四家正紀が聞く! 顧客とのデジタルコミュニケーションで大切なこと

仮説なき「やってみなはれ」は失敗のもと! ハイボール復活プロジェクトを裏で支えた高速PDCAの秘密【後編】

サントリーの室元氏は、デジタル施策で何よりも大事なのは「課題の解決力」だと語る。四家正紀がファンを重視した施策成功の秘訣を聞く。

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右:サントリーコミュニケーションズ 室元隆志氏 左:アジャイルメディア・ネットワーク 四家正紀
右:サントリーコミュニケーションズ 室元隆志氏 左:アジャイルメディア・ネットワーク 四家正紀

ソーシャルメディアが登場するよりも以前からユーザーイベントを企画してきたサントリーの室元氏は、角ハイボールの大ブレイクを振り返りながら「デジタルの施策は課題を分解して組み立て直すことが何よりも大事」と語る。アジャイルメディア・ネットワークの四家正紀が、ファン・コミュニケーションの達人に突撃して成功の秘密を解き明かしていく記事の後編をお届けする。

>>前編の「絶対に『記事を書いてください』と言っちゃダメ。営業時代の経験がデジタル施策に生きている」から読む

室元隆志(むろもと・たかし)
サントリーコミュニケーションズ株式会社 デジタルマーケティング本部部長

1988年サントリー株式会社入社。宣伝部、営業を経て2000年よりデジタルマーケティングに従事。サントリーデジタルマーケティングのプラットフォーム構築、コミュニケーション、BtoBやECを含めたマーケティング手法開発などを手がける。2017年4月にサントリー各社にあったデジタル部署を統合し、現在、デジタルマーケティング本部部長。

デジタルだからこそ刺さった「角ハイボール」復活プロジェクト

四家真っ正面だけでなく、組織をハックして物事を進める。これもサントリーの社風なんでしょうね。有名な角ハイボールによるウイスキー復活プロジェクトについてもいろんなエピソードがありますよね。テレビで見たんですが、プロジェクトの推進役になった竹内淳さんは上司に許可を取らないで勝手にハイボールのサーバーを作っちゃったとか。

室元はい、いきなり「ジョッキ1万個発注しました~~♪」って(笑)。

四家でもそれで、ジョッキでハイボールを飲む文化が生まれたんですもんね。ハイボールのプロジェクトも非常に思い出深いです。僕自身、銀座のバーにブロガーを集めて開かれた「第1回ハイボールナイト」や白州蒸溜所所にご招待いただいてブログを書きました。

ハイボールの企画はいろんな方が社内で携わっていたかと思いますが、室元さんはどのような役割だったのでしょうか。

乾杯のかけ声は「ハイボール!」当時の様子はサントリーの公式ブログで読める
乾杯のかけ声は「ハイボール!」当時の様子はサントリーの公式ブログで読めるサイトで見る

室元私が担当したのは「ハイボールなう!」というツイッターの投稿キャンペーンですね。これが、デジタルで刺さった。さまざまな施策のなかで起爆剤になったと思います。

最初にお話した「ビール工場ブロガーイベント」は1つのステップだと思ってました。先ほど申し上げたとおり、「工場」のイベントは絶対の勝ちパターンですから、まずここで実績を作った。その次の段階からは、だんだんブランドの課題解決に寄せていきたかった。そこに出てきたのがハイボールでした。

四家なるほど、ハイボールは工場見学の次のステップだったんだ。

ビジネス課題は「角ハイボールを飲食店で体験してもらう」こと。起爆剤になったのはネットのクチコミ

室元当初、角ハイボールのビジネス課題は、「角ハイボールを飲んでもらう体験を増やすこと」でした。ビジネスゴールとしては、お客さまに「サントリーウイスキー角瓶」をスーパーマーケットで買っていただいて、自宅でソーダで割って飲んでいただくこと。

従来のサントリーの勝ちパターンだとまず「テレビCMでの認知」があったんですが、当時はウイスキーが年々飲まれなくなってきていて、売り上げも25年間右肩下がりでした。そんな状況でテレビCMを大量投下しても、そもそもウイスキーを飲まない人にはスルーされていたんですね。だから、まず「角ハイボール」という新しいカテゴリーのドリンクを飲食店で体験してもらうことが大事だったんです。

そのためには飲食店への配荷を増やして、来店したお客さんに注文してもらわないといけない。この「注文を増やす」ときに重要な起爆剤となったのがネットのクチコミでした。ハイボールを飲んだ人がブログなとで拡散してくれていた。このときに活躍してくださったのが、これまでリレーションを構築していた有力ブロガーさんやグルメブロガーさんをはじめとする方々だったんですね。

ハイボールの注文を増やした起爆剤はネットのクチコミ

四家「ハイボール飲んだよ」ということをみんな記事にしていましたね。

室元そこで「ハイボールなう!」という企画を立ち上げて、ハイボールを飲んだ方のツイートをまとめました。さらに「ハイボールと一緒に食べるなら○○」とかのお題を出してツイートしてもらい、これをまとめていったんですね。これがきっかけになって、事態が好転していきました。

一方で、飲食店に対してはこうしたいろんな方のクチコミを見せつつ、1杯目から皆さんハイボールを飲んでいて誰もビールを飲んでいないのに大繁盛しているお店を紹介したりしました。銀座コリドーにある「立ち飲み マルギン」さんというお店です。お連れした飲食店の皆さんは「もう世の中はビールじゃなくて、ハイボールなんだ!」と衝撃を受けたんですね。実はそんなお店はまだマルギンさんだけだったんですが(笑)。

四家ハイボールナイトも1回だけでなく、連続して開催されていますよね。継続的にブロガーイベントに取り組まれてる企業さんは、当時は本当に数えるほどしかありませんでした。

室元やりましたね。角ハイボールが大ブレイクしたあと、今度は「トリスハイボール」のプロモーションも手がけました。全国8都市でイベントを開催し、主に飲食店さんでの扱いを増やすことに成功しています。そのあとはもう、社内のあちこちからハイボール関連の話がじゃんじゃん来て、どれがどの順番だったか思い出せいないですね。

オウンドメディアをなるべく持つな。外に出て戦う方がいい

室元隆志氏
室元隆志氏

室元私はちょっと変な持論がありまして、基本的には「オウンドメディアをなるべく持つな」という考えなんですね。なぜならオウンドメディアの運用にリソースを取られてしまうと、新しい取り組みがやりにくくなるからです。武田信玄が自分のところに城を建てないのと同じで、城を建てると国力も消費するし、人も張り付けないとならない。そうじゃなくて、外に出て戦って領地を増やしたほうがいい、という発想なんです。

だからブロガーさんが重要だったんです。「自分たちであの記事を作ってみろ、すごい工数がかかるぞ」って。だから第三者の方々にどんどん記事を作っていただく方がいいわけです。「記事を書きたくてたまらなくなるにはどうするかを考えろ」ということですね。

四家サントリーさんの場合、別に優れたオウンドメディアをご担当されている方もいらっしゃいますし。

室元そうですね。いまは1つの部署にまとまったので、ちょっと言い方を変えていますけどね。「オウンドメディアはできるだけ工数を下げろ」とか(笑)。

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