編集長ブログ―安田英久
Web業界とEC業界はまったく違う――そのギャップがEC事業者と制作会社の仲を悪くしている?

なぜ「EC事業者と制作会社は仲が悪い」といわれるのでしょうか?

2015年最初の記事は、「Web業界」と「EC業界」の違いについて。この2つの業界がどのように違うのか、中心となるマインドの違いと、さらそこから「EC事業者と制作会社は仲が悪い」という点について、少し考えてみます。

明けましておめでとうございます。

2015年は、「Web業界とEC業界のギャップを埋める」ことを進めてみようかと思っています。

というのも、年明けに、こんな記事がありました。

また、それを受けて小川さんも記事をアップしています。

どちらもタイトルが長くてアレですが、要は「Web業界とEC業界って違うよねー」というもの。確かにそうなんですよね。

上記の記事では主に集客手法に関して(特に小川さんの記事ではかなり突っ込んで)論じていますが、ここではもう少し基本的なものとして、「やっている人たちの脳みそ」という観点で述べてみますね。

EC業界とWeb業界は違いすぎる

「Web業界とEC業界が違う」って、何が違うのでしょうか。いろいろありますが、私の感じる最大の違いはこんなものです。

(ちなみに、この記事では「Web業界」はオンラインでビジネスが完結しないWeb活用をしている人たちも含めています)

  • EC系の人は「で、どれぐらい売れるの?」がすべて(突き詰めると)。ブランディングも態度変容も顧客ロイヤルティも、もちろん興味はあるのだが、結果として売れるかどうかが判断の基準。

  • 「売り上げ」というゴールを明確にもっているEC系の人に対して、Web系の人は(事業全体における役割にもよりますが)全体構造が複雑なこともあり、施策レベルでは目的や目標が明確になっていないこともある。場合によっては、「Webサイトをやることが仕事」になっていることも(あくまでも、「場合もある」という話ですよ)。

  • だからというわけではないが、Web系の人は予算ありきで物事を進めることが多いのに対して、EC系の人は売れて利益が出るなら予算にこだわらずに(キャッシュフローの範囲内で)アクションや投資をすることも(このあたりは人にもよりますが)。

オムニチャネル的な動きも含めるとかなり違ってくる点もありますが、やはり大きいのは「直接の売り上げ」という結果を重視するEC系のマインドでしょう。

メーカーEC系の人は比較的Web業界に近い感じがする場合もありますし、EC業界とWeb業界のどちらででも活躍しているスゴい人もいます。でも、だいたいのEC系の人のマインドは上記のようにWeb系の人とはまったく違うようです。

Web担とネットショップ担当者フォーラムも違う

いわゆる企業Webサイトやマーケティング施策としてのWebサイトやネットやソーシャルの活用というものをWeb担で見てきた私ですが、EC事業者やECに携わる人向けの「ネットショップ担当者フォーラム」というサイトを2014年にスタートしました。

それ以前からも「Web担みたいな感じでEC向けもやれ」という話があったのですが、実は私、逃げていました。というのも、Web系の人とEC系の人の脳みそがまったく違うことはわかっていて、自分はEC脳じゃなかったからなんです。

結局どうしたかというと、通販系の業界紙を長くやっていた瀧川中川というスタッフに入ってもらってネットショップ担当者フォーラムをスタートしたんですね。

で、スタートして、さらにEC業界で長く活躍されている方々に協力してもらい、いろんな話をきいてわかったのは、やはり読者のマインドも行動もかなり違うということでした。

ECオーナーとWebサイト制作会社は仲が悪い?

さて、私はなぜそうした違いを「ギャップ」だと感じているのでしょうか。それは、EC系の人は制作会社と仲が悪いという話をよく聞くからです。

ある程度の売り上げ実績があるECサイトでは、売れるデザインがわかっていて、制作会社に頼んでリニューアルしてもうまくいくケースが多いのですが、そうでない場合は、

制作会社にサイトを作ってもらっても高い金をとられるだけで売れない

制作会社に作ってもらっても、かっこいいとかキレイなサイトになってしまい、売れるサイトじゃなかったんだよね

といった意見がよくきかれ、EC会社視点からは「制作会社は高い金をとってぼったくる」といった印象ができあがっていったという話も聞きました。

本来ならば、ゴールに向かって協力しながら進むパートナーであるべき制作会社とEC企業なのに、なぜ仲が悪いのか。その原因はいろいろあるとは思いますが、大きいのは、次のようなものでしょう。

  • 制作会社側のマインドが、「Webサイトを何とかする」「ステキなサイトを作る」ことに重きをおいていて、EC側の「で、なんぼ売れるの?」というマインドを理解しきっていない → 話してもわかってもらえない → 仲が悪くなる

  • EC会社側の担当者も、Webに関する知識や経験が足りず、うまく意図やコンセプトを伝えきれない → 発注側の思った結果につながらない → 仲が悪くなる

  • 何かサイトに問題が発生したとき、ECサイト側としては「サイトが使えない=売り上げが消える=損失」なので、とにかく一刻も早く「売れる」状態に戻してほしい → でも、制作会社は原因を調べようとしてしまい、売り上げが戻るのに時間がかかる → 仲が悪くなる

  • EC会社側の担当者が、制作会社に何の役割を果たしてもらうのかを明確にできていない → 発注側と受注側の仕事に対する意識がズレたままプロジェクトが進む → 仲が悪くなる

最後の項目についてはちょっとわかりづらいかもしれないので補足しますね。

「Webサイトを作る」とひと言で言っても、さまざまな段階があります。事業の全体戦略のなかでのWebサイトの役割定義からはじまり、顧客や市場を分析し、目的や目標を設定し、そのゴールを達成するための全体像をプランし、サイト全体を設計し、コンテンツを作り、動線を作り、集客し、コンバージョン促進し、さらにデータを見ながら運用していくといういろんなステップがありますよね。そして、それぞれの段階で「調べる」「考える」「絵図を描く」「具体的に作る」などいろんな役割があります。

そして、「Webサイト制作会社」といっても、いろんなタイプの会社があります。コンサルティングやプランニングが得意なところ、顧客理解が得意なところ、設計が得意なところ、クリエイティブなデザインが得意なところ、コンテンツ制作が得意なところ、システム連携が得意なところ、効率的な運用が得意なところなどなど、それぞれの得意分野があります。

だから、「制作会社にWebサイト作りを頼む」といっても、どの部分に関してどんな役割をしてもらうのかによって、いろんなパターンがあるんですね。それを明確にしなければ、良い仕事になるはずがないということです。

もちろん、制作会社さんのなかには、「そんなこと言われなくてもわかってる」「うちは顧客のゴールを明確にするためのコンサルも含めて行ってる」という、ちゃんとしたところも多いですよ。

また、最近ではEC系の経験を経た人が制作会社側に転職したり、EC企業がサイト制作部門を立ち上げたりしているケースもあるようで、そういうところはEC系の案件をうまくまわしているそうです。

Web系とEC系のギャップが埋まると、どちらの業界にもメリットでは?

小川さんが記事で論じていたような事象の具体的な分析ではなく、漠然とした全体像やマインドの話になってしまいました。

でも、Web業界が培ってきた「Webサイトを通じて何かをする」ための方法論と、EC業界にネイティブにある「明確なゴールに向かって突き進む」マインドを、お互いがうまく理解して融合できれば、もっと良い世の中になるんじゃないか、そんな風に思っています。

そんなわけで、Web担とネットショップ担当者フォーラム(ネッ担?)を今年もよろしくお願いします。

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