オートノミーがTeamSiteとOptimostをバージョンアップ 100万円からの自動最適化やマーケダッシュボードも提供

企業のマーケティングを全体最適化するためのダッシュボードサービス「MCO」の提供を開始

オートノミー株式会社は9月21日、同社の提供するコンテンツ管理システム「TeamSite」とテスト&最適化ツール「Optimost」などの製品をバージョンアップし、さらに企業のマーケティングを全体最適化するためのダッシュボードサービス「MCO」の提供を開始することを発表した。

21日に発表された製品バージョンアップ・新製品は次の4点。また、新製品群の発売を記念した「000」と「333」のキャンペーンも実施する(12月21日まで)。

コンテンツ管理システム「TeamSite」を擁するイターウォーブンを2009年3月に買収したオートノミーは、同社の「意味ベースマーケティング」のベースとなるデータ自動分析プラットフォーム「IDOL(Autonomy Intelligent Data Operating Layer)」を中核として各種製品の統合を進めている。

今回の発表は、そうしたオートノミーとしての製品ラインナップの統合が形となったものだ。

マーケティングコミュニケーション全体を俯瞰して最適化する
Autonomy Multi-Channel Optimization(MCO)

MCOは、企業のマルチチャンネルのマーケティングコミュニケーション全体を俯瞰し、全体最適化することを目的と製品。

テレビ、ソーシャルメディア、ウェブ、コールセンターなどのさまざまなチャンネルのデータをIDOLプラットフォームで自動的に処理し、

  • 全体の情報を俯瞰できるダッシュボードを提供
  • TeamSiteやOptimostなどのツールと連携して、データをもとに自動最適化

するもの。

マーケティング・広告・広報のセクションが個別に分掌領域だけを見て部分最適化している現状に対して、ステークホルダーとのコミュニケーション全体を把握して、全体最適化を進めるための仕組み。

ダッシュボード機能

ソーシャルメディア上を流れる顧客の声や、コールセンターに問い合わせてきた顧客との会話の報告書など、データベースにきれいに収まらない非構造化データを含め、さまざまなチャンネルから情報を得て自動処理するのが特徴。

  • サイトのアクセスデータ
  • 検索エンジンの検索トレンド
  • Twitter、Facebook、mixiなどのソーシャルメディアのデータ
  • テレビCMの視聴率
  • 新聞雑誌の閲読率
  • Yahoo! JAPANやNHKなどで流れるニュース情報
  • マーケティングリサーチデータ
  • POSデータ
  • 社内システム

といった情報をもとに、目標に対する達成度で見せたり、スペクトルグラム(時系列の情報の流れを表示)やクラスタマップ(どんなトピックに対する情報が多かったかを表示)などでわかりやすく見せたりする。

スペクトルグラム(左図)とクラスタマップ(右図)の例

自動最適化機能

さらにMCOでは、

  • 広告クリエイティブの差し替え
  • リスティング広告の入札・条件変更
  • ディスプレイ広告の発注
  • マス広告の発注

といった最適化を同社のTeamSiteやOptimostなどの製品群を連携させて自動的に行ったり、または、状況によっては緊急時モードを発令したりすることもできる。

たとえば、バナー広告の訴求効果は掲載初期から時間がたつにつれて下がっていくが、クリック率などをチェックしておいて効果が落ちてきた時点で自動的にクリエイティブを差し替えるといったことができる。

また、次のように、サイトでの受注率によってアクションを次のように変更する事例もある。

  • 受注率50%未満の状態では、広告を自動発注、サイトを強くアピール、LPO実施、リスティング広告実施
  • 受注率70%~80%では、サイトアピールを少し抑え、リスティング広告はコンバージョン率の高いクリエイティブのみ実施
  • 受注率80%以上では、サイトアピールを抑え、広告をすべて停止

各種チャンネルからの情報を取り込む部分は、約400種類のデータソースに対する「コネクタ」が用意されている。また、新しいソースに対するデータ取り込みは、たとえば一度XMLデータに落としてから取り込んだり、コネクタ内のスクリプトで変換をかけて取り込んだりといったことも可能なのだという。

オンプレミスとクラウド型の両方で提供予定。「アクセス解析データ」「検索トレンド情報」「ソーシャルメディア」「テレビCMの視聴率」の4種類のデータ取り込みに対応した基本構成で、月額100万円から。

コンテンツ管理システムがバージョンアップ
Autonomy TeamSite 7.2.1J

同社のコンテンツ管理システム「TeamSite(チームサイト)」がバージョンアップし、7.2.1Jとなった。今回の大きな機能追加・強化は次のとおり。

  • グローバリゼーション(多言語サイト)対応

    複数の言語と国の組み合わせパターン(ロケール)に対応したサイトを作成でき、マスターとなるサイトからサイトを複製して各国言語サイトを作成できる。ナビゲーションやパンくずリストなどのサイト構造は各国サイトごとに設定もでき、コンテンツ翻訳の状況を管理する機能も提供する(翻訳機能自体は提供されない)。

    ロケールの登録画面
    各ロケールに独自のサイト構造(ナビゲーション)を設定可能
    翻訳の進捗確認画面
  • コンテンツの依存関係

    特定のページで使われている画像などの要素や、そのページをもとに作成された他言語ページを一覧して確認でき、ページやファイルを削除する際にはそのページに依存する他のページがないかなども確認したり、そのコンテンツを削除すると他のコンテンツに影響がある場合に警告を出したりできる。

  • ターゲティング

    オートノミーの自社エンジンを使い、ルールベースのターゲティングを行うツール(公開サイトでLiveSiteの稼働が必要)。

    ルールは以下のような条件で指定して、条件に応じてサイトの表示を変えることでパーソナライズできる。

    • 参照元URL(検索キーワード)
    • クリックストリーム
    • 日付と時刻
    • ページ
    • セッション
    • サイト
    • ユーザーエージェント名
    • ユーザープロファイル
  • VisualAnnotate(付箋)

    本番公開前のプレビュー時点で、ページ内の要素にマークを付けたりコメントを付けたりしてチェック担当者が制作担当者に情報を伝えられる、マーカー&付箋の機能。

    以前はIEのプラグインとして利用者のブラウザにインストールして動かす仕組みだったが、新たにJavaScriptを利用したサーバー側の動作になったので、組織内で利用しやすくなっている。

  • その他

    • 管理UI統合

      コンテンツ管理システムの「TeamSite」と公開サーバーへのコンテンツデータ配信システムの「OpenDeploy」の管理画面を統合。

    • イメージエディタ

      TeamSite上で利用できる画像エディタ(明るさ、色バランス、切り抜き、サイズ変更、反転など)を実装。ちょっとした画像加工ならば画像処理ソフトを立ち上げずにTeamSite内で行える。

    • レポート機能

      コンテンツの種類、コンテンツの更新状況、期限切れコンテンツの有無、エディションの作成状況、作業中のファイル、完了ワークフロー、タスクの実行状況などのレポート機能を強化。

    • 64ビットOS対応

TeamSite 7.2.1Jへは、TeamSite 6.7.2 SP2またはTeamSite 7.1からアップグレード可能。また同時に、OpenDeploy、Search、LiveSiteなどの製品も同時に7.2.1にバージョンアップされている。

テスト機能に加えてセグメンテーションの自動作成・最適化も
Autonomy Optimost

A/BテストやMVT(多変量変数テスト)によってサイトを最適化するツールの「Optimost(オプティモスト)」も機能強化してバージョンアップしている。

Optimostは、これまではテストのためのツールだったが、今回のバージョンアップにより、訪問者データを分析して自動的にセグメントを生成し、各セグメントに対して最適なコンテンツを提供することで、よりサイトを最適化していけるようになった。

A/BテストやMVTでは、セグメント作成やターゲティングを適切に実施するのは難しいもので、ツール提供企業のコンサルティングサービスを利用することが多い。また、データを分析して作ったターゲティングルールを状況に合わせて更新していくのは工数がかかるし、セグメント作成に時間がかかると古いデータをもとにターゲティングすることにもなる。

新しいバージョンのOptimostでは、こうしたセグメンテーションやターゲティングをリアルタイムに自動的に行えることが特徴。新しいセグメントをリアルタイムに発見し、既存のセグメント内での新たな行動パターンや変更を自動学習し、ターゲットコンテンツを自動的に提供することができる。この自動セグメンテーション機能も、オートノミーのデータ処理プラットフォームIDOLのパターン認識技術機能を活かしている。

既存のPDCAでは、Plan部分で人手による分析が必要だし担当者の思い込みなどが影響する可能性があったが、Optimostはその分析部分を自動的に行ってくれる。これにより、人的コストを削減し、PDCAサイクルを自動的に高速にまわすことができるとしている。

セグメンテーションに利用できる情報としては、次のようなものが挙げられる。

  • コンテキスト: どのようなサイトに訪問したのか。キーワードやリファラ
  • プロファイル: 訪問者のログインデータや個人情報
  • 時間: いつサイトに訪問したのか
  • センチメント(感情): コンテンツに対してネガティブかポジティブか(日本語では未対応)
  • 行動: サイト内のどのページを閲覧したのか、どれくらいの時間滞在したのか
  • 地域: どの場所(地域)にいる人なのか
  • デモグラフィック: 年収、年齢、人種、性別など(別途データがある場合)

新バージョンのOptimostは2011年末に発売予定。

データプロテクトソリューション

データをバックアップしたりアーカイブしたりするサービスも提供される。オートノミーの製品ラインナップのなかで「プロテクト」ラインの製品。こちらは、2011年6月にオートノミーが買収したアイロンマウンテンデジタル事業からの製品サービスだ。

データプロテクトソリューションでは、

  • 企業内情報管理のアーカイブ
  • クライアント(Windows、Mac)データのバックアップ
  • サーバーデータのバックアップ

といったサービスが提供される。

同社のもつ増分バックアップの仕組みや重複排除によるストレージ領域の節約といった機能により、コスト効果の高いバックアップを実現するソリューションで、社内導入するシステムからクラウドを利用したものまで提供する。

◇◇◇

オートノミーでは、新製品群の発売を記念して、TeamSiteとOptimostのキャンペーンを実施する。

TeamSiteに関しては「000」キャンペーンとして、キャンペーン期間中にTeamSiteを成約すると、次の3点を無料で提供する。

  • ユーザーライセンス無料(100ユーザーまで)
  • 製品トレーニング無料
  • 2年目保守費用無料(初年度保守価格で、保守サービスを2年間提供)
Optimostに関しては「333」キャンペーンを実施する。キャンペーン期間中にTeamSiteを成約したユーザーは、次の内容でOptimostをトライアル利用できるキャンペーンだ。
  • 3か月
  • 3ターゲティンルールと多変量テストを
  • 300万円で提供

キャンペーン期間は2011年10月1日~12月21日。問い合わせや申し込みはオートノミーの担当者かパートナー各社まで。

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