編集長ブログ―安田英久

メディアは論理破綻してるほうがおもしろい? そんなバカな!

「人間がつくる番組だから破綻してるほうがおもしろい」という発言が某所でありましたが、とんでもない話なのです。

今日は、メディアのあるべき姿について。「人間がつくる番組だから破綻してるほうがおもしろい」という発言が某所でありましたが、とんでもない話なのです。

「人間がつくる番組だから、論理破綻していたり、ごちゃごちゃしていたりしていないと、おもしろくない」――そんな発言を、某大手ネットメディアの編集長がしました。

某テレビ局の某AIで某データを分析した某テレビ番組について「相関関係と因果関係がごちゃまぜ」「たんなる疑似相関だ」という指摘が相次いだことに対して発言したもの。

Web担当者Forumやネットショップ担当者フォーラムといったメディアをまじめに運営している人間として、これはあり得ない発言だと考え、「そんなはずがない」ことをここに論じます。

(当人はその後「軽率で一面的な投稿でした」と投稿していますし、個人や特定のメディアを批判するのが目的ではありませんので、元発言の詳細は記載しません)

「メディア」「番組」などひとくくりにしては意味がない

そもそも、「番組」や「メディア」とひとくくりにして論ずることに無理があります。論理の整合性が大切な番組と、そうでない番組があるのですから。

別に、エンタメ番組が論理破綻しているのは問題ないですし、そのほうがおもしろいこともあります。

4コママンガ不条理ギャグマンガなんて、一見すると論理整合性がなかったり予想外の展開が来たりすること自体がその存在価値の1つだったりしますからね。

私もよく読みました。西原理恵子氏、喜国雅彦氏、吉田戦車氏、大橋ツヨシ氏。いま週刊モーニングで連載されている『CITY』(あらゐけいいち氏)もステキですよね(一部、不条理マンガじゃないのも含まれている気もしますが)。

でもね、おなじテレビ番組でも、放送大学の講義内容や、法律や制度が変わったことを解説する番組だとどうでしょうか。

そうした番組で解説する内容において論理の整合性がとれていなければ、視聴者(生徒?)は理解もできないでしょうし、なんのためにその番組をやっているかわかりませんよね。

番組ごとでもそうですし、フジテレビとNHKとでは性質が違いますし、日経新聞と東スポではまったく違うものですよね。そうしたものを「メディア」「番組」とひとくくりにして話すこと時点に無理があるのです。

論理的整合性を大切にすべきコンテキストと、そうでないコンテキストがあり、大切なのはそのコンテキストなのです。

オーディエンス(読者・視聴者)がそのメディアや番組や記事をどういうものだととらえており、そこで語られている内容をどう受け止めるつもりなのか。論理の整合性に関する重要性は、それによって変わってくるものなのです。

そうした違いを無視し、メディアや番組をひとくくりに「破綻しているほうがおもしろい」と語ってしまうのは、大きな間違いなのです。

緩和は緊張があってこそ存在する

さらにいえば前述のなかの「論理整合性がさほど重要ではない」コンテキストにおいても、実は論理の整合性が背後にあることが多いものです。

一見すると「破綻」しているように見えるものも、実はしっかりとした筋を踏まえたうえで、その筋からあえて外れることで「意外なおもしろさ」を生んでいるのです。

たとえば、ピカソ。彼の絵は、子どもが見れば「意味がわからない」「おかしい」と反応するのも無理はないものです。しかし彼は、写実的なものも含め絵画を描く人並み外れた技術と才能があり、それをベースにあの絵を描いているからこそ評価されているのではないでしょうか。

ベースの実力がなければ、やはりたんなる落書きと評価されていることでしょう。

たとえば、上方落語。関西の落語ですね。その特徴として、派手なおもしろさが目立つのですが、じつはそのストーリー展開や語る内容に関しては、その論理整合性を大切にしていると言います。「この登場人物は、前の場面でこう言っているのに、次の場面ではこんな風に反応するのはおかしい」「なぜここでこの登場人物がこっちの味方になるのか」など、実はかなり突き詰めていると聞きます。

そうした「聞いていて気になる点」「ひっかかる点」を徹底的に排除しているからこそ、純粋に「おもしろい」ものに仕上がっているのではないでしょうか。

たしかに、エンタメや息抜きの番組では、論理的な破綻があったり、ごちゃごちゃしていたりするほうがおもしろいこともあるかもしれません。

でもそれは、単に破綻していればいいというものではないのです。

人々が知っている「定石」「定番」「期待どおり」「こうなるだろう」を把握したり作り出したりしたうえで、そこから外れすぎず、理解できる範囲のなかで、最大の意外さを生み出し、しかも見ている人がひっかからない(おかしな突っ込みがでない)ようにする。

それが、本当に「おもしろい」破綻を生み出すためにプロがするやり方なのではないでしょうか。

◇◇◇

Web担やネッ担は「仕事に役立つ情報」を得る場であり、読者さんもそう期待していることを前提としていますので、可能な限り「わかりやすさ」「正しさ」「説明のつながり」を、「おもしろさ」よりも大切にして参ります。

私たちは「おもしろければいい」「ウケればいい」と考えて運営することは決してありませんし、そうすることはメディアの存在価値を毀損し、世の中に対してマイナスの影響を生むものだと考えています。

え? 理屈っぽくておもしろみに欠ける? そういう方は、マンガ記事などでお楽しみくださいませ。

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