初代編集長ブログ―安田英久

マーケターの目に見えないダークトラフィック・ダークソーシャルの正体とその分析方法とは?

ダークソーシャルは、「参照元なし」「ダイレクトトラフィック」として扱われているもののなかで、ソーシャル的なやりとりから生まれたトラフィックのこと
Web担のなかの人

今日は、「ダークソーシャル」や「ダークトラフィック」の話題を。アクセス解析をするにあたって、参照元なしの「ダイレクトトラフィック」のなかに潜む「これ、ソーシャルに含めるべきだよね」というトラフィックの種類です。

  • オフィスで仕事をしていたあなたは、上司から「この記事、参考になるから見ておいて」とメールで教えられたページをブラウザで開いて中身をチェックしました。なるほど、Web担の記事か、ふむふむ。

  • 昼食をとっていたあなたは、同僚からFacebookメッセージで「やべ、笑える。見てこれ」と教えられたニュース記事を眺めながら、笑顔とともにひとときを過ごしました。

さて、こうしたあなたのサイト訪問は、アクセス解析ではどう分類されるのでしょうか。「参照元なし」ですよね。

でも、これはソーシャルな行為のなかで生まれたトラフィックではないでしょうか――これが「ダークソーシャル」つまり「見えないソーシャルトラフィック」なのです。

「ダークソーシャル」や「ダークトラフィック」とは

「ダークソーシャル」「ダークトラフィック」という考え方が、2012年ごろから言われるようになっていました。

ここまで解説すると「つまり、ダークソーシャルって参照元なしのことね」と思うかもしれませんが、少し違います。ダークソーシャルは、「参照元なし」「ダイレクトトラフィック」として扱われているもののなかで、ソーシャル的なやりとりから生まれたトラフィックのことを指しています。

アクセス解析でいう「ダイレクトトラフィック」とは、Webサイトに対するアクセスのなかで、リファラ情報を含まないものを指します。

伝統的には、次のようなもののことだと言われています(Web担の記事「“参照元なし”は多い方がいい? リファラなしの8パターンを全部言えますか?」より)。

  • ブラウザのアドレスバーに直接URLを入力してサイトに訪問した場合
    ※2~3文字入力しただけでも最近は過去に閲覧した候補サイトが表示される入力補助機能がある

  • ブラウザのブックマーク(お気に入り)からサイトに訪問した場合

  • メーラーなどアプリケーション内のリンクからサイトに訪問した場合
    ※ただしWebメールを利用している場合は、WebページからのリンクなのでそのWebメールのページの参照元情報がつく

  • ブラウザの設定で参照元情報を残さない設定にしてサイトに訪問した場合

  • セキュリティソフトで参照元情報を送信しない設定にしてサイトに訪問した場合

  • メタタグによるリダイレクトなどによる転送によるサイト訪問の場合
    ※FirefoxとIE

  • httpsページからhttpページへの訪問の場合

  • Flashコンテンツ(Flashバナーも)内のリンク機能でサイトに訪問した場合

しかし、昨今では次のようなものもあります。スマホアプリの隆盛により、「参照元なし」トラフィックのソースが増えてきたんですね。

  • チャットツール
  • メッセージツール
  • ショッピングアプリ
  • 外部向けリンクはリファラなしでリダイレクトするタイプのCMS(社内情報共有とか)

英語圏だとWhatsAppのようなメッセージンググールがダークソーシャルの一番の要因だと言われていますが、日本だとLINEもそうですし、業務で使っているSlackのようなチャットツールもあるでしょう。

こうしたものからのトラフィックが(米国で)劇的に増えてきたのが2012年前後で、こうしたものを「ダークソーシャル」ととらえる動きが出てきていました。

昔からアクセス解析に携わっている人は「参照元なし=分析不可能」と思い込んでいるのではないでしょうか。そのため、こうしたデータはスルーしてきましたが、場合によってはそれを見直すべきなのかもしれません。

ダークソーシャルはGoogleアナリティクスでどう分析すればいい?

まずは、こうしたダークソーシャルがいまどれぐらい自社のトラフィックに含まれるのかを判断してみましょう。

とはいえ、データ的には「参照元なし」なので、完ぺきには分析はできません。

ざっくりと把握するには、Googleアナリティクスで次のようなセグメントを作って見ましょう。

これは、参照元なしのトラフィックのうち、とりあえずトップページやコーナートップへのトラフィックを除くというものです。

人間が「http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2017/01/31/24926」みたいな長いURLすべてを手打ちすることは滅多にないだろうという前提で、ディープリンク(記事やページの個別ページ)への直接トラフィックを(とりあえず)ダークソーシャルだと扱うというものですね。

実際にこのセグメントを使ってWeb担でランディングページを確認すると、それぞれ確かに人気コンテンツで、メールやチャットで伝えられていてもおかしくないものでした。確実に「ダークソーシャル」がコンテンツに対するトラフィックを生み出しているのです(あるコンテンツにいたってはダークソーシャルのトラフィックが12万セッションもありました)。

こうしたダークソーシャルがセッション全体に占める比率は、Web担では10%前後でした。「これは大変だ!」と慌てるほどではありませんが、「どうでもいいや」と無視していいと切り捨てていい少なさではない微妙なラインですね。うーん。

ニュースサイトなどでは、こうしたダークソーシャルは「そのままでは分析できないが、さらなるトラフィック獲得のための分析には無視できない」として、推測する仕組みを設けているところもあるようです。

具体的には、同一のURLに対する他のトラフィックの状況を把握し、ソーシャルでの共有などの状況をみながら「参照元なし」のなかのダークソーシャルの割合や、どのあたりのアプリがソースになっていそうかを推測するというものです。

たしかに機械学習をうまく使うなどすると、そうしたこともかなりの確度でできそうです。

サイトでの集客というと検索トラフィック+広告という時代には、こうしたことは意識する必要もなかったのかもしれません。しかし、今や多くのサイトで、ソーシャルメディアを通じたコンテンツの拡散が重要なトラフィックソースになっています。

ということは、「参照元なし」のデータを「分析不能・スルー対象」と思い込むのではなく、まずはこうして状況を把握し、その影響が大きそうならばさらなる分析や対応を考えていくことが大切なのかもしれません。

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