかといったことを一緒に考えていく必要があります。そのためには、パソコンのスキルが必要不可欠です。

  • 問い合わせから業務完了までのルールを決める

    お客様が問い合わせをした後、どんなアクションがあるのかを明確にして、安心して問い合わせをしてもらえるようにするために、「問い合わせからゴミ処分やリサイクル品の回収完了までの流れを」ホームページで掲載しました。

    これを行うために、今までの業務の流れを洗い出し、整理を行いました。仕事の流れを明確にすることは、会社にとっても今まで以上にスムーズに仕事を進めるために必要なことでした。

私(制作者側)のやるべきこと

  • 「札幌 ゴミ処分」のキーワードで検索表示の1位になる

    サイトを公開する時点で、予算的にリスティング広告を行うことが難しかったため、自然検索で上位表示されるようにSEO施策を考えながらサイト構築を行いました。

  • 問い合わせの電話の件数を増やす

    ホームページを作る前は、月に10件ほどの問い合わせでした。これを増やすために、ホームページのすべてのページに電話番号を表示し、どのページからでも迷うことなく問い合わせができるようにしました。さらに、電話番号のボタンを押すと、スマホの場合はそのまますぐに電話がかけられ、どのページから電話をかけたのかカウントできるような仕組みにしました。これは、ホームページからどのくらい集客できたのかを明らかにするためです。

    また、実際に問い合わせの電話があった時は、電話口で「何を見てこちらに電話されましたか?」と必ずたずねるようにしました。後で詳しく説明しますが、ウェブ解析をするための追加情報として聞くようにしていました。

「効率良く集客する」レベルにステップアップする

「札幌 ゴミ処分」というキーワードでSEOを行い、「やるべきこと」で明言していた検索表示1位を獲得しました。それに伴って、問い合わせの電話の件数が増えていきました。

資金面と事業規模を考えてミニマムにホームページの運営を始めましたが、問い合わせが増えるにつれて、「もっと効率良く集客するためにどうしたらよいか」 という課題がでてきました。そこで、ウェブ解析のデータを見て次のような仮説を立て、実際の施策まで落とし込みました。

ウェブ解析の手法①時間帯別で客層とターゲットを絞り込む

時間帯別グラフ

「ページビュー数」「訪問数」「直帰率」を時間帯別グラフのデータから、次のような仮説を立てました。

  • 午前11時にPV数がピークになる
    仮説11時にアクセス数がピークを迎えるのは、ビジネスマンや企業よりも主婦層の可能性の方が高い?

  • 午後9時にもう一度PV数が上がる
    仮説昼間にアクセスした主婦層が家事の一段落した時間帯に家族と相談するためにアクセスして来ているかもしれない。 つまり、ファミリー層の可能性が高い?

  • 夜中の2時にPV数があるものの、直帰率が激減している
    仮説夜間にわざわざアクセスして、調べに来ているということは、夜間にゴミ処分を希望するニーズがある可能性が高い?

ウェブ解析の手法②ターゲット層と時期/時間に合わせて、キャンペーンを打ち出す

上記で立てた仮説を基に、実際の施策まで落とし込み、次のような施策を行いました。

  • 主婦・ご年配をターゲットにしたキャンペーン

    主婦層・ご年配をターゲットにした割引キャンペーンを打ち出し、それに伴い女性のお客様に安心して利用してもらえるように「女性スタッフ従業員」を配置しました。

  • ファミリー層をターゲットにしたキャンペーン

    転勤や冬支度を考えているファミリー向けにその需要が多くある9、10月にキャンペーンを実施しました。

  • 夜間にゴミ処分を希望するユーザーをターゲットにしたキャンペーン

    夜間にアクセスしてくるユーザーに対して、通常出しているキャンペーンを差し替えて夜中の12時に「夜間の引き取りキャンペーン」を実施しました。

このように、仮説を立て、実施し、その効果を検証するという小さなPDCAサイクルを回していきます。また、そこから検証で得られたデータを次に活かしていきます。

ウェブ解析の手法③ボトルネックのページを見つけて改善する

改善前と改善後の比較

ページビュー数(よく見られているページ)で問い合わせへのクリック数が少ないページを抽出し、改善する必要が高い順に優先度を決めて、そのページ改善を行いました。改善の行い方は、次のような視点でA/Bテストを繰り返してページを作り込んでいきました。

  • 情報のボリュームは最適か
  • お客様にとってわかりやすい内容になっているか

その結果、改善したページすべてにおいて、問い合わせへのクリック数が上がり、優先度の一番高いページでは倍以上クリック数が伸びました。

また、最初ページを完璧に作り込むのではなく、今後拡張する予定のものは、カテゴリやページだけを事前に作っておきます。内容に関しては「こんなサービスも提供している」というサービスを簡単に紹介するだけにとどめ、事業拡大するスピードに合わせて充実させていくといった運営計画を実施しています。

ウェブ解析の手法④メールフォームを作成し問い合わせの窓口を増やす

ホームページを作ったことで、問い合わせも増え売上も上がり、社長の念願だった従業員を雇用できるまでに成長しました。今まで以上に事業を大きくするために、電話中心の問い合わせ方法に加えて、メールでの問い合わせもできるようにしました。

これは、ホームページを立ち上げる時に、「社長のやるべきこと」で掲げた「パソコンの使い方を勉強する」を実施し、しっかりと身に付けたからこそ進めた次のステップです。

ウェブ解析の手法⑤ホームページのコンテンツの充実とネット広告で集客力を上げる

電話中心の問い合わせの時は、サービスの詳しい説明は電話で行っていましたが、メールで問い合わせをできるようにしたことで、今まで口頭で説明していたサービスの説明を「ホームページを読めばわかる」にする必要がありました。そこで、ホームページ内でサービスについて詳しく説明を加えたり、新たなコンテンツを作成したりして内容を充実させていきました。

また、さらなる集客を狙ってリスティング広告も行いました。前述した仮説を基に、時間や表示する地域を絞り込んで、仮説で立てたターゲットごとに広告文を作成し、実施しました。

小さな施策が積み重なって、売上が40倍にUP!!

ホームページを開設してから約10か月で売上が40倍になりました。ホームページを開設する前は、月に10件に満たない電話での問い合わせ件数が、今では、月に120件を超えるまでに成長しました。開設から14か月たった現在でも順調に売上を伸ばしています。

これは、今まで説明してきたウェブ解析を行い小さなPDCAを回しながら、次のようなことを行ったからです。

  • ウェブ解析のデータに基に、以前は「できなかったこと」を「できるようにする」ことを地道に続けた
  • 今後の展開、目指すべき方向を話し合い事前に準備をした

そして、何より社内でウェブ解析のデータを、社長を含めた社員で共有し、考え、施策案を出し続けている結果です。

たとえば、ホームページで

  • 「笑顔でご対応いたします」とすると、社員は「笑顔で対応」しなければならい
  • 「イケメンが揃っています」とすると、社員は「身だしなみ」にも気を使う

という形で、常に現場とホームページを連動させ、実行していくように心がけています。当たり前のことかもしれませんが、これらを有言実行していくことでクレームの回避とリピーターの獲得につながっていると思います。

できることが増えても、ホームページと現場は連動させて進めていく

仮)「一般家庭」と「企業・法人」向けに分けた大型ゴミ処分・リサイクルの店LIFEBOXのサイト

今では、従業員が10名を超え、社長が「やりたい」と話していた、さまざまなサービスの提供が可能な規模になりつつあります。これから先を見据えて、地域密着で提供していたサービスを拡大するもよし、リサイクル面を強化するもよし、人が増え事業規模が大きくなったことで「できること」が増えてきました。

今後は「一般家庭」と「企業・法人」向けに分けた大型ゴミ処分・リサイクル店のサイトを作成中です。それに伴い、今運営しているホームページの企業・法人ページを充実させ、事業面においても企業・法人への業務の進め方のマニュアルを作成しています。ホームページと現場を連動させて同時進行で作り上げています。

最後に:「高度なウェブ解析」よりも「その事業に必要なウェブ解析」が重要

私が重要だと考えることの1つに「クライアント様のビジネスのスピードを知る」ということです。ご相談いただく経営者の方には、「考えはある、やりたいこともあるが、何かが原因でできない」ということは山ほどあります。

特に大きな会社になればなるほど、できることの規模は大きいものの自由度がなくなることがあります。今回の事例は、個人事業主からのスタートだったからこその成功例なのかもしれません。

ただ、今回の成功した一番の要因を上げるとするならば、「速度を定める」ことだと考えています。ビジネスの成功には、ウェブ解析士もクライアント側も、携わる「人」の成長というのが必ず必要です。

共に考え、共に学び、共に歩んでいくからこそ足並みが揃うわけで、そこから共通言語が生まれ、パートナーシップが生まれ、ウェブ解析も営業能力も、そして施策、ホームページというものが活きていくのではないでしょうか。

私が所属するWACAウェブ解析士の一番の理は「事業の成果を上げること」「そのビジネスに貢献すること」です。高度なウェブ解析よりも「その事業に必要なウェブ解析」のほうが私は重要と考えています。

今回の事例の大半が「基本的なウェブ解析」です。ですが基本的なウェブ解析でも、事業の成長するスピード、規模にマッチしたものであれば、しっかりとプラスの成果を出すことが可能です。そしてそれが次に活かせるデータとして残せることもまた、ウェブ解析の凄いところです。

「芥屋」がこの先、事業規模が大きくなったとしても、実施していくことは、次の基本的な3つです。

  • 事業の成長スピードに合わせたサイトを作る
  • ウェブ解析のデータを共有して、小さなPDCAを回していく
  • 現場とホームページを一致させる

単純で当たり前すぎて、「そんなこと知っている!わかっている!」と思われるかもしれません。だからこそ、基本を忠実にしっかり考え、実行してみて下さい。

“ウェブ解析ってすごいよ!! 小さい会社でもここまでできる、基本的なウェブ解析でも成果を出せる”とこれを見たウェブ担当者、経営者のみなさんにとって少しでもヒントになれれば幸いです。

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