【レポート】Web担当者Forumミーティング 2023 春

DAM(デジタルアセット管理システム)とは何か? クラウドストレージとの違いや特長を解説

増え続けるメディアコンテンツを一元管理し、制作プロセスを大幅改善する「DAM」の有用性をハートコアが解説する。
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  • 「カタログに使った素材を、WebやSNSで素早く使いたい」
  • 「素材の管理がバラバラで、どれを使って良いのかわからない」
  • 「古いデータの誤使用、有名人の版権管理が大変」

「Webサイト」「スマホアプリ」「SNS」など、デジタル上のタッチポイントが増えると同時に、そこで使われる素材の管理・共有などの課題が浮き彫りになってきている。

Web担当者Forum ミーティング 2023 春」に登壇したハートコアの間宮淳一氏は、これらの課題を解決できるのが「DAM(Digital Asset Management:ダム)」だと言う。DAMとは、写真、動画、音声、カタログなどのデータを一元管理するための技術である。これだけ聞くと、クラウドストレージと何が違うのか――と感じる方もいるだろう。本記事では、クラウドストレージとDAMの違い、DAMの特長などを解説する。

ハートコア株式会社 CX本部 副本部長 CX技術部 部長 間宮淳一氏
ハートコア株式会社 CX本部 副本部長 CX技術部 部長 間宮淳一氏

DAMで素材を一元管理~クラウドストレージと何が違うのか?

ハートコアは2009年創業。Webサイトの構築や運用管理を効率化するCMS製品「HeartCore CMS」の開発・販売を長らく手がけてきた。近年はデジタルトランスフォーメーション(DX)分野にも参入し、製品やサービスのラインナップを拡充させている。

そんなハートコアが今まさに注力しているのが「Digital Asset Management」である。通称「DAM」。写真、動画、音声、カタログなどのデータを「デジタル資産」と定義し、それらを一元管理するための技術のことである。

DAMが担うのは、コンテンツの共有・編集を円滑に行うための「保管庫」としての役割だ。その上で、それらコンテンツを配信先メディアの特徴ごとに管理・変換する作業もまたDAMの得意分野である。たとえば、製品写真の掲載先がPC向けWebサイトかスマートフォン向けWebサイトか、それともデジタルサイネージなのかによって、画像サイズや保存フォーマットをDAMから直接調整・変換することが可能だ。

「DAM(Digital Asset Management)」の定義
「DAM(Digital Asset Management)」の定義

とはいえ、画像・動画類をオンラインで管理するだけなら、クラウドストレージでも十分なように思える。そこで間宮氏は、業務上よくみられる困りごと/課題4種を軸に、DAMとクラウドストレージの違いを解説した。

DAMとクラウドストレージの違い
課題①:社内に散在したデータから必要なものを簡単に探せる仕組みが欲しい

ファイルの共有は、一般的なクラウドストレージでもごく当たり前に提供されている機能だ。しかし、共有ファイルの探し方はというと、ファイル名かフォルダー配置(からの類推)くらいしか、有効な手立てがない。

これがDAMであれば、プレビュー機能も含めて検索手段が豊富なので、ファイルを把握しやすい。またファイルに付加した属性情報による分類も可能。「ファイルの保管だけでなく、『販促媒体制作に最適な管理』ができるのがDAMだ」と間宮氏は説明する。

DAMはデータの保管だけでなく販促媒体制作に最適な管理が可能
DAMはデータの保管だけでなく販促媒体制作に最適な管理が可能

DAMとクラウドストレージの違い
課題②:関係者とのデータ受け渡しや連絡通知などやり取りを効率化したい

広告用の画像データを社外に送る場合、クラウドストレージに一端保存し、その共有用URLを別途メールで通知しなおすケースが多い。メールに直接添付するとしても、1ファイルあたりのサイズ上限や、セキュリティリスクが問題となる。

その点DAMは、作業完了後のファイルがアップロード(入稿)された場合の通知方法などが充実。送信前後のワークフローも含めて、効率化やセキュリティ確保のための配慮が数多く備えられている。

データ共有においても効率、セキュリティ面でメリットが多い
データ共有においても効率、セキュリティ面でメリットが多い

DAMとクラウドストレージの違い
課題③:カタログやCMなどの販促ツールに使ったデータをすぐにWeb・EC・SNSでも使いたい

カタログやCM動画内で使われている素材を、WebサイトやSNSで使いたい場合、一般的には制作会社へ依頼し、取り寄せ作業を行うことになる。この点についても、DAMで素材を管理しておけば、たとえばInDesignで仕上げられたカタログの全ページをプレビューして検索でき、さらに必要な素材があればSNS用に自ら即変換して取得できるなど、媒体の違いを乗り越えたやりとりが簡単になる。

カタログやCM動画内で使われている素材の検索、変換、取得も容易
カタログやCM動画内で使われている素材の検索、変換、取得も容易

DAMとクラウドストレージの違い
課題④:古いデータの誤使用や品質の低い画像の使用などによるブランドイメージの低下を防ぎたい

芸能人・アーティストなどを起用した宣伝画像は、使用許諾の管理を厳密に行うのが通例だ。仮に掲載期限が設定されている場合、その利用先をExcelで管理して、期限になったら手動で削除するという運用ではミスが発生しやすい。

DAMはファイルに属性情報を付与して管理するため、画像に透かしを入れたり、ダウンロードの可不可を自動化したりなど、許諾に関連した制御も容易に実現できる。

許諾に関連した各種制御も自動化できる
許諾に関連した各種制御も自動化できる

ワークフロー改善による「1人1日30分節減」の重み

DAMはデジタル資産の保存先であると同時に、ワークフローの改善にも寄与することはすでに述べた。以下の図はWebサイトで利用する画像について、デザイン会社との間で発生するやりとりを示したチャートだが、13ステップある行程がDAMによって8ステップに軽減できることを示している。そのコストメリットも大きいと間宮氏はアピールする。

DAMの導入はワークフロー改善にもつながる
DAMの導入はワークフロー改善にもつながる

DAMによる改善の積み重ねで1人1日30分の作業時間を節減できれば、10人なら300分、営業日20日間で6000分、つまり100時間分の短縮につながります。作業を外注していたなら、1時間3000円計算で毎月30万円の費用削減にあたります(間宮氏)

投資対効果の考え方
投資対効果の考え方

事例からみるDAM導入のメリット

ここでは成功事例からDAMの導入メリットを見ていこう。

DAM導入の成功事例①
販促コンテンツの一元管理で売り上げ拡大

ここで間宮氏が示したのは、PCメーカーでの事例だ。この会社ではカタログ、店頭POP、Webサイト、CMなど各種の販促コンテンツを制作していたが、一般的なファイルサーバーでの管理が限界になりつつあった。

また各種の素材は、デザイン部門だけでなく、営業部門の担当者レベルでも重要なデータだ。しかし、芸能人を起用した宣伝写真などは厳密に管理を行わなければならず、何もかも自由に配布することはできない。

DAMはこうした課題を一気に解決する。ECサイトでのページ作成はもちろん、営業資料を用意するにあたっても、担当者はDAMにアクセスするだけで使用可能なデータをすぐに取得できる。またファイルには属性情報を付加しておくことで、不正利用や期限超過を防ぐことができる。

PCメーカーのDAM導入事例
PCメーカーのDAM導入事例

DAM導入の成功事例②
プロモーションコンテンツの一元管理で3200時間の業務短縮

宣伝・プロモーション用の画像素材は広報部門が取り扱うことが多い。そうした素材を他部門が取り寄せる場合、管理している部門にかかる業務負担は大きく、素材入手までに時間がかかってしまう。だがDAMがあれば、担当者が必要なタイミングでアクセスして素早く素材を入手できる。ある機器メーカーではDAM導入によって、3200時間分の業務短縮につながったという。

ある機器メーカーではDAM導入で3200時間分の業務効率化につながったという
ある機器メーカーではDAM導入で3200時間分の業務効率化につながったという

DAM導入の成功事例③
3部門統一のDAM構築で工数削減、リードタイムを短縮

某家具ブランドのECサイトでは、さらに踏み込んだ事例もある。販促部、POP制作部、EC部門がそれぞれ独自にコンテンツ管理を行っていたため、データは散逸。またEC用の画像をすべて手作業で作成するなど、個別の業務負担も大きくなっていた。

そこで3部門統一のDAMを構築した。各素材に対しては、商品名、型番、シリーズ名、さらには「2人がけソファ」といった大まかなジャンル名などを属性情報として付加。これによってデータの検索性が向上しただけでなく、素材をEC用に変換し、かつECサイト内の所定フォルダへ格納するところまでを自動化させた。

某家具ブランドのECサイトでは、DAMからECサイト構築用CMSへの素材変換・コピーも自動化させた
某家具ブランドのECサイトでは、DAMからECサイト構築用CMSへの素材変換・コピーも自動化させた

DAMとCMSの連携がもたらす大きな価値

ここまではDAMの利便性について、コンテンツ管理者・活用者の業務効率改善の観点で捉えてきた。一方で、消費者へのアプローチをより的確なものとし、売り上げアップにつなげるという意味でもDAMは重要な存在だ。そこで意識すべきは「マルチチャネル(オムニチャネル)」だ。

人々のデジタル体験はここ10数年、そしてコロナ禍を経て大きく変わった。通勤電車の中でスマートフォン、職場ではPC、夕飯を食べながらネット動画を視聴し、就寝前には電子書籍を読む。デジタルシフトは加速しており、結果として顧客との接点、つまりはチャネルの「多様化」が進んだ。

コロナ禍を経て消費者のデジタルシフトはさらに進展した
コロナ禍を経て消費者のデジタルシフトはさらに進展した

だが旧来のITシステムは、PCサイト向け施策しかサポートしていなかったり、スマートフォンアプリだけを対象にしたキャンペーンしか展開できなかったりするなど、それぞれが連携できていないケースが多い。こうした状況は「サイロ化」と呼ばれる。消費者がシチュエーションごとにさまざまなアプリに触れ、何台ものデジタルデバイスを使い分けている以上、「多様化」の前提のもと、一貫したマーケティング施策が展開できるようにならなければならないと間宮氏は訴える。

個別施策の実施だけに特化したサービスシステムが乱立。この「サイロ化」の状況を打破する必要がある
個別施策の実施だけに特化したサービスシステムが乱立。この「サイロ化」の状況を打破する必要がある

その土台となるプラットフォームが、まさにDAMとCMSだ。DAMで素材管理を効率化すれば、その分、マーケティング戦略の立案に時間が割ける。ただしDAMそれ自体はデジタル資産の管理システムに過ぎず、何らかの外部システム――それこそCMSなどと連携してはじめて本領を発揮する。そこで「HeartCore CMS」では2023年4月、大型アップデートを実施。DAM製品「HeartCore DAM」の提供を開始した。

CMSというと「Webサイトを作るもの」というイメージが強いと思いますが、現在は“ヘッドレス”のCMSとして、アプリやSNSなどとの連携もできるようになりました。そして最近の大型アップデートで追加されたのが「HeartCore DAM」です(間宮氏)

CMSとの連携でDAMが真価を発揮する
CMSとの連携でDAMが真価を発揮する

操作も簡単で、HeartCore DAMを検索して対象となる素材を指定。これをメニューから選んでコピーするだけで、HeartCore CMSに属性情報も一緒に取り込まれる。通常の記事投稿のフローをほとんど阻害することなく、素材を活用できるだけでなく、属性情報を利用した配信管理ができる。

ハートコアの主力製品であるHeartCore CMSは、いまやCMSとしての枠を超え、「DXP(Digital eXperience Platform)」へ成長したと間宮氏は胸を張る。業務生産性を改善し、顧客へ効率的にアピールするためにもDAM、そしてCMSを使いこなしてほしいと間宮氏は呼び掛け、セッションを締めくくった。

HeartCore DAMの概要
HeartCore DAMの概要

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