算数が苦手なマーケター向け「算数基礎講座」

【計算できる?】100ある在庫の1/5を店舗へ、そのうち1/10をサンプルに。サンプルはいくつ?|意外と忘れている分数

計算が苦手な新米マーケターのアユム。今回は分数の計算(掛け算・割り算・足し算・引き算)について解説します。

在庫の1/5を店舗へ、そのうち1/10をサンプル

先輩

商品A、在庫数の1/5を店舗Bに持って行ってもらえる? そのうち、1/10をサンプルにしていいと伝えて。在庫数が100だとすると、サンプルにするのはいくつ?

アユム

えっと、その分数は比率、つまり割合だから、掛け算ですよね。分数の掛け算って、そのまま計算してよかったんですっけ。

先輩

100×1/5×1/10=2だね。

アユム

はやっ! そして、分数ばかり! 先輩、それってブンハラじゃないですか。

先輩

ブンハラ? もしかして、分数ハラスメント?

アユム

はい、分数が多すぎるハラスメント、ブンハラです!

先輩

何がハラスメントになるかわからなくて、ハラハラしちゃうね。でも、分数の計算ができると、効率もよくなるし、分数に慣れてもらうしかないかな。がんばって計算方法をマスターしておいてね。

アユム

せんぱーい…

昔から、算数も数学も苦手なアユムは、希望が叶ってマーケティング部門に異動してきました。Web担で見るような「すごいマーケターになりたい!」と胸を躍らせていたが、配属後、理想と現実のギャップに苛まれることに。データ、数字、%、小数。うわぁーん、どうしたら、数字に強くなれるのでしょうか……。

そこに現れたのが、大人向け数学教室「大人塾」を運営し、数学苦手な社会人に対して指導をしているアジアゾウをこよなく愛するモリさん。

この記事を読むべき人:分数の計算が苦手な方
この記事を読む必要がない人:分数の計算が得意な方
この記事でわかること:分数の四則演算と分数の方程式

分数の掛け算

アユム

モリさーん、分数の計算方法を教えてください。

モリ

はーい。では、基本的な分数の掛け算、割り算を学習しましょう。まずは、分数の掛け算をします。
5/7×2/3を解きましょう。

アユム

掛け算は、どうするんでしたっけ?

モリ

分母同士、分子同士を掛け算します。ですから、5/7×2/310/21になります。

モリ

次の問題です。2/3×6/11

アユム

簡単です! 12/33ですね!

モリ

分数は、分母と分子が同じ約数を持つ数のとき、約分をしなくてはいけません。

アユム

約分! 前回学んだ公約数で分母と分子を割るんですね。

モリ

そうです。分母の小さい分数にします。これは分数のお約束です。分母と分子を同じ数で割っても分数の大きさは変わりません。ちなみに、それ以上約分できない分数を既約分数といいます。
計算の途中でも約分できるときは約分しましょう。

アユム

答えは、12/33を約分して、4/11になるんですね。約分しなかったらどうなりますか?

モリ

数学のテストだと減点ですが、大人の社会では多少は目をつむってもらえるのではないでしょうか。とはいえ、大きな数字は間違いが多くなるので、数字はなるべく小さくなるように、つまり、約分しながら計算しましょう。慣れてきたらルールを意識して、約分忘れがないか確認するクセをつけましょう。

では、先輩のお題の100×1/5×1/10 は?

アユム

分子の100は、分母の5、10と約分できるんですね。だから、答えは2ですね。

分数の割り算、なぜ逆にするの?

モリ

それでは次は分数の割り算です。
2/7÷3/5を解いてください。

アユム

えーと、分数の割り算ってどうするんでしたっけ?

モリ

分数の割り算は、逆にして掛けます。

アユム

ギャグ?

モリ

ギャグではありませんね。で、割り算は逆です。逆にしてかけるとはこういう意味ですね。

アユム

あとは掛け算して10/21ですね。そうそう、いつ、どのタイミングでひっくり返すのか忘れちゃうんですよね。
何でひっくり返すんですか?

モリ

割り算は、分数で表せますよね。つまり、この計算は以下のように表せます。

モリ

この大きな分数の分母が1になれば、分数の割り算の計算結果が出ます。

アユム

ほぅほぅ。

モリ

なので、1になるように分母と分子に 5/3 を掛けましょう。分母にかけた数を、分子にもかければ「1をかけたこと」と同じで、もとの数は変わらないので(前回の記事でも解説)。

モリ

こうすると、分母が1になって消え、割り算の結果が出ますね。これが結果的に、逆数を掛けたことと同じになります。これは、どの分数の割り算でも同じです!

アユム

なるほど! なんかすっきりしました。

分数の足し算、引き算

モリ

さて、次は足し算と引き算ですね。
1/21/3を解いてください。

アユム

これは2/5って答えるとダメな計算でしたよね。

モリ

そうですね。小数に直すと1/2=0.5、1/3≒0.3、2/5=0.4 なので、明らかに違うことがわかりますね。
円形ピザの例でも、1/21/3を足すと、2/5にはならないですね。

モリ

足し引きは同じ大きさを元にしないといけません。たとえば1+2=3ですが、これをあえて分数にして計算すると?

アユム

えーっと、1/12/13/1 ってことですか?

モリ

そのとーり! この場合、分母は同じ1なんですね。

アユム

なるほど、ってことは、前回学習した、通分すれば計算できますね。

モリ

すばらしい、その通りです。それでは通分してください。

アユム

2と3の最小公倍数は6なので、1/21/33/62/65/6 できました!

モリ

ついでに、引き算もやってみましょう。8/53/4を計算してください。

アユム

これも通分すればいいですよね。5と4の最小公倍数は20なので、32/2015/20となり、答えは17/20ですね!

モリ

大正解です!

分数には3つのタイプがある(仮分数・帯分数・真分数)

アユム

そういえば、小学生のころ、分子は分母より大きくちゃダメと言われた記憶がよみがえりました。何とか分数って名前がついてましたよね?

モリ

若かりし頃、青春時代ですね…。あの頃は、休み時間になると外で遊んでましたね。若いってすごいですよね。ところで、分数には次の3つのタイプがあります。

  • 真分数(しんぶんすう)
  • 仮分数(かぶんすう)
  • 帯分数(たいぶんすう)

真分数とは、分子より分母が大きい分数で、1より小さい数です。たとえば、1/5などです。
仮分数は、分子が分母と等しい分数や、分子が分母より大きい分数です。たとえば、7/3などです。
帯分数とは、整数と分数の組み合わせで表されている分数で、1より大きい分数です。たとえば次のように書いて、「よんとさんぶんのに」と読みます。
4 2/3

アユム

どのように使いわけをしますか? 基本は1より大きかったら帯分数ですか?

モリ

大人は帯分数よりも、仮分数を使うことが多いですね。それが大人になるということです。

アユム

では、帯分数はいつ使うんですか? 習ったことは無駄ですか?

モリ

いいえ、決して無駄ではありません! 時間など、決められた量を表すときは、帯文数が便利です。5/3時間というより、1 2/3時間と表した方がわかりやすいですね。

アユム

た、たしかに…。ちなみに、帯分数を仮分数にしたり、その逆のやり方も教えてください。

モリ

2/3を3分の…で表します。

アユム

1=3/3 ですよね。ということは、3/32/35/3 ですね。

モリ

突然すごいですね。では、2を3分の…で表すと?

アユム

2は1の2倍だから、2=3/3×2=6/3ですね。

モリ

そうです。これらを式で表すと…? 

アユム

横にくっついている整数×分母の数で、整数を分数に直して、横にある分数に足すということですね!

モリ

素晴らしいです!  いいですね。図にするとこんな感じです。

アユム

なんか小学校時代を思い出しました。休み時間…青春…

モリ

いいですね。人生も分数も青春ですね。では、今度は仮分数を帯分数にします。17/5を帯分数にしてください。

アユム

つまり、分子の中に、いくつ分母の数が入っているかということですよね。17÷5=3…2(3あまり2)ですね。 となると、17の中に5が3つ入っているので、横の整数は3になります。

モリ

では、帯分数で表すと?

アユム

3=15/5 なので、17/5(15+2)/5と表せますね。ということは、3 2/5ですね。

モリ

そのとーり! また、17÷5=3…2(3あまり2)なので、割り算の答えと余りの考え方でも導けますね。

分数の方程式に挑戦

アユム

全体の1/10にあたる300人みたいな表現ってありますよね?

モリ

連載の初回でやった「全体の〇〇にあたる」の〇〇が分数ですね!

アユム

そうだ! それです! 全体の1/10にあたる300人も同じように求められるんですっけ。

モリ

はい、全体を𝒳とおいて、方程式を作ります。𝒳×1/10=300 で、これを解きましょう。

アユム

𝒳=300÷1/10、割り算はひっくり返すので、𝒳=300×10 つまり、全体で3000人ですね! ウェーイ! 分数、楽しい〜!

モリ

ウェーイ

もっと楽になる分数の計算

モリ

いくつか便利な分数と小数について覚えておきましょうか。

アユム

便利な分数?

 

モリ

1/10=0.1=10%、1/5=0.2=20%、1/4=0.25=25% は覚えておくと楽ですね。

アユム

なんでですか?

モリ

たとえば、全体の25%にあたる100人という話が出たとしますね。𝒳×0.25=100という方程式ができます。

アユム

計算は100÷0.25ですね。

モリ

この0.25を1/4に置き換えます。𝒳×1/4=100

アユム

すると計算は…𝒳=100×4/1 つまり100×4=400!! めっちゃ速い。

モリ

そうなんですよ。1/4が25%、ついでに、3/4が75%と覚えておくと、小数の面倒くさい計算がだいぶ楽になりますよー。

アユム

なるほど、これが分数計算の醍醐味ですか。

モリ

ウェーイってなりますよね。

アユム

ウェーイってなりました! これからは、もっと分数を使いたいと思います!

ポイント

  • 分数の掛け算は、分母同士、分子同士を掛け算
  • 約分できるときは約分を忘れずに。既約分数とは、これ以上約分できない分数のこと
  • 分数の割り算は、分子と分母を逆にしてかける
  • 分数の足し算、引き算は通分して計算する
  • 分数には、真分数、仮分数、帯分数という3つのタイプがある
  • 分数で計算をすると楽なことが多い

今日の問題をおさらい

Q1. 商品A、在庫数の1/5を店舗Bへ。 そのうち、1/10をサンプルにします。在庫数が100の場合、サンプルはいくつ?

式:100×1/5×1/10=2

答え:2つ

Q2. 次の計算をしてください。

(1) 5/7×2/3

(2) 2/3×6/11

(3) 2/7÷3/5

(4) 1/21/3

(5) 8/53/4

答え:(1) 10/21
   (2) 4/11
   (3) 10/21
   (4) 5/6
   (5) 17/20

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