アクセス解析 “超” 基礎講座

新米Web担当者もこれで安心!8つのステップで始める実践アクセス解析(後半)

[特集]アクセス解析 “超” 基礎講座

アクセス解析で始めるウェブサイトの健康診断
新米Web担当者もこれで安心!
8つのステップで始める実践アクセス解析
後半:ステップ5~ステップ8+カイゼンのヒント

初めてアクセス解析を行うWeb担当者でもつまづかないように、「どんな数字をどう見ればいいのか」をお伝えする8つのステップ。前半ではステップ1~ステップ4を紹介したが、後半となる今回では、ステップ5~ステップ8を紹介する。

はてなブックマークでも大人気を集めてホットエントリ入りした前半はこちらをご覧ください。

ステップ5「コンバージョンの測定」、ステップ6「ダッシュボード機能の活用」、ステップ7「エクセルでレポート」、ステップ8「さらに詳しい解析」だ。ここまでできれば、アクセス解析は十分なはずだ。

これだけは押さえておきたいアクセス解析8つのステップ

前回の記事で解説したステップ

  1. 健康診断:サイト全体の状況をおおざっぱにつかむ
  2. 来訪理由チェック:来訪元をつかんで集客のヒントを得る
  3. 入り口チェック:最初に見られるページから改善のヒントを得る
  4. 離脱率の改善:訪問者を逃がしているページを動線から見つける

この記事で解説しているステップ

  1. コンバージョンの測定:サイトの役割を金額に換算して考える
  2. ダッシュボード機能の活用:毎日見るレポートを楽に管理する
  3. エクセルでレポート:上司への報告書をテンプレートでつくる
  4. さらに詳しい解析:アクセス解析コンサルティングを受ける

ステップ5 コンバージョンの測定:
サイトの役割を金額に換算して考える

問題があるページの離脱率をカイゼンしたら、今度は本来のサイトの目的が達成されているかどうかを確認する作業に移っていこう。「コンバージョン」の測定である。これも専用の機能をもったツールを利用する。

ECサイトであれば目標ははっきりしていて、ズバリ「売上」である。どんなにきれいなお店でも売上がともなわないお店は経営層からは「ダメな」店だと判断される。つまり、ショッピングカートに商品を入れて「購入」ボタンを押した回数や売上がサイトの評価ポイントになるのだ。この売上が実際に発生したことを「コンバージョン(顧客転換)」という。売上そのものがサイトの目標でない場合でも、カタログ請求や問い合わせがサイトの目的であれば、それらの請求数をECサイトの売上高と同じように勘定できるので、これを数値目標にすればいい。

これまでのステップで学んだ方法を使って、顧客はどこからどんなニーズでやって来て、どのようにサイト内を巡回してからこのボタンを押したのか、というストーリーが報告書に書ければWeb担当者は困らない。

コンバージョンの測定は必ず数値でやること。売上高いくらとか、カタログ請求何冊とかの数値である。売上やカタログ請求数がサイトの目標でないサイトでは、「インターネットがない時代には同じことを実施するのにいくらかかったか?」を数値化、金額化してみよう。たとえば10年前ならば、だれかにオフィスの地図を送るには次のようにしていたのではないだろうか。

  1. 電話であなたのオフィスの場所を聞かれる
  2. 地図をファックスします、と答え、先方のファックス番号を聞く
  3. 地図をコピーし、宛て名を書いてファックス送信する

これを時給1,200円のアルバイトが10分間かかって行っていたとすると、たとえば地図を1枚送るのに200円のコストがかかっていたと計算できる。会社案内なら1,000円、新卒社員の会社説明会の案内なら1人あたり2,500円、商品の取り扱いの説明なら3,000円などと計算していくと、ウェブサイトの果たす役割を金額に置き換えることができる。コンテンツが充実していれば電話による不必要な問い合わせを削減できるので、確度の高い優良顧客への対応に集中できるのである。

このような「金額主義」でコンバージョンを測定していく。コンバージョンの測定が重要であるなら、この機能を持ったツールを選定すること。たとえば、SiteCatalystでは、コンバージョンは図5のように表示される。

図5 ECサイトでなくても、問い合わせやカタログダウンロードなどのアクションを目標に設定してコンバージョン測定すること(図はクリックで拡大)。

アクションを金額に変換して入力しておくと、これを合計金額として表示してくれるので「サイトの値打ち」を計算できる。

さらに上級になると、SEOやSEMに要した費用を入力しておいて「元が取れているかどうか」の数値(ROI:費用対効果)を出す機能が搭載されているものもあるのでチェックしてみよう。

ステップ6 ダッシュボード機能の活用:
毎日見るレポートを楽に管理する

ここまでで、見ておくべき指標をいくつか紹介してきた。

  • 総ページビュー数
  • 訪問者数
  • キーワードとフレーズのランキング
  • 検索エンジンのランキング
  • 検索エンジン以外のリンク元ランキング
  • 入り口ページのランキング
  • 1ページだけ見られたページ

もし、あなたがダッシュボード機能を搭載しているツールを使っているなら、これらの指標をダッシュボードに登録しておこう(図6)。Google Analyticsなら「マイレポート」機能で、レポートを表示した状態で[マイレポートに登録]ボタンをクリックすれば自由に追加できる。

単なる数値の羅列で表示するほうががいい数値もあるし、グラフで表示したほうが直感的にわかる指標もある。とにかく毎日一度はアクセスの数値になじめればいいので、自分の好きな指標を選んで毎日一度何となく見ているだけでもいいのだ。そうすれば、サイトの突然のアクセスの変化に気づくことができるし、アクセス解析自体が楽しくなってくる。そうやっててアクセス解析やサイト改善への興味を保つことが、実はより良いサイトを実現するために非常に重要なのだ。

図6 ダッシュボード機能は、任意のレポートをまとめて閲覧できる、ブラウザでいうところのお気に入りのようなものだ(Google Analyticsでのダッシュボードの例)。対応するツールを使っているなら、毎日見る指標をまとめておこう(図はクリックで拡大)。

ステップ7 エクセルでレポート:
上司への報告書をテンプレートでつくる

ここまで来たら、もう上司に報告できる。上司には定期的に報告するべきだが、そんなに詳しい情報を渡すこともない。これまでの各ステップで見た数字を1枚のエクセルのワークシートにまとめて見せるのがいいだろう。

Web担の読者のために、多くのサイトで使える、報告用ワークシートを用意した。Web担当者Forumのウェブサイトからダウンロードできるようになっているので、自由にダウンロードしてアレンジして使ってみてほしい(詳しくは「便利に使えるアクセス解析レポートのエクセルテンプレート」を参照)。

月に1回ぐらいの報告は、この程度のエクセルシートにしておこう。経営陣も、細かいことまで知りたいのではない。まずは自社の鏡ともいえるウェブサイトに月間何人が訪れ、1人あたり何ページくらい見ているのかという「ステップ1:サイトの全体像をおおざっぱにつかむ」を定期的にやってもらい、自社のウェブサイトに関する興味を継続的にもってもらうことが大事だ。

上司が慣れてくれるまで、月1回のペースでこのシートを上司に提出しよう。データをエクセル形式でダウンロードできるツールを使っている場合はそれをもとにアレンジしてもいい。

ステップ8 さらに詳しい解析:
アクセス解析コンサルティングを受ける

月に1回のレポートはステップ7のエクセルで済ますとしても、年に何回かは詳細を報告する必要があり、その際にはもっと詳しい資料が必要になるだろう。その場合は、できればコンバージョン測定が可能なツールを使い、「カタログ請求数は○月はいくつだったが直近の○月はいくつ」などと報告できるようにしたいものだ。

この機会に利用しておくといいのがアクセス解析コンサルティングだ。

コンサルティングというと敷居が高そうだが、自社サイトの状況がわかると他の様子が気になってくるはず。いくら自社のサイトの状況を把握していても、客観的に見てみるとどうなのか、わからない。月間何万ページビュー(訪問者)はよそと比べて多いのか少ないのか、1人あたりのページビュー数8.5ページというのは多いのか少ないのか、この種類の商品を扱うオンラインショップでこのくらいの売上を上げるためにはどの程度の集客が必要なのかなど、自社だけではわからない「普通はどうなの?」の蓄積をコンサルタントは持っている。また、サイトのカイゼンの方法に関しても、自社内ではなかなか出てこないアイデアが得られる場合もある。

コンサルティングを受けるにしても、自社サイトの状況をつかんだうえで受けるのとそうでないのとでは大きな差がある。当社では年間何十サイトというコンサルティングを実施しているが、自社サイトに全部で何ページあるのか答えられるWeb担当者の数は本当に少ない。自社サイトの状況を理解したうえで受けるコンサルティングとそうでない場合とでは、その後のアクションに大きな差が出る。アクセス解析はあくまでも自社サイトのカイゼンのために行うものなので、それを実行すべきWeb担当者になんのアイデアもない段階でコンサルティングを受けても実感をともなわないものなってしまう。ここまでのステップを実行して自分の力でウェブサイトの状況をつかんだうえでコンサルティングを受ければ、より良い結果が得られるだろう。

大切なのは現状を知り、カイゼンを続けていくこと

何かコトを始めるときには一気に全部やってしまいたくなるが、特に「お店型」のウェブサイトはじっくりじっくり維持管理していくものだ。お客様の状況を知り、お店=ウェブサイトをカイゼンしていくのだが、何からなにまで一気にやってしまおうとすると息切れがする。上司への報告をしつつ、自分がどんなカイゼンを施していくのかの資料としてアクセス解析の結果を生かしていこう。それでは、改善策のヒントをここに挙げよう。

  1. 集客アップ

    せっかく良いサイトを作っても人が来てくれないのではしかたがない。何かの手を打つ必要がある。ウェブサイトを評価する最初の数字は「来訪者数」や「総ページビュー数」である。これはステップ1で学んだ。「月間訪問者××万人」というのは、これを聞く経営層にしても興味を持ちやすい数字だ。

    集客力アップには、次のような方法がある。目標数(たとえば期間中にページビュー30%アップ)を定めて、これらの各施策を実施していくようにしてみよう。

    • キーワード広告――オーバーチュアやアドワーズ広告が実施しているキーワード広告やコンテンツ連動型広告を実施する。
    • SEO――サイトのHTMLや構造を変更して検索エンジンの上位に掲載されるようにする。
    • ブログ対策――ブログが消費者の行動に影響を与えるようになってきているので、自社の商品やサービスに関して書かれているブログを見つけたらトラックバックやコメント付けを積極的に行う。トラックバックするには、自分のサイトにブログ機能がある必要がある。
    • SEM以外のネット広告――ヤフーなどのポータルサイトや、専門サイトへのバナー出稿、懸賞サイトへの出稿など、ネット上の広告を活用する。
    • その他広告――テレビ、ラジオ、雑誌、新聞などの活用。BtoBの会社なら名刺などの印刷物にサイトのURLをうまく利用する。自社サイトのトップページのURLだけでなく、各自の担当商品のURLを印刷するなど。
  2. コンバージョン率改善

    サイトを訪問してくれた人があなたの望む行動(購入やカタログ請求)をしてくれるためには、サイト自身を良くするしかない。ここでの対策は以下のようなものだ。

    • 入り口ページ改善――とにかく最近のお客様は飽きっぽく、最初のページで帰ってしまう人が本当に多い。これをなんとかしなくては、Web担当者の望む行動には結びつかない。検索エンジンに入力したキーワードと最初に見られたページがどのくらいミスマッチを起こしているかを議論しながら見つけ出し、解決していく。根気の必要な作業だが、これは非常に重要だ。集客数が目標に達したら必ず実施しよう。
    • 離脱率の高いページの改善――入り口ページと同じように来訪者の動線を切ってしまっているページはカイゼンすべき。多くの人がうんざりする要素をページから見つけ出し、この要素を直していく。
  3. 広告効果測定(キャンペーン、広告掲載後など)

    SEOや各種広告の費用が十分にもとが取れているかを効果測定する。売上の変化やカタログ請求数の変化を測定し、費用と比較する。

◇◇◇

ここまで来れば、アクセス解析は十分なはずだ。

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