広告業界にとってのADKの役割 | 業界人間ベム

業界人間ベム - 2017年10月12日(木) 18:12
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 ベインキャピタルによるTOBが成功するか否かまだ分からない現時点で、今回の買収劇がどう推移するか予想するのはさて置いて、そもそも3番目のADKという存在は、日本の広告業界においてどんな役割、機能を果たすべきなのかと考えてみよう。

 その時、その視点は広告主にとっていい環境とは・・・ということだ。


巨人である電通と博報堂、そして3番目のADK。

歴史を振り返れば、ベムが入社した当時の旭通信社は7番目、第一企画は5番目、その後旭通はぐんぐんランキングを上げて3位になり、第一企画を実質吸収合併して今のADKとなった。

 この2社の企業文化の違いはかなりあった。旭通は営業主導文化で、真っ向から電博に対抗できないことは重々分かっていたので、アニメやプロモーションで差別優位をつくるのに長けていたと思う。一方、第一企画は特にCMクリエイティブに力があり、テレビの扱い比率が高かった。

 合併時、ベムには「旧旭通のこの営業と旧第一企画のこのスタッフを組ませたら最強だろうな」というイメージが浮かんだように、お互いは強みを補完する合併だったと思う。
 そして、「電・博・ADK」なるワードが生まれるのだが、ベムはこれが自分を見誤る最大の要因となったと思う。同じステージに上がったと勘違いしたのだ。

 つまり、電通や博報堂と本当に対抗できる総合力がないにも関わらず、同じ土俵に踏み込んでしまったということだ。電博相手に競合プレゼンが1勝5敗では、利益が上がる訳もなく、かなり当て馬的にコンペに参加させられることも多かったろう。

 そんな中で広告業界にもデジタル化の大きな環境変化が訪れた。
それは3番目にはチャンスであったはずである。ベムは当時こんな比喩で、当時のN社長に話をしたことがある。
 「ある小学校で、プール開きの時期になり、プールの水を抜いて底の大掃除をしていた。掃除をしているのは、えらくノッポさんと、中背と、おチビちゃんの3人。ところが掃除の最中にプールに水がはられてくる。最初に気づいて早くプールサイドに上がらなくてはいけないのは誰か・・・」
この比喩には続きがあって、一番小さい奴が最初に溺れるので、一番早く行動しなくてはいけないのだが、実は一番背の高い奴が、状況が一番よく見えているので、アクションも早い」ということだった。

 新聞紙上では「ADKがネット広告に乗り遅れた」と書いてある。
しかし、乗り遅れたのではなく、明らかに経営判断を間違えた。
 2006年から始め、2008年には会社として設立したADKインタラクティブは、まさにデジタルの営業会社を目指して立ち上げた。本体が変わるのは難しいが、デジタル新会社が大きく成長すれば資本全体としては変身することができる。それが狙いだ。

 昨年、電通デジタルさんがまさに同じような考えを標榜されたと思うが、それを10年前にやっていたと思う。

 だが、2011年にADKはこれを解散し、DACの株も売ってしまう。
今年、DACの時価総額は一時ADKを超えた。今も保有していれば300億超の価値だ。財務的な価値より、やはりデジタルテクノロジーの目利きとしてのDACを傘下にし続けた方がどれだけ価値があったか分からない。

 DAC株を売却したADKは、今度は電通さんと合弁会社をつくるが、(ADDCというこの会社はネット広告のバイイング会社で電通系メディアレップのCCIさん他のリソースで成り立っていたが、そもそもデジタルをネット広告販売ビジネスとしか捉えられない時点でアウト、しかもデジタルに全く疎いADK本体の営業の下につくだけの構造を脱却できない)これも昨年から今年にかけて資本提携を解消してしまう。ただ解消するだけで、次に組む相手もいない。

 この迷走の原因、経営判断の間違いを、うやむやにしてLBOでリセットしても、再生するためにデジタル化は必然で、この間違いを犯した経営陣がそのままでデジタル化など出来るはずもない。ベインが持ち込むお買い物リストにあるデジタル企業を目利きすることもままならないだろう。(ベインは無理やり買わせるだろうし、ADKは抵抗できない。機能する会社であることを願うしかない。)


 さて、本論に戻ろう。

 日本の広告業界にとって、3番目のADKのあるべき姿は、データによるブランド横断のマーケティング支援ができる広告会社である。もうこれだと「広告会社」と言えるかどうかだが、データ分析ができたとしても実際に成果をあげるにはマーケティング施策の企画実施(エグゼキューション)が伴わないと意味がなく、その実行こそが広告代理店でしか出来ないことでもある。
 データはマーケティングの米である。しかし米は炊かないと食べられない。またしっかりした技術で調理しないと高く売れない。コメのままだと一俵1万円だが、その分をチャーハンやドリアにすれば、また高級料理に仕立てれば100倍にはなる。

「電通・博報堂をブランドAE担当エージェンシーとして競わせて、3番目にはデータドリブンな、かつブランド横断の施策支援をさせる・・・」これが広告主にとって最も良い環境だ。

 ただ、そのスキルが今の3番目にあるかが、もっとも大きな課題だ。
正直今の陣容では機能しない。人材の半分以上を入れ替えないといけないだろう。(ただ今回このスキームでは現経営陣も含めリストラは可能になった)
しかし、逆に今まで培った広告代理店のマーケティング施策(クリエイティブ、マスメディアプランニング、ストラテジックプラニング・・・などなどの)開発のスキルセットとDNAがないと、データアナリストを揃えただけでは機能しない。
 荒療治にはなるが、3番目は大改造しだいで、データドリブンなマーケティング支援が広告主企業に提供できる可能性がある。

 広告主から見て、3番目はどうあって欲しいか、もしTOBがうまく行ったとしてADKの再生の鍵がここにある。

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