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キーワード調査 - 『検索エンジン最適化の初心者ガイド』改訂版#5

SEOではリンクやHTMLの話が多いが、実は、キーワード調査は最も大切な要素の1つだ。

検索マーケティング分野において、キーワード調査は重要で価値が高く、見返りも大きい作業の1つだ。自分がかかわっているマーケットではどういったキーワードが多く使われているのかを解き明かす探偵のような作業によって、SEOを行う際にターゲットとすべき語句がわかるだけでなく、顧客の全体像を把握することもできる。こういった情報がどれだけ役に立つかは、いくら強調しても足りないくらいだ。キーワード調査を行えば、使われるキーワードの変化を予測して市場状況の変動に対応できるだけでなく、現時点で盛んにウェブ検索の対象となっている製品、サービス、コンテンツを提供することも可能となる。消費者心理がここまで理解しやすくなったことは、マーケティングの歴史の中でかつてなかった。これを利用しないなんて、ほとんど犯罪だ。

キーワードの価値をどのように判断するか

検索エンジンに入力されるすべての検索語句は、何らかの方法で記録されているので、後で示すキーワード調査ツールによって、その情報を取り出すことが可能だ。しかし、これらのツールを使っても、その情報がサイトの評価にとってどれほどの価値や重要性を持つのか、その検索からどの程度のトラフィックを獲得できるのかなどについて、(直接的に)知ることはできない。キーワードの価値を理解するためには、さらに詳細な調査を進めるとともに、仮説を立てて検証し、さらにこれらの作業を繰り返す必要がある。これこそが標準的なウェブマーケティングの常套手段なのだ。

これから述べるのは、基本的ではあるがキーワードの価値を判断する際に役立つ手順だ。

  1. 自問する――このキーワードは自分のウェブサイトが提供しているコンテンツと関連性が高いだろうか? このキーワードで検索してサイトにたどり着いた検索ユーザーは、抱いている質問に対する適切な回答を見つけられるだろうか? こうして得たトラフィックは、直接的または間接的に金銭的見返り(あるいは組織としての目標)へと結びつくだろうか? もしこれらすべての質問に対する答えが明らかに「Yes!」なら、先へ進もう。

  2. 主要検索エンジンでその語句を検索する――オーガニック検索結果の上部と右側に、キーワード連動広告が表示されるか? 一般的に、検索広告がたくさん表示されるキーワードは価値が高く、オーガニック検索結果の上部に複数の検索結果が表示されていれば、そのキーワードは非常に利益をもたらしやすく、直接的なコンバージョンにつながることが多い。

  3. グーグル アドワーズ広告オーバーチュア スポンサードサーチ、あるいはその両方でそのキーワードによる広告キャンペーンを試験的に購入してみる。キーワードマッチは「完全一致」を選択し、トラフィックを自分のウェブサイトで最も関連性の高いページへと導く。少なくともキャンペーン開始後の200ないし300クリックについて、サイトへのトラフィック、インプレッション数、コンバージョン率を測定する(この作業は、たくさんのトラフィックをもたらすキーワードなら数日で済むし、あまり使われていないキーワードだと数週間かかるだろう)。

  4. 収集したデータを使用し、該当の検索語句によってサイトを訪れたビジター1人あたりの価値をきちんと計算する。たとえば、検索広告のインプレッション数が過去24時間で5000回だったとする。その広告を見た人のうち100人がサイトにアクセスし、さらにそのうち3人によって総利益(売上じゃないよ!)が3万円になったとしよう。この場合、自分の会社にとって、そのキーワードがもたらすビジター1人あたりの価値はおよそ300円ということになる。24時間におけるインプレッション数が5000ということは、検索結果の1位に表示されたとするとクリック率が30%~40%になるはずだから(クリック率の見込みについては、AOLから流出したデータの調査結果を見てほしい)、1人あたり300円の価値を持ったビジターが1日に1500人から2000人がサイトを訪問する、つまり、年間の利益が9,000万円~2億円になるという計算だ。企業が検索マーケティングを重要視するのも当然というわけだ!

もちろん、キーワードの価値を最大限に見積もったとしても、最適化やROI算出といった実践的な部分がそのとおりにいくとは限らない。ただ、忘れないでほしい。得られた結果と、その検索マーケティング・キャンペーンに対して費やした時間と労力を正しく評価する必要がある。確かにSEOは見返りの大きいマーケティング投資の1つではあるが、その過程においては成功の見込みを測定することが不可欠であることに変わりはない。

検索需要曲線のロングテールについて理解する

1日あたり5000回も検索されるキーワードに取り組むことはすばらしい。いや、たとえ検索回数が500回であってもだ。しかし、実際のところ、ウェブにおける全検索のうち、こういった「人気」キーワードによる検索は30%にも満たないんだ(ヘッド、つまり頭の部分)。残りの70%は、一般に検索の「ロングテール」と呼ばれる部分が占めている。このロングテールの中には、1日に数回しか検索されないようなキーワードによる検索が何億もある(検索サービスが始まって以来1度しか検索されてないっていう語句すらあるんだ)。しかし、それらを全部集めてみると、世界中の人が検索エンジンで捜し求めている情報の大部分を占めているというわけだ。

The Search Engine Demand Curve

検索需要曲線を理解することは非常に重要だ。これが理解できれば、「ロングテール」を対象としたコンテンツの重要性がはっきりしてくるからだ。それはどういうコンテンツかというと、利用頻度が高い特定のクエリ1つに注目するのではなく、種々雑多な人間の思考、好奇心、意見をそのまま検索エンジンのスパイダに示したようなクエリを念頭に置いた情報を掲載したページだ。一例として、SEOmozのキーワードとトラフィックのグラフを下に載せておく。このグラフを見ると、トラフィックが集中している少数のクエリがある一方で、まれにしか使用されない検索語句が大量にあり、それらもSEOmozに大量のトラフィックをもたらしていることを示している。

Chart of Long Tail Traffic to SEOmoz
※Web担編注 実際の画面は英語

上のグラフは、Enquisiteが提供しているロングテールキーワードによる検索の追跡調査というすばらしい機能を利用したものだ。ここでは、左側の明るい緑色の部分にある検索語(検索数の多いもの)は全トラフィックのほんの一部に過ぎず、トラフィックの大部分を占めているのは水色と紺色の部分だということがわかるだろう。だけどこの中には、1人か2人の訪問者しかもたらさない検索語も入ってるんだ。

Chart of Long Tail Traffic to SEOmoz

上の表はさらに詳細を示したものだ。留意してほしいのは、上位にある検索語句でも、SEOmozの全検索トラフィックからするとわずかな割合(1%~4%)しかもたらしていないということだ。

ロングテールを無視するというのなら、危険は覚悟しとこう。検索マーケティングやウェブサイトのコンテンツ戦略では、このような「予測できない」キーワード経由のトラフィックや、より詳しい情報を掲載した内容豊富な競合サイトに負ける危険性について考慮しておく必要がある。

キーワード調査に関するリソース

検索需要や検索キーワードに関するこうしたすべての情報はどこで入手できるのか? 調査のためのリソースを以下に紹介しよう。

以下は、グーグル アドワーズ広告のトラフィック見積もり計算ツールで調べたキーワード調査データの一例だ。

Google's AdWords Estimator Tool Results for Stock Related Searches

Googleでは、これらのキーワードによるキャンペーンの実施にかかるコストと、キャンペーンで獲得するであろう推定クリック数の両方について予測していることがわかる。右側から2列目にある「1日あたりの予測クリック数」の数字を見れば、あるキーワードやフレーズがほかと比較してどのくらい人気があるか、大体の見当がつけられる。「検索ボリューム」のところにある緑色の棒グラフも、そのキーワードにどれだけの需要があるかの予測を比較するのに役立つ。

他にも、キーワード情報に関して人気の劣るリソースや、より高度なデータを提供してくれるツールがあるけど、それらについては、Rebeccaの「専門家向けのキーワード調査ガイド」(英文)できちんと紹介されている。

キーワード競合指標

現時点でターゲットとすべきキーワードを(そして、その次の段階でねらうべきキーワードも)把握するためには、検討している語句に対する検索需要だけでなく、上位にランクされるために必要な作業についても知っておかなければならない。もしトップ10に手ごわい競合サイトがずらりと並び、自分のウェブサイトは開設したばかりというのであれば、ランク上位を目指して厳しい戦いを数か月から数年続けても、ほとんど、あるいはまったく成果が上がらない可能性がある。だから、そのキーワードでランク上位を得るのがどれだけ難しいかを知ることが非常に重要なのだ。

特定の検索語句に対する競合の度合いについて大体の目安を得るためには、以下の指標はどれも役に立つ。

  • 検索需要規模(そのキーワードを検索する人の数)
  • 広告を出している競合者の数
  • 検索結果のトップ10を占めているサイトの競争力(開設期間、被リンク状況、ターゲティング、関連性の高さ)
  • 検索結果の数(「完全一致」のほか「allintitle」や「allinurl」を利用した高度な検索機能が役に立つはずだ。こういった特殊な検索方法を使ったキーワード調査については、「決定版! SEMキーワード調査10の手法――キーワードアドバイスツール不在時代を生き延びるワザ」の記事が参考になる)

もちろん、時間を節約したければ、SEOmozのキーワード競合指標ツールを使うと、与えられた検索語句について上記の指標すべてを集めたり、比較スコアをまとめたりしてくれて便利だ。

Keyword Difficulty Report for "Christmas Gift Ideas"
※Web担編注 実際のインターフェイスは英語。要SEOmozプレミアム会員登録。
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