ad:tech tokyo特集

Facebookの新機能「タイムライン」がもたらす「オーバーシェアリング」とその課題とは?

Facebookのいまと「オーバーシェアリング」について、JaM Japan Marketingの大柴ひさみ氏が語る。
大柴 ひさみ 2011/10/6(木) 10:00 | |
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ad:tech tokyo特集

米国でコミュニケーションのユーティリティとなったFacebook、しかし、先日発表された「タイムライン」とソーシャル共有アプリに対してはユーザーの反発も強い。Facebookのいまと「オーバーシェアリング」について、JaM Japan Marketingの大柴ひさみ氏が語る。

「不立文字」を実感する機会 - ad:tech

ad:tech tokyoという言葉を目にして真っ先に浮かぶのが、禅の「不立文字」です。これは、「本当に重要なことは言葉では伝わらない」という意味です。

ad:techはまさに、人が実際に会う「面授=Face to Face」の場で、顔を見ながらでしか伝わらない「モノゴトの真髄」がうじゃうじゃと詰まっています。私はここで、過去3年間の「serendipity=無意識下の思いがカタチになるような思いがけない出会い」を多く経験し、マーケターとして世界レベルの人たちとコネクトできる喜びを感じています。

今回、私が参加するパネルディスカッションは、グローバルで7億5000万人のアクティブユーザーを持つFacebookを中心に、「ソーシャルの時代」と呼ばれる今、企業がマーケターとしてソーシャルメディアにどんな可能性を求め、それに伴うリスクはどのように考えるか? といったテーマでディスカッションします。

米国でコミュニケーションのユーティリティとなったFB

Facebook(FB)に関して、日米ではまったく異なる温度感を持つので、ここで改めて米国のFB状況を数字で示してみましょう。

●米国のFacebookに関する数字
  • 米国人口の50%、米国オンラインユーザーの65%にまで浸透。
  • 米国のソーシャルネットワークユーザーの92%がFBのアカウントを持つ
  • 米国月間ユニークビジター数: FBはおよそ1億6000万人で、4000万弱のMySpaceと2000万強のTwitterを合計した数のおよそ2.5倍(2011年5月のcomScore調査)
  • 月間ユーザー滞在時間: 平均的なFBユーザーは5時間18分40秒、2位のAOL Media Networkのユーザーは2時間17分46秒(2011年7月のNielsen調査)
  • 平均的FBユーザー像: 友達の90%はリアルの友人、31%は1日数回FBを訪問、平均229人の友達がいる(2011年6月のPew Research調査)

米国在住者の実感レベルとなると、年齢・職業・性別を問わず、米国人の中でFBユーザーは70%~80%という感覚です。たまにアカウントを持たない人がいると思わず理由を尋ねたくなるぐらいで、年齢・性別・職業を問わず、ごく普通の人が使うコミュニケーションのユーティリティとしてFBは定着しています。

52%:「人々はソーシャルメディアを通じて企業に影響を与えることが出来ると思っている」

また米国企業にとって、FBアカウントを持つことと、自社サイトにFBとコネクトするLikeボタンのようなプラグインを設置することは、「マーケティングの101(日本風にいうとマーケティングのいろは)」ともいうべきもので、必要不可欠であることは言わずもがなです。それは以下のように、米国のソーシャルネットワーカーたちが、ソーシャルメディアを通じて企業活動に影響を与えていることからも、推して知るべしです(2011年6月ROI Research調べ)。

  • 60%の人が、友人が製品、サービス、企業、ブランドに関してポスティングした場合に、少なくとも何らかのアクションを起こす。

  • 53%の人が、製品、サービス、企業は、最低1週間に一度ファンとコミュニケートすべきだと考えている。

  • 52%の人が、企業・ブランド・小売店が行うビジネスの意思決定に対して、ソーシャルネットワーキング上の人々の声は、影響を及ぼすことが可能だと考えている。

まさに「時代をドライブするのは人々」といった感で、市場というクルマのドライバーズシートには、企業ではなく人々が座っている姿が見えてきます。

FBの「タイムライン」とソーシャル共有アプリが意味するものは?

そんな中で、9/22にサンフランシスコで開催されたFBの開発者向けコンファレンス「F8」で、CEOのザッカーバーグは、「自分自身を表現する新しいやり方」として「タイムライン」を発表しました。タイムラインは従来の静的なユーザープロファイルを非常にダイナミックなカタチで見せるもので、ユーザーが投稿した写真、動画、位置情報など、すべての情報でユーザー像を描く「ライフログ」というべきものです。

これに、同時に発表されたOpen Graphに基づくソーシャル共有アプリで、ユーザーのオフラインの「見る(Netflix)、聴く(Spotify)、読む(Yahoo News)、走る(Nike)」といったメディア消費やライフスタイルが、友達と共有できるようになります。ユーザーは、友達の行動に刺激を受けて、同じTV番組や曲を見聞きし、友達のいる場所で一緒にランニングするといった、オン&オフの連動が可能となります。

ザッカーバーグは、タイムラインに関して、次のように言っています。

あなたが最近シェアしたものは、すべてここにある。我々はタイムラインを、あなたのホームと呼べるものにしたい。

確かにFBはこれでオンラインでの究極の「ワンストップの場所」としての可能性を示唆しました。しかし、これは言い換えれば「FBが人々のデジタルライフをすべて所有する」ことになるというアナリストの指摘もあります。また、FBの「ビッグブラザー化」につながるともいえます。2012年と囁かれるFBのIPO狙いのハイパーターゲティングによる収益増の布石でもあることは明白です。

「オーバーシェアリング」がもたらす課題

そうした危険を直感的に感じ取り、こうしたFBの抜本的ともいえる変更に、戸惑いと懐疑心を向けているユーザーも多くいます(これには1ユーザーとしての業界の専門家も含まれます)。発表直後の緊急調査でも、5対1の比率で、あるいは84%が「イヤだ」と抵抗しています。

FBの仕様変更に対しては、常にユーザーのリアクションが起こるものです。過去にも、ページのUI変更、新しいソーシャル広告や新機能の導入など、FBがさまざまな修正や変更をするたびにユーザーの反対が起きており、FBにとっては想定済みかもしれません。しかし、今回の変更はユーザーの琴線に触れるような深いものがあるような気がします。

この刷新は、一言で言えば「オーバーシェアリング(過度な情報共有)」、この言葉に尽きます。もちろんプライバシー問題も然りですが、それ以上に友達たちのリアルな感動なしに、垂れ流し状態で彼らの行動を見せ付けられることは、ユーザーたちに共有の意味を喪失させることとなります。 FBを7億5000万人が使っているのは、「人々の感動(喜び、悲しみ、笑い、怒りなど)の共有」が楽しいからです。そこには友達の「本音」があり、その投稿はユーザーがセレクトすべきもので、アプリで自動的にBGMのように流され始めると、人々をその状況に嫌気がさして、さらに退屈し始めます。

「広告で最も危険なことは人々を退屈させること」

20世紀のマジソンアベニューの巨人レオ・バーネットは、次のように発言しています。

広告で最も危険なことのひとつは、人々をミスリードすることではなく
彼らを死ぬほど退屈な気分にさせることだ。

これは一見、「情報の透明性」が声高にいわれ、少しでも広告が消費者をミスリードしたら大変なことになる今、広告業界の人が中々言えない言葉のように見えます。ただし、バーネットの本意を読み解くと、次のようなことを言っているのだと思います。

人々は広告が広告であることを十分理解しているから、広告が意図的にミスリードしようとしても、企業の思ったようにはならない。

むしろそんなことより、広告は常に人々を何らかのカタチでエモーショナルに刺激することが重要である。人々とコネクトしたいと思ったら、絶対に彼らを退屈させてはいけない。人々は退屈した瞬間に広告を無視する。

広告であろうとFBユーザーの投稿であろうと、コンテンツとして優れているものは、決して人々を退屈させません。人は訴求メッセージに、自分も「思い当たる節(=relevant)」があった場合、それによってエモーショナル部分が揺さぶられ、共感・共鳴といった気持ちが生まれます。それを今は、共有するプラットフォームであるソーシャルメディアで、熱心に友達に伝えています。

FBの大刷新とそれへのユーザーと企業の対応については
10月27日のパネルで報告します

FBの大刷新によって、ユーザーが常にプライバシー問題を気にしながら、友達の「無意味な生活の共有」を目にしなければならない状況を起すことなく、もっと使いやすく大きな喜びが生まれるためのものであるならば、大歓迎です。近日中に一般ユーザーもタイムラインを使うようになるということなので、10月27日のパネルでは、このあたりのFBの動きをご報告し、企業がさらにどう対応するかをディスカッションしていきたいと思います。

また、次のトークセッションでも登壇予定です。

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