GoogleアナリティクスPremium【短期集中連載】

GoogleアナリティクスPremiumの魅力「アトリビューションレポート」機能はここがスゴい!

GoogleアナリティクスPremiumの独自レポートである「アトリビューションレポート」を紹介

GoogleアナリティクスPremiumに関する情報を、全3回でお届けする短期集中連載、第2回では、GoogleアナリティクスPremiumの独自レポートである「アトリビューションレポート」(通常版GAにはない機能)を紹介します。

※2012/04/22時点の、GoogleアナリティクスPremiumに関する公式ヘルプやドキュメントなどの情報を元に作成しています。

「アトリビューション」とは

まず、「アトリビューション」について簡単にふれておきます。

アトリビューションとは、「寄与」あるいは「分配」を意味する言葉で、アクセス解析の世界では「成果の流入元分析と配分」という観点で使われる用語です。

たとえば、ある人がWebサイトに1回目はリスティング広告から訪れ、2回目はメールマガジンで訪れ、3回目は自然検索で訪れて、コンバージョンに至った(成果を達成した)としましょう。

この場合、多くのアクセス解析ツールでは、直接成果に結びついた最後の「自然検索」のみを成果に貢献した施策として評価をしていました。

そういった効果測定に対して「他の流入元にも一定の評価を与えてもいいのではないか?」という考え方で分析するようになったのが「アトリビューション」です。

アトリビューションについてより詳しく理解したい方は、「アトリビューション分析」連載 その1「アトリビューションとは?」をご覧ください。

Googleアナリティクス(通常版)におけるアトリビューション分析

さて、そんなアトリビューション分析ですが、Googleアナリティクス(通常版)では、2011から「マルチチャネル」というレポート群が用意されています。

「マルチチャネル」のなかの「アシストコンバージョン」レポート

こちらのレポート群では、流入施策ごとにコンバージョンした訪問者の「初回流入」「アシスト流入」「最終流入」の数や経路を分析できます。

しかし、あくまでも用意されたルールでのレポートしか見ることができません。したがって、「最初と最後の流入に貢献の重み付けをおいて考えると、各流入元はどれくらいの売上に貢献をしているとみなされるのか?」といった分析を行うことはできません。

さまざまな分配ルールで効果を確認するために、「マルチチャネル」内に用意されたのが「アトリビューションレポート」になります。

マルチチャネルの機能や活用方法に関しては、Google アナリティクスの新機能「マルチチャネル」 5つのレポートとその活用方法を紹介!(前編)の記事をご覧ください。

GoogleアナリティクスPremiumの「アトリビューション」レポート

さて、ここからがこの記事の本編になります。GoogleアナリティクスPremiumの大きな特徴の1つとして、通常版のGoogleアナリティクスよりも高度なアトリビューション分析ができる「アトリビューションレポート」が追加されていることが挙げられます。

GoogleアナリティクスPremiumのアトリビューションレポートでは、デフォルトで5つの分配モデルが用意されています。

Googleアナリティクスの「Attribution Playbook」の内容をもとに編集部で日本語訳を作成

それぞれを確認してみましょう。

  1. 最終配分(Last Interaction)

    成果に直接貢献した流入元に評価を100%割り当てるモデルです。今までのセッションベースの考え方になり、すべての基本です。

    初回2回目3回目4回目5回目
    (成果)
    0%
    0%
    0%
    0%
    100%
  2. 初回配分(First Interaction)

    成果に辿り着いた人の最初の流入に評価を100%割り当てるモデルです。初期認知(つかみ)に重きを置いた考え方ですね。

    ※「最初」がどこまで遡るのかは明記されていませんが、「マルチチャネル」の場合は1か月となっています。
    初回2回目3回目4回目5回目
    (成果)
    100%
    0%
    0%
    0%
    0%
  3. 均等配分(Linear)

    成果に辿り着いた人のすべての流入に対して同じ割合だけ評価を割り当てます。5回流入してコンバージョンした場合は、20%ずつ割り当てられます。

    初回2回目3回目4回目5回目
    (成果)
    20%
    20%
    20%
    20%
    20%
  4. 時間減衰配分(Time Decay)

    成果を達成した時間と流入日時の差分を元に評価を割り当てます。そのため成果に近い流入ほど貢献の割合が高くなります。

    ※具体的な計算ロジックは現時点では見つけられませんでした。
    初回2回目3回目4回目5回目
    (成果)
    5%
    15%
    20%
    25%
    35%
  5. 初回&最終流入重視配分(Position Based)

    初回と成果に直接繋がった流入の評価の割合が高くなるモデルです。「知ったきっかけ」と「コンバージョンが実現した」流入の2つに貢献を割り当てます。

    具体的には、初回と最終にそれぞれ40%を割り当て、残りの流入で20%を分ける形となります。

    公式ヘルプより。
    初回2回目3回目4回目5回目
    (成果)
    40%
    6.6%
    6.6%
    6.6%
    40%

GoogleアナリティクスPremiumの
「アトリビューション」で確認できるレポート

以下のようなレポート画面が用意されています。

Googleアナリティクスの「Attribution Playbook」の内容をもとに編集部で日本語訳を作成

この画面では、表の部分には左側から「チャネル」「最終配分」「初回配分」「最終配分との差(初回配分)の場合」と4つの列が表示されています。

最も左の「チャネル」の列は、「マルチチャネル」の他のレポートでも見られる、流入元の分類です。ここでは大きな分類で表示されていますが、キーワードや参照元ドメイン名といった単位で確認することも可能です。

「最終配分」と「初回配分」の列では、これらのルールで算出した場合のチャネル別貢献数が表示されています。最大で3つのモデルを横並びで比較できるようです。ここでは「コンバージョン数」になっていますが、売上を取得している場合は、売上での比較もできるようです。

そしてもっとも右にある列は、「最終配分」と「初回配分」の差分になります。この差が大きければ大きいほど、モデルによる効果見込みの違いが大きいということになります。上記画像の2行目を確認してみると「-15.54%」とありますが、これは「初回配分」のモデルの場合、「直接流入(ノーリファラー)」の貢献が、「最終配分」と比べて15.54%少ないとみなされるということを意味します。施策でこのギャップが大きいところを見て、流入施策の特性を確認することが大切です。

カスタマイズモデル

「アトリビューションレポート」の最も大きな特徴は、自分で配分モデルをカスタマイズできることにあります。ルールを作成して保存することで、そのサイト固有の配分モデルを作成でき、レポートにもすぐ反映される、とても強力な機能です。その中身を見てみましょう。

Googleアナリティクスの「Attribution Playbook」の内容をもとに編集部で日本語訳を作成

作成方法ですが、まずはカスタマイズのベースとなるモデルを、先程紹介した5つのモデルから選びます。その後に、条件付けを行っていきます。

条件付けは「●●●という条件の場合、貢献の度合いを他と比較して▲倍にする」といった形で複数設定できます。たとえば、「(指定した文字列が含まれるワード)の場合は、貢献を0.5倍にする」といった形です。では、どのような条件が使えるかを確認してみましょう。

  • 流入元 ―― 特定の流入元に対しての条件設定が可能です。「検索エンジン」「ノーリファラー」「特定のドメイン名」「特定のキーワード(以外)」といったさまざまな粒度が使えます。

  • 流入回数 ―― 「最初」「最終」「X回目」といった流入回数に応じて重み付けを変えられます。

  • サイト内での行動 ―― 「直帰(以外)」「何ページ以上(未満)閲覧」「何分以上(未満)閲覧」といったサイト内での行動を条件に重み付けを変えられます。直帰した場合は貢献として数えないといった形は納得感があるかと思います。

  • 時間減衰 ―― 時間における配分モデルをカスタマイズすることで、成果からの時間を元に評価の割合を変更できます。

ここで紹介した条件は全体の一部だけです。これら条件をORやANDで組み合わせることもできるので、さまざまなモデルを作成して比較できるのではないでしょうか。

感想&まとめ

アトリビューションという観点で分析できる解析ツールはいくつかあります。Googleアナリティクスはもちろんのこと、SiteCatalystやCoremetricsなども機能として用意されています。しかし、貢献度の算出方法を自由にカスタマイズし、簡単に比較できるのは私が知るかぎりではPremiumだけです

私がこのレポートを活用するとすれば、まずは仮説を元にさまざまなモデルを作成してみます。複数のモデルを元に、どのモデルでも貢献がある/貢献がない流入元を見つけ、その中で施策が打てる(=量を増やせる/量を減らせる)ものがあれば、実際に増やす/減らすを行ってみます。そして、実施してから数週間後・1か月後に想定どおりの結果が出たかを確認します。

この時に大切なのは、複数のモデルの結果を常にダウンロードし、比較し続けることです。サイト共通の最適な配分モデルがあるかもしれないですし、流入元ごとに最適なモデルが違うかもしれません。常に数値を確認しながら、最もサイト/流入元にとって実態を反映するモデルを選びましょう。

しかし、このような機能が用意されると、やはり次に「予測機能」が欲しくなりますね。

たとえば、「特定の施策の流入を2倍に増やした場合、1か月後のコンバージョン数にどれくらいの影響をあたえるのか」といったことアトリビューションのレポートを元に予測して表示する機能です。モデルによって想定される効果は当然変わってくるので、こちらも複数のモデルを横並びで比較したくなります。

ニーズは高いかと思うので、個人的には実装されてもおかしくない機能だと考えております。Googleに期待したいところです!

アトリビューション分析&配分 成功のためのチェックリスト

最後にGoogleアナリティクスの Attribution Playbookに記載されていた「成功のためのチェックリスト」を紹介して終わります。どれも大切な考え方なので、アトリビューションに興味がある方、あるいは、携わっている方はぜひ確認しておきましょう!

  1. 比較してカスタマイズしよう

    単一のモデルでは説明がつかない場合がほとんどです。ビジネスにあわせてさまざまな(カスタム)モデルを比較しましょう。実施するキャンペーンの種類によってもモデルは変わります。

    ※「まずは認知」が目的のキャンペーンと「コンバージョンが目的」のキャンペーンでは配分は変わるべきです。
  2. 実験して繰り返そう

    さまざまなモデルを見る中で新たな気づきがあったら、それを検証するためにさまざまなキャンペーンやマーケティング施策を実施し、数値にどのような影響があるかを確認しましょう。そしてそれを繰り返して行きましょう。

    「自分の仮説」だけを証明するモデルを見るのではなく、さまざまなモデルで比較する事を忘れないようにしましょう。

  3. 常識によるチェック&補正をしよう

    オンラインで取得できる情報は限られています。マルチデバイスの効果やオフラインでの売上はこのアトリビューションのレポートには組み込まれていません。分析あるいは評価する際には、これらの点も考慮しておきましょう。

  4. 情報共有&相談しよう

    アトリビューションを有効活用するには、役割や組織の壁を超える必要があります(それだけ多くの施策やコンテンツが絡むため)。見解・実験・モデルなどは、部署を超えて統一しておきましょう(そうでないと、施策担当者によって自分の評価を高めるためのモデルを使い出してしまう可能性があります)。

  5. 限界を理解しよう

    アトリビューションはすべての疑問に答えてくれるものではありません。

    自分の仮説とモデルの結果が正反対でどちらを信じれ良いか分からない場合は、テストを行ったりマーケット調査などを行ったりすることで、判断の精度を上げていきましょう。

  6. 機会を捉えよう

    アトリビューションの考え方は、全体を見渡せるほど完璧ではないものの、最終配分よりは強力です。不完全である事を理解しながらも、ぜひこれを機会と捉えて、実験を進めてみましょう。

◇◇◇

次回が最終回です。Q&A形式でGoogleアナリティクスPremiumの理解と考察を進めていきます。

この記事は、ブログ「リアルアクセス解析」の以下の記事をWeb担当者Forum用に加筆・再編集して掲載しています:
用語集
Googleアナリティクス / アクセス解析 / キャンペーン / コンバージョン / セッション / ダウンロード / ドメイン名 / リスティング広告 / 検索エンジン / 直帰 / 自然検索 / 訪問者
この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

インデックス
検索エンジンがWebページをデータベースに保存しているデータベース。データベース ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]