企業ホームページ運営の心得

Webの真価を見せつけるシルバーウィークの活用法

シルバーウィークは終盤戦に向けた仕込みのチャンスです
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の424

仕込みの大チャンス

klenger/iStock/Thinkstock

今週末から始まる「シルバーウィーク」。いわゆる春の「ゴールデンウィーク」に対して名づけられたのでしょうが、大型連休は曜日の配列次第です。毎年訪れる訳ではないのに、この名称はすっかり定着しました。シルバーを想起する「敬老の日」を含んでいるからでしょうか。

Web担当者にとっては、ここが年終盤戦への「仕込み」の大チャンス。今回は、シルバーウィークに向けて用意しておくべき「コンテンツ」と「媒体」について話します。

休日出勤の必要はありません。Webの利点は「無人」で対応できるところにあるのですから。だから、連休前にもう一踏ん張りです。なお、祝日法が変更されなければ、次に訪れるシルバーウィークは2026年です。

避けて通れないお金の話

日頃は離れて暮らしていても、「敬老の日」の前後には家族の交流が多くなります。独身のWeb担当者はピンとこないかもしれませんが、結婚が近づいたり、子供が生まれたりすると、互いの家族と過ごす時間が多くなるもの。そして、大人同士となった「家族の会話」の鉄板ネタが「お金の話」です。世知辛いようですが、お金の話は避けて通れません。

お金の話は、同居するのか近所に住むのか、実家の土地はだれが相続するかなどさまざま。また、対象を「孫」にまで広げると、「振袖」の購入資金をフォローする祖父母は多く、マイカーが自転車代わりの郊外では、同じく自動車を買ってあげるという話は珍しいことではありません。

狙うべきターゲットはだれか

親からの援助は期待できないと、唇を尖らせるWeb担当者もいるでしょう。私も同じ立場です。同様にネットで検索すると「非援助派」の意見を多く目にしますが、現場の体感値としてはこの反対。それは援助を受けた事実を「広言」する人が少ないからではないでしょうか。金銭的援助は、己の未熟さ=甘えを連想させるからです。

また、実際に金銭の融通はなくても、親の援助の申し出が支えとなり、住宅購入に踏み切るケースもあります。ネット上においても、声を上げない消費者=サイレントカスタマーがいるのです。「売る側」に立つWeb担当者なら、どちらの声に耳を傾けるべきなのか自明です。

そこで親、祖父母からお金を引き出す……もとい、人生設計をお助けするための「コンテンツ」を用意しておきます。本稿では「不動産サイト」を例に取りますが、他業種でも応用可能です。

不動産における期間限定

まずは「年内入居」をあおります。新年を新居で迎えたいと思うのが消費者心理だからです。住宅ローンを組むのは、キャッシュディスペンサーでお金を引き出すほど簡単ではなく、審査も含めた手続きに1か月ほどかかることもあります。さらに引越業者の手配や、現在借りている賃貸契約の整理といった諸手続を含めると、購入の決断は早いに越したことはなく、さらに「新居でメリークリスマス♪」というのもOK。

いわゆる「期間限定(タイムリミット)」の手法です。なお「振袖」を売るなら、「成人式」と本番前に記念撮影を済ます「前撮り」のメリットを知らせるのがこれにあたります。

さらに年内入居できれば、今年の所得から「住宅ローン減税」の対象となります。一般的な会社員なら、年末に還付される「年末調整」で現金をゲット! これは「値引き」や「現金還元」と同じアプローチ。通算すると同じことですが、いち早くキャッシュが戻ってくることを、消費者は本能レベルで喜びます。

床屋政談が大好き

時事ネタも忘れてはなりません。「床屋政談」という言葉があるように、政治経済に関する時事ネタは「話題」にしやすいのです。「アベノミクス」が目指す「インフレ」が実現すれば、「住宅ローン金利」が上昇することが予想されています。仮に3千万円の借り入れを35年間で返済しようとすると、金利1%の違いが返済総額800万円の差になることもあります。金利の見直しは半年ごとで、多くは4月と10月。つまり、直近の締め切りはもうすぐだと、「タイムセール」の要領であおります。

不動産に限らないのが「節税ネタ」です。税制改正によって非課税枠が縮小されました。一方で「生前贈与」には非課税枠が認められ、同居している親族が相続する場合は、特例によって「非課税枠」を拡大できます。この「生前贈与」については、子や孫の「教育費」でも認められるケースがあり、こちらもシルバーウィークに商機が拡がる商材であり業界です。少子高齢化が進む現代日本において、「生前贈与」の関連産業は密かに、そして着実に裾野を広げています。

最後に、もっと単純で直接的な売上増が見込める、幅広い業種で使えるシルバーウィーク向けコンテンツのテーマは「ぷちリッチ」。「ちょっと贅沢なディナー」「ワンランク上の家族の団らん」。ついでにおもちゃ屋ならば「親子3代Wii Uバトル!」などなど。もちろん、狙いはじぃじとばぁばの財布です。

適材適所の媒体選択

これらのコンテンツはWebで用意します。スマホ・タブレットの対応は当然として、次に必須の媒体と考えるのが「PDF」です。その目的は「印刷」。家族が集まって議論する場で、「紙」の閲覧性とモビリティは電子ツールの追随を許しません。「印刷向け」のレイアウトを、CSSで用意しても構いませんが、いわゆる「チラシ」や「パンフレット」の資料があるのなら、そちらもダウンロード可能にしておくとよいでしょう。

Web担当者としては、Web上で完結させたい誘惑に駆られますが、紙媒体を望むお客はいまでも決して少数派ではありません。

冒頭で「仕込み」と紹介したように、これらの施策でシルバーウィーク空けにお客が店頭に行列をつくることはありません。しかし、生まれたてのヒヨコが、はじめて見た動くものを親鳥と思うように、消費者は最初に情報を提供してくれた相手を無条件に信用する傾向があります。ライバル企業が同条件なら、この「仕込み」が大きなアドバンテージになることは言うまでもありません。

今回のポイント

大型連休は「家族会議」の機会

家族が共有できる紙の資料(PDF)も用意するとベター

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