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2024年のSEO/コンテンツをプロ27人が予測 ❰前編❱ SGEとSERP

今回は2024年のSEOとコンテンツのトレンドについて、SGEとSERPの専門家の予測を紹介している。今後を予測し、早めにSEO戦略を立てよう。
この記事の内容はすべて筆者自身の見解であり(ありそうもないことだが、筆者が催眠状態にある場合を除く)、Mozの見解を反映しているとは限らない。

2023年には、SEOとコンテンツマーケティングが進化した。それに寄与したのが、人工知能(AI)を利用したコンテンツの導入と、検索結果(SERP)の質を高めることを目的としたGoogleによる数々のアップデートだ。

2024年には、SEOとコンテンツ作成におけるAIの統合が深まる一方で、専門家が書いたコンテンツがより重視されるようになり、また生成AIによる検索体験(SGE)など、Googleの取り組みもさらに進化すると予想される。

そこでこの記事では、来たるべき変化に備えて、SEOの専門家27人が2024年以降のSEO、コンテンツがどうなっていくのか予測し、デジタル環境に適応する戦略を前中後編の全3編に分けて解説。前編となる今回は、SGEとSERPの専門家の予測を紹介する。

GoogleのSGEに関する予測

1. Googleの新しいアップデートと機能により、専門家のコンテンツが評価されるアレイダ・ソリス氏 - 国際SEOのコンサルタント兼Orainti創設者

2024年には、Googleが複数の重要な機能とアップデートをリリースすると予想している。たとえば、私の予想は次のようなものだ:

  • AIで生成されたコンテンツの増加を受けて、人間の担当者や専門家によって作成されたコンテンツを後押しするアップデートが行われるかも

  • ユーザー生成コンテンツ(UGC)やソーシャルインタラクションを奨励する新しいツールを導入するかも ―― これによってTikTokなどのプラットフォームに引き寄せられたオーディエンスを取り戻そうとする可能性がある

  • eコマースへの注力を強化するかも ―― SGEなどを通して機能を披露し、Amazonに対抗する強力な武器と位置づけるかもしれない

  • SGE体験がアップデートされるかも ―― コンテンツを最適化する方法や、検索ジャーニー全体を通して顧客との関わり方が変わる可能性が高いかもしれない

とても楽しい年になりそうだ!

2. GoogleのSGEとAIのイノベーションによって、新たなSEO環境が形作られるアンドレア・ボルピーニ氏 - WordLiftの共同創設者兼最高経営責任者(CEO)

まず、GoogleのSGE導入についての影響を予測してみよう。検索の進化における新しい重要な変化だ。これによる影響は以下のようなものが予測される:

  • 多くのユーザーが必要な情報を検索結果ページで直接得られるようになり、従来の情報サイトへのトラフィック減少につながる可能性がある

  • Googleは商品情報を充実させ、オンラインと店舗での買い物のつながりを効率化してeコマースの形を変え、自らをAmazonの強力な競合相手と位置づけるだろう

また、SEO環境ではAIに重点が置かれ、これらの変化に適応するため、以下のようなことが必要になる:

  • 自律型AIエージェントとオントロジーによって新たな基準が定義され、競合の多い市場でブランドを差別化するために必要なSEO戦略(リンク先は日本語記事)の詳細な知識の枠組みの組み込み

    ※Web担編注 オントロジーとは(クリックで説明が開きます)

    ある事象の「概念」を機械に学習させるための記述言語。たとえば、「人間は哺乳類であり生物である」という関係や、「Aさんは会社員で身長は170cm」などの属性、「Aさんの母の兄の子供はAさんの従妹である」などの関係など、あらゆる概念や単語に関係性を持たせて表現することがオントロジーオントロジーの構築にあたる

  • AIで生成されるコンテンツとオーサーシップの拡大にともない、SEOの専門家は、共感を呼ぶコンテンツで有意義かつ明確にエンゲージできる革新的な戦術の開発

    ※Web担編注 オーサーシップとは(クリックで説明が開きます)

    著作としての資格を持つものはすべて著者、共著者、協力者などとして記載されるべきであるというもの。

3. GoogleのSGE拡大によって測定基準が変わるアリージ・アブアリ氏 - Crawlinaの創設者

SGE拡大がどのような流れで影響してくるのかを、次のように予測してみた:

  1. SGEがより強くSERPに統合されるにつれ、ユーザーは個々の消費者向けウェブサイトよりもGoogleに留まる時間が増える

  2. オーガニックSEOの成果を測定する方法(リンク先は日本語記事)に大きな影響を与える

  3. SEO指標の中心は、「検索順位」「クリック率」といった従来の指標から、「コンバージョン率」「リードジェネレーション」「ブランド全体のビジビリティ」に軸足が移る

以上の変化は、ユーザーと検索エンジンのやり取りが本質的に進化していることを示している。加えて、検索エンジンが生成AIをユーザー体験にどう組み込むかに応じて、SEOコミュニティは今後も実験と適応を繰り返すことになるため、学習と適応の期間になるだろう。

4. SGEが検索に及ぼす影響は限定的モーディ・オーバースタイン氏 - WixのSEOブランド責任者

GoogleのSGEは、一部の人が予想するような破壊要因ではないかもしれない。SGEのユーザー基盤は生まれるかもしれないが、検索のパラダイムシフトに及ぼす影響は限定的となる可能性がある。Bingの検索で独占的に使えるAIチャット体験がその好例で、これは多くのユーザーがBingに乗り換える結果にはつながらなかった。

人は本質的に、直接的な情報源に引き寄せられる傾向がある。一般に、人は実際のウェブページとやり取りすることを好み、この行動がSGEによって劇的に変化する可能性は低いだろう。

SGEがウェブトラフィックに与える潜在的な影響だけを重視するよりも、Googleのアルゴリズム自体の進歩に注意を向けた方が賢明かもしれない。SGEの導入より、これらの改善の方がSEOやウェブトラフィックに及ぼす影響は大きい可能性がある。

SERPに関する予測

5. Google優位の検索から代替プラットフォームへのシフトサム・トーレス氏 - Gray Dot Companyの最高デジタル責任者

検索業界ではGoogleばかりに注目が集まっているため、貴重なデータの宝庫が見落とされている。実際のところ、検索はGoogleだけにとどまらない。ユーザーが答えやインスピレーションを求めてTikTok、YouTube、Pinterest、さらにはRedditなどの代替プラットフォームに目を向けることが増えるにつれて、検索マーケティングの範囲は拡大することになる。

マーケターや一連のツールはこの変化に対応し、従来とは異なるこれらの多様なソースから得たデータを活用して、SEOでのプレゼンスを維持する必要がある。この変化と併せて、SEOの専門家はKPIを再定義しなければならない。オーガニックトラフィックを増やすことがより難しくなっていき、成果を測る新たな指標が登場するだろう。

成果を測るには、各ブランドが自分たちのビジネス目標に合わせて検索マーケティングプラットフォームの適切な組み合わせを明らかにする必要がある。そのため、成果を評価するうえで、次のようなKPIが重要になるだろう:

  • シェアオブボイス(SoV)
  • 売上高
  • 収益性

6. ユーザーは、従来の検索エンジンでは見つからない答を探そうとするかもしれないローレン・フォックス氏 - 戦略的マーケティング担当バイスプレジデント

2024年には、GoogleのSGEによって、次のようなことが起こると予測している:

  • 検索プロセスにSGEを取り入れるユーザーが増え、オーガニック検索のクリックを獲得するのがますます難しくなる

  • Googleがコントロールしなければ、スパムのような低品質のコンテンツがAIで生成されるようになり、検索エンジンを通じて高品質で信頼できる情報を見つけるのが難しくなる

これらが起こった結果として、ユーザーはTikTokやRedditなどのプラットフォームで答えを探したり、より具体的でロングテールの検索キーワードやフレーズを使ったりするようになるかもしれない。

2024年には、効果的なコンテンツやSEOにとって、レビューや個人の体験といったクラウドソースの情報が極めて重要になるだろう。

また、2024年以降も、「人は人を信頼する」という基本原則が検索ユーザーの行動を促す傾向は変わらない

私からのアドバイスは、検索ユーザーに君のブランドとそのコンテンツを信頼すべき理由を示すことだ。オーディエンスの疑問に最適な回答を提供し続けよう。ニッチな分野での専門知識や意見を伝えることで、オーディエンスからの信用と信頼を築いてほしい。

7. 情報の探し方が変わりつつあるスガンサン・モハナダサン氏 - Keyword Insightsの共同創設者兼プロダクトリード

人々の集中力が続く時間は減り続けており、情報の探し方も変化している。Googleだけに頼るのではなく、さまざまなプラットフォームでより短く、よりわかりやすいコンテンツを探すようになっている。

この変化により、ソーシャルメディアプラットフォーム、特にTikTok、YouTubeショート、Pinterestを主なアクセス先として、情報を探して見つける人が急速に増えている。

こうしたユーザーの変化に適応するには、これらのプラットフォーム固有のフォーマットに合わせてコンテンツを適応させ、再利用することが欠かせない。そうすることで、オーディエンスと効果的にエンゲージでき、オーディエンスのジャーニーにおける現在地で関与できるようになる。

8. SERPではなく文化を形成するコンテンツへのシフトロス・シモンズ氏 - Foundation Marketingの創設者

2024年、SEO担当者とコンテンツマーケターは、本来のマーケティング原則にある程度立ち帰ることになるだろう。SERPでの表示順位とコンテンツマーケティングによるトラフィックの獲得においては、ブランド指標とシグナルが重要な役割を果たすからだ。

「被リンクの生成」「キーワードに合わせて最適化した見出し」といった戦術では不十分なため、「コンテンツマーケティング」の「マーケティング」の側面に焦点が移るだろう。各ブランドは、コンテンツの卓越性にコミットし、AI主導のコンテンツとは一線を画す必要がある。対応すべき点は次のとおりだ:

  • 洞察に満ちたアセットを作成する
  • ストーリーを持たせる
  • 可能な限りマルチメディアの要素を組み込む

SERPの未来は、業界としてSERPを形成するコンテンツからステップアップし、文化を形成するコンテンツを提供できるかどうかにかかっている。

9. デジタルの成功はウェブサイト最適化にとどまらず検索エンジン最適化全体が不可欠になるアマンダ・ジョーダン氏 - Rickety RooのSEO戦略ディレクター

2024年、SEOの焦点は、「単に検索エンジンでウェブサイトが上位に表示されるようにすること」から「広範なオンラインプレゼンスを確立すること」にシフトするだろう。こうした包括的なアプローチは、さまざまなデジタルプラットフォームにおけるビジネスのビジビリティや評判がSEOの成功にとって不可欠なものになることを意味する。外部のウェブサイトでリンクを獲得するだけにとどまらず、関連性の高いエンティティになるということだ(リンク先は日本語記事)。

単なる広告ではなく、価値に基づくコンテンツでオーディエンスにリーチするビジネスが勝利する。独自のデジタルエコシステムを生み出すことで、ビジネスは自律的なエンティティになれる。そのため、SEOを再定義し、ウェブサイトを最適化するだけにとどまらず、「検索ではなく文化を形成するコンテンツへのエンジン最適化」全体を真に具体化する必要がある。

10. ニッチなキーワードと人手による調査が最後にものを言うアビー・グリーソン氏 - ScribdのSEOおよび顧客獲得担当シニアプロダクトマネージャー

2024年には、トレンドのキーワードまたは検索ボリュームが極端に少ないキーワードをターゲットにすることが重要になる。なぜなら、エバーグリーンコンテンツのSERPは競争が激しく、「他の人はこちらも質問」、Reddit、TikTokといったソースからのニッチな質問は特に価値があるからだ。

そして、AI優位の時代には、トピックの実践的な調査に取り組むコンテンツマーケターが際立つ存在となる。人間の手作業によるアプローチは、対応できていない場合が多いオーディエンスの具体的な関心を取り込むことになるため、トラフィックの増加とエンゲージメントの改善につながるだろう。

この記事は、前中後編の3回に分けてお届けする。SGEとSERPに関する専門家の予測を聞いた前編に続いて、中編となる次回は「E-E-A-T」と「ソートリーダーシップ」に関する予測を紹介する。

→中編を読む

用語集
E-E-A-T / KPI / SDGs / SEO / SERP / UGC / オーガニック検索 / クラウド / クリック率 / コンテンツマーケティング / コンバージョン率 / ソーシャルメディア / リンク / リーチ / リードジェネレーション / 検索エンジン / 被リンク
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