ソーシャルメディアの貢献価値は最大で94%も過小評価されている: アドビ調査(詳細データあり)

マーケターは、効果測定の手法や予算配分の考え方を改めて見直す必要があるようだ

米アドビ システムズは、ソーシャルメディアからのトラフィックがビジネスに与える価値貢献を調査し、どのように測定するかによってその貢献価値が大きく変わることを示した。その調査データとレポートから、「ソーシャルメディア分析」の手法に関する現在を解説する。

どうやらソーシャルメディアを含めて施策を行うマーケターは、効果測定の手法や予算配分の考え方を改めて見直す必要があるようだ。

評価手法によって貢献価値は最大で94%も変わる

今回同社が発表したのは、第2回「Adobe Digital Indexレポート」。米国225社以上のサイトにおける17億訪問に対して、ソーシャルメディアのコンバージョンに対する影響を分析したものとなっている。

  • マーケターは「ラストクリックアトリビューション」を最もよく利用するが、このモデルでは、購買プロセスの初期段階における顧客とのエンゲージメントを過小評価してしまう。

  • 「ファーストクリックアトリビューション」のモデルを利用すると、ソーシャルメディアの影響をより正確に把握できる。そうして測定した価値は、最大で94%も増える。

  • この差異は、マーケターの行う予算配分において、ソーシャルメディアとその他のデジタルチャンネルの重み付けを再考するのに十分に大きいものである。

アトリビューションとは? 何をどう判断できるのか?

ここでいう「アトリビューション」とは、さまざまなチャンネルを通じたマーケティングコミュニケーションの各施策が事業にどのような役割を果たしたかを判断するためのモデルを指す。

たとえば、ユーザーが次のような行動をしたとする。

  1. あるユーザーが、FacebookであるECサイト(「ECサイトA」とする)の割引クーポン付きの投稿をしたのを、友人が「いいね!」したのを見る
  2. その「いいね!」で知った投稿に含まれていたクーポンのリンクをクリックしてECサイトAに行く
  3. ECサイトAで割引セールを見る
  4. その場では購入を決断せず、ECサイトAをいったん離れる
  5. 数日後にもう少し調べようと検索エンジンでECサイトAを検索する
  6. 検索結果に表示されていたECサイトのリスティング広告をクリックする
  7. ECサイトAに行き、商品を購入する

この売上に貢献したマーケティングコミュニケーション施策を調べるのに、さまざまなモデルがあるが、代表的なものに次の2つがある。

ラストクリックアトリビューション」モデルでは、購入プロセスの最後に接触したマーケティングコミュニケーション施策(上記の例ではリスティング広告)のおかげだとする。

ファーストクリックアトリビューション」モデルでは、最初に接触したマーケティングコミュニケーション施策(上記の例ではFacebook投稿)のおかげだとする。

ここではサイトへの訪問が2回という単純なモデルで説明したが、実際にはユーザーがコンバージョンに至るルートはさまざまで、マーケターはどの施策がコンバージョンにどの程度の貢献をしたかをより正確に測定する方法を探し求め続けている。

小売業における、ソーシャルメディアからの訪問者あたりの平均売上額

特にソーシャルメディアでは、どちらのアトリビューションモデルで判断するかによって、評価される価値が大きく異なってくる。

アドビの調査では、小売業のサイトでみると、ソーシャルメディアの貢献した価値は次のようになり、その差は88%にものぼる。

  • ファーストクリックで測定:1訪問の価値=1.13ドル
  • ラストクリックで測定:1訪問の価値=0.60ドル

同様に差をみると、旅行業では94%の差が、メディア業では28%の差があり、どちらもファーストクリックで測定した場合のソーシャルメディアの価値貢献のほうが高くなった。

こうした差が生まれるのは、ソーシャルメディアの場の特性が原因だ。ソーシャルメディアは広告主にとって、購買プロセスの初期段階にある見込み客や既存顧客に対して、認知を獲得したりエンゲージメントを行ったりするための場として機能している。

ユーザーはそうした認知や理解をもって購買を検討し、検索などを通じてサイトを訪れたり、広告主からのマーケティングコミュニケーションに反応したりする。同様に、既存顧客とのソーシャルメディアを通じたエンゲージメントによって、そのロイヤルティや購買意欲が高まってくる。

ラストクリックアトリビューションではこうした「認知」「エンゲージメント」「既存の関係」を過小評価してしまうのだ。

また、どのモデルで評価するかによって、「どのソーシャルメディアが重要か」の判断も変わってくる。

下図は、小売業のサイトにおいて、1訪問あたりどの程度の売上貢献をしているかをソーシャルメディアプラットフォームごとに調べたもので、ファーストクリックアトリビューション(青色)とラストクリックアトリビューション(緑色)それぞれで出している。

小売業における、ソーシャルメディアからの訪問者あたりの平均売上額(参照元プラットフォームごと)

ここでPinterestは、ラストクリックモデルでは2番目に高い価値をもたらすと判断されたが、ファーストクリックモデルでは6番目になる。

アドビ システムズ社デジタルマーケティングビジネスユニット プロダクト&インダストリーマーケティング担当バイスプレジデントのアシーム チャンドラ(Aseem Chandra)氏は、同社のリリースで次のように述べている。

デジタルマーケターはソーシャルメディアをマーケティングミックスに早期に取り入れましたが、この複雑なチャネルを測定する新たな、より優れた手段についてはあまり考慮してこなかったかもしれません。今回の調査ではマーケターが従来の直接測定モデルを使用しがちであることが示されました。ソーシャルマーケティングをより正確に測定することができればROI も向上します。

調査データ詳細

各ソーシャルプラットフォームの貢献度(業種別)
メディア業
ソーシャルメディア 来訪元比率 平均閲覧数
(ファーストクリック)
平均閲覧数
(ラストクリック)
差異
Facebook 74.8% 3.82 2.96 29%
StumbleUpon 8.0% 1.94 1.67 16%
Twitter 6.9% 3.81 2.80 36%
Reddit 5.1% 2.05 1.48 39%
Blogger 1.7% 4.46 3.20 39%
Pinterest 1.0% 2.70 2.60 4%
YouTube 0.9% 3.62 2.81 29%
Tumblr 0.8% 3.35 2.39 40%
小売業
ソーシャルメディア 来訪元比率 平均売上額
(ファーストクリック)
平均売上額
(ラストクリック)
差異
Facebook 77.1% $1.28 $0.67 91%
Pinterest 8.3% $0.39 $0.22 76%
Blogger 4.7% $0.66 $0.15 337%
Reddit 2.7% $0.15 $0.03 410%
YouTube 2.3% $0.50 $0.12 314%
Twitter 1.9% $0.52 $0.11 372%
WordPress 0.8% $0.40 $0.11 267%
Tumblr 0.8% $0.18 $0.02 785%
旅行業
ソーシャルメディア 来訪元比率 平均売上額
(ファーストクリック)
平均売上額
(ラストクリック)
差異
Facebook 89.5% $4.28 $2.40 78%
Yelp 2.8% $3.82 $1.25 205%
Twitter 2.5% $2.99 $0.64 367%
Blogger 1.9% $0.81 $0.19 326%
YouTube 1.8% $0.71 $0.01 7,047%
Pinterest 0.7% $0.23 $0.00 n/a
Wordpress 0.3% $1.23 $0.78 57%

同レポートではアトリビューションモデルを変えて「検索」と「ソーシャル」の貢献価値を測定したデータも掲載されているので、そちらも紹介しておこう。

ソーシャルvs検索
メディア業
メディア 平均閲覧数
(ファーストクリック)
平均閲覧数
(ラストクリック)
差異
検索 6.03 4.95 22%
ソーシャル 3.61 2.81 28%
小売業
メディア 平均売上額
(ファーストクリック)
平均売上額
(ラストクリック)
差異
検索 $3.85 $2.78 38%
ソーシャル $1.13 $0.60 88%
旅行業
メディア 平均売上額
(ファーストクリック)
平均売上額
(ラストクリック)
差異
Search $13.39 $10.28 30%
Social $3.81 $1.96 94%

調査概要

  • 調査対象: 分析の専門家への調査と、米国225社以上の17億訪問を分析。対象サイトにはメディア、小売り、旅行業などが含まれる
  • 調査期間: 2012年2月
  • 調査対象サイトの月間ユニークユーザー数: 平均370万人、中央値450万人
  • 調査手法: サイトへのWebブラウザを利用した訪問をAdobe Digital Marketing Suiteで計測。ドメイン名ごとの、ファーストクリックとラストクリックの貢献を測定
  • 調査で評価していない点: 対象企業のソーシャルメディア上での活動によって影響を受けた「ブランド認知」「実店舗への訪問」「オフラインメディア利用」「カスタマサービスの改善」その他の影響は、本調査では評価していない。また、タブレットやモバイルのアプリケーションを通じたソーシャルメディア活動の影響も評価外。
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