Web広告研究会セミナーレポート
Web担当者が知っておきたい景品表示法の基礎、「知らないと手遅れになる、広告表現(ステマなど)のルール」

「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」を解説した。
Web広告研究会セミナーレポート

この記事は、公益社団法人 日本アドバタイザーズ協会 Web広告研究会が開催およびレポートしたセミナー記事を、クリエイティブ・コモンズライセンスのもと一部編集して転載したものです。オリジナルの記事はWeb広告研究会のサイトでご覧ください。

ソーシャルメディアの影響力が増すなか注目を集める口コミマーケティング。一方で、以前からその健全性が問われており、最近では、掲示板や口コミサイトへのやらせ投稿問題が記憶に新しい。健全な口コミマーケティングを行うために留意すべき点は何か、景品表示法やマーケティングの観点から議論が交わされた。

2012年度4月24日に開催された、Web広告研究会の第2回月例セミナーのタイトルは「知らないと手遅れになる、広告表現(ステルス・マーケティングなど)のルール」。第一部では、消費者庁から景品・表示調査官を招き、平成23年10月28日に出された「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」についての解説が行われた。また、第二部は、WOMマーケティング協議会の取り組みなどが示され、ステマ騒動の原因と健全な広告表現について語られた。

景品表示法上の問題点および留意事項を学ぶ

最初に登壇した消費者庁表示対策課景品・表示調査官の高橋宗利氏は、まず「この場で意見を述べたとしても、私の個人的な意見で、消費者庁の見解ではないことをご理解いただきたい」と話したうえで、「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」(以下、「留意事項」)のポイントについて説明を始めた。

※なお、消費者庁では、2012年5月9日に「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」の一部改定を行い、口コミサイトに新たな事例を追加している。

景品表示法上のポイント
景品表示法上のポイント
「留意点」に記載されている事例は一例に過ぎないことに注意が必要

続いて、景品表示法の制定経緯やその目的などを説明した高橋氏は、景品表示法で禁止している表示として「優良誤認表示」「有利誤認表示」「その他誤認されるおそれのある表示」を簡単に説明する。

「優良誤認表示」とは、商品・サービスの内容について実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に誤認される表示を指す。競争業者のものよりも著しく優良であると一般消費者に誤認される表示も不当表示になる。

「有利誤認表示」とは、商品・サービスの内容、その他の取引条件について、実際のものよりも著しく有利であると一般消費者に誤認される表示を指す。競争業者のものよりも著しく有利であると一般消費者に誤認される表示も不当表示になる。

「その他誤認されるおそれのある表示」では、告示により特に指定された次の6種類が示された。

  • 商品の原産国に関する不当な表示
  • 無果汁の清涼飲料水等についての表示
  • 消費者信用の融資費用に関する不当な表示
  • おとり広告に関する表示
  • 不動産のおとり広告に関する表示
  • 有料老人ホームに関する不当な表示

なお、これら表示の具体例については、消費者庁のWebサイト「表示規制の概要」に詳しい。

景品表示法で禁止する表示について説明した高橋氏は、景品表示法上の問題点と留意事項について話を進める。インターネット消費者取引に係る広告表示について「留意事項」が取りまとめられたのは、平成23年3月11日公表のインターネット消費者取引研究会報告書「インターネット取引に係る消費者の安全・安心に向けた取組について」において、インターネット取引に係る表示について事業者が守るべき事項を図などのわかりやすい手法も活用して提示する、とされたことを受けたもの。

留意事項で検討対象となったビジネスモデルは、次の5つ。

  1. フリーミアム
  2. 口コミサイト
  3. フラッシュマーケティング
  4. アフィリエイト
  5. ドロップシッピング

「フリーミアム」(基本無料のゲームやサービスなどが当てはまる)で景品表示法の問題となるのは「事業者が、サービスが無料で利用できることをことさらに強調する表示」だ。アイテム購入など、付加的サービスも含めて無料と誤認を与える場合は、不当表示として問題になる。留意点は、「事業者は、無料で利用できるサービスの具体的内容・範囲を正確かつ明瞭に表示する必要がある」とされている。

「口コミサイト」の問題点は、「商品・サービスを提供する事業者が、口コミサイトに口コミ情報を自ら掲載し、または第三者に依頼して掲載させる」というもの。たとえば、グルメサイトやブログのやらせ投稿が当てはまる可能性がある。留意事項は「事業者は、当該口コミ情報の対象となった商品・サービスの内容又は取引条件について、実際のもの、または当該商品・サービスを供給する事業者の競争事業者に係るものよりも著しく優良または有利であると一般消費者に誤認されることのないようにする必要がある」と記されている。

「フラッシュマーケティング」(グルーポンを代表とするサービス)で問題となるのは、「景品表示法上の不当表示」だけでなく、通常価格での販売実績がまったくないのに、通常価格に対し割引価格を表示する「二重価格表示」だとされ、2つの問題点と3つの留意事項が記されている。

フラッシュマーケティングの景品表示法の問題点と留意事項
フラッシュマーケティングの景品表示法の問題点と留意事項

「アフィリエイト」の問題点は、「広告主のバナー広告における表示」が著しく優良または有利と誤認される場合で、留意事項は「アフィリエイトプログラムで使用されるバナー広告において、二重価格表示を行う場合には、広告主は、最近相当期間に販売された実績のある同一商品・サービスの価格を比較対照価格に用いるか、比較対照価格がどのような価格であるかを具体的に表示する必要がある」と記されている。また、「アフィリエイトプログラムで使用されるバナー広告において、商品・サービスの効能・効果を標ぼうする場合には、広告主は、十分な根拠なく効能・効果があるかのように一般消費者に誤認される表示を行わないようにする必要がある」と説明された。

ただし、アフィリエイトプロバイダ(ASP)は自ら商品を提供するような特殊な場合を除き、景品表示法には問われないという。アフィリエイターも対象とはならず、問われるのは広告主になる。表示主体として責任を問われるのは、自ら商品を販売(供給)する者であるためだ。

一方で、次に述べるドロップシッピングに関しては、ドロップシッパーは個人であっても景品表示法に定める事業者に該当するため、景品表示法上の責任を負わなくてはならない。

「ドロップシッピング」については、問題点としては、商品の内容や取引条件の表示について、優良誤認または有利誤認させてはならないことが示されている。留意点については、客観的事実に基づき正確かつ明瞭に示すこと、十分な根拠なく効能・効果があるかのように誤認される表示を行ってはならないことなど、4つの留意点が書かれている。

ドロップシッピングの景品表示法上の問題点と留意事項
ドロップシッピングの景品表示法上の問題点と留意事項

景品表示法上の「留意事項」の説明を終えた高橋氏は最後に、

今回は景品表示法の留意点であるため、他の法律は一切検討していない。薬事法や健康増進法などに触れるような表示や民法上の問題など、景品表示法に触れなくても他の法律で問題となる場合はある。

と話し、必ずしも景品表示法上の問題だけにとどまるわけではないと注意を促した。また、「資料などは消費者庁のホームページを参照してほしい」と各種資料を示し、解説を終えた。

消費者庁ホームページの関連情報
この記事は、4月24日に開催されたWeb広告研究会「第2回月例セミナー」のレポート前編です。→後編を読む

オリジナル記事はこちら:「Webマーケッターや担当者Webに必須の広告表現の基本とルール。知らないと手遅れになるステマについて考える」2012年4月24日開催

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